数的不利も「勝てる寸前までいけたことは大きな収穫」 リーグ戦・一部を8位で終える

相撲男子

第73回東日本学生リーグ戦 9月22日 東京・靖国神社相撲場

 東京都心の最高気温は28.7℃。猛烈な暑さが解消され、秋の訪れを感じさせる天候となった22日、東京・靖国神社相撲場で東日本学生リーグ戦が行われた。早大は強豪校がひしめく一部リーグを全敗で終え、一部・二部入れ替え戦に敗れて二部降格が決定したものの、個人では川副楓馬主将(スポ3=熊本・文徳)と岡本塁(スポ1=兵庫・報徳学園)が勝ち越し。欠員と負傷者で不利な戦いを強いられたが、11月のインカレ(全国学生選手権。11月に東京・両国国技館で開催)に向けて良い兆しを感じさせた。

 今大会は大学ごとに対決する団体戦。過去の結果を参考に、強豪校から一部・二部・三部と分類されている。昨年の同大会・二部で8年ぶりに優勝を果たし、一部・二部入れ替え戦に勝利した早大は今大会を一部で迎えた。一部は8大学による総当たり戦。9人制で行われるものの早大・男子相撲部員は7人のため、早大レスリング部の金澤空大(スポ1=千葉・日体大柏)が先鋒で出場。それでも二陣を欠き、各試合前に1敗が確定した不利な状態で大会に挑んだ。

 まず、1回戦は昨年優勝校の日大と激突。先鋒の金澤が押し出しで敗れると、後陣も1勝をもぎ取れず9連敗で初戦を終えた。2回戦の拓大戦でも一方的な負けが目立ったが、横山司(スポ1=東京・足立新田)が土俵際の粘りと自身の体重を生かし、今大会初白星をつかんだ。続く川副も勢いのある押しで勝利を挙げ2連勝としたものの、8番手の剣持京吾(スポ2=県立光陵)が土俵から落ちた際に頭を強打。これにより、早大は2人を欠いた状態で大会に挑むこととなった。その後大将・内田京汰(社2=静岡・飛龍)が一方的な押し相撲で快勝し、2回戦を白星で締めた。

 東農大戦を3勝6敗、日体大戦を1勝8敗で終え、迎えた第5戦の相手は専大。ここまで全敗同士、なんとしても勝利をつかみたい対戦となった。まず先鋒・金澤の相手は小林海偉(4年)。勢いのある押しで相手を追い込むも、土俵際の粘りを見せられ押し出しで敗れた。二陣・三陣を落とし、後がなくなった早大・四陣には岡本が出場。立ち合いから一気の攻めで岡本が勝利を挙げ、流れに乗りたい早大だったが、中堅・鈴木大介(法3=埼玉・早稲田本庄)が押し出され黒星が決定した。

 そして6回戦は中大と激突。三陣までは早大の1勝2敗、四陣・岡本の相手は竹田連太郎(1年)となった。竹田はことし5月の東日本学生新人選手権(東京・靖国神社相撲場)ベスト16で敗れた相手。「勝負だと思い切って勝ちにいきました」と真っすぐ当たる立ち合いを見せると、自身の思い切りの良さを生かして一気の押し。土俵際の接戦になりかけるも、相手の左足が土俵の外へ出ており、岡本は押し出しで勝利をものにした。専大戦・東農大戦でも一方的な押しで白星をつかんだことについては「金沢大会(全日本大学選抜金沢大会、7月・石川県卯辰山相撲場)の体重別が駄目駄目で、そこから練習を積んで。押す力もどんどんついてきていて、いい練習ができている」と手応えを口にした。しかし後続の鈴木・横山・内田が敗れ、早大の今大会初勝利はまたもおあずけとなった。

 一部リーグ最終戦となった第七戦、対戦相手は東洋大。ここで早大が勝利すれば一部最下位を脱し、一部・二部入れ替え戦(一部最下位と二部首位が争う)を回避できる。先鋒・金澤は両四つで膠着(こうちゃく)状態が続いたものの、相手が寄り切るタイミングで小手投げを決め、2分近くの長い取組で白星をつかんだ。二陣は不戦敗、三陣・大村晃央(社4=静岡・飛龍)が引き落としで敗れて黒星先行に。ここで四陣・岡本が一気の攻めを受けて土俵際まで追い込まれるも、またも「思い切りの良さ」を発揮し、力強い押しで相手を土俵際へ。最後は突き出しで白星をつかみ、星を2勝2敗と五分に戻した。その後中堅・鈴木が上手投げで敗れ、後がなくなった早大だが、六陣・横山が土俵際で逆転の小手投げを決めて勝利を挙げた。続いて七陣・川副が押し倒しで勝利、副将戦は不戦敗で4勝4敗となり、東洋大戦の勝敗は大将・内田に委ねられた。両者真っすぐ当たる立ち合いから、五十嵐昇(1年)の力強い突きに圧倒される内田。なんとか流れを打開したかったが相手の強烈な喉輪が効き、最後は押し出しで敗北を喫した。

