【連載】インカレ直前特集 『Wの相撲道』【第2回】長谷川聖記×浅田大介

相撲

 インカレ直前特集「Wの相撲道」。第2回「二陣戦」は、新入生対談だ。新人ながら団体戦でも活躍する長谷川聖記(スポ1=愛知・愛工大名電)と、リーグ戦で団体戦初出場を果たした浅田大介(社1=石川・金沢学院)。寮の部屋も同じという2人に、これまでの相撲歴、大学での生活や、インカレへの意気込みをうかがった。

※この取材は10月7日に行われたものです。

「自主性を重んじるところがいい」(長谷川)

笑顔の長谷川

――まずは、お互いに他己紹介をお願いします

浅田 スポーツ科学部1年の長谷川聖記くんです。普段は寝るかトレーニングくらいしかしてないですね(笑)。本当に相撲バカと言っていいくらい相撲にストイックです。あと、ドラマと映画が大好きですね。

長谷川 社会科学部1年の浅田大介くんです。見た目はおとなしい感じなんですけど、話してみると個性豊かで面白い感じの人です。普段はひたすら一人で動画を見ています。何を見ているのかは分かりません。自分の世界に入り込んでいるので話しかけられませんね(笑)。

――一緒に生活する上での要望などはありますか

長谷川 特にないんですけど、強いて言うなら…。よく友達と電話をしていて、それはもう慣れたからいいんですけど、笑い声がすごくうるさいんで、そこをもう少し静かにしてほしいですね(笑)。

浅田 それは面白いので仕方ないですね(笑)。自分も特にないですけど、強いて言うなら…。ルーズで大ざっぱというか、がさつなんですよね。通路にたくさん物が置いてあるから、歩きにくくて。部屋が汚いんですよね(笑)。せめて歩く場所だけは片づけてほしいです。

――お2人は地方のご出身ですが、東京での暮らしはどうですか

浅田 東京は人が多いですね。最初来たときは人酔いをしましたね。

長谷川 自分も人が多いのは好きではないです。満員電車で無理やり押して乗ってくる人には驚きました。それと、初めて新宿に行ったときは、人が多くて都会感がすごかったですね。自分は名古屋出身なんですけど、地元よりさらにすごくて、「東京」って感じでした。

浅田 あと、ジャージで外を歩けないのが嫌ですね。東京は便利だけど、そういうところが逆に不便ですね。

――地元のセールスポイントを教えてください

長谷川 自分はやっぱりご飯ですね。味噌カツとか味噌煮込みうどんとか、ひつまぶしとか。食べ物はおいしいと思います。自分は味噌カツが一番好きですね。「矢場とん」という店がおすすめで、この前に帰省したときも行ってきました。

浅田 自分の地元金沢は第二の京都と言われるくらい文化や歴史があって、特に金箔が有名ですね。それくらいです(笑)。

――入学して半年、勉強の方はどうですか

長谷川 自分はスポーツが好きなんで、スポーツについていろいろ学べるのはありがたくて勉強になるし、それを相撲に生かしたり、いろんなことに使えるので勉強は楽しくできています。

浅田 社会科学部は入りたくて入った学部で、いろんな授業が取れるので興味深い話を聞けて嬉しい反面、論述だとか高校の時とは違う難しさがあって、最初は勉強の仕方が全然分からなかったんですけど、最近はやっと慣れてきたかなという感じです。

――先ほど長谷川さんがドラマ好きという話がありましたが、好きなジャンルや女優を教えてください

長谷川 何でも見ますけど、基本的には恋愛系ですかね。好きな女優は佐藤栞里さんですね。「ダーツの旅(日本テレビ系列『笑ってコラえて!』内のコーナー)」とかに出ている人です。茶髪でショートカットなところがいいですね(笑)。

浅田 自分の好きな女優は石原さとみさんですね。

――お二人が相撲を始めたきっかけを教えてください

長谷川 自分は兄が相撲をしていて、いつの間にか物心がついたときには相撲をしていたんで、その影響ですね。

浅田 自分は父が地域の相撲クラブで指導者をやっていたんですよ。それで「お前もやってみろ」と勧められて、最初は体験でやっていたのにいつの間にか普通にやるようになっていました。それが保育園の年長くらいのときですね。

長谷川 自分も始めたのは保育園のときでした。それと、実は小2のときに浅田と地方の大会で対戦したことがあるんですよ(笑)。浅田は小学生の頃から体は大きかったのでしっかり覚えています。怖かったですね。負けました。

浅田 あまり覚えていないですね(笑)。

――ワセダに入学した決め手を教えてください

長谷川 自分は相撲だけじゃなくて勉強もしたいという気持ちがあって、その中でもスポーツが好きで、それについて学べるスポーツ科学部があることが魅力的でした。相撲部に関しても、他の大学と違って自主性を重んじるところがいいなと思って、一度練習に来たときも雰囲気やチームワークが良かったので、自分にはここが合っているなと思いました。あとはやっぱり、鬼谷先輩(智之主将、スポ4=愛知・愛工大名電)という高校の先輩がいたのも大きかったですね。

