快挙達成!橋本が全国大会で準優勝を果たす

相撲

相手を押し倒した瞬間、橋本は雄たけびを上げ、喜びを爆発させた。全国大学選抜相撲宇佐大会。昨年は出場すらかなわなかったハイレベルな舞台で橋本侑京主将(スポ4=東京・足立新田)は中大の中村悠星(4年)を破り準優勝を決めた。早大勢が今大会で入賞を果たすのは史上初。早大相撲部にとって歴史的な快挙となった。

橋本は初戦から前に出る相撲で相手を圧倒。2回戦では国体優勝経験のある日大の川副圭太(2年)と対戦。「どんどん先に攻められたのが良かった」と実力者相手にもひるむことなく自分の相撲を取り切った。破竹の勢いで次々と強敵を撃破し、白星を積み重ねていった橋本。高校の後輩でもある羽出山将(東洋大、2年)を一方的な内容で白房下に押し出すと、見事準決勝進出を決めた。そして迎えた準決勝。立ち合いでまず先手を取ったのは橋本だった。押して前に出てからの叩きで相手の上体をうまく崩すと、最後まで攻め手を休めることなく、再度頭からぶつかり、自分よりも25キロ大きな相手を土俵下に押し倒した。橋本は勝利を手にした瞬間、土俵下で見守っていた仲間たちに向かって大きくガッツポーズをした。体重別の大会では全国優勝の経験がある橋本だが、無差別級の全国大会で入賞を果たすのはこれが初めて。「とても嬉しい」と声を弾ませた。また、早大選手の無差別級の全国大会での入賞は実に30年ぶり。橋本自身にとっても早大にとってもうれしい結果となった。また橋本だけでなく、長谷川聖記(スポ3=愛知・愛工大名電)も奮闘。土俵際での粘りも光り、ベスト16入りを果たした。

準優勝を決め、ほえる橋本

 個人戦では快挙が成し遂げられた一方で団体戦は奮わず。初戦では勝ち点こそ取れなかったが、東洋大相手に2勝。全国屈指の強豪校とも互角に戦えることを証明した。しかし、予選2回戦の日大戦で5連敗を喫すと流れは一変。結局、最後まで悪い流れを断ち切ることはできず、12校中11位に沈んだ。宇和島大会に続きベスト8入りを狙っていただけに、悔しさの残る土俵となった。

東洋大戦で豪快な小手投げを決める長谷川

 収穫と課題。その両方を得るかたちになった今大会。特に団体戦では『流れ』の大切さを再確認させられた。橋本、長谷川の2本柱の実力は折り紙つきなだけに、『チーム力』が今後の戦いの大きな鍵になってくるだろう。室伏渉監督(平7人卒=東京・明大中野)は「後は自分との戦いだ」と話す。次なる舞台は6月の東日本学生選手権。今大会の経験を糧に一回り成長した早大相撲部が両国国技館を沸かせてくれることに期待したい。

(記事、写真 望月清香)

表彰式後の様子。橋本は写真左

結果

団体戦

予選1回戦 対東洋大 2勝3敗

先鋒 ●佐藤弍段(押し出し)城山四段

二陣 ◯橋本参段(寄り切り)干場参段

中堅 ●二見弐段(突き出し)羽出山参段

副将 ◯長谷川参段(小手投げ)深井参段

大将 ●鳥居弐段(押し出し)重松参段

予選2回戦 対日大 0勝5敗

先鋒 ●佐藤弍段(押し出し)榎波四段

二陣 ●橋本参段(小手投げ)石岡参段

中堅 ●二見弐段(押し出し)沢田参段

副将 ●長谷川参段(押し出し)宮崎参段

大将 ●鳥居弐段(突き落とし)竹内参段

予選3回戦 対九州情報大 1勝4敗

先鋒 ●佐藤弍段(下手出し投げ)山中参段

二陣 ●橋本参段(引き落とし)遠藤参段

中堅 ●二見弐段(引き落とし)ムンクサイハン初段

副将 ◯長谷川参段(押し倒し)末大初段

大将 ●鳥居弐段(うっちゃり)末隆弐段

※早大は予選敗退

個人戦

橋本侑京参段(スポ4=東京・足立新田)

一回戦 ◯対トゥルトクトホ参段(同志社大)寄り切り

二回戦 ◯対川副参段(日大)押し出し

三回戦 ◯対納谷参段(中大)押し出し

四回戦 ◯対東参段(明大)外掛け

準々決勝 ◯対羽出山参段(東洋大)押し出し

※個人ベスト4トーナメントへ

準決勝 ◯対中村参段(中大)押し倒し

決勝 ●対デルゲルバヤル参段(日体大)押し出し

佐藤太一弐段(社4=大分・楊志館)

一回戦 ●対長内参段(近大)突き出し

長谷川聖記参段(スポ3=愛知・愛工大名電)