 これにより一部最下位が決定し、一部・二部入れ替え戦に臨んだ早大。二部1位の駒大に1勝4敗で敗れ、来季の二部降格が決定した。ただし、駒大戦で早大唯一の白星をつかんだ川副は5勝3敗と勝ち越し。「勝ててよかった反面、そこはやはり自分の弱さが出た」と自身の取組を振り返りつつ、「9人制の大会で7人しかいないにもかかわらず、勝てる寸前までいけたことは大きな収穫かな」と成果を感じていた。いよいよインカレまで2カ月弱。川副は「部員のみんなは、今日の大会で良かった点と悪かった点が絶対あると思うので。そこを自分で考えて、その考えたところをまた次の稽古でぶつけてもらう。そうしたら自然と仕上がっていくのかな」と試行錯誤の重要性を口にした。ここからの積み重ねで、ことしの集大成はまだまだ変わり得る。

(記事・写真 中村環為)

試合結果
一部(Aクラス)リーグ戦
1回戦
日大○9ー0●早大
先鋒 羽生参段○(送り倒し)●金澤選手
二陣 與那覇参段○(不戦勝)●(登録なし)
三陣 川上参段○(寄り切り)●大村弐段
四陣 成田参段○(突き出し)●岡本弐段
中堅 田崎参段○(押し出し)●鈴木弐段
六陣 花岡参段○(引き落とし)●横山初段
七陣 里参段○(突き落とし)●川副参段
副将 木崎参段○(寄り切り)●剣持初段
大将 西加参段○(送り出し)●内田弐段

2回戦
早大●3ー6○拓大
先鋒 金澤選手●(押し出し)○斎藤初段
二陣 (登録なし)●(不戦勝)○中本初段
三陣 大村弐段●(寄り切り)○成川初段
四陣 岡本弐段●(押し出し)○五島参段
中堅 鈴木弐段●(押し出し)○上田弐段
六陣 横山初段○(送り出し)●谷内参段
七陣 川副参段○(押し倒し)●児玉参段
副将 剣持初段●(突き出し)○前田弐段
大将 内田弐段○(寄り切り)●安藤初段

3回戦
早大●3ー6○東農大
先鋒 金澤選手○(押し倒し)●岩谷弐段
二陣 (登録なし)●(不戦勝)○松澤初段
三陣 大村弐段●(押し倒し)○木下参段
四陣 岡本弐段○(押し倒し)●山下参段
中堅 鈴木弐段●(すくい投げ)○浅瀬石弐段
六陣 横山初段●(寄り切り)○新保参段
七陣 川副参段●(送り出し)○佐藤参段
副将 剣持初段●(不戦勝)○石川参段
大将 内田弐段○(押し出し)●髙橋参段

4回戦
早大●1ー8○日体大
先鋒 金澤選手●(押し出し)○山口弐段
二陣 (登録なし)●(不戦勝)○奥参段
三陣 大村弐段○(送り出し)●クリストファー参段
四陣 岡本弐段●(押し出し)○デルゲルバト初段
中堅 鈴木弐段●(寄り倒し)○満上弐段
六陣 横山初段●(押し出し)○依田初段
七陣 川副参段●(寄り切り)○バヤルボルド初段
副将 剣持初段●(不戦勝)○新川参段
大将 内田弐段●(押し出し)○杉本参段

5回戦
専大○5ー4●早大
先鋒 小林初段○(押し出し)●金澤選手
二陣 栩内弐段○(不戦勝)●(登録なし)
三陣 スフバット参段○(押し出し)●大村弐段
四陣 齋藤初段●(押し出し)○岡本弐段
中堅 鈴木初段○(押し出し)●鈴木弐段
六陣 新阜初段●(押し出し)○横山初段
七陣 小坂参段●(押し出し)○川副参段
副将 林田初段○(不戦勝)●剣持初段
大将 山田初段●(寄り切り)○内田弐段

6回戦
中大○6ー3●早大
先鋒 中里選手●(不戦勝)○金澤選手
二陣 水崎選手○(不戦勝)●(登録なし)
三陣 久保参段○(引き落とし)●大村弐段
四陣 竹田弐段●(押し出し)○岡本弐段
中堅 岡田参段○(押し出し)●鈴木弐段
六陣 吉野参段○(突き落とし)●横山初段
七陣 岩月弐段●(押し出し)○川副参段
副将 西本参段○(不戦勝)●剣持初段
大将 市川参段○(寄り切り)●内田弐段

7回戦
東洋大○5ー4●早大
先鋒 加藤弐段●(下手投げ)○金澤選手
二陣 小川弐段○(不戦勝)●(登録なし)
三陣 オトゴンバト参段○(引き落とし)●大村弐段
四陣 奥田参段●(突き出し)○岡本弐段
中堅 山岸弐段○(上手投げ)●鈴木弐段
六陣 平河弐段●(小手投げ)○横山初段
七陣 菅原参段●(押し倒し)○川副参段
副将 ミャンガンバヤル参段○(不戦勝)●剣持初段
大将 五十嵐弐段○(押し出し)●内田弐段

