【連載】インカレ直前特集 『Wの相撲道』【第5回】鬼谷智之×本田煕誉志×市川拓弥

相撲

 インカレ直前特集「Wの相撲道」。最終回「大将戦」は、4年生トリオだ。主将の重責を担う鬼谷智之(スポ4=愛知・愛工大名電)、常に最前線で戦ってきた本田煕誉志(社4=大分・楊志館)、そして主務としてもチームを支えた市川拓弥(社4=長野・更級農)。インカレが最後の土俵になる3人に、ふるさとの自慢や、相撲への愛、インカレへの思いを聞いた。

※この取材は10月7日に行われたものです。

「相撲をやってきたからいろんな人に出会えた」(市川)

優しい語り口の市川

――まず、お互いのメンバー紹介をお願いします

鬼谷 市川は、ずっと主務を務めてくれていて、本当にしっかり者です。部の仕事は市川に任せておけば安心という感じです。仕事もしっかりしてくれますし、後輩への面倒見もすごく良くて、みんなから慕われている先輩だと思います。これでいいかな。

市川 はい(笑)。本田は、同期で唯一の同じ学部で、4年間ずっと同じ部屋で暮らしてきたのですが、勉強においても、相撲においても、手が届かない存在です。

本田 いやいや、絶対嘘!(笑)

市川 勉強も、知識もすごくあって、何事にも熱心に、集中して取り組む姿勢は見習わなくちゃいけないなと思います。就活においても、勉強においても、相撲においても。練習も、一人でテッポウとか、腕立てとか、いろんな練習をしっかりやっているし、試合でも成果を出しているし。授業においても、成績も出てるし。本当に見習う存在だなと思います。

本田 いやいや。ありがとうございます(笑)。鬼谷智之です。1年間、キャプテンとしてチームをまとめてくれているので、僕たちも頼りきりの部分があるかもしれませんが、彼は独裁政治でチームを引っ張るタイプではなくて、いい意味で親しみやすさを持ってチームを引っ張っていくタイプなので、チームの雰囲気もいいなと思っています。さっき、市川くんが真面目に取り組んでいると言ってくれたのですが、それ以上に鬼谷くんは、背中で語るというか、そういうところを見せてくれているので、頼りになるやつだと思っています。

――4年間の相撲部での生活がもうすぐ終わろうとしています

市川 実感がないですね。自分は、4年間どころか、これで相撲人生が終わるので、今まで、当たり前の生活の中にあった相撲がこれで終わるのが、自分でもどうなるのかまだわかりません。新たに、違うことを見つけられればいいなと思うのですが、正直見つからないと思います。相撲をやってきたからいろんな人に出会えたし、いろんな経験もできたので、4年間続けてきてよかったなと思います。

本田 僕も実感がないというのが本音です。僕も14年、相撲をやってきたのですが、あっという間に日々が経ったという感じです。これで僕も、相撲の競技人生が終わるので、インカレでしっかり締めくくれたらなという気持ちです。

鬼谷 僕も5歳から、相撲だけを続けてやってきて、一応11月で終わるということで、寂しい気持ちです。この1ヶ月は、とにかく楽しんで、稽古をやっていこうと思っています。相撲人生の中でも、この4年間は濃くて、それは仲間に恵まれたり、スタッフの方々にも恵まれたりしたので、インカレで恩返しできるようにしていきたいと思います。

――では、一度相撲の話は置いておいて、いろいろな質問をさせていただきます。まず、早稲田でおすすめの学食のメニューはありますか

本田 学食は正直、そんなに行かないですね。安いとは思うのですが、量とか味が限られてくるので。おすすめのワセメシということで、質問を勝手に変えさせていただいて答えると(笑)、僕が最近おすすめなのは、キッチングラッソという、唐揚げ屋さんがあって、あそこはとてもおいしくて。週3ぐらい行ってます。

鬼谷 僕も、学食は量が少ないのであまり食べません。僕がよく行く所は、東伏見の隣の駅の定食屋さんです。週2回ぐらい通っていて、味もしっかりしていて、ご飯の量も多いので、よくお世話になっています。

市川 自分はラーメンが好きで、一年生の頃からラーメン屋に行っていました。一番うまいと思ったのが、南門の「図星」という油そばです。初めて食べた時はすごく衝撃を受けて、その後、いろんな油そば屋さんに行っても、図星の油そばの印象がついちゃって、足を運んでいます。おいしいです。

