代表組、盤石の泳ぎで表彰台へ

競泳

 外国人選手も交えた、国内トップレベルの舞台が幕を開けた。3日間にわたって行われる今大会は、各個人にとって自身の現状を把握する絶好の機会。世界選手権や日本学生選手権(インカレ)に向けての大事な戦いとなる。初日は瀬戸大也(スポ3=埼玉栄)、渡部香生子(スポ1=東京・武蔵野)が圧巻の優勝。B決勝に進んだ選手も多く、まずまずの滑り出しとなった。

 4月に行われた日本選手権で世界選手権代表入りを決めた4選手は、今戦に日本代表として参戦した。1週間前にオーストラリアグランプリに出場したばかりというハードなスケジュール。成績を落とす代表選手も多い中、ワセダの精鋭たちは底力を見せつけた。男子200メートルバタフライでは、瀬戸、坂井聖人(スポ2=福岡・柳川)が試合をけん引。昨年から国内負けなしと今種目の絶対王者となった瀬戸は、疲れを感じさせない泳ぎで終始トップを譲らず。日本選手権を上回る1分54秒46というタイムに、「悪くはない」と合格点を下した。一方の坂井も瀬戸に負けじと、目標としていた1分55秒台前半に乗せ2位に。日本代表としての貫録を感じさせるレースで、ワンツーフィニッシュを飾った。日本女子競泳界のエース渡部は、女子100メートル平泳ぎに出場。迎えた決勝では、課題の前半で5位と出遅れる。しかしラスト50メートルで一気に巻き返し、栄冠を手にした。「こういう中でもしっかりとタイムが出せなければ世界では戦えない」。疲労にも、妥協はしない。世界の頂点を見据え、日本の女王は突き進む。

1位、2位を独占した瀬戸と坂井(左)

 渡辺一平(スポ1=大分・佐伯鶴城)は、日本選手権で予選敗退となった男子100メートル平泳ぎでB決勝に駒を進めた。3日目に控える得意種目の男子200メートル平泳ぎに向け、好材料をつかみたいところ。渡辺は前半を3位で折り返すと、持ち前の後半の粘りを発揮する。一掻きごとにぐんぐんと泳ぎを進め、1位でタッチ。目指していた自己ベスト更新はならなかったが、強豪選手たちを抑えたことは大きな収穫となっただろう。日本選手権で悔しさを味わった男子200メートル平泳ぎでの大暴れに期待がかかる。同レースに挑んだ加納雅也主将(スポ4=県岐阜商)は、「落ち着きすぎてしまった」と前半で武器とする積極性を生かせず。7位と納得のいく結果を出すことはできなかった。主将としてチームを勢い付けるため、残り2日間での挽回を誓う。

加納主将は巻き返しを狙う

 日本代表選手が盤石の泳ぎを披露した初日。一方で、決勝、B決勝で予選からタイムを落とす選手も見られるなど課題も得た。2日目には好調を維持する中村克副将(スポ4=東京・武蔵野)が満を持して登場。その他にも男子400メートル個人メドレーでの瀬戸と萩野公介(東洋大)のライバル対決など楽しみなレースが目白押し。日本の猛者が集う中、ワセダ勢はいかに力量を示すのか。夏を先取りしたような、熱い戦いから目が離せない。

(記事 谷田部友香、写真 大森葵)

