インカレ展望

競泳

 名門・早大水泳部競泳部門の底力を見せる時が来た。各大学の威信を懸け、総力戦で挑む日本学生選手権(インカレ)。男子部は総合5位以上、女子部は8位以内に与えられるシード権奪還を目標に掲げ戦う。4年生にとっては部の一員として臨む最後の大会。集大成を飾るためにも、この一年間の成長ぶりを存分に発揮したい。学生最高峰の舞台で、選手たちはどんなレースを展開するのか。早大の真価が試される。

 まず欠かせないのが日本代表メンバー。世界選手権で得た経験を力に、さらにレベルアップした姿が見られるはずだ。最後のインカレを迎える中村克副将(スポ4=東京・武蔵野)は、優勝候補筆頭の自由形短距離2種目に加え、リレーでも重要な役割を担う。特に昨年大会新記録で2連覇を果たした男子400メートルメドレーリレーでは、アンカーでの圧巻のパフォーマンスに期待だ。また、個人種目では無冠の瀬戸大也(スポ3=埼玉栄)は、ことしは個人メドレー2冠の大本命。瀬戸と共に世界選手権で金メダルを獲得したルーキー渡部香生子(スポ1=東京・武蔵野)、200メートルバタフライでの連覇を狙う坂井聖人(スポ2=福岡・柳川)も貫禄の泳ぎで会場を沸かせる。

副将としてもチームに貢献する中村

 選手層が課題に挙げられていた男子部。ことしのチームは、各種目で複数選手が得点を稼ぐことのできる布陣が整っている。最もし烈な部内選考が繰り広げられたのが自由形短距離だ。特筆すべきは今季驚異的な成長を遂げている荒木優介(人3=三重・暁)。自己ベストを連発し、中村と共に表彰台を狙える位置にまで来ている。また、平泳ぎには日本選手権の男子100メートル平泳ぎで6位に入った加納雅也主将(スポ4=県岐阜商)や、男子200メートル平泳ぎのユース五輪金メダリスト渡辺一平(スポ1=大分・佐伯鶴城)など充実のメンバーが顔をそろえた。自由形中距離には高校総体王者の井上奨真(スポ1=県岐阜商)が加入し、八木隼平(スポ3=京都外大西)、阿久津直希(スポ2=埼玉栄)と共に切磋琢磨(せっさたくま)している。各種目において、決勝での同門対決にも注目だ。

背中で引っ張る加納主将

 女子部は少人数での戦いの中、一人一人が確実に点を取ることが重要となる。ことしは渡部に加え、伊藤愛実(社1=東京・早実)、志賀珠理奈(スポ1=埼玉・武南)といった頼もしいルーキーが加入。初めて触れるインカレ独特の空気にのまれず、本来の実力を発揮できるかがカギとなりそうだ。唯一の4年生選手の赤尾愉歩(社4=東京・早実)は前回大会では泳ぐたびに自己ベストを更新。今回も最高の泳ぎでチームを勢いづけたい。関東学生選手権では田村美紅(スポ3=埼玉栄)、伊藤、志賀がリレー全3種目に出場。インカレでも多くのレースに登場することが予想され、タフさが求められる。野中優女子主将(スポ4=愛知・中京大中京)を筆頭に、選手、マネージャーが一丸となってシード権をつかみにいく。

4年生唯一の競技者の赤尾は泳ぎで流れを呼び寄せる

 インカレとは、「各大学の結束力を見せる時」(加納)、「選手が一番輝いて見える舞台」(野中)。チーム最大の目標であり集大成であるこの戦いは、一人一人の力が仲間全体の力へと還元される特別な場所。これまで培ってきた努力、経験、悔しさ、全てを糧に最高のパフォーマンスを。笑顔のゴールを目的地に、スタートの合図は迫る。

(記事、写真 谷田部友香)