早稲田大学として出場する数少ない大会の一つ、日本学生選手権(マーメイドカップ)がことしも開催された。ソロ、デュエット、チームの三種目が行われるなか、早大はソロとデュエットで出場。ソロには今回が初めてのマーメイドカップとなる吉田理恵(スポ1=東京・成立学園)が、デュエットではその吉田と今大会が最後のマーメイドカップとなる吉野倫加主将(スポ4=埼玉・武南)が演技を披露し、観客を沸かせた。
まずはソロの吉田。8月上旬に行われた日本アーティスティックスイミングチャンレンジカップ(チャレンジカップ)でも踊ったというこの曲はジャングルがテーマ。「審査員にアピールしないといけないので、目を合わせて睨みつけるように頑張りました(笑)。」(吉田)と笑顔で振り返ったように打楽器や笛の音楽に乗り、強さを感じさせる演技を披露。「チャレンジカップより点数が落ちてしまった。」と語ったが、15位中6位に入り初舞台で堂々とやりきった。続くデュエットには、吉田と今大会で引退する吉野が出場。「結果よりまずは楽しんで泳ぎきる。」(吉野)という意気込みで臨んだ吉野。曲は吉田が以前から踊っていたというマイケル・ジャクソン。デュエット用に吉田が再構成したという。「マイケルになりきった。」(吉田)と語るよう、『Smooth Criminal』のミュージックビデオの中で、マイケル・ジャクソンが帽子を手で押さえるポーズからスタート。曲中に何度か登場するピストルを打つ動作も取り入れるなど「相手に伝わるようわかりやすい振りはたくさん入れた。」(吉野)と観客を楽しませる工夫も明かした。そんな二人の楽しい雰囲気につられて、観客からは終始手拍子が届けられる。結果に対してはさほどこだわりがなかったという二人だが、0.1点差で表彰台に届かなかった点については少々の悔しさを見せた。しかし、当初の目標を果たし、悔いなく終われたという言葉からは満足のいく演技ができたことがうかがえた。
ソロの演技に臨む吉田
この大会を機に引退する吉野は大学での四年間について「ジェットコースターのようにあっという間だった。辞めようかと思う時もあったが、二人(吉田、田中)が頑張ろうと思わせてくれた。」と振り返る。来年のマーメイドカップでは、今大会二種目に出場した吉田と今回はデュエットの補欠として出場した田中美羽(商1=神奈川・希望ケ丘)が早大のアーティスティックスイミングを引っ張ってくれるだろう。「二人でリベンジしたい。」(吉田)、「吉野さんの分のリベンジも果たせるよう頑張りたい。」(田中)と今から気合いは十分だ。また来年、早大のマーメイドが観客を楽しませ、さらに今年よりもいい結果を残すことを今から期待して止まない。
意気の合った演技を見せる吉野、吉田(左)
(記事 飯塚茜、写真 佐鳥萌美)
結果
▽ソロ
吉田理恵 80.8333点 (6位)
▽デュエット
吉野倫加・吉田理恵 78.2667点 (4位)
コメント
吉野倫加主将(スポ4=埼玉・武南)、吉田理恵(スポ1=東京・成立学園)、田中美羽(商1=神奈川・希望ケ丘)
――まずデュエットについてお聞きします。どのような意気込みで臨まれましたか
吉野
結果よりまず私たちが楽しんで泳ぎきるということをずっと言ってたので、それをきょうは達成できたと思います。
吉田
私も結果ではなく悔いのない演技ができるようにと思って演技しました。
――演技を振り返っていかがですか
演技中もみんなの声が全部聞こえましたし、本当に楽しんでやれました。
吉田
倫加さんが卒業なので全身全霊で(笑)。悔いなく終われたので良かったです。
――曲のテーマは
吉田
マイケル・ジャクソンの曲で構成しました。
――お二人で決められたのですか
吉野
元々彼女(吉田)がやっていて。それを私に合わせながらやってもらいました。
――では演技構成は吉田選手が考えたのですか
吉田
私がやっていたものを二人用に作り直しました。
――演技の中でこだわったポイントや特に練習した点を教えてください
吉野
上半身のノリですかね。
吉田
マイケルになりきってやりました(笑)。
吉野
他は楽しみながら、相手にも伝わるようにわかりやすい振りはたくさん入れました。
――結果に関して目標はありましたか
吉野
自分たちが楽しんでやれば、結果はそれなりに付いてくるだろうなぐらいな感じでしたね。でも表彰台には乗りたかったなと思います。惜しかったですね。
吉田
0.1点差だったので。
吉田
――練習はどれくらい前から始めたのでしょうか
吉野
今回割としっかりやって1ヶ月前くらいから始めました。でも私たち曲をプールで流せなくて。水中のスピーカーや上のデッキがないので全部カウントで数えながら練習していました。
――曲をかけての練習というのは
吉田
きょうが初めてでした。曲が欲しいです(笑)。
吉野
(曲を流す機会を)買ってほしいです(笑)。
――普段は早大のプールで練習しているのでしょうか
吉野
そうですね。早稲田アリーナでやっています。彼女は(吉田)クラブチームに所属しているんですけど、2人は(吉野、田中)部活動だけなので。
――吉野選手はこれで引退となりますが、大学での四年間はいかがてしたか
本当にジェットコースターのような感じでした。良かった時も悪かった時も、辞めかけた時もありましたし。また最後頑張ろうって二人が(吉田、田中)思わせてくれました。本当にいい締めくくりになったと思います。
――続いて吉田選手にソロの演技についてお聞きします。どのようなテーマでしたか
吉田
ジャングルです。
――どのような経緯で決まったのですか
吉田
クラブチームの先生が決めてくださいました。
――初めてのインカレでした。緊張はありましたか
吉田
はい。
吉野
でも最後は楽しさの方が勝っちゃうよね。
吉田
そうですね。
――6位という結果についてはいかがですか
吉田
この前にチャレンジカップという大会(日本アーティスティックスイミングチャンレンジカップ)があったんですけど、その大会よりも点数が落ちてしまったのでこれからまたトレーニングを重ねて早慶戦を戦えるように頑張ります。
――演技中に何か意識していたことはありますか
吉田
シンクロは審判にアピールしないと点数を貰えないので、目を合わせて睨みつけるように頑張りました(笑)。
――最後に1年生のお二人に来年のマーメイドカップへの意気込みをお聞きします
吉田
僅差で負けてしまったので、今回見つかった課題などを修正してもう少し前から練習して二人でリベンジしたいです。
田中
今回正エントリーはしていないんですけど、補欠での出場で大会の雰囲気とかいろいろ感じることができたので吉野さんの分のリベンジも果たせるように頑張りたいと思います。