【連載】インカレ直前特集『TOP SPEED』 最終回 加納雅也主将×野中優女子主将

競泳

 今季好調を維持する早大勢を支えてきた二人がいる。日本選手権の予選、決勝で自己ベストを更新し、流れを呼び寄せた加納雅也主将(スポ4=県岐阜商)とマネージャーという立場で役職に抜てきされ、広い視野でチームをまとめる野中優女子主将(愛知・中京大中京)。1年間、早大水泳部競泳部門の先頭に立ち続けたお二人に集大成としての舞台・日本学生選手権(インカレ)やチームへの思いを伺った。

※この取材は8月10日に行われたものです。

「全員で戦いにいく」(加納)

今季を振り返る加納主将

――まずこれまでの試合を振り返っていただいて、春の個人戦では成績が良かったということですが、この点についてどのように捉えられていますか

加納 4月の日本選手権では、出た人みんなが自己ベストみたいな感じで、まれにみるいい試合だったのではないかなと思います。選手たちもいつも以上に気合いが入っていて、一人がいい流れをつくったらそれに乗るという感じだったので、ことしの4月は成功したなと感じています。

野中 3月のグアム合宿の成果が大きく出たという気がします。

――加納主将は日本選手権の男子100メートル平泳ぎで高校生のとき以来の自己ベストを更新して6位でしたが、その時を振り返っていかがですか

加納 自己ベストを出したのは予選のときだったのですが、決勝でさらにベストを更新できて良かったです。そのとき思ったのが、「これはまだいけるな」ということが一番強く印象に残りましたね。5、6年ぶり(の自己ベスト更新)なのでうれしいと思うのが普通なのかなと思うのですが、そのときはなぜかうれしいよりもまだいけると思ったので、不思議な気持ちになりました。いままで苦労してやってきたので、当然と言ったらおかしいかもしれないですが、いままでずっとやってきたからこそ、これだけでは終われないなという思いがあったので。いま振り返っても、まだ絶対にいけるという気はしていますね。

――団体戦が東京六大学冬季対抗戦、東京六大学春季対抗戦、早慶対抗戦、関東学生選手権(関カレ)とありましたが、団体戦ならではの雰囲気はどんなものですか

加納 水泳は個人戦として知られていると思いますが、「水泳の団体戦ってなに?」と聞かれることが多くて。「簡単に言えばリレーだよ」と答えるのですが、僕も高校の時はリレーとしか思っていなくて。大学に入って得点を争うことが団体戦なのかなと学んできた上で4年生を迎えました。あまり個人戦と変わらない部分はいまでもあるのですが、結局個人の活躍がチームに影響を与えるので、個人がいい波がつくれたり、いい得点がとれたり。でも結局は個人競技なので、結果的にチーム(の成績)が良ければ良いなという感じでした。雰囲気は個人戦と団体戦は変わらない気がします。

野中 私は、ワセダはずっと少数精鋭で戦ってきているので、チーム戦となるとやはり1人が泳ぐ量が多くなってしまって、周りを見る余裕がなかなか生まれてこないかもしれないのですが、その中で全員で何十点、何百点取りにいく試合なので、自分も苦しいですが周りも苦しいので互いに声を掛け合ったりする雰囲気はみられていて、これがチーム戦なのかなと思っています。

――加納主将は日本選手権での決勝は初めてでしたが、決勝のゲートをくぐるときの気持ちというのはどのようなものでしたか

加納 あんまり普通の入場と変わらないですね(笑)。緊張はしないですが、声援は聞こえます。チームの方を見ているけど、眼鏡もコンタクトも入れてないので何も見えないですね(笑)。一応、声が聞こえた方に何かしようと思うんだけど何も見えない、みたいな。結局普通のとあまり変わらないかなと。何も懸かっていない普通の日本選手権なのでインカレとは違うんだろうな、と思ったりします。

――今季たくさんの試合があったと思うのですが、その中で印象深いものは何ですか

加納 捉え方がちょっと違うかもしれないですけど、例えば日本選手権で中村(克副将、スポ4=東京・武蔵野)が日本新を出したときや、早慶戦でワセダが弱いと言われていた中・長距離が早稲田基準を切って大いに盛り上げてくれたように、いろんな試合で違う印象を持っているのでなかなか「これだ」というのは決めつけられないですね。

