第9回早稲田杯!真剣勝負にデーモン閣下、やくみつる氏も熱視線!

相撲

 平成最後となる早稲田杯が14日に開催された。相撲に興味を持ってもらうことを目的とした今大会は、早大男子学生であれば誰もが実際にまわしを締めて土俵に上がることができる体験イベント。東伏見に集った12人の挑戦者たちは、相撲部特別参与のデーモン閣下(社卒)とやくみつる氏(商卒)が見つめる中、白熱した戦いを繰り広げた。

 まず、2つのグループに分かれて予選を行い、それぞれのグループの上位2名が決勝トーナメントに駒を進めた。し烈な争いを制し、決勝に勝ち残ったのは佐藤亮介(スポ1)と松田凌人(基理3)の二人。佐藤はスポーツ経験はほぼないというが、準決勝ではそれまで土つかずだった勝山烈(文構2)を土俵際のうっちゃりで破り、会場を沸かせた。対する松田はちびっこ相撲の経験がある実力者。昨年10月には早大相撲部の助っ人として東日本学生リーグ戦に参加し、見事白星を挙げた。デーモン閣下が土俵に上がり、こぶしの効いた美声で両者の名前を呼び出すと、制限時間はいっぱい。緊張感が漂う中、優勝を懸けた一番が始まった。立ち合いで当たり勝った松田は、得意の左四つになると前へ攻める。佐藤も負けじと粘りを見せたが、最後は松田が相手の上体をうまく崩し、寄って出て勝利。この瞬間、松田の大会史上初となる二連覇が決まった。

開会式で校歌斉唱をするデーモン閣下(写真右)

 早稲田杯の特徴はなんといっても相撲経験の有無に関係なく誰もが気軽に参加できる点だ。やく氏も指摘するように、メディアで『スー女ブーム』などが度々取り上げられている一方で、相撲界を取り巻く状況は依然として厳しい。入門志願者が年間100人に満たない状況は10年ほど続いている。相撲を取る環境が整っている地域は、全国を見渡してもそれほど多くないのだ。そんな中で、この早稲田杯が果たす役割は大きいだろう。この大会で初めて相撲に挑戦し、その楽しさを体感した者も多い。準優勝を果たした佐藤もそのうちの一人だ。初めは手探りだったというが、大会後には「楽しかったです」と笑顔で語り、来年の出場に意欲を見せた。

大会終了後にはデーモン閣下、やくみつる氏と共に記念撮影。下段中央が松田

 また、この日は約40人もの留学生が見学に訪れた。彼らは日本の国技である相撲を楽しみ、大会終了後には相撲部特製のちゃんこ鍋に舌鼓を打った。ICC学生スタッフリーダーのイルハム氏は「スポーツと伝統文化を混ぜているのが日本独特だ」と語る。スポーツとして、そして日本の伝統文化として、多くの人々に愛されてきた相撲。その魅力がたくさんの人に伝わるきっかけにこの早稲田杯がなっていることを願いたい。

(記事 望月清香、写真 吉岡拓哉)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

コメント

松田凌人(基理3=愛媛・宇和島東)

――2連覇おめでとうございます!今日の試合を振り返っていかがでしたか

去年に比べて参加人数は少なかったんですけど、相手の方がみんな強かったので、去年に比べるとてこずっちゃいましたね。

――そんなふうには見えない強い相撲でした

いやいや…(笑)立ち合いからみんな(当たって)くるなって感じで強かったです。

――今日の試合で何か意識していたことなどはありますか

自分は左利きなので、左でまわしを取れたらいいなって思って取り組んでいましたね。

――3年連続3回目の出場となりましたが、この早稲田杯はどんな存在ですか。春の恒例行事になっているのですか。

去年優勝させていただいて、今年はさすがにおこがましいというか、なんか出るのが申し訳ないなって思っていたんですけど、また今年も出て優勝できたので、もう来年は出場はやめておこうかなと思います。

――そんなこと言わずにぜひ3連覇目指してください

準優勝した佐藤君とかが強いので来年も出てもらって優勝してほしいです。

――早稲田杯の魅力は何だと思いますか

相撲経験者でも未経験者でも裸同士で土俵に入って相撲をできるっていうのは良いと思いますね。やっぱりなかなか経験できないので。今年はサークルの友達を早稲田杯に誘ったんですけど、「無理!無理!やったことないから」って断られちゃったんですよね。相撲の良さがわかってもらえないんですよね…。裸になるのが嫌なのか…。

――相撲の魅力がもっと伝わると良いですね

そうですね!

佐藤亮介(スポ1=東京・上野)

――準優勝という結果でしたが今日の大会を振り返っていかがですか

初めてで相撲のことがよく分からなかったので、みんなの動きとかを見て色々学びながらやっていきました。

――相撲のご経験はないのですか

ないです。

――では、他のスポーツ経験は

小学校の時に少し野球をやっていて、それからは特にやっていないです。

――今日相撲を取ってみてどうでしたか

楽しかったです!

