女子部が3年ぶりV!男子部は惜しくも優勝逃す

競泳

 オリンピックイヤーとなる2016年シーズンが幕を開けた。新体制初の大学対抗戦として臨むのはアリーナ杯東京六大学冬季対抗戦。この試合は冬場のトレーニングの成果を図る場ともなった。総合成績は男子部2位、女子部は優勝。惜しくもアベック優勝とはならなかったが、男女共に目標を達成するかたちとなった。

 最高学年となった3年生の活躍が光った。今季チームを率いる上野聖人主将(社3=神奈川・法政二)は「ベストタイムからは少し遅れているので残念」とコメントしたものの、男子50メートル平泳ぎでは大会新記録を樹立。チームに勢いをもたらした。また両かかとの手術以来約4か月ぶりの実戦となった瀬戸大也(スポ3=埼玉栄)は、出場した3種目で3冠を達成。安田純輝(スポ3=千葉商大付)も自身の専門種目でポイントを稼いだ。上級生が好成績を収める中、大きな成長を見せたのが坂田匠(スポ2=新潟一)だ。「前半が今までと比べても段違いに速くて、感覚も良かった」(坂田)。男子200メートル平泳ぎで自己ベストを大幅に更新。日本選手権の参加標準記録を見事に突破した。総合成績では昨年の全日本学生選手権王者の明大に僅差で敗れ3連覇を逃す悔しい結果に。それでも「みんなが優勝に向かって動いていけた」と振り返った上野主将。団結力をさらに高め、今後の試合に臨む。

約4か月ぶりの実戦復帰となった瀬戸

 一方の女子部は3年ぶりの優勝を成し遂げた。その大きな原動力となったのは、7種目に出場した渡部香生子(スポ1=東京・武蔵野)。「先輩からの声が励みになって頑張ることができた」と振り返るように、女子200メートル平泳ぎをはじめ全てのレースで力泳を見せた。さらに女子200メートルバタフライを制した志賀殊理奈(スポ1=埼玉・武南)や伊藤愛実(社1=東京・早実)らルーキーたちも奮闘。若い力が得点を着実に積み重ねていった。田村美紅女子主将(スポ3=埼玉栄)も数多くのレースに臨み、泳ぎでチームをけん引。「今回1年生、2年生、そして3年生と全員が頑張ってくれて結果を残せたことは、チームとして大きな成果だと思う」(田村女子主将)。学外で練習に励む選手も多い女子部だが、チーム力は着実に高まっているようだ。

多くのレースに登場した渡部

 「ベストが出た選手と出なかった選手の差がはっきりしてしまったが、おおむね良好な状態」と今大会を総括した奥野景介総監督(昭63教卒=広島・瀬戸内)。それぞれが収穫と課題を手にしたレースとなった。今後は4月の日本選手権に向けさらなる強化を目指していく。日本で、そして世界でワセダの『PRIDE』を見せるため。新たな1年がいよいよ始まった。

(記事 大森葵、写真 井口裕太、本田理奈)

集合写真

結果

総合成績

▽男子 2位

▽女子 優勝

個人各賞

最優秀選手 瀬戸大也

OB会長賞(新人賞) 井上奨真(スポ1=県岐阜商)

コメント

奥野景介総監督(昭63教卒=広島・瀬戸内)

――今大会の総括をお願いします

チームの目標は男女それぞれ達成できてよかったと思います。個々に関してはベストが結構多く出たのは良いのですが、(ベストが)出た選手と出なかった選手の差がはっきりしてしまいましたね。本当は全員の成功という感じで、100パーセントで臨みたかったのですが、そこに関しては達成できなかったことは残念ではあります。ただ1月末の東京都選手権という大会があって、そこをメインにしている選手もいるので、それに関しては良い機会になったかなと思います。総括するとおおむね良好な状態であったと思います。

――男子は2位、女子は優勝という結果に関してはいかがでしょうか

結局男子は2位ということになってしまいましたが、女子は優勝ということで男女共にそこが目標だったので達成することができてよかったです。

――今後は4月の日本選手権が大きな目標になってくると思います。日本選手権に向けての強化プランなどはどのようなものでしょうか

4月の日本選手権に向けて合宿などもあるのですが、まずは日本選手権で自分のベストを出すということが大事になってくると思います。それに加えてオリンピックに少しでも多くの選手が出場権を獲得することができたら良いなと思っています。