浅田 まず、学びたいことが自由に学べるところがいいなと思っていて、そんなときにワセダの社学を知りました。最初は「いいな」というくらいにしか思っていなかったんですけど、一度相撲部の練習の見学に来たら、自分たちで盛り上げて頑張っていくという自主性にひかれました。だから自分もここに来たら意識高く相撲も勉強も頑張れるんじゃないかなと思って、その気持ちがだんだんと強くなったので受験を決意しました。

――相撲以外で何かスポーツをされていたことはありますか

長谷川 自分は小学校高学年のときに部活動で野球をやっていました。ポジションはライトでした。でも走ったりするのが得意じゃないんできつかったですね(笑)。だから野球は見る方が好きで、地元の中日ドラゴンズを応援しています。球場が高校のすぐそばにあったんで、よく学校帰りに観戦に行っていましたね。

浅田 昔、水泳教室に通っていましたね。あまり泳げた記憶はないんですけど、昔はやんちゃだったんで、指示を無視して泳いでいました(笑)。

「幸せですね」(浅田)

穏やかに語る浅田

――高校までに取ってきた相撲で最も印象に残っている一番を教えてください

浅田 全中(全国中学校体育大会)の団体戦の準決勝で取った相撲が印象的ですね。自分より強い相手に勝てたので、今でも「嬉しかったな」という感情が残っていますね。ちなみにその大会は優勝できました。

長谷川 高校2年のときの国体ですね。ベスト8までいって初めて入賞したんですよね。高1のときは気持ち的にも弱かったんですけど、強い相手に勝てたんで、その一番をきっかけに自信がつきました。

――普段、大相撲は見ますか

長谷川 自分は大好きですね。本場所中はずっとテレビをつけています。家族が好きなんで、小さい頃から巡業や名古屋場所はよく見に行きましたね。好きな力士は現役だと白鵬ですね。安定感があって、どんな相手にも臨機応変に対応して勝つところがすごいなと思います。引退した力士だと千代の富士ですね。小さい体でも筋肉がありますし、脱臼したときでもあそこまでやるのはすごいなと思います。

浅田 自分は少ししか見ませんね。応援しているのは遠藤関です。出身校の先輩なので頑張ってほしいですね。

――相撲をやっていて良かったと思うことはありますか

長谷川 相撲はただやるだけじゃなくて、礼儀やあいさつ、上下関係だとか社会に出ても役立つことが多くて、それを今のうちに身に付けられるのはいいかなと思います。それと、普段は体が大きいことで友達にもよく話しかけられますし、ごはんを食べに行けば大盛りサービスをしていただけたりと、いろいろ得する部分があるんで、それも相撲ならではのことだと思いますね(笑)。

浅田 ほとんど同じなんですけど、自分は精神力がつきましたね。あと、相撲部だという話をすれば相手にすぐ覚えてもらえるのは嬉しいですね。

――1年生は寮で雑務を任されていますが、それについてはどうですか

長谷川 高校から雑務はやってきたんでそれほど苦ではないですし、他の大学に比べたらやることは少ないのでありがたいです。その分相撲にも集中できますし、時間を有効的に使えるのでいいですね。自分は料理が苦手なんですけど、土日にはマネージャーさんが来てくれて、一から作って洗い物もしてくれるので本当にありがたいですね。

浅田 雑務は確かに大変だけど、マネージャーさんや先輩方も率先して手伝ってくれて、その点はワセダならではですね。自分にとってこんな経験は初めてだったのですごく優しいなと思いました。他の大学よりも良い環境で相撲をさせてもらっていて、幸せですね(笑)。

――座右の銘はありますか

長谷川 自分は「感謝」ですね。やっぱり自分ひとりではここまでやってこられませんでしたし、いろんな人に支えられて相撲ができる今があるので、日頃から感謝することを大事にしたいなと思いますね。

浅田 「マイペース」ですね。自分は人に流されやすい性格で、練習でも周りを気にして集中できないときがあるので、大学では自分の意志を持ってやろうと思って、「マイペース」にしました。

――将来的に大相撲の土俵でやりたいという気持ちはありますか

長谷川 自分は半分半分くらいですかね。まだ現状では通用するレベルではないんで、卒業するまでにしっかり力をつけて、それぐらいのレベルに達していたらそのときに考えます。だから可能性はあります。

