新戦力の活躍光る

競泳

 早大勢の躍進が目立った日本選手権から一週間。個人戦であった同大会から一転、この日はチーム戦であるアリーナ杯東京六大学春季対抗戦に臨んだ。当初目標に掲げていた男女アベック優勝には届かずアベック2位に終わったものの、それぞれが納得の泳ぎを披露。新たにジャパンオープン2015の参加標準記録を突破する選手が現れるなど、充実した内容で大会を終えた。

 1月に行われたアリーナ杯東京六大学冬季対抗戦に続いての優勝を狙った男子部。瀬戸大也(スポ3=埼玉栄)が5種目全てで優勝し、最優秀選手賞を受賞する圧倒的なパフォーマンスでチームをけん引した。さらに坂井聖人(スポ2=福岡・柳川)ら世界選手権代表組が好成績を収める中で、力泳を見せたのは八木隼平(スポ3=京都外大西)だ。男子200メートル自由形に登場した八木は、積極的な泳ぎで好タイムをマーク。「みんな頑張ったので良かった」と加納雅也主将(スポ4=県岐阜商)が話す通り、総合2位ながらも多くの収穫を得た様子だった。

2大会連続の最優選手賞を獲得した瀬戸

 一方の女子部はルーキーの活躍が光った。女子400メートル自由形では伊藤愛実(社1=東京・早実)が後半に続々と相手選手を抜き去り1位に。志賀珠理奈(スポ1=埼玉・武南)も女子200メートルバタフライを制し、早大のユニフォームを着てのデビュー戦を共に優勝で彩る。また、渡部香生子(スポ1=東京・武蔵野)は大会記録を塗り替えるなど、三人の1年生がその実力を見せつけた。その勢いに負けじと、唯一の4年生選手の赤尾愉歩(社4=東京・早実)も奮戦する。昨年の日本学生選手権(インカレ)でのシード落ちを経験した女子部。その悔しさを晴らすための準備は、着々と進んでいることを感じさせられる内容だった。

1年生ながら優勝し、チームに貢献した志賀

 自己ベストを出した選手も多く、今大会はチームの底上げを実感する結果となった。奥野景介監督(昭63教卒=広島・瀬戸内)も「インカレに向けて良い材料があった」と振り返るように、昨年度を上回る成績の達成に期待が高まる。チームとして照準を合わせているインカレで、ことしこそ輝くために――。一丸となって突き進む。

(記事 角田望、写真 谷田部友香、角田望、吉田麻柚)

★土壇場で参加標準記録を突破!

ジャパンオープン2015の出場権を手にした高木

 今回も全種目終了後にチャレンジレース(※大会の本レースにおいて特定の記録に迫った者に再度記録の突破の機会として与えられるレースのこと)が行われた。文字通りラストチャンスとなるレースで、50メートル自由形のジャパンオープン2015の参加標準記録を突破したのが高木遼司(スポ2=大阪・生田)。プールサイドからの仲間の応援を受けながら力強く泳ぎ切ると、ゴールの瞬間には歓声が沸き起こった。この結果には奥野監督も「男子自由形短距離というグループはいっそう層が厚くなる」と満足気。新戦力の躍動から、ますます目が離せなくなってきた。

結果

総合成績

▽男子 2位

▽女子 2位

個人各賞

最優秀選手賞 瀬戸大也

角間杯 坂井聖人

コメント

奥野景介監督(昭63教卒=広島・瀬戸内)

――今大会の総括をお願いします

目標達成でいうと男女共に総合優勝しようと思っていましたが、それがかなわなかったので残念な結果です。世界水泳(世界選手権)組が疲労の残る中でどういうレースをするのかというのも課題でしたが、ひとつはチームの中でより良い材料が多くあるかというのが今回の評価のところでした。まず3年生の八木(隼平、スポ3=京都外大西)が200メートル(自由形)で良い結果を出して、坂井(聖人、スポ2=福岡・柳川)、瀬戸(大也、スポ3=埼玉栄)、渡部(香生子、スポ1=東京・武蔵野)が実力通りに力を見せて、夏に向けて良い再スタートが切れたかなと思います。あと、ジャパンオープン(参加標準記録)を突破していない選手で新たに切った高木(遼司、スポ2=大阪・生田)というのがいまして、中村(克副将、スポ4=東京・武蔵野)がけん引する男子自由形短距離というグループはいっそう層が厚くなって、インカレに向けて良い材料があったのではないかなと思います。

――日本学生選手権(インカレ)に向け、どのようなチームづくりをしていきますか

5月の下旬にジャパンオープンがあるので、そこで大学生のランキングを日本選手権と同等以上にすること。それと各自の課題設定というのが大事だと思うので、そこをしっかりと評価、分析して、ジャパンオープンを経由してインカレに向けて確実な目標設定とそれを克服するためのトレーニング内容を綿密に立てていきたいと思います。

加納雅也主将(スポ4=県岐阜商)

