男女共に圧倒的勝利

競泳

 1年に1度行われる伝統の早慶対抗戦(早慶戦)が行われた。今大会、ワセダは中村克副将(スポ4=東京・武蔵野)以外の世界選手権出場選手を欠きながらケイオーを圧倒。昨年に引き続き男女共にワセダの優勝で幕を閉じた。

 中村は最後の早慶戦で男子50メートル自由形、男子100メートル自由形でその強さを見せつけた。男子100メートル自由形では、自身の持つ日本新記録に0秒11まで迫る48秒52で周囲を圧倒し優勝。「世界水泳(世界選手権)につながる泳ぎはできた」と自信を手にした。男子50メートル自由形でも大会新記録を0秒07上回る22秒23をたたき出し、世界選手権前の国内最終戦で好調ぶりをアピール。世界の大舞台での飛躍に期待が高まる結果となった。

主将としてチームをまとめた加納

 加納雅也主将(スポ4=県岐阜商)は男子200メートル平泳ぎで2分15秒90の記録でトップでのフィニッシュ。しかし、「持久力の問題があってまだまだ弱い」と本人は満足していない。インカレまでの二カ月間、課題の克服に努め最終決戦に備える。一方、男子100メートル平泳ぎでは接戦が繰り広げられた。前半の50メートルは加納がトップで折り返すが、それをルーキー渡辺一平(スポ1=大分・佐伯鶴城)が後半追い上げて1位に輝く。ワセダ同士の熱い戦いとなった。

1年生ながら自由形中距離をけん引した井上

 ルーキーながら男子400メートル自由形で大会新記録を樹立した井上奨真(スポ1=県岐阜商)は男子200メートル自由形でも優勝。同種目2位の阿久津直希(スポ2=埼玉栄)は1分51秒73の記録を出し、井上と共に学内の日本学生選手権(インカレ)出場選考基準である早稲田基準を突破した。男子50メートル自由形に出場した高木遼司(スポ2=大阪・生田)、古川慎一郎(スポ1=長野・佐久長聖)も早稲田基準を超える結果に。新戦力の台頭に、「インカレに向けて明るい材料になった」と奥野景介監督(昭63教卒=広島・瀬戸内)は手応えを口にした。

 世界選手権代表組が不在の中、選手層で勝るワセダの圧勝で終わった今大会。それぞれが手にした課題や収穫をいかに自身の力に変えていけるかがカギとなるだろう。8月に行われる世界選手権には4選手が出場。世界一を決する場でも実力を存分に発揮してほしい。そしてその先にはインカレが待つ。チーム最大の目標の舞台で、それぞれの健闘に大きく期待がかかる。

(記事 大谷望桜、写真 滝沢凜、難波亮誠、高橋豪)

集合写真

結果

▽男子

優勝

▽女子

優勝

第87回早慶対抗戦
男子部 早大 56-16 慶大
女子部 早大 36-12 慶大
コメント

奥野景介監督(昭63教卒=広島・瀬戸内)

――今大会を総括していかがですか

今大会は伝統ある早慶戦という中で、ジャパンオープンが終わってインカレに向けての次のステップという位置付けで臨んでいます。早稲田大学独自のインカレの選考基準を設けているのでそれをしっかりと突破するということが第一の目標なのですが、いままで突破できている者といない者でこの大会に向けての調整というのを変えてやっているので未突破の者はこの試合に向けて注力するという試合でもありました。その中で良かったのは、未突破の中でもベストを更新できていたり、新たに早稲田基準を突破できた者は50の自由形と200の自由形で数名が突破できたので、これはインカレに向けて明るい材料になったと思います。ただきょうはタイムレースなので1つの種目に1回しかレースがないので、インカレでは1日で複数のレースを戦うことになるのでそこを夏の課題として頑張っていきたいと思います。

――早稲田基準を突破した選手というのは

200メートル自由形は阿久津(直希、スポ2=埼玉栄)、井上(奨真、スポ1=県岐阜商)の2人、50メートル自由形は古川(慎一郎、スポ1=長野・佐久長聖)、高木(遼司、スポ2=大阪・生田)の2人です。これは明るい材料ですね。

――自由形短距離は層が厚いですね

そうですね、結構厚いです。中村がしっかりと引っ張ってくれているし、同じような内容のトレーニングをしているので非常に成果は出ているのではないかと感じます。荒木も元々突破しているのですが、きょうはベスト記録を出しているし非常に良いと思います。

――特に期待が高まった選手はいますか

新たな突破者という意味では井上、阿久津が新戦力で頑張ってもらえるし、古川が1年生ながら23秒3で少しですがベストを更新したのでようやく環境にも慣れてベストを更新するまで来たということはすごく期待できることではあると思います。

