第103回全国相撲選手権大会 堺市大浜公園相撲場
全国選手権大会(通称インカレ)が11月1日、2日大阪府堺市大浜公園相撲場で行われた。会場には多くの相撲ファン、大学関係者が詰めかけ、4年生にとって大学最後の大会であるインカレにふさわしい盛り上がりを見せた。早大からは怪我の主将川副楓馬(スポ4=熊本・文徳)を除く5人が出場。好調の岡本塁(スポ2=兵庫・報徳学園)を筆頭に早大相撲部は各取組で善戦するも予選で3敗。13位という悔しい結果となった。
予選1回戦は強豪日本大学との対戦となった。先鋒を務めたのは横山司(スポ2=東京・足立新田)。爆発力のある相撲が売りの横山はこの取り組みでも積極的に前に出た。日大西出に対し果敢に右を差しに行くも西出に自らのまわしを取られ、そのまま寄り切られる。続く二陣には内田京汰(社3=静岡・飛龍)が出場。低い姿勢で相手の懐に潜り込むも相手の強烈な張り手で土俵際に追いやられ押し倒しで2戦目も落としてしまう。絶対に落とせない第三戦であったが、中堅の鈴木大介(法4=埼玉・早大本庄)は日大成田に押し出され3連敗となる。嫌な流れを断ち切りたい副将戦、当初軍配は日大伊賀に上がるも物言いがつき上手投げで岡本が勝利。そのまま連勝で次戦につなげたいところであったが大将の剣持京吾(スポ3=神奈川・光陵)は相手に寄り切られ1勝4敗で日大戦を落とす。

大将として出場した剣持
予選2回戦は拓殖大。メンバーに変更はなく先鋒は横山。しかし拓殖大井ノ上の強烈な張り手を受けて引き落とされてしまう。続く内田、鈴木もそれぞれ突き落とし、押し出しで相手に星を落とし、0-3となる。嫌な空気を変えたいところで土俵に上がったのは、好調岡本。立ち合いから強烈な突っ張りで相手を寄せ付けず押し出しで1勝を挙げた。岡本に続きたいところでだったが、剣持は寄り切られ、拓殖大戦は1-4で終えた。

立ち合いに臨む内田
決勝進出のためには落とせない関西大戦。先鋒の横山は勢いよく相手に飛び込むもまわしを取られる。土俵際で粘りを見せ攻勢に転じたいところであったがそのまま寄り切られ、1戦目を落とす。何としてでも白星を挙げたい早稲田。二陣には内田が出場。低い姿勢で相手をつかみ危なげなく突き落としで1勝を挙げる。しかし、中堅鈴木は寄り切られてしまい再度相手に勝利数でリードを許す。後がない早大。集中した面立ちで土俵に上がるのは副将岡本。拓殖大戦に続き立ち合いから強烈な突っ張りで相手の上体を起こし、突き落としで2-2に勝負を戻す。緊張の場面で出場するのは大将剣持。長い手足を生かし相手をつかみに行くも立ち合い変化で後ろに回られ寄り倒しで大将戦を落としてしまう。結果早稲田は2-3で関西大戦を終える。

力強い相撲が持ち味の横山
各取組で善戦したものの団体としては勝利を挙げられず念願の決勝進出とはならなかった。早大相撲部は今年一年間、ぎりぎりの人数で試合に臨むことが多かった。しかし部員たちはけがに苦しみながらも団体ではBリーグからAリーグへと昇格するなど、少数精鋭の布陣で2025年シーズンを力強く戦い抜いた。4年の川副と鈴木にとって今回のインカレは大学相撲最後の大会。主将の川副はけがで出場できない悔しさを抱えつつもチームのために最後までサポート役に回った。中堅として3試合出場した鈴木もチームの精神的支柱として試合を引っ張った。今回の悔しさを原動力にさらなる高みに向かって成長していく相撲部の姿から、今後も目が離せない。
団体Aクラス予選結果
1回戦 日本大学
横山●-寄り切りー○西出
内田●-押し倒しー○ムンフビルグーン
鈴木●-押し出しー○成田
岡本○-上手投げー●伊賀
剣持●ー寄り切りー○鮫島
2回戦 拓殖大学
横山●-引き落としー○井ノ上
内田●-突き落としー○児玉
鈴木●-押し出しー○上田
岡本○-押し出しー●成川
剣持●ー寄り切りー○安藤
3回戦 関西大学
横山●-寄り切りー○吉田
内田○-突き落としー●大山
鈴木●-寄り切りー○森
岡本○-突き落としー●森田
剣持●ー寄り倒しー○山ノ内
0勝4点で13位
◆試合後インタビュー
◇鈴木大介(法4=埼玉・早大本庄)