結果

◇決勝

男子200メートルバタフライ

瀬戸 1分54秒46【優勝】

坂井 1分55秒08【2位】

女子100メートル平泳ぎ

渡部 1分06秒95【優勝】

男子800メートル自由形※タイム決勝

寺崎拓海(スポ2=茨城・並木中教校) 15分36秒34【13位】

井上奨真(スポ1=県岐阜商) 15分52秒00【27位】

◇B決勝

女子200メートルバタフライ

志賀珠理奈(スポ1=埼玉・武南) 2分13秒62【8位】

女子200メートル自由形

伊藤愛実(社1=東京・早実) 2分03秒02【8位】

女子100メートル背泳ぎ

山口真旺(スポ2=兵庫・須磨学園) 1分03秒05【5位】

男子100メートル平泳ぎ

渡辺 1分01秒86【1位】

加納 1分02秒27【7位】

◇予選

女子200メートルバタフライ

志賀 2分13秒71【17位】

田村美紅(スポ3=埼玉栄) 2分15秒29【30位】

女子200メートル自由形

伊藤 2分02秒94【19位】

男子200メートル自由形

荒木優介(人3=三重・暁) 1分51秒38【24位】

井上 1分52秒08【33位】

八木隼平(スポ3=京都外大西) 1分52秒50【42位】

女子100メートル背泳ぎ

山口 1分02秒64【9位】

女子100メートル平泳ぎ

渡部 1分07秒58【2位】

男子100メートル平泳ぎ

渡辺 1分01秒84【10位】

加納 1分01秒86【12位】

上野聖人(社3=神奈川・法政二) 1分03秒94【51位】

コメント
決勝進出者

瀬戸大也(スポ3=埼玉栄)※囲み取材より抜粋

――レースを振り返って良かった点悪かった点は

今日のレースは後半落ちることが分かっていたので前半から積極的にいったのですが、前半100メートルでいけずじまいで、後半も一気に落ちてしまったので疲れも出ているなと思いました。(1分)53秒台を狙っていたのですが、54秒台が出ていればこの大会では合格点かなと思っていて、日本選手権よりも少し速いタイムで泳げていて、本当はきょう53秒台が欲しかったのですが、悪くはないかなと思います。

――疲れている中、1分54秒台をコンスタントに出せているということはご自身の中で自信になりますか

54秒台を確実に出せる力は持てていると思います。世界水泳(世界選手権)ではしっかり53秒台前半を出していけば金メダル争いもできると思うので、53秒台は必要になってきて、ヨーロッパグランプリでも200メートルバタフライは出るのですごくタフなレースになって疲れも溜まってくると思うのですが、スピードを意識した練習もしてやっていきたいなと思います。

――ご自身の中で課題というのは前半ですか

前半もそうですし、後半も1分を割って帰って来たいと思っているので、後半のラップをしっかりとまとめることも課題になってくると思います。

――前半は54秒80というタイムでしたが

めちゃくちゃ遅いです(笑)。やっぱり疲れが出ていて、気持ちもあまり乗っていないので、あした400メートル個人メドレーがありますが、気持ちを切り替えて少しでもいい泳ぎができるようにしたいと思います。

――200メートルバタフライというのは自分の種目になってきていると思いますがいかがですか

そうですね。国内では負けたくないですし、200メートルバタフライも自分の種目にしていきたいと思っているので、世界水泳でいい泳ぎをしたいなと思います。

渡部香生子(スポ1=東京・武蔵野)※囲み取材より抜粋

――決勝のレースはいかがでしたか

(1分)6秒台を出せたことは良かったのですが、自分の中ではもう少し出したいなというのがあったのでそこは残念だなと思います。

――疲れのある中だったと思いますが、その中でのこのタイムというのは自信になりますか

そうですね。連戦で疲れはあると思うのですが、こういう中でもしっかりとタイムが出せなければ世界では戦えないと思うので、残り2日間もしっかり頑張りたいと思います。

――これまで足りなかったスピードがついてきたと思いますが、100メートル平泳ぎでその部分はいかがでしたか

今回のレースは前半少しもたついてしまった部分があるので、その点に関してはこれからまだまだやることがあるなと思います。

――世界選手権前、国内最後のレースでしたが、100メートル平泳ぎはいかがでしたか

良くもなく悪くもなくといった感じでした。これからまだヨーロッパの遠征に行ったりレースに出ながら調整をしていくので、世界選手権に合わせられるようにしたいなと思います。

――世界選手権に向けての課題は何ですか

前半がいまのレースもそうだったように、この前半では後半に遅れをとってしまうので、100メートルでは積極的にレースができればいいかなと思います。

――改めて、世界選手に向けてご自身で一番大切にしていることは何ですか

泳ぎやそういう部分ではなく、気持ちで負けたらいい泳ぎもできなくなってしまうので、しっかり気持ちを強く持って臨みたいと思います。

B決勝進出者

加納雅也主将(スポ4=県岐阜商)