梶川悟監督(平17人卒)

――今大会の総括をお願いします

男女ともに総合優勝を狙ってはいましたが、男子は控えめに2番を狙っていました。男子は戦力的には厳しいところもあったのですが、3年生がチームをかなりまとめてくれて良い結果を出してくれたのではないかと思います。

――結果についてはいかがでしょうか

主将、3年生含めて満足いく結果だと思っています。

――この大会で自己ベストや大会新記録を出した選手も多くいらっしゃいました

年末年始の学校がない期間でかなり強化できました。2、3週間しっかり強化してこの大会に臨めたので、ベストが出ていない選手もいますが、大会新が出ていた選手はしっかり強化できていたのではないかなと思います。

――今後は4月の日本選手権が大きな目標となってくると思います。そこに向けてどういったプランで取り組んでいきたいですか

とりあえず日本選手権は長水路の50メートルプールですので、今月末の東京都選手権やコナミオープンといったところが長水路の大会になるので、そこで上手くステップを踏んで日本選手権に行きたいなと思っています。2月の下旬から日本選手権に行く人がしっかり強化できるような合宿に行くグループもあるので、それらを経て日本選手権に行きたいなと思います。

上野聖人主将(社3=神奈川・法政二)

――幻の優勝とは

明大に勝ったはずだったのですが得点の計算が間違っていたそうで、実際は僅差で負けました。2位です。

――チームとしての目標と結果を振り返っていかがですか

チーム全体としては正直厳しい戦いが予想されていました。ワセダは(選手の)人数も少ないので(一人が)多くの種目に出るということをやっていましたが、種目をしぼって記録を狙っていこうということで総合順位も当初は2位を狙っていこうということでした。(目標は)一応達成したのですが、途中から優勝できるかもしれないという雰囲気になっていたので残念な気持ちです。

――個人的な目標と結果を振り返って

今回4種目に出た中で専門の平泳ぎが3種目あったのですが、最初の200(メートル平泳ぎ)ではジャパンオープンの(参加標準)記録を切るというのが目標でした。100(メートル平泳ぎ)は得点を獲得してチームに貢献するという目標で、50(メートル平泳ぎ)は得意としている種目なので優勝して貢献するというのが目標でした。目標は全部達成できたと思います。

――特に50メートル平泳ぎでは大会新記録を出されました

素直に大会新記録はすごく嬉しいのですが、実際僕のベストタイムからは少し遅れているので、そこは残念です。次回からの課題ですね。

――専門ではない男子50メートルバタフライに出場されていましたが練習などはされていたのですか

練習は基本的にはそこまでしないですね。基本的にどの選手も専門外の種目に出ることになるのですが、だいたい練習は1週間ぐらい前から調整をかけてちょっと回数を増やして泳ぐ程度で、特別な強化とかはあまりないですね。

――新チーム始動してから4ヶ月ほど経ちますが、チームの雰囲気などはいかがですか

年末の試合や強化期間などチームとして苦しいときもあったのですが、今回目標に向かって全員で一丸となれて、他の人をサポートする面もあって、そういった場面でもいい雰囲気が出ていましたし、昼休みにミーティングしたときにチームが優勝できるかもしれないとなって、みんなで優勝に向かって動いていけたのですごく良かったと思います。最後は悔しかったですけどね。

――2016年のチームとしての目標と個人としての目標をそれぞれお願いします

日本選手権が一番初めに大きな試合としてあるので、オリンピックに内定している者もいますがさらにオリンピック代表選手を輩出し、なおかつ日本選手権に出場するワセダの選手も増やして、ベストタイムも出したいです。そこでインカレ(全日本学生選手権)の予想ランキングなども出てくるので、目標修正をして最後にインカレで5位になります。個人としては、日本選手権は頑張りたいです。インカレが選手生活の集大成なので、そこでしっかりとA決勝などに個人で残ってチームに貢献して、主将としての役割を果たしたいなと思います。

田村美紅女子主将(スポ3=埼玉栄)

――きょうのご自身の泳ぎをふり返っていかがですか

目標にぎりぎり達しなかったところが多かったので、そこはやっぱり詰めが甘かったです。午後から改善していきましたが、もっと気合いを入れて朝からやるべきことはやらなければならなかったと思います。結果に差があるので、コンスタントに目標を達成できる力を4月の春六(東京六大学春季対抗戦)までにつけたいと思います。

