インカレ直前特集「奮励努力」。第2回は、選手たちを献身的に支えるマネージャーのお二人だ。小田祐美さん(教4=神奈川・大船)と冨樫みちるさん(文構3=千葉・東葛飾)のペアにお話をうかがうのはことしで3年連続となったが、長く相撲部を支えてきたからこそ分かる選手たちの良さ、そして率直な心境の変化を語っていただいた。
※この取材は10月13日に行われたものです。
「料理をほめてもらえると嬉しい」(冨樫)
料理について熱く語る冨樫さん
――はじめに、お互いの他己紹介をお願いします
小田 文化構想学部3年の富樫みちるちゃんです。最近は、料理のいろいろなレパートリーを増やしていて、私も頑張らなきゃなという感じなのですが、すごく頼もしい後輩です。
富樫 小田祐美先輩、4年生です。普段日頃の人生相談みたいなこともして、仲が良いって言ったら失礼かもしれないんですけど、つながりの深い先輩だと思っています。
――相撲部のマネージャーになったきっかけを教えて下さい
小田 去年と同じなんですけど…。きっかけは本当に些細なことで、ひょんなことから入部して、今まで長く続けさせていただいています。
富樫 私は、中学ぐらいの時から大相撲を見るようになって、相撲が好きになったんですけど、それで、大学の新歓でたまたま声をかけていただいた時に、相撲部があることを知って、じゃあやってみよう!という感じでマネージャーになりました。ここまでやってこられるとは思ってなかったですけど、続けさせてもらっています。
――富樫さんは他の競技ではなく、相撲部だからマネージャーになられたということですか
富樫 そうですね、好きなスポーツは他にもありますけど、特に相撲を見るのが好きだったので、相撲部を選びました。
――マネージャーの仕事は主にどのようなものがありますか
小田 基本的に料理…(笑)。
富樫 一番やっています。ほぼ料理ですね。
――練習中などはどのような仕事をされているのですか
富樫 練習中も料理しています(笑)。
小田 最初の方は掃除とか一生懸命やっていたんですけど、最近はやってないですね。
富樫 前までは、何か仕事ないかなって探していたんですけど…。言われる前にやろうって(笑)。でも結局料理を頑張って美味しくして食べてもらうのが一番貢献度的には高いのかなって。掃除とかは、みんなやろうと思えばできるので。
――先ほど、料理のレパートリーが増えたとおっしゃっていましたが、具体的にどのような料理ができるようになりましたか
富樫 これができるようになった、というより、その場にあるものを見て思いつく料理の品数が増えた、という感じで。最近凝っているのは…。豚肉を部で買っていて、それが、バラ肉みたいな感じで結構平たいんですけど、それを頑張って包丁でミンチみたいにして、料理するっているのをよく二人でやっています。面倒くさいんですけどね(笑)。
――選手の皆さんはどのくらいの量のご飯を食べられるのですか
小田 お米は…升単位です。
富樫 一升が10合なので、人数にもよりますけど、一回の食事だと全員で2升ぐらいですかね。
――マネージャーの仕事をする中で大変なことはありますか
富樫 短い時間でたくさん作るっていうのはやっぱり大変なんですけど、最近先輩との呼吸が合ってきたので、今日は凝った料理担当で、今日は品数を作る担当とか、そういう役割分担とかがしっかりできるようになりました。でも、最初はやっぱり必死でした。お互い。短い時間でたくさん作るっていうのは今だからこそ、できることなのかなと思います。
――料理を作って選手の皆さんに褒めてもらったりしますか
富樫 そうですね。
小田 でもたまに、「この肉まずい…」みたいなことも言われます(笑)
一同(笑)。
富樫 調理した後が美味しくないっていうことじゃなくて、冷凍焼けしているお肉とかに対してなんですけど…。でもみんなよく褒めてくれて、素直に感想を言ってくれて。実はすごい覚えてたりします。これ、みんなすごく美味しいって言ってくれたからまた作ろう、みたいな感じで。
小田 家帰っても嬉しかったりします(笑)。きょうは頑張ったし、うまいって言ってもらえた、みたいな(笑)。
――選手に言われて嬉しかった言葉はありますか
富樫 毎回、ありがとうとか美味しいって言葉を言ってくれて、当たり前みたいになっちゃってますけど、自分の中では、常にマネージャーにお礼を言ってくれる部活ってなかなかないだろうなって思っているので、言われる言葉は大事に思うし、励みにもなるし、すごく心の中で大事にはしています。
――部活についての話題に移らせていただきます。一つ上の代の方が引退されてから、部活の雰囲気に変化はありましたか
小田 4年生の魁(若林、スポ4=岐阜農林)がすごく朗らかな性格なので、部の雰囲気はすごく明るいと思います。
富樫みちる 去年も明るかったんですけど、なんでしょう、明るさの質が違うような気がします。どう違うかは私もわからないんですけど…。
小田 なんか無邪気な感じですかね。
富樫 確かに!無邪気さが増しました。話している時とかにもそれはすごく感じます(笑)。でも、練習の声とかはそんなに変わらないと思います。それは意識しているのかは分からないんですけど、ちゃんと前の代から引き継いでいるのかなと思います。
――マネージャーさんから見た、早稲田大学相撲部の良いところ、アピールポイントなどはありますか
富樫 さっきも少し話にありましたけど、オンオフをしっかり切り替えられるのは素晴らしいなと思います。あとは、今は少しすましているんですけど(笑)。普段すごく楽しそうに賑やかにやっているのに、稽古とか試合ではみんな真面目な顔で汗を垂らしてという姿にはぐっときます。
小田 そういうギャップはいいと思います。
――選手の方々の人柄とか、朗らかっておっしゃってましたけど逆に、ちょっと言いにくいかなと思うんですけど、ここ直してほしいとかあったら…(笑)ちっちゃい声で(笑)
富樫 ちっちゃい声で(笑)
小田 んー・・・。なんだろうな。このままの彼らが・・・(笑)、このままでいてほしいなっていうのはありますね。
富樫 たまになんか、いじりがすぎる・・・。まあ、そのくらいで。(笑)
「相撲部ですごく成長できた」(小田)
相撲部への愛を語る小田さん
――では、お二人に話を戻して、オフの日はどのように過ごされていますか
小田 もうほんとに、昼まで寝てたりとか、土日はすごく早く起きて、9時頃ここに来なきゃいけないので、「昼まで今日は寝られるから寝ちゃお」みたいな感じで、夕方までだらだらしています。
富樫 バイトも結構しているんですか?
