【大学スポーツ×世界水泳】大会事前インタビュー④ 和田彩未/世界選手権2023福岡大会
世界頂上決定戦に大学生スイマーが参戦だ。7月14日より開幕する世界選手権2023福岡大会(以下、世界水泳)。今大会は2001年以来22年ぶりの自国・福岡開催であり、日本では2年前の東京五輪以来の大規模大会となる。そんな世界水泳において注目されるのが、若い世代の台頭だ。今大会ではアーティスティックスイミング代表14人のうち現役の大学生選手が7人を占めるなど、数多くの大学生スイマーが日本代表に選出されており、その活躍に大きな期待がかかる。
今回、私たち7大学新聞は、世界水泳に合わせた合同企画【大学スポーツ×世界水泳】を実施。同年代の若きスイマーの事前インタビューを順次発信していく。今夏、世界を舞台に活躍する大学生スイマーに、あなたもぜひ注目してみてはいかがだろうか。
本記事は合同企画第4弾。早大からアーティスティックスイミング代表に選出された和田彩未(スポ2=長野・上田西)の事前インタビューをお届けする。
※この取材は2月11日に行われたものです。
自分がやっていけるのかという不安も
――AS(アーティスティックスイミング)日本代表選出、おめでとうございます
ありがとうございます。
――どのようなかたちで代表選出を知りましたか
アーティスティックスイミングの場合は選考会を行って、その場で結果が分かります。全部で3回選考会があって、1回目が始まったのが10月ごろで、代表が決まったのが11月の末くらいでした。
――選考会ではどのようなことを行ったのですか
選考会ではいろいろなことをしますね。競泳もしますし、柔軟性を見たり、身長を測ったりもします。演技自体の評価の時は、一人ずつ泳いだり、グループ泳ぎといって3人で泳ぐものもあります。全員が同じ振り付けを演技して、それを採点してもらうという感じでした。
――代表選考会に向けて意識して取り組んできたことはありますか
まだ今の課題でもあるのですが、苦手な部分の強化を選考会前は特にやっていました。素早い動きだったり、強さを出すのが苦手なので、その部分を重点的に練習しました。
――では実際に代表に決まった時の気持ちはどうでしたか
始めは代表に入ることを目標としていたので、嬉しい気持ちが大きかったのですが、自分がやっていけるのかという不安もありました。
――トップチーム以外での日本代表経験はありましたか
アーティスティックスイミングは一番高いナショナルAチームから順に、ナショナルBチーム、ナショナルジュニア、ナショナルユースがあって、ジュニアまでは入ったことがありました。ナショナルAチームに入るのは、今回が初めてです。
――周りの方からの反応はどうでしたか
おじいちゃんとおばあちゃんが一番喜んでくれました(笑)。周りの方々もみんなおめでとう、と喜んでくれました。
――今回同じく日本代表に選出されたメンバーの中で、特によく話す選手や仲のいい選手はいますか
年齢が一つ上の同じクラブの先輩も代表に入っていて、その先輩とは小さい頃から一緒に泳いでいるので一番話しやすい先輩です。
――一緒にデュエットを組んだこともある、小林唄(国士舘大)選手でしょうか
はい、そうです! 大会などでよくデュエットを組みました。
――選考会にあたって、何かお話はされましたか
演技を二人で一緒に練習しました。その中でお互いに、ここは違うんじゃない? とか、ここの高さはこの人の方が高いからそちらに合わせられるようにしようといって、お互いを高め合っていく感じで練習していきました。
――今回選出された種目が、チームとアクロバティックルーティーンということですが、まずチーム種目の特徴はどんなところですか
チーム競技は基本的に8人で行います。またチーム競技の中でも2種目に分かれていて、チームテクニカルとチームフリーがあります。テクニカルの方は8人全員が同じ動きをしなければいけないルーティーンで、反対にチームフリーは何をしてもいいルーティーンなので、テクニカルよりも自由に演技構成を組むことができます。一番大きな違いはそこかなと。それからチームテクニカルでは規定要素を入れなければいけなくて、そこもテクニカルの特徴だと思います。チームフリーでは足技の数などは決まっていますが、決まった動作をしなければいけいないということはないです。
――アクロバティックルーティーンについてはいかがですか
その名の通りなのですが、アクロバティックな動きが多く入っているルーティーンです。アクロバティックルーティーンは4~8人で行いますが、基本的に世界大会では8人で行います。人を飛ばしたり持ち上げたりするリフトという技があるのですが、そのリフトが多く入っているルーティーンになります。これは決まった動作などはないですが、リフトの個数が決められていて、やはりアクロバティックルーティーンは、リフトに特化したルーティーンかなと思っています。
――それぞれの競技で高得点を狙うためのポイントはどんなところだと考えていますか