野中 私はジャパンオープンなどは会場にいってなかった立場なのですが、春季六大学はいまの1年生を交えての初めてのチーム戦だったので、新入生が大学水泳を知る初めての大会かなと感じるのですが、ことしの1年生は競技力が高いので1人で何本も泳ぐというのを経験して、渡部(香生子、スポ1=東京・武蔵野)も1日に7レースくらいをして「こんなにキツい1日はなかったです」みたいなことを言っていたので、これが大学水泳の中でも少数精鋭のワセダの戦い方だということを感じられる大会だったのではないかなと思っています。

――たくさん泳ぐ選手のケアについて、何か心掛けていることはありますか

野中 体のケアの話からするとそのようなことをする時間はないので、なるべく無駄な時間をつくらないように栄養摂取だったりといったオレンジジュースやアミノバイタルをなるべく早く摂取させるようにマネージャーを配置してさせたりとか、声を掛けてなるべく励まして1人で鬱な気持ちになってしまわないようにということを心掛けています。

――主将という立場から見てことしチームの中で特に成長を感じる選手はいますか

加納 印象深いのは3年生の荒木(優介、人3=三重・暁)ですかね。きょねん早稲田基準は2種目で突破していたのですが、100メートル自由形で(部内で)4番手だったので出られず、それで悔しい思いをしたのか中村を目標に180度変わったみたいな。そんな水泳一本に集中するという強い意識を持って取り組んでいまに至るので。本当にこいつは1年間努力したな、というのが印象深いですね。

野中 見ていて荒木だとは思うのですが、ここは加納主将が言ったので。2年生の溝上(壽乃、国教2=東京・早実)が早稲田基準を切って、 インカレでは400メートル個人メドレーに出場するのですが、彼女はきょねんはサポートとしてインカレを共に闘って、私この1年は連絡を頻繁に取るようにしたり練習状況を聞いていて、どのような目標を定めてトレーニングを行っているか話をするなかで、明確に目標を定めて「必ず早稲田基準を切りにいきます」というふうに私に言って、その翌週にそれを実行してきたということがとても印象深くて。その後の話の中でも早稲田基準を突破するだけではインカレは闘えないということを自身でも分かっていて、コーチとの話の中でもあって、そこから残り数カ月はインカレに照準を合わせて鍛練をしていきますという風にも伝えてくれて、すごく水泳に対する集中力というか明確に目標を定めてその中で計画を立てているんだなと感じて、成長を感じています。

――ことしのワセダの特徴やきょねんのワセダとの違いを教えて下さい 

加納 本当にきょねんまではトップアスリートだったり、スポーツだけで入ってくるといった選手の活躍が主だったのですが、ことしは本当に自己推薦や一般といったスポーツ以外のことで努力してきた選手がいまとても伸びてきていて、インカレなども出場しています。本当にきょねんまでは少数精鋭だったのですが、ことしはレギュラーの数がきょねんよりも増えて、全員で戦いにいくんだという意識が強いです。それが一番きょねんと違うところですね。きょねんまではレギュラーの枠が各種目1人か2人だったのですが、いまとなっては3人の枠を全員で奪いに行くという感じなので、そこが一番変わったところだなというふうに感じますね。昔から平泳ぎは強くて3人全部埋まるという感じだったのですが、自由形の中距離も埋まっていっているという感じなので。2番手3番手がどんどん伸びてきているなということを実感していますね。

野中 ことしは世界水泳などもあってワセダの関係者が結構いい成績を残して注目されていると思うのですが、それもことしらしい特徴というか、世界で戦う選手がワセダにいるということが大きな特徴という風に思っていますし、みなさんも思われていると思うのですが、やはり加納主将が言ったように、2年生3年生のスポーツの枠で入った以外の選手もやっと花が咲いてきた印象もあります。新入生はみんな競技力が高くて頼もしい存在であるなという印象を感じています。

――世界選手権は深夜にやっていましたがご覧になられましたか

加納 僕はあまり見るのは興味がなくて。僕は本当にワセダや日本選手といった自分の種目の気になる選手だったり、そういう人だけは見るようにしていますね。

――4年生の特徴はどのようなものでしょうか

野中 私たちの代の特徴というと、おそらく選手よりマネージャーの方が多いというのが大きな特徴というふうに思っています。得点として目に見える形では貢献できないのですが4年生ならではの周りを見る力が下級生よりはあると思うので、その中であらゆる気付きとかがあって、それを声を掛けたり、励ましたり、心配したりといったことに繋げやすい学年なのかなと思います。 