――試合前に食事で気をつけていることはありますか

本田 試合前だから食事に気をつけるというのはないのですが、僕は普段から野菜を多く摂るようにはしています。野菜不足がちになるので、健康管理をしています。試合前は、甘いものが好きなので、チョコレートを食べたりしています。精神安定剤ではないですが、試合の途中とかも食べていたりします。

鬼谷 試合前に、生ものを食べないことですね(笑)。お腹が弱いので。気をつけるようにしています。

市川 試合の前だけ変えると、いつも通りの力が出ないので、昔から、いつも通りの食事をしていて。試合の日は、食べ過ぎちゃうと戦いづらいので、あまり食べないようにしています。

――練習がない時のリフレッシュ方法は

本田 オフの日にやっているのは、自分磨きですかね(笑)。それは冗談としても、自分のために時間やお金を使うのがすごく好きなので、服を買いに行ったりとか、買い物しに行ったりとかそういうことが多いです。最近は、もっぱら高円寺に行っています。

鬼谷 僕も、オフの日は外に出ています。友達とご飯に行ったり。あと、多いのは、僕はスポーツ科学部なのですが、体育会の友達がいて、他の部の友達の試合を見に行くこともあります。友達が頑張っている姿を見たら、刺激をもらえるので、よく見に行っています。最近は、バスケに行きました。

市川 自分は1、2年生に比べて外に出なくなりましたね。でも、一人でいろいろ行動しています。好きな時間に好きなところに行っています。買い物とか、いろんなお店を見たりとか。最近はバイクの教習所に行っています。

――最近、ハマっていることはありますか

本田 僕は今、部屋で観葉植物を育てています。モンステラです。水やりとか、外に出して日に当ててあげたりとかしています。成長を見るのが楽しいです。

鬼谷 僕は、青汁ですね(笑)。健康のために、自分で作って飲んでいます。自分の飲みたいときに、好きなときに飲んでいます。

市川 自分は、この前のリーグ戦で、体重を100キロ未満級で登録していたので、食事制限とランニングをしていました。今までランニングはあまりしなかったのですが、始めてからハマってしまっています。歩いていても、走った方が楽に思えるぐらいです。

――寮での過ごし方は

本田 のびのびとしています。市川くんと4年間同じ部屋で、のびのびと。僕は風呂に入るのが好きで、1日3回ぐらい風呂に入ったりしています。のんびり過ごしています。

鬼谷 僕は、読書ですね。

本田 見たことないな(笑)。

鬼谷 最近は、TOEICのテストに向けて、英語の勉強をしています。あと、ユーチューブも見てます。お笑いが好きで、コントや漫才を見ています。

市川 自分は、前まではずっとDVDを借りて、映画を見ていましたね。SFやアクション系が好きです。マーベル作品とか。「ミッションインポッシブル」とか、洋画を結構見ています。

――授業と部活との両立はどうですか

本田 うちの部活は、監督が授業優先でやれと言ってくれていて、平日も稽古が19時からなので、授業にはちゃんと出て、部活という感じです。テスト前とかは、復習がありますが、勉強が苦しかったことはないです。両立はできていたのかなと思います。4年生になって、単位が厳しいような人はいないので、文武両道ができていたのかなと思いますね。

――8月の選抜十和田大会(青森県)に取材にうかがった際に、鬼谷さんが「寒かった」とおっしゃっていたのが印象的でした。まわしだけだと、やはり寒いんでしょうか

本田 本当に聞きたいことはそこですか。それとも、デブって寒いんですか、みたいな(笑)。

――いやいや(笑)。相撲を取る方が、寒いとおっしゃっているイメージはあまりなかったので、どうなのかなと

鬼谷 青森は寒かったですね。夏なので、一応ジャージは持って行ったのですが、要らないだろうなと思って。普段自分は暑がりのはずなんですが、青森は寒かったですね。

――冬の稽古はどうですか

本田 汗をかく前は、みんな上着を着たりしています。寒いです。さすがに人間なんで(笑)。

――市川さんは、地元・長野での稽古は寒くなかったですか

市川 そうですね、まわしを置いておくのですが、まわしを巻くときに、まわしがすごく冷たくなってるんです。一回ストーブでみんな温めてから巻いたりしていました。

本田 俺もやってたな。

市川 あと、周りは氷点下で、足が寒くて。最初は、足をずっとつけてはいられなかったですね。そんな生活をしていました。

――みなさん、全国各地から上京されています。それぞれの、ふるさと自慢をお聞きしたいです

鬼谷 僕は、高知県の土佐清水市の出身です。高知県の一番端っこで、四国の最南端の街です。カツオが有名で、魚はとてもおいしいです。海がきれいで、自然豊かなところで育ちました。きれいな街です。子供の頃は、野球とかして、遊んでいました。