一回戦 ◯対佐藤参段(日大)不戦勝

二回戦 ◯対住木参段(中大)寄り切り

三回戦 ◯対丸山参段(東農大)外掛け

四回戦 ●対デルゲルバヤル参段(日体大)とったり

浅田大介参段(社3=石川・金沢学院)

一回戦 ●対渡辺参段(近大)引き落とし

二見颯騎弐段(スポ2=東京・足立新田)

一回戦 ◯対岩倉参段 押し出し

二回戦 ●対中村弐段(日体大)押し出し

鳥居邦隆弐段(社1=愛知・愛工大名電)

一回戦 ●対山内参段(東農大)寄り切り

田太隆靖初段(スポ1=東京・足立新田)

一回戦 ●対デミデジャムツ選手(同志社大)送り出し

コメント

室伏渉監督(平7人卒=東京・明大中野)

――団体戦は11位という悔しい結果に終わりましたが、振り返っていかがですか

初っ端に東洋大に2点取れたので、これはもしかしたらいけるかなという感じがしたんですけど、(日大、九州情報大の)2校とも強豪校なのでそう簡単にはいかせてもらえませんでした。日大戦で0—5で負けてしまったので、その次の流れが良くなかったと思います。気が抜けたわけではないんですけど、一発勝負の怖さとかそういったことを知ることができたので、東日本(学生選手権)に向けて非常に良い経験になったんじゃないかなと思います。

――その一方で個人戦では橋本侑京主将(スポ4=東京・足立新田)、長谷川聖記(スポ3=愛知・愛工大名電)選手が活躍されました

ベスト16に残ってなんとか少しでも入賞できればと思っていたんですが、橋本は決勝までいってくれたので、準決勝では多少足を痛めましたけど、実力を遺憾なく出してくれたかなと思っています。

――橋本選手の今日の相撲の良かったところはどこだと思いますか

自分の本来の稽古場での相撲が取れたというのが非常に良かったので、本当に良い内容だったと思います。

――最後に6月の東日本学生選手権に向けての課題をお願いします。

Bクラスからのスタートになるので、Bクラスの優秀4校には絶対に残って、できれば(Bクラスで)優勝して勢いをつけて Aクラスとの入れ替え戦に出たいなと(思います)。ただこの選抜大会で他大の戦力も分かったので、後は自分たちがどうするか。結局は自分との戦いです。

橋本侑京(スポ4=東京・足立新田)

――個人戦準優勝おめでとうございます!この結果を振り返っていかがですか

嬉しいです。今まで体重別の大会は優勝したことがあったんですけど、無差別級はなかったので準優勝できてとても嬉しく思っています。

――団体戦では2回戦、3回戦で連敗をしましたが、個人戦に挑む際に気持ちの入れ替えなどはあったのですか

宇和島大会では勝てていたんですけど足が出なくて攻め込まれる相撲が多くて。逆に宇佐大会は(団体戦の)1回戦から3回戦まで勝っても負けても足が出ていたので、そんなにプレッシャーもなかったし、(体が)動いていない感じもしなかったので、自信をもって個人戦に臨めました。

――個人戦の相撲を振り返ってきょう一番良かったところはどこですか

やっぱりどんどん先に攻められたのが良かったですね。投げとかにも反応できたので、体も動いていたかなと思います。

――自分のペースで相撲が取れたと

そうですね。常に相手と距離を取って押し相撲で攻めていけたので良かったと思います。

――準決勝後に足を痛そうにしているのが気になったんですが

準決勝で親指を少し捻っちゃって、負けた言い訳にはならないんですけど、まあ大丈夫です。

――最後に、6月の東日本学生選手権でどのような戦いがしたいか教えてください

宇和島大会で日大に勝ててベスト8に入ったというのがすごくチームとして励みになったんですけど、宇佐大会では予選突破できなかったので、宇和島大会で勝ったからといって調子に乗りすぎないようにしっかりまた一からチームづくりをして東日本に臨みたいと思います。

長谷川聖記(スポ3=愛知・愛工大名電)

――きょうの相撲を振り返っていかがですか

内容的には悪くはなかったんですけど、自分の悪いところが出てしまったのでそこは直していかないといけないと思います。

――悪いところとは具体的にどういったところですか

当たって体が起きてしまうというのが癖になっているので、そういうところは直していきたいなと思います。

――団体の予選1回戦東洋大戦では豪快な小手投げも決まっており体が動いているように見えたんですが、調子はいかがですか

調子はまあぼちぼち。良くも悪くもないんですけど、自分的には組み止めて寄り切るっていうのが自分のかたちなので相手を呼び込んだりするのは良くないと思うので、自分の相撲が取れるようになればなと思います。

――最後に、東日本学生選手権に向けての意気込みをお願いします

東日本(学生選手権)はBクラスからのスタートなので、そこは優勝してAクラスでベスト8以上に残れるように頑張っていきたいと思います。