渡部はまさかの3位、男子勢はいざあすの決勝へ

競泳

 連日手に汗握る戦いが繰り広げられている日本選手権もお折り返し地点を迎えた。大会四日目のきょうは、男女で明暗が分かれた。女子200メートル個人メドレーで優勝候補筆頭だった渡部香生子(スポ2=東京・武蔵野)がタッチの差で敗れ、まさかの3位。3種目目のリオ五輪代表を勝ち取ることはできなかった。一方で男子種目では早大勢が大暴れ。瀬戸大也(スポ4=埼玉栄)や坂井聖人(スポ3=福岡・柳川)、渡辺一平(スポ2=大分・佐伯鶴城)があすの決勝に進出した。

★坂井と瀬戸、いざあすの決戦へ

坂井は準決勝を瀬戸に次ぐ2位で通過した

 男子200メートルバタフライ。この種目をけん引するのは早大の二人だ。昨年の世界選手権で4位に入った実力者・坂井が大会四日目にして満を持して登場した。坂井、瀬戸共に予選から1分55秒台の泳ぎを見せ、迎えた準決勝。先に泳いだ瀬戸は「あまり予選より(タイムは)上がらなかったですが、今シーズンのベストは出せました」と振り返るように、決勝につながるレースとなった。一方、坂井も目標タイムには届かず。しかし、「泳ぎを意識していたので悪くはない」と語り、手ごたえはつかんでいるようだ。「聖人も調子が良いと思うので負けないようにしたい。二人で代表に入ることができたら」(瀬戸)。「瀬戸選手といい勝負ができるようにしたい」(坂井)。決勝のレースでワンツーフィニッシュなるか。そして、果たしてどちらが先着するか。あすはこの同門対決に注目だ。

(記事、写真 大森葵)

★渡辺がトップで決勝へ

予選で自己ベストを大きく更新した渡辺

 男子100メートル平泳ぎではまさかの予選敗退に終わった渡辺。その悔しさを晴らすべく、本命の男子200メートル平泳ぎに挑んだ。渡辺は予選から自己ベストを0.6秒近く縮め、2分8秒83と派遣標準記録を大きく上回るタイムをたたき出し1位で予選を通過。迎えた準決勝では、小関也朱篤(ミキハウス)、北島康介(日本コカ・コーラ)らと肩を並べてのレースに。前半は小関、北島らが持ち前のスピードを生かし先頭を争うが、渡辺もその2人に食らいついていく。ラストスパートを得意とする渡辺は最後の50メートルでトップをさらい、そのまま逃げ切った。予選に続けて派遣標準記録を切り、1位で決勝進出を決めた渡辺。「必ず代表権を勝ち取ります」と力強く発言した。もう、その準備は整っている。また早大からは坂田匠(スポ3=新潟一)も出場。2分17秒35をマークし、初めての日本選手権を終えた。

(記事、写真 杉野理恵)

★渡部、まさかの3位に

レース後、ぼう然とする渡部

 まさかの結末が待ち受けていた。女子200メートル個人メドレー決勝。渡部は優勝の大本命として臨んだ。レースは、隣のレーンを泳ぐ寺村美穂(セントラルスポーツ)が引っ張る展開。前半を5位で折り返し、得意の平泳ぎで巻き返すかに思われた。しかし、なかなかスピードにのることができない。寺村に大きく離され、2位で最後の自由形へ。2位争いは最後のタッチにまでもつれこんだ。今井月(豊川高)と清水咲子(ミキハウス)共に、三人がほぼ同時にフィニッシュ。電光掲示板に表示されたのは『3位 渡部香生子』の文字だった。「悔しさというか、あまり言葉が出てきません」。派遣標準記録を突破したものの、この種目では代表権を勝ち取ることはできなかった。あすは女子200メートル平泳ぎの予選と準決勝に出場する渡部。気持ちを切り替え、世界女王としての意地を見せてほしい。

(記事、写真 大森葵)

結果

◇決勝

女子200メートル個人メドレー

渡部 2分10秒93【3位】

◇準決勝

男子200メートルバタフライ

瀬戸 1分55秒00【1位】

坂井 1分55秒40【2位】

男子200メートル平泳ぎ

渡辺 2分9秒46【1位】

◇予選

男子100メートル自由形

荒木優介(人4=三重・暁) 51秒00【28位】

男子200メートルバタフライ

坂井 1分55秒37【1位】

瀬戸 1分55秒63【2位】

男子200メートル平泳ぎ

渡辺 2分8秒83【1位】

坂田匠(スポ3=新潟一) 2分17秒35【44位】

コメント
決勝進出者

渡部香生子(スポ2=東京・武蔵野)※囲み取材より抜粋

――決勝を泳いでみていかがでしたか

全体的に体が最後まで動いていませんでした。本当に最後は全身つっているのではないかと思うぐらい疲労がすごかったです。これはただトレーニング不足なだけかなと思います。

――後半の伸びが足りなかったように見受けられましたが、その点についてはいかがですか

確かに平泳ぎなどでもうまく進んでいる感じはなかったのですが、あしたからも200メートル平泳ぎが残っているのでしっかりと切り替えて最後まで集中したいと思います。

――今の気持ちとしては、悔しいですか

悔しいというか、あまり言葉が出てこないです。

――あしたからの200メートル平泳ぎ、どのような泳ぎを見せたいですか

きょう悪かったところをしっかりと振り返って、少しでもいいレースができるようにしたいと思います。

準決勝進出者

瀬戸大也(スポ4=埼玉栄) ※囲み取材より抜粋

――準決勝の泳ぎを振り返って

抜けていたので54秒台前半くらいが出ているかなと思ったのですが、あまり予選からあがらなかったですね。ですが今シーズンではベストなので決勝はしっかりと記録をさらに上げていきたいです。