アクロバティックルーティーンからになるのですが、リフトが重要になってくるので、そのチームでどういうリフトを上げられるかというところで、やはりリフトの質が一番重要になってくると思います。チームのテクニカルとフリーは似ていて、どちらも採点方法がほとんど同じです。ですがチームテクニカルはエレメントという規定要素が入っているので、その部分は重点的に練習していかないといけないなと思います。またどちらの種目も表現力は重要になってきています。今年になってルールの変更があって、表現力の部分の配点が高くなっているので、そういったところも磨いていきたいと思います。
――リフトの質という言葉がありましたが、どのようなリフトが質が高いとされるのでしょうか
まず一番分かりやすいのは高さですね。高ければ高いほど良いと見なされます。それから飛んだ人の技が大事になってきます。
このメンバーで泳げて良かった
――アーティスティックスイミングの魅力を一番感じるところはどこですか
水中で自由に表現ができるところが、一番魅力的だと思っています。
――体を使って表現をするスポーツは他にもたくさんあると思いますが、水中で表現することにはどんな魅力がありますか
水中だと陸ではできない足技だったり、高さの強弱がすごく分かりやすく見えるので、そこが水中での特徴なのかなと思います。
――競技を始めたきっかけは何でしたか
母がもともとコーチをしていて、そこについていくという感じで始めました。今のクラブに移籍をしたのが小学校4年生の時なのですが、その時にはもっとうまくなりたいと感じて移籍を決めました。
――これまでカテゴリー別での世界大会の出場はありましたか
中学3年生の時に世界ジュニア選手権に出場していて、そこでは二人で泳ぐデュエット競技とチーム競技でメダルを獲得しました。
――これまでの競技人生で、成長を感じた出来事はありましたか
やはり技術的に一番成長したのは、中学3年生の時の世界ジュニアの時だと思います。その時は本当についていくのに必死だったのですが、結果がしっかりと出て、自分の技術も上がったと感じることができたので、あの時が一番成長を感じました。精神面でも一番きつかった時期だったので、本当にターニングポイントだったと思います。
あとはコロナ禍の時、私が高校2年生と3年生の時に世界ジュニアの代表メンバーに選ばれていたのですが、その大会がなくなってしまって、大会で演技ができない悔しさが続いた時期がありました。大会がないとそもそも目標も立てられないので、何に向かってやっているのか分からなくなってしまったり、大会で結果を出して達成感を感じることがやってきてよかったと思えるところでもあるので、辛い時期でした。その期間があってさらにシンクロ(2018年に競技名称がシンクロナイズドスイミングからアーティスティックスイミングに変更)が楽しいと思えるようになって、その期間があったからこそ少し考え方が変わりました。当たり前にできていたことができなくなって、当たり前の素晴らしさをより感じられるようになりました。それが楽しいという思いにつながっていると思います。
――早稲田を選んだ理由は何ですか
まず早稲田にアーティスティックスイミングをやっている先輩がいたので、大学のいいところだったりを教えてもらっていました。あとは栄養学に興味があるので、自分が学びたい勉強ができて、かつ練習環境も整っているということで、早稲田大学を選びました。
――1年間大学で過ごしてみて、どうでしたか
昨年のインカレ(日本学生選手権)で早稲田が優勝できたのですが、その時に大学に入って、このメンバーで泳げて良かったというふうにすごく思いました。
――インカレは初出場でしたが、どんな印象を持ちましたか
インカレって他の大会より、何というか楽しいんですよ。なので一番楽しく演技できる大会なのかなと思いました。他のチームも生き生きして泳いでいる感じがしました。
――インカレ以外の大会は緊張しますか
そうですね。緊張もしますが、インカレの時よりも結果を狙いにいく方が大きいので。インカレももちろん優勝を目指していましたが、その中にも選手同士で演技を作り上げていく達成感など、大会までの過程の楽しさが大きかったです。
――現在は早稲田のアーティスティックスイミング部門は和田選手一人ですが、それについて考えることはありますか
やはり一緒に泳ぐ仲間は、いてほしいというふうには思います。なかなか難しいとは思いますが、早稲田に来てくれたらいいなとはすごく思います。
――練習はいつもどこでしていますか
私の場合は出身が長野県なので、平日は大学の方でしか練習できなくて、大学のプールをお借りして監督にビデオを撮ってもらったりして練習しています。休日は長野に帰って、クラブのコーチに見てもらっています。大学での練習では活用できるものは最大限活用しようと思って(笑)、競泳部門のトレーナーさんを紹介していただいて、見てもらったりしているので、本当にこの環境には感謝しています。
――ではクラブでの練習の際は一緒に泳ぐ人がいるということですか