――予選では力が入ったという

落ち着いて泳げたのですが、落ち着きすぎてしまいました。悪くはなかったのですが仕方ないかなという感じですね。

――タイム的には納得のいかないものでしたか

そうですね。もっといけるかなというのはありました。

――予選から修正した点はありましたか

焦って泳ぎがくしゃくしゃになってしまったので、そこを改善しました。

――同じレースに渡辺一平選手(スポ1=大分・佐伯鶴城)がいましたが、意識はしましたか

同じワセダとして、意識はしているというぐらいですね。

――今大会の位置付けというのは

鍛錬した中でいい結果を出せるように、ということです。

――50メートル、200メートル平泳ぎにも出場されますが、そこに向けて修正する点はありますか

インカレもタフなレースになるので、ここで前もって体験した方が緊張感もないだろうということで50、200も頑張りたいです。

山口真旺(スポ2=兵庫・須磨学園)

――予選よりもタイムを落としてしまいましたが、B決勝での泳ぎについていかがですか

予選よりは(タイムを)上げたかったのですが、最初が出遅れてしまった部分が足を引っ張って遅くなってしまったのかなと思います。

――惜しくも決勝進出を逃して、B決勝に向けてどのように気持ちを向けていきましたか

せっかく2回泳げるので、ちゃんとタイムを上げてコーチにしっかりと前半から入れと言われたのでそれを挑戦してみようと思ったのですが駄目でしたね。

――今大会での調子は

あまり良くはないのですが、スタートなどを変えて挑戦していてそれを試すにはいいかなと思っているのでまた頑張りたいと思います。

――今大会はいろいろ試す場という位置付けになるのでしょうか

そうですね。だいぶ安定はしてきたので、そこから次は細かいところを直していってちゃんとベストが出るように頑張りたいなと思っています。

――今後の50メートル、200メートル背泳ぎに向けての目標をお願いします

200メートルは苦手意識が大きいのでそれをなくして最初から突っ込んでいって2回泳げるようにしたいですし、50メートルの場合は日本選手権で9番と悔しい思いをしたので決勝に残りたいなと思っています。

伊藤愛実(社1=東京・早実)

――B決勝でのタイムについてはいかがですか

タイムは全然よくないです。繰り上げでもう1回泳がせてもらうことになったので、タイムは落とさずにちょっとでも上げたいと思っていたのですが、全然駄目でした。

――目標タイムはありましたか

何秒を狙っていたとかではなく、最近大きい試合で2回泳ぐと2回目で必ずタイムを落としてしまうので、とりあえず予選よりは上げようという気持ちで泳ぎました。

――自由形3種目に出場されますが、一番重点を置いているのは200メートル自由形ですか

そうです。

――B決勝8位という結果については

あんまり良くないですが、日本選手権では準決勝に残ることもできなかったので、その日本選手権から調子はあまり良くなかったのですが、2回泳げたことで見つかった課題もあるので良かったなと思います。

――今大会を通じての目標は何ですか

いつも私はガツガツ泳いでしまうのですが、今大会では楽に速く泳ぐように意識しているので、それをしっかりレースに生かせたらなと思います。

――100メートル、400メートル自由形に向けて

2レースあってちょっとハードだと思うのですが、いまできる精一杯のことをやり切りたいと思います。

志賀珠理奈(スポ1=埼玉・武南)

――B決勝8位という結果についていかがですか

この間の4月に行われた日本選手権で日本代表入りを狙っていたのですが、準決勝で思ったより泳げなくて、今回そのリベンジということで臨んだのですがタイムが思ったより伸びなかったのが悔しいです。

――タイムが伸び悩んだ原因は何だと考えますか

先週1週間ぐらいから自分の泳ぎを崩してしまって、ちゃんと泳ぎを考えられなかったことだと思います。

――この大会を通じての目標は

この試合は代表も何も懸かっていないので、いま自分がどのくらいタイムが出るのかなということです。

――400メートル個人メドレー、100メートルバタフライにも出場されますが、そこに向けて一言お願いします

あしたの400メートルでは自己ベストを更新できるように、100メートルではインカレのリレーも懸かっているので、大学生の中でトップのほうで泳げるように頑張りたいと思います。