加納 いろんな視野で水泳を見る人が多いなというのが一番の特徴なのかなという風に思っています。ジャパンオープンの参加標準を切れなくて(プールから)上がってしまった子も上から見るようになって、その人たちの気付きをいろんな人に伝えてくれるというか。泳ぎたくても泳げなかったやつらがたくさんいるので、下には悔しい思いをしてほしくないという思いが人一倍強いので。やっぱり4年生は「俺らについてこい」みたいな先導をするのが普通ですが、僕らは逆に振り返ってあげて手を差しのべてあげるのが強い代だなと思うときはありますね。

――ことしの1年生は渡部選手や渡辺一平選手(スポ1=大分・佐伯鶴城)をはじめ頼もしい選手が多いですが、4年生の方から見て1年生はいかがでしょうか

加納 頼もしいことは頼もしいのですが、インカレは全国中学だったりインターハイ、日本選手権、などとは全く違う雰囲気で、結構1年生はのまれてしまいやすいんですよ。毎年結構のまれる人が多くて、タイムが出ない人が多いので。もちろん期待はしているのですが、1年生に頼りっぱなしではなくて経験している2、3、4年生を中心にそいつらが引っ張って1年生を安心付けてやれればいいのかなと思います。 

野中 私も同じ事を思っていて、頼もしい存在ではあるのですが、やはりインカレは特別なので場にのまれる新入生は毎年いて、本来の力が発揮されないことで悔しい思いをする選手が多いのでそれだけは心配をしていますし、こちらの上級生を中心にそれを気遣ってあげなければいけないかなと思っています。また、1年生がみんながみんな、高校時代に水泳をチームで戦うという風に過ごしているとは限らないのでこれが大学水泳でチームで戦うということだということを少しでも分かってくれたら、今後よりいいチームになっていくのだなと思っています。

「選手が力を発揮できるような環境をつくる」(野中)

チームについて語る野中女子主将

――ご自身について、投票で主将に選ばれた時のきもちを教えてください

加納 単純に「ああ選ばれた」だけだけどなあ(笑)。 

野中私はマネージャーということもあるので意外とか驚きのほうが多くて。マネージャーである私が主将でいいのかなという不安とか心配というのがかなりありましたね。

――主将になって、これからどういうチームをつくりたいと思いましたか

加納 チームづくりかは分からないですが、きょねんのチームで目標達成できなくて、学生と監督(奥野景介監督、昭63教卒=広島・瀬戸内)が集まった時に監督が「いいチームづくりができなくて申し訳ない」といった発言をされて、僕らの中では結局力不足だったのは僕らの方だったので、監督に謝られるチームは嫌だなと全員が思っていて。ことしの目標は決して低いとは思っていないですが、僕らも喜びたいし、監督も喜びたいなと。だから競技力を含めいろんなことに強いチームがいいなと思っていました。

野中 私自身が主将でありながらマネージャーなので得点としてチームに貢献できないことは分かっているのですが、いまの副将の赤尾(愉歩、社4=東京・早実)だったりとか、来年最上級生になる3年生が引っ張るというか、うまく積極的に、能動的に動けるチームになったらいいなと思っていて、その環境づくりをするのが私の役目だと思っています。もともとマネージャーなので選手が力を発揮できるような環境をつくることがマネージャーの仕事だと思っているので、それを活かせる私なりのやり方かなと考えて、チームを引っ張るというか押し上げるような主将でありたいなという風に思いましたね。やはり男女で1つのチームなので女子が置いてきぼりというか、男子に劣るというか、そこに溝ができないようにできるのもマネージャーである私なのかなと思って、加納主将が男女全員のチームを引っ張ってくれるので、それを下から押し上げるような、マネージャーであり女子主将であったらいいなと思っていました。

――それは達成できていますか

野中 そうですね。加納主将はチームを引っ張ってくれていて、女子に関しても自分のコーチが不在で練習状況に困ったときなどは学内で練習したいと自分から発信して、よりチームに関わろうという姿も私の中では見受けられるようになったと思っているので、このまま自分達で上級生が声を掛けなくてもインカレの場で互いに声を掛けられるような、チームを思えるようなチーム体制には近づきつつあると思います。