大学よりは多いですが、そもそも競技人口が少ないのでチームをぎりぎり8人で組めるか組めないかくらいの人数です。それからクラブには同い年の選手もいないんですよ。なので一つ上の小林選手と一番仲がいいです。大阪や東京、埼玉とかになると結構人数も多いのですが、長野県は割と少ない方です。
――目標としている選手などはいますか
もともと世界ジュニアでデュエットを組んだ先輩を目標にしていたのですが、今は目標にしている選手がいるというよりは、それぞれの選手のいいところを目標にしている感じです。選手によって特化している部分が結構異なっているので、そのいい部分を取り入れようとしています。
――代表合宿がありますが、順調に来ていますか
そうですね。初期の頃よりはちゃんと練習にもついていけるようになって、まだまだ自分に足りないところが多くあるのでそういったところの強化は徐々にしていきたいと思っています。
――代表合宿ではどういった練習をしていますか
ウエイトなどのトレーニングは毎日ではないですが行いますし、泳ぎ込みは毎日やっています。水中で演技の練習をしたりという感じです。
――合宿に参加してみて、新たな発見などありましたか
すごくたくさんあります。技術面はもちろんなのですが、チームリーダーの方がみんなが落ち込んだときに精神面で上げてくれることが多いので、そういうところがすごいなと感じます。
――合宿から帰って、一人での練習の際に意識していることはありますか
細かい技の確認が多いです。今日も練習してきたのですが、今日は回転するときの軸のぶれがないように、1回1回ビデオで繰り返しチェックして真っすぐにはめるということをやりました。代表合宿では全体で合わせたりして、そういった繰り返しの練習があまりできないので、合宿がないときに細かい部分を繰り返し練習しています。
――自身の強みはどんな部分だと考えていますか
脚のラインが真っすぐで、そこは自分の武器になるところだと思っています。少しでも曲がっているとあまりきれいに見えなくなってしまうので、ひざとつま先が真っすぐにちゃんと入る脚というのは大事で、私の脚ではひざがきれいに入ります。身体的な部分以外だと、安定感があるのが強みだと思っています。何か演技の中で振り付けやるときに、軸がぶれてしまうことが少ないのが自分の武器だと思います。これは結構昔からそうなので、なんでなのかは自分ではちょっと分からないです(笑)。
――脚のラインというのは、やはり足技に有利にはたらきますか
そうですね、どちらかというと足技の方が得意です。ですが自分の弱点である高さの部分や弱さも足技にも出てきてしまうので、そこが今の課題です。
――弱さというのは具体的にどういったところに影響するのですか
例えば上半身で考えると、手を上げる振りがあったときに、上げてピタッと止めないといけないところを少しぶれがでたりします。素早く動いて止めるというところが弱いポイントかなと。軸の安定感はあるのでぶれがずっと続くことはないのですが、瞬間的な動きは苦手な部分ですね。
――自分の強みはどのようなかたちでチームに貢献できると考えていますか
足技をやるときに、きれいな脚が高く上がった方が点数も高くなりますし見栄えも良くなるので、そこはチームに貢献できるところなんじゃないかなと思います。
――今後こうした選手になりたいといった目標はありますか
自分のコンディションを自分で把握して、自分で整えられる選手になっていきたいです。
――それを考えるきっかけがあったのですか
今年代表に入って、体のケアや食事の大切さをすごく学びました。その調整の部分を今は助言してもらったりするのですが、そういうところを自分でもしっかり考えてやっていけるようにしていきたいです。
――こういう演技がしたい、こういう姿を見てほしいというところはありますか
今の自分に足りていないところが多すぎて、これだと言えるものがないので、そういうところをこれから作っていけるようにしたいです。まだ全然完成していないので、これから積み重ねて本番に向けて頑張りたいです。
――世界水泳本番に向けての意気込みをお願いします
一つでも多くの種目に出場して世界水泳ではメダルを獲得したいです。
(取材・編集 新井沙奈)
自分の演技の美しさを見せたいと美という字を選んだ和田
◆和田彩未(わだ・あみ)
2003(平15)年6月30日生まれ。162センチ。長野・上田西高出身。スポーツ学部2年。プーさんが大好きで、毎回合宿にプーさんを持っていっていたそうです! 本当は大きいプーさんを持っていきたかったそうですが、小さめのプーさんで我慢したのだとか。
【大学スポーツ×世界水泳】
今回の世界水泳開催に合わせて7大学新聞が合同で、現役大学生の日本代表選手に事前インタビューを実施しました。この機会に、ぜひ多くの大学生スイマーのインタビュー記事をご覧ください。
[参加大学新聞]
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