渡辺一平(スポ1=大分・佐伯鶴城)※予選後

――日本選手権では予選落ちだった種目ですが、今大会で100メートル平泳ぎはどういった泳ぎを目指していましたか

日本選手権の時は短水路で練習していてタイムが出なかったというのがあるので、ジャパンオープンでは自己ベストを更新できればいいなと思っていました。

――予選を泳いでの感触はいかがでしたか

もう少しタイムは出ても良かったかなと思っていたのですが、1秒台は出たので日本選手権よりはいいのではないかなと思います。

――今大会では平泳ぎ2種目のみの出場でしたが、出場種目を絞った意図は何ですか

日本選手権が終わってからいい泳ぎができていたので、200メートル(平泳ぎ)で自己ベストを更新するためにも3日間しかジャパンオープンはないので、平泳ぎに集中して自己ベストを狙う、ということです。

――ご自身の中で100メートル平泳ぎの位置付けとはどんなものですか

僕にとって100メートル(平泳ぎ)は課題で、100メートルでタイムが出なければ200メートルでも出ないと思っていて、これからチャレンジするのが100メートルなので、少しでもタイムが出ればいいなと思っています。

――今後の目標をお願いします

自己ベスト更新を目標にしていますし、3日目に200メートル平泳ぎがあるので確実に決勝に残って、決勝では自分の得意なラスト50メートルだったり、自分の良いレース展開ができればいいなと思っています。

予選後

荒木優介(人3=三重・暁)

――専門外の200メートル自由形でした

泳ぎ方が全然分からなくて、長水路の200(メートル自由形)が大学入って初めてというのもあるのですが、監督さん(奥野景介監督、昭63教卒=広島・瀬戸内)からいつも積極的なレースをしているので、あまり前半からいき過ぎると後半持たないよということを言われたので、前半抑えることだけを意識しました。

――目標タイムは

200メートル(自由形)の早稲田基準が切れたので、よしとします(笑)。

――レース展開はいかがでしたか

150まで余力を残しつつスピードを上げていってラスト50を全力でいくという感じだったのですが、ラスト15メートルがきつくて、体力が足りないのかなと思いました。

――今大会の位置づけというのは

日本選手権でベストは出たのですが、思ったほど順位は良くなったので、今回はそこで負けた選手に勝ちにいくという感じでした。

――専門の50メートル、100メートル自由形に向けて

今回は日本選手権よりも参加している選手が多いので、その中で確実にB決勝以上に残って2回泳ぎたいと思います。

八木隼平(スポ3=京都外大西)

――アリーナ杯東京六大学春季対抗戦で好調だった200メートル自由形でしたが、いかがでしたか

いい感じでここまで練習ができていたので、タイムは結果的には良くなかったですが課題がはっきり見えるようになってきています。今回納得はできなかったのですが、いつもならここで折れてしまうのですが次また頑張ろうかなという気持ちがあるのでそれは良かったかなと思います。

――見えた課題というのは何ですか

前半は入れるようになってきているので、あとは泳ぎをなんとかして後半粘れるかということです。今回は同じぐらいのタイムの人と隣のコースだったので、いい目安だなと思ったのですが最後に置いていかれてしまったのでそこを何とかしたいと思います。

――一番の得意種目は400メートル自由形だと思いますが、200メートル自由形の位置付けというのはどんなものですか

インカレ(日本学生選手権)最終日の800メートル(フリー)リレーでメンバーに入らないとワセダに来た意味がないと思うので、大也(瀬戸、スポ3=埼玉栄)とも約束しているのでいつかリレーのメンバーに入れるように頑張っていきたいと思います。

――専門の400メートル自由形につながるレースにはなりましたか

そうですね。あした400メートルがあるので気持ちを切らさずに頑張りたいと思います。

――今大会を通じての目標は何ですか

自分の個人の順位を上げることだったので、できたのかは分かりませんがそれを目標に頑張っていきたいと思います。