小田 バイトも頑張っています。
富樫みちる 私は、そうですね、相撲部が寛大なおかげで、サークルとかもやらせてもらってて、サークル、バイトを主にオフの日はしていますね。ほんとにありがたいですね。
――この対談がインカレ直前対談っていうことなんですけど、マネージャーとしてインカレに向けての意気込みだったり、どういう面で選手の方々を支えていきたいか、お願いします
小田 マネージャーって実は試合に直接はあんまり力になれないし、客席業務じゃないですけど、サポーターズクラブの人とか、相手の接客みたいなことを一生懸命やりたいなと思っているんですけど。結構サポーターズクラブの人たちが結構マネージャーに対しても気を配ってくださって、4年生になると就活のこととかでも力になってもらったりして、すごく力になってもらっているなって実感したので、そうしたところの感謝を返して行けたらなあっていう気持ちはあります。マネージャーがサポーターズクラブの人たちに一生懸命接客をすれば、より一層サポーターズクラブの人たちが相撲部全体を応援しようっていう気持ちにつながるのかなっていうのはすごい考えています。
富樫 私も似ているんですけど、縁の下の力持ちっていうか、勿論みんなが試合に集中できて、例えばマネージャーがいかないような部分は、結局選手の中で、土俵のすぐそばにはいけないので、そこはやっぱりやってもらわないといけないから、その分のことをいかにマネージャーがやって気をまわしてやるかだなっていう風に思っていて、でもそれも仕事としてやるんじゃなくて、さっき先輩がおっしゃったように、本当にいつも応援してくれる人への感謝を返すっていう気持ちをもって、インカレは特にやらないといけないなあって。普段より、強く意識して頑張ります。
一同 ありがとうございました。
――一年生の時に相撲部に入られて、決心があったと思うんですけど、その四年間振り返って、早稲田の相撲部でやってきてよかったという思いはありますか
小田 やっぱり、すごく成長はできたかなあとは思っています。一年生の時、何にもできなくて。料理も何にもできないし、試合とかでも、まだ自分のことでいっぱいいっぱいで、周りに目がいかなかったとかいうこともいっぱいあったんですけど、だんだん学年が上がるにつれて、ああしたほうがいいんだなとかこうしたほうがいいんだなとか、料理とかもできるようになったりとか。けっこう、やっぱりさっきみちるちゃんが言ってたようにいじり?とかも・・・(笑)。スルースキルというか・・・(笑)。
富樫 いじり耐性をつけたよね。
一同 (笑)。
小田 なんかその、いろんな人と、やっぱりOBの人だったり、彼らみたいな人だったり、接することができたので、すごくいい人生経験だったなとは思います。
、
――富樫さんは、先輩が引退されるということで、寂しさとかはありますか
富樫 はい。ものすごくありますね。やっぱり、たまにどっちかが休んだ時に、一人でやることが多いと思うんですが、その度になんか、仕事してて、しゃべる人がいないって、ああ、こういうことなんだなあと思いますし、もちろん、作業効率的にも、二人が一人になるっていうのは、大きな変化だし。本当に、ここまで3年目になって、いろんな呼吸を合わせてやって来たから、それが一人になって、どうしようかっていう戸惑いと、あと来年もしかしたら新しいマネージャーさん入ってくるかもしれないんですけど、その子とまた同じようにここまで積み上げるっていうのも、まあ頑張りますけど、大変だなあと思って。かけがえのない存在。まあ、失うわけじゃないけど、卒業されて、その分一人で、頑張っていかねばっていうところですが、不安が正直大きいですね。
――最後に、(富樫さんは)以前稀勢の里ファンっておっしゃってたんですけど、どうですか稀勢の里。結構復活したのかしてないのか微妙なとこですけど
富樫 あまりしてないんじゃないかなって思ってはいます。見ていて。ただ、最近は本当に客観的に見られるようになってきました。相撲部に来るようになって、ワセダの相撲部が、今までの稀勢の里の位置に置き換わって、だから、普段の試合は、ほんと緊張してあまり見るのも嫌なんですけど、稀勢の里は、その分、すごいリラックスして(笑)。
一同 (笑)。
富樫 「頑張れー!」みたいな感じで見られるようになったので。なんか、頑張ってほしいってすごく応援していますけど、最近は一歩引いています(笑)。
――ありがとうございました!
(取材・編集 安岡菜月、白石千奈美)
この3年間、相撲部を二人で支え続けました
◆小田祐美(おだ・ゆみ)
1996(平8)年12月21日生まれ。神奈川・大船高出身。教育学部4年。長く相撲部を支えてきた縁の下の力持ち。物静かな印象ですが、部員たちの良き理解者であるようです。
◆冨樫みちる(とがし・みちる)
1997(平9)年8月22日生まれ。千葉・東葛飾高出身。文化構想学部3年。普段はマネージャーに加えて、サークル活動にも励んでいる二刀流の冨樫さん。好きな力士は稀勢の里で、インタビューでは笑顔でその話をしてくださいました。