連日盛り上がりを見せた第89回日本学生選手権(インカレ)も遂に最終日。ワセダは個人種目で男子が3つの銀メダル、女子が1つの銅メダルとメダルラッシュに沸いた。また、最終種目の800メートルリレーでは男子が4位、女子が7位入賞を果たし大会を締めくくった。3日間を通しての総合成績は男子が4位、女子が7位で来年のシード権を獲得。春先からの目標を達成した。
健闘を称えあう伊藤主将と瀬戸
レース直後、ふたりはコースロープ越しに笑顔で肩を抱き合った。400メートル個人メドレー決勝、伊藤慶太主将(スポ4=東京・本郷)と瀬戸大也(スポ1=埼玉栄)は2人並んで、スタート台へ。世界選手権王者として負けられない瀬戸は、得意のバタフライで先頭に躍り出る。その後、背泳ぎで萩野公介(東洋大)にリードを許すも、レースは2人が抜け出し引っ張る展開に。平泳ぎで食らいつきを見せるが、惜しくも力一歩及ばず。今回のインカレでは、個人種目よりも「リレーの方でワセダに貢献したかった」(瀬戸)とチームへの想いが強く、個人種目は調整不足。それでも安定した泳ぎで準優勝を果たした。一方、伊藤主将はバタフライで7位と遅れるも、隣を泳ぐ瀬戸に引っ張られるかのように徐々に順位を上げる。4位で泳ぎ終え自己ベストを更新。ワセダ水泳部主将の意地をみせた。レース後のふたりの健闘をたたえあう姿は、ともに練習に励んだ一年の充実感がうかがえた。
女子部主将の須藤智恵(人4=埼玉栄)も気持ちのこもった泳ぎを見せた。400メートル個人メドレー予選を6位で通過し、決勝進出を決める。シード権死守のためにも、「チームの役に立つ」と意気込む。持てる力を出し切り予選よりも順位を上げ、5位。前日の200メートルに続き自己ベストを更新する活躍をみせた。
須藤は最後のインカレでベストを更新
男女ともに見事目標を達成したワセダ。今大会の活躍の要因に、奥野景介監督(昭63教卒=瀬戸内)はチームの支柱となった伊藤、須藤両主将の名前を挙げる。また、「4年生の頑張りが本当に光っていました」と語るように、インカレに懸ける上級生の想いがチーム全体に伝わり、満足いく結果を生んだ。最後のインカレを終え、伊藤主将は「目標を達成する素晴らしさを知って欲しかった」と後輩たちへの想いを口にした。新チームは9月下旬から再スタートを切る。4年生から継承したものと新チームとしてのオリジナリティを出すことで、もう一段階上のステージに上がることができるだろう。
(記事 田島光一郎、写真 荒巻美奈、戸澤美穂)
結果
決勝
▽女子400メートル個人メドレー
須藤智恵(人4) 4分45秒01 5位
▽男子400メートル個人メドレー
瀬戸大也(スポ1) 4分12秒70 2位
▽男子400メートル個人メドレー
伊藤慶太(スポ4) 4分17秒65 4位
▽女子100メートル自由形
山崎美里(スポ4) 56秒37 3位
▽男子100メートル自由形
中村克(スポ2) 49秒23 2位
▽男子100メートル背泳ぎ
多田邦徳(スポ3) 54秒78 2位
▽女子800メートルリレー
山崎美里、佐藤恋(スポ3)、田村美紅(スポ1)、星茜(スポ4)
8分14秒94 7位
▽男子800メートルリレー
柴田慎一郎(スポ1)、深谷皇(スポ4)、瀬戸大也、五十川祐記(スポ4)
7分22秒15 4位
B決勝
▽女子400メートル個人メドレー
森川愛理(スポ3) 4分49秒81 2位
▽男子100メートル自由形
雨谷拓矢(スポ2) 51秒41 8位
▽男子100メートル背泳ぎ
安田純輝(スポ1) 56秒90 7位
▽男子200メートル平泳ぎ
林和希(スポ3) 2分14秒86 7位
▽男子200メートル平泳ぎ
加納雅也(スポ2) 2分14秒86 5位
コメント
奥野景介監督(昭63教卒=瀬戸内)
――今大会の総括をお願いします
春先から男子が5位、女子が8以上に入りシード権を維持することを目標にとり組んできました。学生自信が掲げた目標を絶対に達成するぞという強い意志を持って練習していましたね。男女ともに目標以上のことを達成できたので充実感のあるインカレ(日本学生選手権)になったと思います。
――男子の活躍について
4年生の頑張りが本当に光っていました。やっぱり、伊藤慶太(スポ4=東京・本郷)が結果を出し、普段の取り組みも含めて主将として素晴らしい活躍をしてくれました。今大会で目標を達成できた大きな要因になったと思います。
――女子の活躍について
女子についても、女子部主将である須藤智恵(人4=埼玉栄)が自己ベストを更新するなど、大事なところでチームを支えてくれました。結果および、その他のプロセスを含めてよくチームを引っ張ってくれたと思います。
――今年度のワセダ水泳部はどんなチームでしたか
スローガンは『Love,Dream&Happiness』。ワセダ愛を感じ、目標を達成し、幸せを分かち合おうという意味です。一年間を通してめりはりがついていましたね。とくに、4年生がチームをより良くしようと積極的に、柔軟に活動してくれたことが非常にいい成果に繋がったんだと思います。
――新チームに望むことは
9月の下旬から再スタートを切る予定です。ことしの良かった点を継承しつつ、そのなかでオリジナルな取り組みを期待したいと思います。
伊藤慶太主将(スポ4=東京・本郷)
――今大会を振り返って