本田 僕も、教育実習で3週間大分に帰っていて、東京との違いを感じてきました。田舎ならではなのは、時の流れが違うというか。動いてたのに、まだこんな時間か、という。僕自身、そんなのびのびした環境で育ってきたので、東京のソワソワした感じには、いまだに慣れていないです。また、大分は温泉が有名で、疲れたときに温泉に入ってリラックスすることもできます。鶏も有名で、確か消費量が全国1位です。鶏天とか唐揚げも有名で、すごくおいしいですよ。

――宇佐大会の取材でうかがったときに、中津市で唐揚げをいただきました

本田 そうですか。中津で食べたんですか。中津と宇佐は、どちらも唐揚げが有名で、争っているんです。僕的には、あまり違いがわからないんですが(笑)。地元の人は、「中津の方がおいしい」「宇佐の方がおいしい」って、すごく争っています。

――市川さんは長野県のご出身ですね

市川 自分は長野市で、盆地で山に囲まれています。山に囲まれたところで生きてきたので、それで安心できたというか。東京に来て、山がないので、それが不安で。山で方角とかがわかるので、それがなくなって、最初は怖かったです(笑)。長野は、オリンピックがあった所なので、いろんな施設もあるし、善光寺もあって観光もできます。果物も、りんごや桃がたくさんあります。そばも有名です。この前、自分も教育実習で長野に帰って、田舎ならではの人の温かさを感じて、地元っていいなと思いました。

――卒業が近づいていますが、今後の進路や、将来の目標をお聞きしたいです

本田 僕は金融関係です。将来、海外に出たくて。英語ができるわけじゃないのですが、これから勉強して、海外でも活躍できる人になりたいです。

鬼谷 僕はまだ、進路が決まっていなくて、どうなるかわかりませんが、将来的には、ずっとやってきた相撲に携わるようなことをしたいなと思っています。いずれは、相撲をしている少年たちを指導できるような人になりたいです。できれば地元で、相撲をしている人も少なくなっているので、恩返しができるようにしたいなと思っています。

市川 自分は、地元で相撲をやってきて、地域の方々に応援されたり、支えてもらったということがあったので、いずれは長野に帰って地元に貢献できる仕事がしたいと思っていました。長野県警にいくのですが、今まで、応援してもらった人たちを今度は自分が警察官になって守っていきたいという思いが強いです。目標としては、白バイ隊員になりたくて、自分が交通安全の見本となれるように、地域の交通を守りたいです。

――相撲部は、遠征が多いですね。印象に残っている遠征先や、おいしかった食べ物はありますか

本田 僕は、金沢で、のどぐろがうまかったですね。食べたのは初めてだったんですが、こんなにおいしい、脂ののった魚があるのかと思って、感動しましたね。

鬼谷 僕は、十和田に行った時に食べた、B級グルメの「バラ焼き」ですね。すごくおいしくて、ご飯が何倍もいけました。

本田 何倍食べたんですか。

鬼谷 2杯ぐらい(笑)。

本田 全然食べんやん(笑)。

市川 自分もバラ焼きって言おうと思ってました。あと、鬼谷の地元に、遠征の途中や合宿でお世話になったことがあるんですが、そこで食べたカツオのたたきとか、刺身とか、貝とか、いつ行ってもおいしくて。

本田 (長野は)海ないもんな。

市川 そう。スーパーの、トレーに入った魚しか食べたことなかったので、新鮮な魚が食べられたことは、印象に残ってますね。

――みなさん、好きな女優さんはいますか

本田 めちゃくちゃいるんですけど(笑)。最近は石原さとみですね。他にも、水原希子とか。濃い感じが好きですね。あと高畑充希とか、中条あやみも好きですね。同学年の小松菜奈も応援してます。

