インカレ直前特集「Wの相撲道」。第3回「中堅戦」は、相撲部を支えるマネージャーのお二人だ。小田祐美さん(教3=神奈川・大船)と冨樫みちるさん(文構2=千葉・東葛飾)に、仕事や料理について、さらに相撲部への思いをうかがった。
※この取材は10月7日に行われたものです。
4年生は「頼りになる方々」(小田)
静かに語る小田さん
――お互いに他己紹介をお願いします
小田 文化構想学部2年生の冨樫みちるちゃんです。きょねん入ってきてくれて、すごく助けられています。料理がすごく上手くて、いろいろ尊敬するところが多い後輩です。
冨樫 教育学部3年の小田祐美先輩です。部はやっぱり男所帯なところがあって、先輩が1年前に入ってなかったら、私は多分ここに来ることはなかったので、そういう意味でも大きな存在です。
――マネージャーになった経緯を教えてください
小田 うーん、ちょっと、ポスターが欲しくて…(笑)。相撲部のブースに行って、早稲田杯を見に行くことになって、そのあとは成り行きというか、なし崩し的にというか(笑)。そんな感じです。
――その当時はマネージャーさんって他にいらっしゃったんですか
小田 4年生に一人いたらしいんですけど、1回しか会ったことがなくて。実質私一人だったみたいな感じです。
――一人でされていた時、不安や苦労ははありましたか
小田 やっぱり、先例とかがなかったので、どういう時に何をするべきかというのをいろいろ考えなければならなくて。そういうところが難しかったです。
――冨樫さんはどういった経緯だったのですか
冨樫 私は中学の頃から大相撲を見ていてずっと好きで、相撲というものに対してすごく興味があって。新歓の時ふらふら歩いていたらたまたま声をかけていただいて、大学に相撲部があることをそこで知って、マネージャーの先輩も一人いるというのでやってみようかなと。
――相撲にハマったきっかけは
冨樫 高校受験が終わったくらいの時期って、夕方とかが勉強していた分が暇になるじゃないですか。その時間が空いていて、テレビをつけたら大相撲がやっていて、見ていたら知らない間に応援していた、みたいな感じです。
――相撲のどのようなところに惹かれましたか
冨樫 相撲って、世界観がすごく独特じゃないですか。なんか、一つのパラレルワールドみたいな感じがあって(笑)。そういう異世界感に惹かれたのかもしれないなって最近は思っています。
――ひとりずつに質問していきたいと思います。まずは冨樫さんから。きょねんもマネージャーのお二人にインタビューさせていただいたのですが、マネージャーという役割に対して、1年目とは違う2年目だからこその変化などはありますか
冨樫 やっぱり、部活に対しての関与度がきょねんよりは高まったなあと思っていて。来る回数も増えましたし、きょねん行かなかった遠征に同行させてもらったこととかもあったので、部のマネージャーなんだ!っていう気持ちが高まりました。きょねんはちょっとお客さんみたいなところがあったんですけど、ことしは仲間内には入れたのかなあ、っていう感じですね。
――では、小田さんに質問です。3年間相撲部に関わってこられたと思うのですが、4年生がもうすぐ引退されるということで、1番長く接したマネージャーとして、思い入れはありますか
小田 1年目に、料理のことをはじめ、試合の記録の付け方だったり、お客様への対応などいろいろなことを教えていただいたので、すごい、何だろう、一番相撲部の中で頼りになる方々だと思っています。
――マネージャーとしての仕事の中で、料理を作ることが多いと思うのですが、少し料理のことについて聞かせてください。今まで作った料理の中で、1番作りがいがあったものはなんですか
冨樫 ちゃんこ?
一同 (笑)。
冨樫 やっぱりちゃんこですかね。
――1回にどれくらいの量を作るのですか
冨樫 すごいでっかい鍋があって、大きさを表現するのが難しいんですけど(笑)、それに1杯分、みたいなのが目安ですね。材料は、鶏肉でいうと、肉団子と普通の鶏肉と合わせて3、4キロだと思います。肉だけで1回につきそれくらいですね。
――肉だけで3、4キロということは、野菜を合わせたらすごい重さですよね。総量10キロくらいになるのですか
冨樫 はい(笑)、多分そのくらいだと思います。
――今まで作った料理の中で、選手から人気があるものはなんですか
冨樫 うーん…なんだろう。
小田 うーん…。
冨樫 あ!いももち!ジャガイモをたくさん差し入れでいただいたんですけど、結構余っていて。しかも結構暇な時だったので、潰して片栗粉を混ぜて、練って餅みたいにしたのを切って、砂糖醤油で焼いたのが最近好評でした。でも割と何でもおいしいって言ってくれるから、あんまり分かんないですね(笑)。本音と建前がちょっと区別できてないです(笑)
一同 (笑)。
――他にはありますか
小田 他に…うーん…。毎週、クックパッドとかで調べて、その場のノリでメニューを決めたりするので、一応作っている身なんですけど、あんまり毎回作ったものとかを覚えてないですね(笑)。
――これから挑戦してみたい料理などはありますか
冨樫 あー…部活で、多分できないと思うんですけど、個人的にめちゃくちゃパスタが大好きで。パスタ料理が作りたくてしょうがないけど、ご飯が絶対あるので、パスタは絶対無理だなあと。ご飯が1回なくなって、パスタにならないかなあって思ってます(笑)。