――多くのレースに出場されていましたが疲労はありましたか

午後からは結構ありましたね。最後の800メートル自由形に関しては目標を立てたときに全力でいくというのがあったのですが、9分かかってしまったので疲労はありました。1年の渡部(香生子、スポ1=東京・武蔵野)や志賀(殊理奈、スポ1=埼玉・武南)、3年の滝本(純子、社3=東京・早実)もいっぱい出ているので、自分が引っ張っていかなければいけないなと思い、弱音を吐かずに臨みました。

―新体制になってから初の団体戦での優勝となりましたが、いかがですか

結構前から冬六(東京六大学冬季対抗戦)は勝てるのではないかと思っていて、昨年の9月からは優勝を目標に掲げていました。今回1年生、2年生、そして3年生と全員が頑張ってくれて結果を残せたことは、チームとして大きな成果だと思っています。

――来年度に向けての意気込みをお願いします

まず4月に日本選手権があるので、一人でも多くの突破者を出して、日本選手権の独特の雰囲気を味わってインカレ(全日本学生選手権)につなげられるような経験をさせたいと思います。あと春六に関しては、今回の結果を分析して全力で取り組んでいきたいと思います。

瀬戸大也(スポ3=埼玉栄)

――手術後初のレースでしたが、泳いでみていかがでしたか

朝で体が動いていないのと、練習をたくさんやってきているので練習をする体になっていて試合をする体ではないかなという感じで、泳いでみてスピードに耐えられる体ではないと感じたので、今後練習がスピード系になっていって試合に対応する体にするようなものになるのでそこを意識していけばこういったレースでもスピードは出るかなと思います。

――大会新記録も出されて、昨年までよりも速いタイムで泳がれているということですが、タイムは納得のいくものではなかったですか

自分の自己ベストは世界新記録にも近いタイムなので、そこに近いタイムを出して会場を沸かせたかったというのもありますし、復帰戦と2016年初レースで意識しているところもあったのですがタイムは自分が求めているものとはかけ離れていました。ですがラップを見てみるとスピードは出ていないのですが、前半から積極的にいって後半に失速していて、前半しっかりといけているのは一番評価できるところだと思います。無理に前半からいってしまっている感じがあって、無駄な体力を使ってしまって後半に失速しているというのが分かったので、自分が泳いだ感覚とタイムが一致しているといえば一致しているのでそこは良かったなと思います。

――久しぶりに早大として戦う大会でしたが、早大の一員として戦っていかがでしたか

いままでたくさん出場していた自分があまり種目にしなくても良い結果を残すことができたとしたら、新チームとしてすごく勢いがつくと思います。みんな頑張っているなと思いますし、すごく調子がいい選手もいるので、そういう選手がいるとチームも盛り上がって勢いがつくと思いましたし、大学で戦うのも来年度で最後になってしまうので一つ一つ自分ができる範囲のことをしっかりとやっていきたいと思います。

――最上級生となりましたが意識することはありますか

ことしはオリンピックがあって、オリンピックの結果がチームへと影響すると思うので、とにかく自分のことをしっかりと考えてオリンピックを戦っていきたいと思います。オリンピックで金メダルを取れば日本中が盛り上がると思いますし、ワセダの水泳部も盛り上がると思うのでしっかりと頑張りたいと思います。

――海外で練習をされていましたが、そこでオリンピックにつながるものはありましたか

手術が終わってから海外で合宿をして、高地合宿ではあまり最後の方は練習ができなかったのですがその中でも頑張って練習をして手術前の状態まで持っていくことができました。年末年始のグアム合宿では、手術前よりもいい練習ができるようになったので自信にもなりました。少し治るのが遅かったなと思うのですが、こうやって復帰戦で3冠を取れたというのは嬉しいですし、タイムと感覚が一致しているというのもいいことだと思うので、このまま頑張っていけばオリンピックにつながると思います。

――最後にオリンピックイヤーに向けての目標と意気込みをお願いします

4年前のロンドン(五輪)は出場できなかったので自分自身初めてのオリンピックで、大学入学前から在学中にオリンピックに出て金メダルを取るというのを目標にして入学してきたので、しっかりとその目標を達成したいです。世界選手権では2連覇したのですが、オリンピックは初めてでまだメダルも取っていないので、初出場で金メダルを取って帰ってきたいなと思います。