加納 結局僕は泳いでいるだけなので。全部優ちゃんが下から支えてくれているお陰かなと思っています。最初に比べたらいい感じになりつつあるのかなとは思います。

――『Winaffection~勝ちたい想い~』というチームスローガンはどうやって決めましたか

加納 みんなの案を出し合って決定しました。

野中 ちなみに加納主将が持ってきました(笑)。

加納 最初は何がいいかなと考えた時に、僕は好きなアーティストがいて、そのアーティストの行動や言動が尊敬できるので、やっぱり尊敬している人の言葉は自分に浸透しやすいじゃないですか。それでそのようなアーティストが作っていた言葉を変えて、この読み方で読んだら絶対読めないので、下にサブタイトルをつけて。これ好きだなと思って出したらチームのみんながいいよと言ってくれて、決まっちゃいました(笑)。

野中 元々どんなチームにしたいかというのを当時3年生の私たちで話し合った時に、ほとんどの人が思いやりのあるチームにしたいと思っていました。強さもありながらも思いやりのあるチームにしたいということで、そのaffectionという単語がそれに近いんじゃないかと。

加納 まあそうだね。Winは勝つで、affectionという単語を結構深くまで探れば、優しい思いというのがその言葉に付いているので、これいいなと思って拾ってきました。それがいまの4年生に表れているのかなと思っています。さっき下の代に手を差し伸べると言いましたが、それは別の意味で捉えると優しい感じがしませんか?それがいま思えばですが、チームスローガンのように僕らがなっているのかなと。4年生はやっぱり勝ちたいと思っているわけじゃないですか。それに加え、手を差し伸べてあげるという優しい思いがあって、そういうスローガンに自分たちがなりつつあるなと思って、これできて良かったなと思っちゃいました。

野中 確かに。

加納 ピッタリでしたね(笑)。

――野中女子主将はマネージャーで主将をやっていくということで何か難しさなどありましたか

野中 私自身は高校生まで選手としてやっていたので、水泳においてタイムを伸ばす難しさなども水泳を経験していなかった人よりは分かっているつもりなのですが、いま泳がない立場であって「目標はここだから、みんなで頑張ろう」とか、「ここまでのタイム切れないとインカレ出られないよ」といった話をしなければいけないのは、どうなんだろうなとずっと主将になった時も思っていました。自分の中での言いにくさもありますし、自分がもし逆の立場で言われるほうだったら選手は果たしてどう思うんだろうということもいろいろ考えてしまって、それに対して自分の中で葛藤もありました。それを別に気にしないのか、反感を持つのか周りがどう考えているかは分からないのですが、そこがやっぱり難しさではあるのかなと思いました。

――女子はなかなか全員で集まる機会が少ない中、なにか心掛けていることはありますか

野中 合同練習が月に2回設けてあって、どちらかに参加してくださいと決めてこの1年やってきのですが、そういうのを利用して選手が互いに顔を合わせたり、ご飯を食べたりとか、毎回ではないのですが、そういう企画をしたりいています。あと女子の誕生日の時は、LINEのグループでお祝いしたり、やはり自分が早稲田大学水泳部の一員だということを頭の中に常にあってほしいと思うので、コンスタントにLINEなどで私だったり他の人が登場することでワセダを思い出す機会は忘れないようにしようと思っています。あと先週の関カレやインカレの戦略を練ったりするのですが、どの種目を誰で泳ごうとか、この人にはもうちょっと頑張ってもらわないと得点できないねという話を4年生だけでするというよりは、下の学年を巻き込んでしていくことで、後々その学年が上になった時にも役に立つかなと思っていますし、各学年で学年ごとのインカレの目標だったり、戦略だったりを考えさせるということを課しました。そのためにはみんなで話し合う場を設けないといけないので、そういう状況にさせて自分が蚊帳の外ではなく、自分もチームの一員として考えなきゃいけないし行動しなければいけないということを自覚してほしいなと思って、そういう機会をつくっています。

――逆に男子は寮生活でいつも一緒、その中で気を付けていることなどありますか

加納 下の頃だったら、上級生に迷惑かけないようにするくらいで、上になったら特にないですね。とりあえず部屋のやつが寝たかったら寝ろよという気遣いくらいですかね。

――奥野監督が日本代表コーチとして不在の時はどのようにチームを運営していますか

加納 練習だけにいないという状況ばっかりなので、結局練習は自分を追い込むものなので、言い方は悪いですが勝手にやらせて、問題がなければそれで大丈夫です。大学生は大人なので、監督がいなくてサボるというそんな意識の低いやつらじゃないのでほとんど放置ですね(笑)。