鬼谷 なに応援しとるんや(笑)。僕は、前からずっと川口春奈さんが好きで。インスタを毎日チェックしています。この前もドラマとか、川口春奈さんの…。

本田 なんでさん付けなん(笑)。

鬼谷 いや、もしかしたら本人が見るかもしれないから(笑)。あとは、内田理央さんも好きですね。もちろんインスタもフォローして。すごいきれいな方だと思いますね。

市川 自分は木村文乃さんです。この前のドラマを見てさらに好きになりました。

――お2人(鬼谷・本田)は、試合の時に髪型へのこだわりがあるのかなと思っていたのですが、どうですか

本田 いや、こだわりは別になくて。じゃまなので拭うだけです。

鬼谷 じゃあ切れよ(笑)。

本田 ただ、切ると、僕は顔が怖いので、みんなから恐れられるかなと思って。優しい雰囲気が出るようにしています。

――怖い雰囲気だと、試合で相手に脅威になるのでは

本田 そうですね。試合の時は良いんですが、日常生活にちょっと問題が(笑)。試合では、髪じゃなくて顔で威嚇します。

鬼谷 僕も、2年生、3年生の時は迷っていて、いろんな変な髪型にしてました(笑)。4年生になって主将にもなったので、しっかり短くしようと思ってます。じゃあ市川。

市川 僕はいいです(笑)。

「14年間、ブレずに」(本田)

突き押し一筋の本田

――監督(室伏渉監督、平6人卒=東京・明大中野)についてお聞きします。試合でお会いして、お父さんのような方だなと感じているのですが、どんな監督ですか

本田 メリハリがすごくあって、稽古や試合の時は厳しい部分もあるんですが、打ち上げとか、部員と一緒にご飯食べる時とかはすごくフランクに話してくれるので、頼りがいのある監督です。

鬼谷 監督というと、上から「やれ、やれ」というイメージだと思うんですが、(室伏)監督は、自分たち学生と同じ目線に立ってくれていて、すごく接しやすくて、コミュニケーションも取りやすいです。相撲の時は厳しい指導ですが、メリハリがあって、自分もついていきやすいです。

市川 監督はすごく熱くて、選手よりも熱いんじゃないかと思うくらい。自分たち以上に、負けて悔しいという気持ちが伝わってきて。親しみやすいというのもあって、監督に出会えてよかったなと思っています。

――では、相撲の話に戻ります。今年の大会を振り返っていただいて、個人として相撲の結果はいかがですか

本田 僕は、2・3年生の時に比べると結果も出ていなくて、試合で迷惑をかけることが多かったというのが印象です。何が変わったのかは、自分でもよくわからなくて。けがもあったのですが、それが原因ではないです。4年生のプレッシャーは、感じていないつもりですが、心のどこかでそういうのがあるのかなと思っています。この1年間迷惑をかけてきた分、インカレでは自分たちの4年間の集大成として、みんなを引っ張れるように頑張っていきたいです。今までやってきたことしか出ないと思うので。

鬼谷 個人的には、勝たなければいけないところで負けてしまうことが多くて、チームメイトに迷惑をかけることが多かったです。最近は徐々に良くなってきているとは思っていて、インカレに向けて、4年生が中心となって、チーム全員で勝ちにいきたいですね。

市川 自分は今までけがが多くて、試合にも出られなくてサポートする方が多かったのですが、今年は監督が地方大会で試合のメンバーに選んでくださいました。勝った試合はあったのですが、なかなか期待に応えられず、負けることが多かったです。これから挽回していこうと思ったのですが、首のけがをしていて、相撲を取れない状態になってしまいました。それからは試合にも出られなくて。ただ、その状態は良くなってきているので、インカレは個人戦だけでも出たいという意思は監督に伝えています。この5人が戦うのは最後なので、団体ではサポートとして選手を支え、個人戦にもし出られたら、最後の舞台をしっかり締めくくりたいです。

――長い間相撲を取ってこられたと思いますが、ご自分の一番の強みはなんですか

本田 僕は、ずっとこの14年間、ブレずに「立ち合いからの突き押し」です。むしろ、それしかないので、それができなかったら、負けになってしまいます。これから、もっと精度を上げていって、自分の相撲が取りきれれば、おのずと結果はついてくるかなと思います。

鬼谷 僕も、ここまでずっと押し相撲でやってきました。特に、「立ち合いの出足」を意識しています。スピードで相手を一発で持っていくのが自分の相撲なので、しっかり、この後1ヶ月はそこを意識してやっていきたいです。

市川 自分は身長がないし、手足も長いわけではないので、技の相撲は得意ではなかったので、「立ち合いからの押し」、押し相撲を得意技にしています。

――今年で相撲部は創部100周年を迎えました。思いはありますか

本田 100周年を飾るために、自分たちが結果を残せたら、それが一番いいのですが、そこで変にプレッシャーを感じて、自分たちを追い込んでも、僕はだめだと思っています。もちろん、4年生として、僕たちが頑張って、100周年の年に結果が残ればそれでいいんですが、早稲田大学相撲部は100年目で終わるわけではないので、次の101周年や102周年のための、土台作りというか、そういう形で後輩に渡していきたいなと思っています。