――準決勝で派遣標準を突破できたことは大きいですか

そうですね。決勝でも派遣標準を切って順位にもこだわっていきたいと思います。

――あすへの意気込みをお願いします

あすが一番タフな試合になると思うのですが、一本一本良いイメージで泳いで、バタフライではベストを出して代表を決めたいと思います。

――決勝は坂井選手との戦いになりそうですね

そうですね。聖人も調子が良いと思うので負けないようにしたいですし、後輩と二人で代表に入ることができたらいいなと思います。

坂井聖人(スポ3=福岡・柳川) ※囲み取材より抜粋

――レースを振り返っていかがですか

思ったよりも後半が死んでしまって54秒台は出なかったのですが、タイムというよりは泳ぎを意識したので悪くはないのではないかなと思っています。

――意識したことは

予選の時はキャッチがあやふやになった部分があったので、アップ中にしっかりキャッチして前に進むことを意識してやっていました。

――決勝では瀬戸選手との対決になりそうですが

そうですね。緊張もあって力んだ部分もあったので、決勝はもう少しリラックスして瀬戸選手良い勝負ができるように頑張りたいなと思っています。

渡辺一平(スポ2=大分・佐伯鶴城)※囲み取材より抜粋

――派遣標準記録突破ということで今の感想をお願いします

予選で自己ベストを0秒6近く更新して2分8秒台という記録が出て、準決勝もそのぐらいのタイムで行きたかったのですが、少し落としてしまいました。でもきょう2本目のレースなので、仕方ないかなと思う部分もあるので、決勝では少しでもタイムを上げられるように頑張りたいと思います。

――予選、準決勝と続けて派遣記録を突破しましたが、その点についてはいかがですか

1日に2本泳いで、共に派遣標準を突破したというのは自信につながったかなと思います。

――あしたは本命とも言える決勝ですが、いかがですか

このために半年間いろいろと高地トレーニングなどにも行ったので、その集大成を出せるように頑張ります。

――決勝への意気込みをお願いします

今までやってきたことをすべて出して必ず代表権を勝ち取ります。

予選後

荒木優介(人4=三重・暁)

――いまのレースを振り返ってみていかがですか

ちょっときつかったですね。

――朝一番のレースということで体は動いていましたか

体は動いていたのですが、あまりうまく水をかけなかったのかなと思いますね。

――この大会に向けて強化してきた点はありますか

脚力の強化やスタートの時に勢いをつけることなどを取り組んでいました。

――その点は手ごたえとして感じましたか

そうですね。脚力はついたと思うのですが、その反面体力が落ちてしまったのかなと思います。

瀬戸大也(スポ4=埼玉栄)※囲み取材より抜粋

――予選の泳ぎはいかがですか

予選はリラックスして、朝のレースプランは達成できたので準決勝は決勝を見据えたレースができたらなと思います。

――前半は54秒台で積極的な入りでしたね

そうですね。100メートルは積極的に入っていきました。準決勝はちょっと抑えて入って後半を落とさないような、決勝につながるレースをしたいです。

――準決勝に向けて

準決勝はしっかり54秒台を出して、自己ベストの近くで泳ぐことができたら決勝ではベストが出せると思うので、しっかりと決勝につながるようなレースができたらなと思います。

坂井聖人(スポ3=福岡・柳川)※囲み取材より抜粋

――今のレースを振り返ってみて

予選からある程度でいって、55秒台で楽にいけたらいいなと思っていたので良い感じではないかなと思います。

――予選から派遣標準に近いタイムですが

良いタイムだとは思いますが、ラストの50メートルが前半あまりいっていないにも関わらずばててしまったので、準決勝では修正できるようにしたいです。

――初のレースとなりましたがどのようなお気持ちですか

やはり五輪選考会ということもあって予選から緊張しました。今予選を泳いでリラックスできたので、準決勝も頑張りたいと思います。

――準決勝に向けて

準決勝では全部の力は使わずに、前半はある程度いって、後半は粘って54秒5くらいまで上げて決勝に進めたらなと思っています。

渡辺一平(スポ2=大分・佐伯鶴城) ※囲み取材より抜粋

――予選の感覚はいかがでしたか

100メートルの方で予選落ちしてしまって、200メートルではやってきたことを全部出そうと思っていたので、予選から8秒台が出て良かったのではないかなと思います。

――どのように気持ちを切り替えてきましたか

100メートルで思うようなタイムが出ず、決勝レースも雰囲気を味わいながら会場で見たのですが、100メートルでタイムが出なかった理由が気持ちの面だったのではないかと思っていて、200メートルではしっかりと予選からベストを狙っていこうと思いました。

――タイムは思っていた通りか予想以上のものなのか

8秒台が出るとは思っていたのですが、予選からこのタイムなので準決勝ではもっと良いタイムが出ると思います。

――いまのレースは余力というのはありますか

ある程度でいったのですけど、朝でアップ不足というのもあるので準決勝ではもっとタイムを上げたいと思います。

――どの程度までタイムを上げていきますか

このタイムは0.6秒くらい自己ベストを更新しているので、少しでもタイムが上がればよいのではないかと思います。