一部・二部 入替戦(5点先取)
早大●1ー4○駒大
先鋒 金澤選手●(押し出し)○浴町初段
二陣 (登録なし)●(不戦勝)○石本弐段
三陣 内田弐段●(送り出し)○河本弐段
四陣 川副参段○(押し出し)●阿部初段
中堅 鈴木弐段●(押し倒し)○古田初段
※早大・大将が欠員のため、駒大の5点獲得が確定し試合終了

試合後インタビュー
川副楓馬主将(スポ3=熊本・文徳)
ーー一部8位という結果でした。振り返っていかがですか
いちばんはやっぱり悔しいです。勝てるっていう希望があったからこそ、勝てなかったのはやはり悔しいです。9人制の大会で7人しかいないにもかかわらず、勝てる寸前までいけたことは大きな収穫かなと思います。

ーー川副主将個人としては、今大会5勝3敗と勝ち越していました
いいところもあったのですが、逆に言うと2敗ぐらいは自分で慌てて土俵の外へ出てしまいました。それさえなければもっと白星につながったと思っているので、勝ててよかった反面、そこはやはり自分の弱さが出たと感じています。

ーー7月の東日本学生個人体重別選手権(東京・靖国神社相撲場)は怪我で欠場されていました。体の調子はいかがですか
いまも若干慣らしながらという感じではありますが、だいぶ良くなってきていて。インカレ(全国学生選手権。11月に東京・両国国技館で開催)に向けて調子を上げていくしかないです。

ーーいとこの川副さん(圭太。伊勢ヶ濱部屋所属。令和6年九月場所は西三段目五十一枚目)が今場所7戦全勝で三段目優勝を果たしました。今大会に向けて、何か影響を受けたことはありましたか
いとこなので家族LINEみたいなものがあって。そこで毎回「今日何日目出ます」「勝ちました」「おめでとう」という連絡をしています。毎日勝って優勝までしたことはやっぱり嬉しいし、頑張っているなとか、俺もやんなきゃなっていう刺激にはなりますよね。ずっと憧れなので、そこに追いつきたいなという気持ちがありますね。

ーーいよいよインカレが迫ってきました。ここからどのように調整していきたいとお考えですか
自分自身の課題で言うと詰めの甘さ、土俵際で出てしまう部分があるので、そこをしっかりと修正して自分の強い相撲を取り切りたいです。部員のみんなは、今日の大会で良かった点と悪かった点が絶対あると思うので。そこを自分で考えて、その考えたところをまた次の稽古でぶつけてもらう。そうしたら自然と仕上がっていくのかなと思っています。

岡本塁(スポ1=兵庫・報徳学園)
ーー一部8位という結果でした。個人として、またチームとして振り返っていかがですか
個人的には結構いい相撲が取れたかなと。インカレ前の良い調整になったのではと思っています。それでもやっぱりチームとしてはAクラスに残りたかったです。

ーー今大会でいちばん手応えがあった取組は何ですか
奥田参段(史祐、東洋大・2年)相手の取組です。金沢大会(全日本大学選抜金沢大会、7月・石川県卯辰山相撲場)の体重別が駄目駄目で、そこから練習を積んで。押す力もどんどんついてきていて、いい練習ができているなと思っています。

ーー6回戦では、高校時代やことし5月の東日本学生新人選手権(東京・靖国神社相撲場)でも対戦した、中大・竹田連太郎弐段(1年)が相手でした。立ち合いをどのように考えていましたか
高校大学と1勝1敗の戦績だったので、勝負だと思い切って勝ちにいきました。やっぱり思い切って、前に出ようと臨みました。

ーーいよいよインカレが迫ってきました。さいごに意気込みをお願いします
もっともっとトレーニングして相撲を取って、力をつけて。インカレではいい結果を出せるように頑張ります。

横山司(スポ1=東京・足立新田)
ーー一部8位という結果でした。個人として、またチームとして振り返っていかがですか
やっぱり良くないなというか、個人的に自分の持っている相撲を出し切れていなかったですね。勝ち切るところで勝てないチーム力の弱さといいますか。それが他の相撲部と比べると劣っているかなと思います。

ーーことし6月の東日本学生選手権(東京・両国国技館)にケガ明けで出場されてから、大会を追うごとに調子が上がっている印象があります
それは自分でもちょっと感じていますね。少しずつ足も出てきたりとか、練習でもより良く相撲を取れているので調子をもっともっと上げていって。何とか調整して、自分の中でベストなコンディションでインカレを迎えられるようにこれから頑張っていきたいなと思います。

ーーいよいよインカレが迫ってきました。ここからどのように調整していきたいとお考えですか
土俵際の弱さとか足腰が弱いことだったり、上体がちょっと上がってしまったり。そういうところを直していきたいです。