――来月には世界選手権も控えていますが、どんな戦いを期待しますか

萩野(公介、東洋大)選手のアクシデントはあったのですが、萩野選手のためにも自分たちが頑張るというレースをしてほしいです。本番まであと1カ月ほどなので、万全な態勢で臨んでいきたいと思います。あまり大それたことは言えませんが、メダル5個、多ければ7個ほど狙えるのではないかと思うので、1大学が1国際大会で5個以上のメダルというのはなかなかないのではないかと思うのでそれをことしの夏は達成して、来年のリオ(リオデジャネイロ五輪)に向けて大きな弾みになるように、国際大会でも勢いを止めることなく来年につなげるようなステップアップを考えています。

――インカレに向けてどのような鍛錬を積んでいきますか

来週も千葉県の大会(千葉県選手権)に出るのですが、その大会でほぼインカレのレギュラーが確定するので、レギュラーが確定した時点で何を鍛錬するかという目的や、試合での目標タイム等を再設定して、どうやって戦うかということを常に目標設定を的確に行って大幅な自己ベスト更新を目指して進めていきたいと思います。

加納雅也主将(スポ4=県岐阜商)

――主将として迎えた早慶戦でしたがどんな気持ちで迎えましたか

いつもと変わらず、勝ちにいくという気持ちでした。

――チームとしての目標はどのように設定していましたか

チーム目標は、いままでずっと連覇しているので、今年も勝ちにいこうという目標でしたね。

――世界選手権代表組がいなくても戦えるところを見せたいと言っていましたが、どうでしたか

一人(中村克副将、スポ4=東京・武蔵野)出場しているのですが、やっぱり代表組は頼もしいというのもある反面、いまワセダで本当に頑張らなくてはいけないのが二番手・三番手なので、午前中のレースを見ているとまだ物足りないと感じることもあるのですが、結構頼りがいがあると思える選手も増えてきたので、いい成果も出ているのではないかと思います。

――男子200メートル平泳ぎを終えて

まだ持久力の問題があって、短いレストで回っていたレースをしてしまったので、まだまだ弱いというのはあります。

――インカレにつながる泳ぎにはなりましたか

200に関してはまだ全然物足りないですね。

――今回団体戦という形でしたが、仲間の応援といったものも力になりましたか

そうですね。団体戦ではなくても仲間の応援は力になりますし、支えられます。

――最後に、インカレに向けての意気込みをお願いします

やっぱり最後のチーム戦になるので、やっぱりチームとしての目標を達成したいというのが大きいです。

中村克副将(スポ4=東京・武蔵野)※囲み取材より

――どのような泳ぎを心掛けましたか

前半をいつもより入れと言われていてそれを取り組んで、感覚的にはもう少し速く入れたかなと思っていたのですがいつも通りで、前半ラスト7メートルで抑えてしまったのでそれがなければ3秒2、3(23秒)では入れたかなと思います。

――日本新記録まで惜しかったですね

あと0.1秒ほど足りなかったですね。でもいままでよりは速く入れているので世界水泳につながる泳ぎはできたかなと思います。後半へばってしまったので残り3、4週間でコンディションを整えて本番に向けて頑張ります。

――日本記録を狙っていましたか

日本記録はこの状態でも出したいなとジャパンオープンが終わったぐらいから思っていました。でもきょねんがべストプラス0.1秒だったので、今回も48秒5くらいかなと思っていたらそのままタイムに出てしまったのでそれは残念だったのですがこの状態でこのようなタイムが出せたということは自信になりました。

――コンスタントに48秒台を出していますが、自身はついてきていますか

きょねんのシーズンで世界との差を実感して視点が変わりましたし目指すところが明確になったので、そのためには48秒台をコンスタントに出していかなければいけないと強く思っていたので、それがことし1月に入ってからずっと出せているのでヨーロッパグランプリでは出すことができなくてそれば残念なのですが、しっかりタイムを出すことができているのは自信になります。

――いまはご自身の力の中でどのくらいの泳ぎになりますか

自分の中では6、7割ぐらいだと思っています。本番に緊張しなければ大幅にベストが交信できると思っているので、そこはうまくメンタル面をコントロールして臨みたいと思います。

――今大会が国内最後の戦いになりますが、その大会で48秒台を出したことの意義というのはどのように捉えますか

きょねんパンパシ(パンパシフィック選手権)に行く前にこの大会でシーズンベストをマークしていて、パンパシでは48秒台を出すことができたのでことしもその流れで世界選手権で自己ベストを更新して決勝目指して頑張りたいと思います。