坂井聖人(スポ2=福岡・柳川)

――新年初のレースとなりましたが振り返ってみていかがでしょうか

一発目の400メートル個人メドレーであまりいい流れでいけてなかったのですが、収穫になるレース、今後の課題が見つかるレースになったと思います。

――この大会の位置付けはどのようなものでしたか

もちろん日本選手権にはつながるようなレースにしようと思ってやりました。

――個人メドレーと背泳ぎのレースはいかがでしたか

個人メドレーと背泳ぎに出た理由としてはドルフィンキックの強化をするためでした。あまりいい結果には終わらなかったので、今後また出る機会があればいいタイムで泳げればと思います。

――バタフライでの収穫と課題はありましたか

まずは200メートルですが、少し疲れてしまって前半はあまりいい感じで入れませんでした。前半の入りも54秒8か9くらいかかってしまいました。短水路だったので53秒前半くらいで入って、いい感じで後半に入れたらなと思っています。100メートルについてはまだスピードがないことを実感したので、今後の練習ではパワートレーニングを意識してやっていこうかなと思っています。

――冬の海外のトレーニングできょうに生きた部分はありましたか

高地合宿に行ったのですが、ラスト50メートルの後半のタイムとかですね。ドルフィンキックが楽で、呼吸も意外に楽にいけたので、そのあたりが収穫になったと思います。

――今後のレースの予定について伺ってもよろしいですか

1月の30、31日に東京都選手権があります。2月の後半にはコナミオープンがあるので、そこに向けてしっかりとタイムを残せればと思います。

――ことしはオリンピックイヤーとなりますが、改めて抱負をお願いします

まずは代表に入って、それからオリンピックで金メダルを取れるように頑張りたいです。

坂田匠(スポ2=新潟一)

――ことし初めての大会となりましたが、どのような目標を持って臨みましたか

ジャパンオープン(の参加標準記録)を切らないと引退がかかっていたので、ジャパンオープンを切るのが1番の目標でした。

――きょうのご自身の泳ぎを振り返っていかがですか

前半が今までと比べても段違いに速くて、感覚も良くて、全部良かったです。

――男子200メートル平泳ぎでは自己ベストを更新され、日本選手権の標準も突破されました

日本選手権は狙っていたといえば狙っていたのですが、本当に切れるとは思っていなかったのでタイムを見てびっくりしました。よかったです。

――印象に残ったレースはありますか

やはり200メートル平泳ぎですかね。

――チームとしてはきょうの結果をどのように受け止めていらっしゃいますか

男子は2位だったのですが、男子2位女子1位で、良い流れができているなと思います。

――ことしの目標を聞かせてください

まずはインカレ(全日本学生選手権)でレギュラーになることですね。

渡部香生子(スポ1=東京・武蔵野)

――六大学対抗戦は2回目ですが、前回はとても疲れたとおっしゃっていましたが今回は戦ってみていかがでしたか

2回目ということで、春(東京六大学春季対抗戦)よりは成長を感じました。戦い方をわかって泳げたかなと思います。

――ことしは後輩もできますが、どのような先輩になりたいですか

来年度は後輩もできるので、態度もそうですが結果で引っ張っていけるような先輩になりたいと思います。

――ワセダの一員として戦うのは久しぶりだと思いますがその点はいかがですか

チーム戦というと自分の気合いも違いますし、楽しいなと思うので、ワセダの一員になれて本当に良かったなと思います。

――先輩から声を掛けられることはありましたか

はい。きょうはレースなどできつかったのですが、先輩からの「頑張って」や「あとちょっとだね」という声がすごく励みになって頑張れたかなと思います。

――新体制となってチームの雰囲気はどのように感じますか

チーム全体のコミュニケーションが取れているなというのは感じますし、いい雰囲気でやれているのではないかなと思います。

――ことしはオリンピックイヤーですがどんな一年にしたいですか

もちろんオリンピックも頑張りたいですが、チームで戦うインカレ(日本学生選手権)や春の六大学といったところでも、ワセダに少しでも貢献していきたいなと思います。

――2016年の目標と意気込みをお願いします

きょねんは世界選手権で優勝することができたので、ことしは自分を少しでも追い越せるようにしたいと思います。