浅田 自分は全然考えてないですね。自分が大相撲の土俵に上がっている姿があまり想像できません(笑)。

――ことし出場した大会の感想を教えてください

長谷川 自分は宇和島大会と宇佐大会はメンバーに入れなかったんですけど、他の大学では1年生も出て活躍していて、すごく悔しかったですね。そこで自分の相撲のやり方を一度見つめ直して、東日本大会では初めて大学で団体戦に出させてもらったんですけど、大学生となると高校生と違って当たりも強いですし、うまさもあるのでレベルの差を感じました。その後の金沢大会と十和田大会では思った以上に自分の相撲が取れなくてどうしたら良いのか分からなかったんですけど、自分より強い先輩方と一緒に稽古していくうちに自信がついてきて、体重別選手権でも徐々に勝てるようになりましたね。自分は高校時代にあまり練習相手に恵まれていなかったので、いろいろなタイプの先輩方と練習できる今の環境はいいなと思っています。

浅田 自分はほとんど大会に出られなくて、リーグ戦が初めての団体戦デビューだったんですけど、すごく緊張して一つも勝てませんでした。同級生の長谷川は成績を残しているのに、自分はことしの大会では全然成績を残せなくて、焦りと悔しい気持ちがありますね。それから、4年生と練習できるのもあと1ヶ月なので、この短い期間で4年生に対して、「自分はこれだけ強くなったんだぞ」と胸を張れるように今はしたいなと思っています。

――相撲部の中で二人はお互いにどういったキャラですか

長谷川 浅田は独特のキャラをしていると思うので、先輩にはけっこう可愛がってもらっていますね。

浅田 そんなこと言っても、長谷川の方が気に入られていると思うんですよ(笑)。彼は何にしても頼られることが多くて、「まさき~」と先輩方がよく呼んでいますね。相撲に関しても、先輩方と対等な立場で意見できるのもすごいです。真面目キャラではないですけど、自称真面目キャラですね(笑)。

――自分の相撲の一番の強みを教えてください

長谷川 四つ相撲ですね。ただ、ずっと中学校時代から四つ相撲なんで、それだけに頼るのも良くないと思うんですよ。だからもっと突き押しも入れていけばさらに強さが増して、有効的に四つ相撲も使えるんじゃないかと思って今は練習しています。

浅田 粘りですね。自分が相撲を取ったら長くなることが多いんで、そこで相手に「苦手だな」と思われるところが自分の強みですね。新人戦の相撲は最初からぶつかっていくような感じだったので、自分としてはあまり良いとは思っていないんですけど、今のところ強みはこれですね。

――「相撲のここが好き」という点を教えてください

長谷川 他のスポーツとは違って、一瞬で勝負が決まりますよね。その中でも、ただぶつかり合って押すだけではなくて、技だとか細かい部分もあるんで、そういうところにも注目して相撲を見てほしいですね。

浅田 迫力ですね。立ち合いで「バチーン」とぶつかる感じが、やっている側からしたら普通なんですけど、周りで見ている人たちにとっては迫力があってひき込まれるんじゃないかと思いますね。

――来たるインカレに向けての目標をお願いします

長谷川 まだメンバーに入れるかも分からないんですけど、もし入ったら、ことしは100周年なんで上位入賞できるように自分も貢献していきたいなと思います。4年生は最後の試合なんで、やっぱりみんなで笑って終わりたいですね。それから、監督を胴上げしたいです。そのためにあと1ヶ月、大事にしっかり練習していきたいなと思います。

浅田 インカレはみんなが一番目標にしてきた大きな大会なので、緊張もあると思うんですけど、それを少しでも和らげて100%の状態で臨めるように、「心は一緒に戦っているぞ」という感じのサポートができればいいと思っています。

――最後に、自分たちが4年生になったときの理想像を教えてください

浅田 今の先輩方みたいな感じが理想ですね。しっかりしているし、後輩に対しての気配りも欠かさないですし。こんな頼りがいのある4年生になりたいですね。

長谷川 4年生になると相撲では負けられないですし、絶対的に勝ち点1を取れる選手になっていきたいです。チームを引っ張って、後輩からも慕われるような人になりたいですね。

――ありがとうございました!

(取材・編集 吉岡拓哉、元田蒼)

真剣な眼差しの2人

◆長谷川聖記(はせがわ・まさき)

1998(平10)年5月28日生まれ。180センチ、125キロ。愛知・愛工大名電高出身。スポーツ科学部1年。6月の東日本学生選手権では1年生ながら奮闘し、9年ぶりの団体戦ベスト8に貢献した長谷川選手。インカレでもそのフレッシュな力に注目が集まります。

◆浅田大介(あさだ・だいすけ)

1998(平10)年8月15日生まれ。175センチ、114キロ。石川・金沢学院高出身。社会科学部1年。座右の銘は「マイペース」で、おっとりしていて愛されキャラ。しかし、土俵上では一転、戦いの表情に変わります。浅田選手の成長からも目が離せません!