鬼谷 僕も、周りのOBの方や、応援してくださる方に、今年は100周年なので、しっかり結果を残してくれと言われていて。それは多少はプレッシャーにはなりますが、監督から、「100周年ということは気にせずに、自分たちで頑張れ」と言ってもらっています。変に意識することはもうやめて、自分たちでしっかり成績を残すんだという風に考えてやっています。

市川 入試の頃から、4年生の時には100周年になるということを知らされて、そういう説明を受けたりしていました。いろいろ感じることはあるのですが、プレッシャーに感じず、いつも通りやっていければと思っています。一番思うのは、100周年の時に(相撲部に)いられたことが嬉しいですし、100周年に卒業できるというのは、これからも自慢できることだなと思います。

「本当に、このチームが好き」(鬼谷)

チームへの愛を語る鬼谷

――みなさんが1年生の時は、インカレでも2部で敗退していました。昨年からは1部で戦い、今年も東日本学生選手権では6位に入りました。成長してきた相撲部を、自分たちが引っ張ってきたという意識はありますか

本田 いや、それは全然ないですね。東日本にしても、後輩が頑張ってくれたおかげで、6位という結果になったと思っていますし、支えてくれるみなさんがいるので、僕たちも頑張れる環境にあります。自分たちがやったというよりも、他のみんなが一緒に頑張ってくれたという思いがあります。インカレでも、まだ上はあるので、もっと上を目指していきたいなと思っています。

鬼谷 僕も1年生の頃から試合には出させてもらっていましたが、東日本も、インカレも、2部で勝てなくて、自分は何をしているんだというぐらい落ち込んでいました。5人入ったので、期待されていたのですが、1年目は結果を残せなかったので、悔しい思いをしていました。そこから、監督や自分たちの意識が変わって、しっかり結果を残さなければいけないという意識が生まれて、稽古場の雰囲気も違ってきましたし、「自分たちでやる」という思いは出てきたので、上の成績につながっていると思います。あと、ワセダはすごく応援してくれる人が多くて、この前の東日本も、すごく応援の方々が来てくれていました。お米を送ってくださる方もいて、本当に力になっています。

市川 自分たちは、低迷していた頃と、1部での戦いを両方経験している代です。自分たちが引っ張ってきたというよりも、先輩たちが、数が少ない中で自分たちをずっと引っ張ってきてくれて、ここまで強くしてくれたというのは強く感じています。OBの先輩とか、コーチが、毎回試合に来てくれて、アドバイスもしてくれますし、応援の方々も来てくださるので、相撲部だけではなく、ワセダの関係者全員で勝利しているという感じです。ワセダというチームは、団結力が強いなと感じています。

――4年前を思い出していただいて、今、ワセダに入ってよかったなという思いはありますか

鬼谷 僕は、ワセダに入ってよかったなと思うのは、インカレが終わってから、インカレで結果を残して思うことだと思います。

本田 ずるいなそれ(笑)。

市川 それ言われたら…(笑)。

鬼谷 そう思えるように、みんなで結果を残していきたいと思っています。

本田 部活ももちろんそうなんですが、学生生活においても、出会った友達とか、メンバーとか、出会いはすごく大切にしていきたいと思いますね。あと、どうしても1部の強い大学になると、監督の力も強くて、部活中心の生活になると思いますが、うちは全然違って、勉強もできるし、相撲もできるし、プライベートな時間も充実した生活を送れるので、他の大学とは違う部分がありますね。そういう意味では、4年間、充実した生活を送ることができたので、ワセダで良かったなと思います。

市川 高校まで、いろいろな大学の相撲部の合宿に行っていた時に、上下関係の厳しさを見て、「大学ってこういう感じなんだ」と思っていましたが、実際ワセダに来たら、上下関係はありますが、アットホームな感じがすごく居心地が良くて。それでこの4年間頑張ってこれたなと感じているので、この相撲部に来れてよかったなと思っています。