野中 加納主将がいる時といない時ではやはりちょっと雰囲気が違うなということは感じることであって、いることに意味があるんだろうなってことは感じています。その中で監督がいない中でも、チームをちゃんと見ているんだなとはやっぱり感じますね。その中で何かをうるさく言うわけではないのですが、存在があることでチームも引き締まりますし、何か困ったことがあればコーチとか二人で話し合ったりとかもしますね。

  

――主将になってご自身の中でいままでと変わったこと、成長したことはありますか

加納 成長したかどうかは分からないですが、いろんなことが分かるようになったというか。これを得たっていうのは分からないですが、いろんな経験をする中で一回りも二回りも、何か成長したなというのは感じていますね。主将になってからはチームをまとめる力だったり、監督とどういう風にしたら良くなるかを話したり、問題解決とか、普通では経験できないことを学べましたね。

野中 私は一人一人のことを考えるというか、ちゃんと見なければいけないと学んだなと思っています。マネージャーというのは常に全体を見ていて、何か抜けやミスなどがないように全体を見てチームが円滑に進めるということを、チームを大きく見てやっているのですが、選手ではなく主将になって、チームを構成するメンバーは一人一人でその中でチームとして強くなったり、何か変わろうとするときに、そのメンバーを構成する一人一人のことを分かっていないと、動かせないというか、変わっていけないと感じました。いままではチーム全体を見て円滑に大きな組織として動けるようにサポートをしようという考え方でやってきたのですが、やっぱり主将として、チームとして強くなるためには、一人一人のこともちゃんと見て、その人がどのような状況に置かれているかを見て、どういうような考え方を持っているのかということを、向き合わなきゃいけないなと主将になった時に感じて、なるべくそれを心掛けてきたのですが、そういう風になっていけたらなといまこの時期になって思います。

――男女の主将同士でチーム運営について話し合われたりすることはありますか

加納 僕は学んできたと言ったのですがあんまりチームをまとめるのがうまくなくてほぼ任せっぱなしなのですが、良くなるためには結構いろんな話をしてるよね?

野中 うん、してると思う。

加納 してますね。

――時期が変わったことで就活との両立の難しさはありますか

加納 僕は水泳を実業団のほうでまだ続けようかなという感じなので、就活という就活はやっていないので僕は苦労していないのですが、やっぱり見てると大変そうだなというのは感じますね。

野中 就活で一番ピークというか一番大変で立て込んでくる時期とインカレに向けて大事な時期が結構重なっているので、それに関してはチームを抜けなければいけなかったり、この前の関カレも出たり入ったりとかしながらなので、ちょっと大変だったかなと思います。ただその就活で話す内容が水泳部での生活というか経験の話ばかりなので、自分は水泳部で活動しているってことが原動力となって就活もやってきたかなと思っています。

主将として挑む最後の戦い

選手としても得点源として重要な役割を担う

――これまで3回インカレを経験していらっしゃいますが、インカレとはどういった舞台ですか

加納 各大学の結束力を見せる時ですかね。考えたこともなかったなあ(笑)。

野中 わたしは選手が一番輝いて見える舞台かなと思います。

――他にも大きな大会はあると思うのですが、その中でインカレで最も選手が輝くというのはどうしてだと考えますか

野中 そう見えるのは、インカレまでの1年間の苦楽を共にしてきているというのがやはり1番大きいかなと思っています。またそのチームとして勝ちにいくというのが最大目的の大会になるので、やはりその分選手の喜びも苦しみも見てきているし、知っているし、共に感じてきているというのがそれに至る理由なのかなと思います。

――もうすぐ引退となりますが、思うところはありますか

加納 僕は結局続けるので何とも思わないですが、もし辞めるのだったら、あっという間だったなという風にさみしい思いをするんじゃないかなと。まあ実際引退を迎えていないので、ちょっと難しいですね(笑)。前々から思っていたことは、どうせ引退してもマスターズという大人の試合で続けるので、前線からは退くんですが、いまと同じく楽しく水泳を続けるので、あんまり考えたことはないですね。引退はどうなのかというのはまだ分からないです。