――今大会の結果を受けていかがですか

目標達成できなかったのは残念でしたが、みんな頑張ったので良かったんじゃないかなと思います。

――特に頑張ったなという選手はいますか

みんな頑張ったんじゃないですかね(笑)。

――目標達成できなかった要因は何だと考えますか

結構ワセダは(自己)ベストも出していたので、それ以上にメイジが強かったというだけですね。

――日本選手権のいい流れは今大会に持って来られましたか

僕自身は疲れもあってちょっと頼りなかったのかなという感じはするのですが、チームとしては日本選手権組以外の子がベストを出すとか、ジャパンオープンの(参加標準)記録突破などいろんな突破があったのでいい感じにできたなと思います。

――1年生も入って来ましたが、1年生の働きについてはいかがですか

本当に頼もしいですね。香生子ちゃん(渡部、スポ1=東京・武蔵野)が7種目出場など大変な中成し遂げてくれて、他にもみんな頑張っていたのですが1年生は本当に頼もしいなと思います。

――早慶対抗戦に向けてどのようにチームをつくっていきますか

最終目標がインカレなので、インカレでも戦えるぞということを早慶戦で達成したいです。レギュラー選考もありますので、レギュラーが決まっている人だけではなくそれ以外もレギュラーを取ってほしいというのがあります。世界水泳(世界選手権)があって代表組がいないので、代表組がいなくても戦えるぞというところを見せていきたいです。

――具体的なインカレでの目標は何位ですか

きょねん男子が6位だったので、6位は上回りたいです。女子はシードを落としたので、8以内ということを簡単な目標として設定しています。細かい目標はこれから決めていきます。

野中優女子主将(スポ4=愛知・中京大中京)

――新体制として初めて迎えた大会でしたがいかがでしたが

結果的にはチーム目標を達成することはできなかったのですが、新入生3人が本当にたくましくて。全体的にもみんなで頑張ってたくましくなったな、という印象です。

――今回のチーム目標は

総合優勝とリレー2種目での優勝でした。

――惜しくも2位となりましたが、足りなかったと感じる部分はありましたか

新入生がチームにまだ慣れていないということもあるかなと思います。

――今回の結果については

目標が達成されなかったのは残念なことですが、ただ本当に個々が頑張ってくれていて、リレーの2種目でも4年生である赤尾(愉歩、社4=東京・早実)一人と、下級生というかたちで赤尾がよく引っ張ってくれて下級生もそれについていってこの結果かなと思います。よく頑張ってくれたと思います。

――1年生が入部して何か変化したことはありますか

特に今まで1年生だった2年生が先輩になったという意識が芽生えたみたいで、積極的に新入生に声を掛けたり応援したりしていたので、チームの雰囲気は良いなと思っています。

――次に向けての目標をお願いします

最終的な大きな目標はインカレ(全日本学生選手権)でシード権奪還になります。きょうの反省点は個々で振り返って改善していってもらって、段階段階で目標を少しずつ達成して、最後に大きな目標を達成するというかたちでいきたいと思います。

瀬戸大也(スポ3=埼玉栄)

――2大会連続の最優秀選手賞獲得となりましたが、感想は

あんまり調子が良くなかったのですが、レースのときは多少なりとも集中してしっかりやって。200メートルバタフライが(FINA)ポイントが高かったので(最優秀選手賞を)もらえたのですが、5種目出てしっかり5種目勝負に勝てたということは夏に向けていいかなと思いました。

――日本選手権を終えて、この大会はご自身の中でどのような位置付けですか

大学同士の対抗戦なので、ワセダを背負って戦うのでしっかり個人種目で勝てたのは良かったのですが、やっぱり総合優勝できなかったのは悔いが残るというか、来年に持ち越しかなと思います。リレーがどっちも負けてしまったので、次の試合ではさらに自分が貢献できたらなと思います。

――団体戦に特別な思いはありますか

夏のインカレ(日本学生選手権)も団体戦で、次はそっちになると思うので、まずは世界水泳(世界選手権)があるので世界水泳でしっかりと結果を出してその流れに乗って、自分も3年生になって(学年が)上の方になるのでチームを引っ張っていけたらと思います。

――次のジャパンオープンに向けて一言お願いします

日本選手権の記録を上回って、夏に弾みをつけられる試合にしたいなと思います。

渡部香生子(スポ1=東京・武蔵野)

――今大会を振り返って

初めてのワセダでの試合で、1日に7種目といういままでにやったことのない中で途中きつくて駄目だったところもあったのですが、チームとして一緒に戦えたのですごく楽しめました。

――先日の日本選手権とは雰囲気も違ったと思います

やはりチーム戦ということなので、自分の結果よりも勝負にこだわって1点でも多くの点をチームに入れられるように泳ぎました。

――100メートル平泳ぎでは大会記録を更新しました

ベストタイムとは遠いタイムだったのですが、新記録を出せたということでチームに少しでも勢いがつけられたと思います。

――ワセダとしての初レースとなりましたが

いままでの高校とはだいぶ違って、大学のみんなで一丸となって戦うという雰囲気が感じられたので、初めてのことなので楽しかったです。

――5月のジャパンオープンに向けて取り組みたいことは

いまは4月の日本選手権が終わったばかりなのでまだ練習を始められていないのですが、5月のジャパンオープンも日本で2番目に大きな大会なので、しっかりと世界選手権代表としての意地を見せられるように頑張っていきたいと思います。