――みなさんの、相撲への愛、もしくは相撲部への愛を語っていただきたいです

鬼谷 これは日が暮れるな(笑)。

本田 24時間あっても語り尽くせない(笑)。まあ、僕の場合は、小さい頃からやってきて、周りの人たちに支えられたというのが大きいですね。最初は、相撲をやりたくて始めてわけじゃなかったので。嫌々ながらも、稽古に通う中で、先輩とか、同級生、後輩もそうですが、いろんな人に支えられながら、他が頑張っているから頑張れたというのがあります。そういう中で、勝ったら嬉しくて、負けたら悔しいというところでだんだん相撲にはまってきて、愛が深まったのかなと思ってます。振り返ってみると、この14年間は、本当にいろんな人に支えてもらったので、感謝しています。彼ら(同期)にもね。あまり5人も入ることはないんですが、5人も入って。もし仮に、1人とか2人とかだったら、ここまで頑張れていないのかなと思います。他の4人がいたからこそ、この4年間頑張ってこられましたね。

鬼谷 では僕は、相撲部への思いを。(選手が)10人ということで、他の部より少ないと思うのですが、それもあって全員が仲良くて、それが一番いいところだと思います。上下関係はあるんですが、みんなで一緒にゲームたり、遊んだり、ご飯を食べに行ったり、そういうので団結力が深まると思うので、普段の私生活から、みんなとつながりを持てて、僕自身ここにいてすごく楽しいです。それは1年生の頃からなんですが、4年間、厳しいながらもすごく楽しい環境にいられたなと思うので、ワセダの相撲部には感謝していて。これからも愛し続けようと思います。

市川 ずっと昔から、応援してくれる人がいて、家族の支えもあって相撲を続けてこれたし、その人たちに恩返ししたいという気持ちがあって頑張ってこれました。感謝の気持ちがあったからこそ、頑張ってこれたと思います。相撲というだけで、地域の方もみんな応援してくれますし、地域の人たちの愛もあって、相撲を好きになれましたね。

――最後に、来たるインカレへの意気込みをお願いします

本田 4年間の集大成です。勝負の世界なので結果が全てかなと思っています。さっき、100周年の話も出てきましたが、結果を出してなんぼの世界なので、僕たちの世代として結果を残したいという思いはすごく強いです。あと1ヶ月あるのでしっかり稽古をして、万全の状態まで準備をします。インカレ1部優勝という目標を僕たちは掲げているのですが、それを達成できるようにしっかりと準備して、結果を残して。あとは勝ちにこだわっていきたいなと思います。

市川 自分は、(試合に)出るにしても出ないにしても、選手をしっかり支えて、盛り上げる態勢をつくっていきたいと思います。個人としても、最後なので、有終の美を飾りたい、自分らしい相撲を取って終わりたいなという気持ちは強いです。1年生の頃から応援してくださった方とか、コーチとか、一番はここまで育ててくれた監督に、いい思い出をプレゼントしたいですね。

本田 胴上げしよう。

市川 胴上げできるくらい成績を残して、最後終わりたいという思いです。

鬼谷 そうですね。集大成ということで、このスタッフと部員で戦える最後の大会です。僕は本当にこのチームが好きで。最後だと思うとすごく寂しいのですが、その分、みんなで勝ちを取りにいって。監督やコーチ、部員の方々にも、自分はすごい迷惑をかけてきたので、その方々をしっかり笑顔にできるようにみんなで戦って、自分もしっかり監督やその他の方々を胴上げできるように。笑って、泣いて、終われるようにしたいです。

――ご自分も、胴上げしてもらいたいですか

鬼谷 もちろん、そのつもりです(笑)。

――ありがとうございました!

(取材・編集 元田蒼、石名遥)

笑顔の3人

◆鬼谷智之(おにだに・ともゆき)

1995(平7)年6月18日生まれ。170センチ、125キロ。愛知・愛工大名電高出身。スポーツ科学部4年。チームへの愛があふれる鬼谷主将。鋭い立ち合いで相手を圧倒するその相撲は、見る者を魅了します。インカレでも、気迫のこもった相撲に注目です!

◆本田煕誉志(ほんだ・きよし)

1995(平7)年11月14日生まれ。175センチ、130キロ。大分・楊志館高出身。社会科学部4年。軽妙なトークで対談を盛り上げてくれた本田選手。常に最前線で相撲を取り続けてきました。14年間、一途に磨いてきた突き押し。その集大成の相撲に期待が高まります!

◆市川拓弥(いちかわ・たくや)

1995(平7)年7月12日生まれ。171センチ、99キロ。長野・更級農高出身。社会科学部4年。卒業後は警官の道に進む市川選手。主務として長くチームを支えてきた存在です。インカレ個人戦で有終の美を飾れるか。こちらも目が離せません!