小田 和食とか家庭料理が好きで、凝った料理はあまり得意ではないので、素朴なものだったりとかですかね。煮物とか、かぼちゃやさつまいもが好きなので、極めたいです(笑)。かぼちゃの煮物を作ったんですけど、ちょっと失敗しちゃったので、極めます。
「自分も一員なんだな」(冨樫)
マネージャー2年目になった冨樫さん
――マネージャーとして色々な仕事があると思うのですが、最もやりがいを感じる仕事はなんですか
冨樫 仕事ではないかもしれないんですけど、試合の時って意外と記録を取ったりビデオを撮ったりするくらいしか仕事がなくて。いつも稽古中は料理しているのであんまり見れないんですけど、試合では選手の相撲をよく見ることができて。すごくドキドキして、その時に、やりがいっていうか、あ、もう自分も一員なんだなっていう気持ちになりますね。
小田 やりがい…って言われると、ちょっと考えちゃうんですけど、ないわけじゃなくて、いい意味で考えちゃうんですけど。何だろう、料理の話になってしまうんですけど、料理を作るのがすごく苦手で。でも、うまい!とかおいしい!っていう声が聞こえてくると、ああよかった、って思いますね。
――ことしも色々な試合があったと思うのですが、マネージャーさんから見て一番印象に残っている試合やシーンはありますか
小田 体重別選手権で、橋本くんが優勝した試合が、いけるんじゃないかっていうドキドキから優勝したので、やっぱり印象に残っています。
冨樫 私は、東日本選手権です。結構強豪のチームに勝っていって、日大とかと試合した時も、厳しいかなと思っていたんですけど、勢いがあるなと思っていたらその通りの相撲をしてくれた時に、すごいって言ったらボキャブラリーが少ないかもしれないんですけど、本当にすごいなあと思って。雰囲気もすごい良く見えたし、こっちも感動したし、その試合はよく覚えていますね。
――100周年ということで、早大相撲部の歴史への思いなどはありますか
冨樫 100周年が近いということを知って入ったというわけではなくて、入ってからもうすぐ100年だということを知りました。その時に、そんなに長いのか!と思って。その中でどれくらいマネージャーさんがいたかどうかとかもよく分からないけれど、長い歴史の中で、多分女性が関わることが抵抗ある時代ってあったと思うんですけど、その中でこうやって女性も入ってくるようになって、守るべきものとか、逆に変えていくべきものとかがあるんだろうなとか、そういう風に考えることで私は歴史の重みを感じていますね。
小田 100周年…100年前って何時代ですか(笑)?
記者 大正時代ですね(笑)。
小田 私が入る前の年、つまり今の4年生が入る前まではすごく人数が少なかったらしくて、100年間ずっと安定した人数を保っていたわけではなくて、やっぱり人数が少なくて試合に出るのが難しかった時もあったのかなあと思ったり。こうやって勢いづいて、盛り返して、上まで行くこともあったのかなあ、みたいな。すみません、まとまらなくて(笑)。
冨樫 とりあえず式典ですよね(笑)。今度1月に式典があるんですけど、本当はそんなことばかり考えています(笑)。
――ワセダの相撲部の一番好きなところはどこですか
小田 オンオフがはっきりしていて集中力がすごいところです。
冨樫 私もその切り替えはすごいなって思っていて。対談中の今みたいな和やかな瞬間と、稽古や試合の時の厳しい表情とのギャップがいいなと思います。萌えているわけではないですけど(笑)。
――今回は11月のインカレ直前特集ということで対談していただいたのですが、インカレに向けてマネージャーとしての意気込みを教えてください
小田 試合に直接貢献できることはないと思うんですけど、客席でのお客様の対応や差し入れの管理、試合の記録づけなどをしっかりすることで支えていけたらなと思います。
冨樫 今、4年生がたくさんいるという体制で迎える最後の集大成だなという風に思っていて、そういう意味ですごく強い思い入れはあります。私たちが頑張れ〜!って心の中で念じて通じればいいけど、そんな簡単なものでもないだろうし、ただ試合に関してはひたすら頑張ってほしいな、って祈っています。このインタビューの場をお借りしてとりあえず言っておきます(笑)。あとはやっぱり実務的な面で、サポーターの方への対応やお弁当を配ることなどは、一見関係ないように思えるけど、それを私たちマネージャーが二人でしっかりと対応すれば、控えの選手が試合に出る選手のサポートに回れるというようにいい方向にいくと思うので、ちょっと距離感はあるんですけど、近くにいる気持ちで頑張りたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 石名遥、元田蒼)
これからも相撲部を支えていくお二人
◆小田祐美(おだ・ゆみ)
1996(平8)年12月21日生まれ。神奈川・大船高出身。教育学部3年。物静かな印象とは裏腹に、デーモン閣下がお好きという小田さん。マネージャーとして、相撲部を最も長く支えてきた存在です。
◆冨樫みちる(とがし・みちる)
1997(平9)年8月22日生まれ。千葉・東葛飾高出身。文化構想学部2年。相撲の異世界感に惹かれているという冨樫さん。相撲への愛が伝わってくるインタビューでした。