――世界選手権での目標を教えてください

ここ最近で日本人は100メートル自由形で決勝に残れていないので自分が決勝に残って、自由形短距離でも世界で戦えるということをこの夏に証明したいです。

――100メートル自由形は日本人で誰も決勝に進んだことがないですが、もし進めば日本の第一人者ということになりますね

自分が日本人初めてのファイナリストになれるようにしたいです。

野中優女子主将(スポ4=愛知・中京大中京)

――女子主将として臨む早慶戦でしたがチームとしてどのような意気込みで臨みましたか

私は早慶戦に関してはずっと運営の方で関わっていたので、チームとして動けない分副将の赤尾(愉歩、社4=東京・早実)に託しながらやってきました。

――女子部のチームとしての状態はいかがですか

早稲田基準を切るために残りの大会が少なくなってきているので、1種目でも多く早稲田基準を切りたいという思いが強いと思います。

――8月に行われる関東学生選手権にはどういうテーマをもって臨みますかチームとして勝つことも大事なんですけどインカレにつながることのほうが大事ですので、各々得点する力は残しているのですが、やはり目立つところはインカレなので個人もリレーもインカレにつながるような種目配置をしました。

――インカレでシード権を取るためにいまチームに必要なことは何ですか

チームの底上げはもちろんのことなのですが、意識の中でもチームのために頑張りたいという思いやお世話になっている先輩、同期、後輩、スタッフ、監督のために頑張りたいと思ってほしいと私は思っています。

――インカレに向けて残り2カ月ですがご自身としてチームにどのように貢献していきたいですか

得点としてはチームに点を稼ぐことはできないのですが、意識をより高めていくといううえではできることがまだまだあると思うので競技力だけではなくチームの意識の底上げもしていきたいと思っています。

赤尾愉歩(社4=東京・早実)

――最後の早慶戦ということですが、この早慶戦はどういう位置付けですか

一カ月ごとに大きい試合が続く最初の試合が早慶戦で、最終目標がインカレでの総合8位以上なので、いい波を作るためにも、現状を知るための試合です。

――9月のインカレに向けて、どういう試合にしていきたいですか

インカレと同じ種目なので、インカレ前に直す課題を見つけたいと思っています。

――唯一の女子四年生として、どうチームを引っ張っていきたいですか

チーム対抗戦ということでいつもは学外選手とかで集まることがないですが、こういう機会で集まれるのでそういう時にみんなと話し合ったり、笑顔で楽しんでレースに臨めるようにと声掛けを心掛けています。/p>

――来月の関東学生選手権(関カレ)ではインカレの出場権が懸かっていますが、関カレではどういう泳ぎをしたいですか

ちょうど就活と被ってしまい確実に出場できるかは分からないのですが、出場できるレースは全力を出して、メドレーリレーなどのレギュラーの出場権も懸かっているので、1フリ(100メートル自由形)の速い子に負けないように、頑張っていきたいです。

――最後に、午後のレースに向けて意気込みをお願いします

午後は個人レースで50メートル自由形という自分の得意種目なので、そこで必ず一番を取りたいです。タイムも26秒前半を必ず出して、関カレ、インカレに向けて頑張っていきたいです。

雨谷拓矢(スポ4=神奈川・桐蔭学園)

――きょうが最後の早慶戦ということですが、どのような意気込みで臨まれていますか

本年度の日本学生選手権の予選選考があって、自分はまだレギュラーに入れていないのでここでレギュラー決めたいなという思いで臨んでいるのですが、午前中の100メートル自由形では自分の力があまり発揮できずにレギュラーの枠には入ることができなかったので、午後にある50メートル自由形でしっかり頑張りたいなと思っています。

――ジャパンオープン、日本選手権では体調がよろしくなかったようですが、この試合で体調の方はいかがでしょうか

結構コンディションはいい状態なのでもうちょっとタイムを出せるかと思っていたのですが。また、ジャパンオープン、日本選手権のときは試合の数週間前からコンディションが良くなかったので、最近は雨も続いていたのですが特に体調管理に気をつけて生活してきました。

――インカレまで残り2カ月で引退となりますが、どのように残りの練習に臨む予定ですか

まずはレギュラーが決まればインカレに向けてインカレで活躍できるように練習を積みたいと思っていますが、いまの状況ではレギュラーになれるかどうかはわからないので、チームの4年生として周りの選手がいい練習できる雰囲気作りなど、そういったところに気を使ってチーム全体がインカレでいい結果を出せるように意識してやっていきたいかなと思っています。