満足です!男子チームについては初日から深谷皇(スポ4=愛知・知立東)や多田邦徳(スポ3=埼玉・春日部共栄)の活躍があって、波に乗ることができました。2日目も僕自身がベストを出すことができ、チームが勢いづいたと思います。スイッチが入って、どんどんチーム状況は良くなって行きました。3日間、本当によかったと言っても過言ではないですね。
――ことし一年で男子チームはどのような変化を遂げましたか
最初は、なかなか僕が考えているようには行きませんでした。水泳は個人競技。チームで動こうと言っても、結局泳ぐのは一人なんですよ。いろいろとあったけど、長い時間を一緒に過ごして、イベントなどをして、寮生活を楽しんでやっていくうちに徐々にまとまってきました。助けられたこともあったり(笑)。最終的に凄くいいチームを作れたと思います。
――主将として持ち続けた決意はありましたか
笑顔でいること、暗い顔はしないことですね。僕が主将でよかったんだろうか、と悩む時期はありました。でも、主将に選んでくれた人たちのためにもやり通しました。チーム目標を達成するためにも、自分が笑っていないとみんなを楽しい雰囲気にできないかなって。(笑)一年間、笑いを絶やさずに過ごしてきました。
――後輩に伝えたい思いはありますか
総合5位以上と目標を掲げたのは、目標を達成することの素晴らしさを知って欲しかったからです。僕自身、4年間でチームが掲げた目標を達成した経験はなかったんですけど。これまでは、3位以上や天皇杯獲得とかっこよく言ってきました。でも、前回は7位。ことしは5位以上を達成できました。これから、次へと着実にステップアップして、最終的には優勝してもらいたいです。目標を達成する素晴らしさをまた感じてもらい、日々の練習に励んでいってもらいたいです。
須藤智恵(人4=埼玉栄)
――シード権獲得おめでとうございます。女子チームの総括をお願いします。
ことしのチームはスローガンでもある「Love,Dream&Happiness」というものをすごく全員が意識していました。女子の場合はシード権を獲得できる8位以上、それを達成することによって幸せになろうという風に意味を込めたスローガンなんですけと、まさにその言葉に尽きるチームでした。
――すごく良いチームだったということですね
そうです!同期をはじめ後輩も一生懸命、私達についてきてくれたし、もう本当に良いチームだったと思います。
――今年の男女全体のチームの総括をお願いします
男子の主将である伊藤慶太が一生懸命みんなを引っ張ってくれてそのおかげで女子も男子の勢いに乗ることができたので、本当に伊藤のおかげです。
瀬戸大也(スポ1=埼玉栄)
――初めてのインカレ、いかがでしたか
初めてのインカレ、すごく雰囲気も楽しめました。個人のタイム的には納得いく泳ぎができなかったので、まだまだ甘いなと感じています。次の大会では、もう少し個人種目でも良い結果が出せるようにしたいです。リレーではチームに対してできる限りのことをしたつもりなので。少しでも貢献できたかなと思うので、いい大会でした。
――リレーの結果についてはいかがですか
できれば表彰台に登りたかったですけど、自分も精一杯全力を尽くしましたし、先輩方も全力を尽くした結果がこういう結果だったので。表彰台に登れなかったことは悔しいですけど、みんなで全力投球で泳げたことは思い出に残ることなので。来年のインカレでは400メートルリレー、メドレーリレー、800メートルリレーの3つの種目でワセダが表彰台に登って、強いんだぞということを証明したいと思います。
――きょうの400メートル個人メドレーはいかがでしたか
200メートル個人メドレーと同様に不完全燃焼ということで、萩野公介選手(東洋大)とけん制しながら泳いだみたいな感じで、タイム的に二人ともスローペースなレースになってしまって。もうちょっと会場を盛り上げられたら良かったかなと思うんですけど。でも負けてしまったことはすごく悔しいので、次はもっといいレースができたらなと思うので、まだまだ強化していきたいなと思います。
――萩野選手と隣で泳ぐのは意識されましたか
それはもちろん。ライバルとして意識してレースしてました。
――萩野選手と争うことが続いていくと思います。それについてはどうですか
もちろん公介と戦うときはいつも勝つイメージしかしていないですし、バルセロナではずっとそういうイメージをしてメダルを最低限取りました。だけど、表側にはメダルを獲ると言って、自分の中では絶対に金を獲ってやると言っていました。家族内ではずっと口に出していたので、そのようにポジティブなことを言ったのが、そういう形となって表れたと思うので。ことしの冬はもう一回スイッチを入れなおして、まずは3年後。すぐに来てしまうと思うので、本当に1年1年泳ぎ込みの時期を大切にして頑張っていけたら3年後のリオ五輪はすごいことが起こると思うので頑張っていきたいと思います。
――きょう発表された東京五輪を含めて今後の目標をお願いします
東京の先にまずはリオがあるので、3年後のリオに向けて1年1年大切にしていきたいです。来年ですとパンパシフィックとアジア大会でしっかり代表に選ばれて、海外の選手と公介と一緒にお互いに刺激し合って、94年世代の世界の人たちとどんどんレベルアップして戦えたら面白いと思います。自分も後れを取らずに頑張っていきたいなと思います。