野中 さみしいですね。例えば水泳続けるにしても、同じ時間、同じ場所に同じメンバーが毎日集って練習して帰って行くという毎日だったのでで、それがなくなるとやはりさみしいんだろうなと。私は水泳部中心の生活を送っているので、やっぱりそれがなくなると、ちょっとさみしい気持ちはありますね。

――目標達成のためにカギとなる種目、選手に関してはいかがですか

加納 ワセダは少数精鋭なので、1人でも失敗してしまったら、挽回すればいいじゃないかとは思うのですが、人数が少ないので挽回できるチャンスも少ないので、カギっていうのは全員がカギとなりますね。男子はこいつが抜けたらまずいというのは、それはトップが抜けたらまずいんですけど、誰も欠けたら駄目ですね。毎年そうですが、ことしも特にそうです。全員がカギとなる選手ですね。

野中 同じく全員がカギとなると思いますね。1人があまり良くない結果だとそれが影響してきてしまうので、すべてのコンディションをインカレという大会に合わせなきゃいけないな、合ってほしいなと思います。

――チームワセダとしての強みは何ですか

加納 各種目にトップレベルの選手がいて、フリー(自由形)だったら中村、個メ(個人メドレー)だったら瀬戸(大也、スポ3=埼玉栄)がいるじゃないですか。それももちろん強みなのですが、逆にそういうやつらがいるおかげで下が目標にしやすいし、アドバイスもしやすいので、そういう各種目に代表クラスが揃っているというのは強みですね。

野中 代表選手が近くにいることでかなり刺激にもなると思いますし、世界水泳に出ていない選手の目標と言ったらインカレになると思うので、ここで自分も活躍したいし、チームに貢献したいと思ってくれればと思うので、いい選手が近くにいてそれに親しみをもって自分も競技力を上げていける環境にあるというのが、ワセダの特徴でもあるかなと思います。またやっぱり少数精鋭で人数が少ない分一人一人の価値が高いというか、一人一人が欠けてはならない存在なのかなと思いますね。

――インカレで注目してほしい点はどこですか

加納 少数精鋭ですが、きょねんに比べてチーム全体のレベルが上がってきて、レギュラーが1種目3人の中で、全員2回泳ぐチャンスがあるんですよ。それは僕らの時1、2、3年生の時はなかったので、決勝にワセダが2人というのも珍しいので、まだ絶対残れるというわけではないのですが、ことしはそういう盛り上がりを見てほしいなと思います。必ず午後にワセダがどの種目にもいるというところを見てほしいですね。

野中 国際大会でJAPANを背負って戦う選手はもちろん皆さん注目されると思いますし、多分楽しみにされてると思うのですが、そういったトップ選手だけではなくて、それ以外にも上位で戦える選手がいるということを皆さんに見ていただけたらなと思います。

――最後のインカレでは主将としてどのようにチームを引っ張っていきたいですか

加納 結果が全てなので、結果を出して引っ張っていきたいなと思っていますね。

野中 選手が結果を出せるような環境づくりはマネージャーとしての務めでもありますし、メンタル的に不安に陥った時にいいタイミングにいい声掛けができて、その選手が本来の力を発揮して最終的には結果を出せるように支えて押し上げていきたいなと思っています。

――インカレに向けて意気込みを教えてください

加納 何があっても目標は達成するぞということですね。

野中 同じく昨年シード落ちを経験しましたが、ことしのインカレでは必ず返り咲きたいと思いますので、頑張っていきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 滝沢凜、中安咲里)

色紙にインカレへの意気込みを書いていただきました

◆加納雅也(かのう・まさや)(※写真左)

1994年(平6)3月28日生まれ。身長177センチ、体重69キロ。県岐阜商高出身。スポーツ科学部4年。専門種目は平泳ぎ。4月の日本選手権では初日、2日目に自己ベストを更新し、チームに活力を与えた加納主将。背中で引っ張る姿勢は、奥野監督を「キャプテンの力というのはすごい」と言わしめました。インカレでも頼れる主将の勇姿を見せてください!

◆野中優(のなか・ゆう)(※写真右)

1992年(平4)11月18日生まれ。身長155センチ。愛知・中京大中京高出身。スポーツ科学部4年。マネージャー。野中女子主将が色紙に書いてくださった文字は『轟』。早大が学生競泳界にその名を轟かせるためには選手の活躍と共にそれを支える存在が不可欠。最後のインカレでもチームをまとめ、支える野中女子主将の大車輪の働きに注目です!