――どんなところが楽しかったですか

上半身裸で組み合ったりするのがすごく楽しかったです。

――また来年も出たいですか

そうですね!予定が合えば出たいなと思います。

デーモン閣下(社卒・相撲部特別参与)、やくみつる氏(商卒・相撲部特別参与)

――今日の早稲田杯を振り返ってみていかがでしたか

デーモン氏年々参加者が増えて、熱戦も多くて盛り上がっているなというのは感じていたのだけど、今年は実は昨年に比べると参加者が若干減っているのね。去年あたりの雰囲気を見ていると、来年もまた出てみたいって言っていた連中が多かったので、そういうリピートでやって来る参加者に期待していたのだけど、(リピーター)が3人くらいしかいなかったから、もったいないなと思った。全体としては去年の方が盛り上がった気がした。もちろん(今年も)盛り上がったのだけど、もっと盛り上がっても良いなと思ったのが率直な感想だね。

やく氏今ここで何人かと話をしたんですけど、本当にこれまで(相撲を)取ったことがないっていう学生が結構いるんですよね。勝てなかった子もいたんだけど、初めて(相撲を)取ったのに勝ち越したなんて子もいる。相撲を見る方は好きだっていう子が日頃はなかなか相撲を取ってみることができない。普段から取っ組み合ったりできる人がいればいいんだけど、そういう環境にない子たちが実際に(相撲を)取ってみたいと思って来ているというのは良い傾向だなと思います。

――早稲田杯は気軽に参加できて良いですよね

やく氏気軽で良いですよ。本来、男子は組んで何かやってみたいという本能的なものがあるでしょ。お相撲は取っ組み合って相手を投げてみたいとか、押してみたいという本能的なものだから、そういった本能に目覚めたやつは幸いだなと思います。

――お忙しい中、毎年早稲田杯に来てくださっているのはどのような思いからですか

デーモン氏我々のスケジュールがなるべく合う日に開催しているんだけどね(笑)我輩の場合は早稲田杯もさることながら、相撲部稲角会(とうかくかい)の役員もやらせてもらっている。それになったきっかけというのは、8年前、9年前に早稲田の相撲部が部員が2人しかいないという存亡の危機にあった。少しでもこういうのをやって相撲に興味を持つ人が増えて、なんなら相撲部に入るという人が出てこないかなということで始まったので、相撲部が盛り上がってほしいという思いでやっている。

やく氏そんなにしょっちゅう伺ったりしているわけではないんだけど、折があれば来ている。なんせお相撲を取り巻く状況が厳しいので、世間では『スー女』が出たとか言っているけど全体の割合からしてみたらそんなことない。その中でなんとか盛り上げようとしているので、(自分を)役立ててもらえればと。今日もお相撲を見るのが好きなやつが出たりしているのだけど、「やくさんを見たくて来てみました」っていうやつが何人かいて、そうすると無駄ではなかったなという気がしますよね。最初は物見斬で良いのでね、いずれ本能に火が付けばまた来年も出てみようかなとなると思います。

――最後に相撲の一番の魅力を教えてください

デーモン氏一番って難しいね。おしなべて言うとスポーツであり、伝統文化であるということになる。

やく氏相撲はそんなにややこしいものではなくて、投げるか出すかの手っ取り早い競技なので、他の競技ではなかなか見よう見まねは効かないと思うんですけど、見よう見まねでなんとかなるんですよ。お相撲をテレビで見ていると、デブが絡んでいるだけかなと思っているやつがいるわけだ。全然そんなことないですからね。興味を持ってやってみさえすれば魅力がわかると思いますよ。

イルハムモハマッド(ICC学生スタッフリーダー)

――早稲田杯を観戦する企画を立ち上げようと思ったきっかけは何ですか

僕は日本の伝統的な文化に興味があり、相撲に対しても興味があります。スタッフとしてイベントを企画しなければならなかったので、僕の相撲に対する興味とスタッフとしてのタスクを混ぜると良いと思いました。また、僕も留学生でなかなか相撲を見る機会がないので、どうやったら留学生が簡単に相撲を見られるのかというふうに考えました。

――今日は留学生の皆さんも楽しんでくださいましたか

顔を見るとみんな楽しんでいると思います。

――相撲の一番の魅力はどんなところだと思いますか

熱心なところ。格闘技が好きなので。

――ご出身のインドネシアには相撲に似た競技や格闘技はありますか

ないですね。

――相撲は海外の方からはどんなふうに映るのですか。

相撲みたいにスポーツと伝統文化を混ぜたスポーツはメジャーにならないので、相撲は日本独特だなと思います。外国ではスポーツはスポーツだけっていう感じ。

――これからは相撲にどういったかたちで関わっていきたいですか

できればまたこういう企画をやりたいなと思います。