――今日の試合を振り返って一言お願いします。
自分の思った相撲が取れず非常に悔しい結果に終わってしまいました。最後の大会だったということもあり、非常に悔いの残る形となってしまいました。
ーー今日はどのようなことを意識して試合に臨みましたか。
今日は足を出すことと、今までやってきたことを全部出し切ろうと思って試合に臨みました。しかし、普段のBクラスと違いAクラスの選手には自分の小手先の対処だけでは勝つことができませんでした。そこはとても悔しい点だと思います。
ーー今日でご自身最後の相撲となりましたが、一年を通して特別記憶に残っていることはありますか。
記憶に残ってることは、やっぱり東日本大会の時です。チーム一丸となって、みんなで勝ち切ることができた非常に印象深い思い出です。自分が相撲をやっていて一番楽しかった瞬間だったかなとも思います。
ーー相撲を4年間取り組んだことによって今後に繋がる部分が何かあれば教えてください。
自分は大学から本格的に相撲を始めました。社会人になってもまた1から鍛え直していかなければならないし、成長していかなければならないと思います。またこの相撲人生、そして大学の相撲生活の中で何もできないところから始まり、ここまで来ることができました。気持ちの作り方だったりとか、周りへの配慮といったところを今後に活かしていきたいと思います。
◇川副楓馬(スポ4=熊本・文徳)

4年の川副(左)と鈴木(右)※相撲部提供
――主将としてインカレを振り返って一言お願いします ※メールによる回答
今大会に自分自身が出場できなかったことは、主将としても一選手としても非常に悔しい気持ちでいっぱいです。また、これまで支えてくれたチームメイトをはじめ、応援してくださったサポーターズクラブの皆さま、指導者の方々、そして家族に対して、申し訳ない思いも強くあります。
それでも、主将として自分にできることは必ずあると気持ちを切り替え、大会には仲間の力を最大限引き出すことを意識して臨みました。仲間の背中を押し、部員一人ひとりが自分の好きな相撲、取りたい相撲を全力で取れるようにサポートすることこそ、自分の役目だと感じていました。
結果としては予選を勝ち抜くことができず、決勝トーナメント進出は叶いませんでした。しかし、チーム全員が一丸となり、互いに声を掛け合いながら、非常に良い雰囲気で試合に臨むことができたと思います。勝ち星につながらなかった場面もありましたが、全員が本気で勝ちにいき、持てる力を出し切って戦っていました。その姿には確かな成長と強さを感じました。
後輩たちには、これからも精一杯稽古を重ね、力をつけ、のびのびと自分らしい相撲を追求してほしいと思います。そして必ず良い結果を残してくれると心から期待しています。
私自身、この4年間、多くの方に支えられ、受け入れていただきながら、自分らしい相撲を磨くことができました。早稲田大学で相撲を取れたことは、自分にとって大きな誇りです。ここで相撲を続けたことで、この競技をより深く、より強く好きになりました。これまで支えてくださった皆さまへの感謝を胸に、次のステージでも“早稲田プライド”を持って、全力で挑んでいきます。
◇岡本塁(スポ2=兵庫・報徳学園)

――今日の試合を振り返って一言お願いします。
今日1日を通してどの相撲も思い切りのある良い相撲が取れました。(自分が出た試合に)全部勝てることができたのでとても嬉しい気持ちでいっぱいです。
ーー今日3勝できた要因は、どのようなところにありますか。
今日はとにかく楽しむことだけを考えました。それが勝ちにつながったのではないかと思います。
ーー練習で意識してきたことの中で今日のインカレで実践できたことはありますか。
今までの練習で自分は脇が甘いことが課題としてあったので、(試合では)しっかりと脇を締めることを意識しました。今まで徹底して基礎を練習してきたので、それが今日(の試合で)活きて勝ちにつながったと思います。
ーー今日非常にいいパフォーマンスだったと思うんですが、来年に向けて改善点は見つかりましたか。
僕は個人戦ですぐ負けちゃうんですよ。なので、もっと個人戦でも勝って活躍できるようにしたいです。チームとしては今日は残念な結果で終わってしまったので、もっと僕がチームを引っ張っていけるようになりたいと思ってます。
ーー最後に今後に向けて何かあればお願いします。
今後も変わらず頑張ってまいりますので、応援のほどよろしくお願いします。
投稿が遅くなり大変申し訳ございませんでした。
記事)鳥越隼人 インタビュー)瀧島遼太郎 写真)中村環為、池田健晟