体現したこだわり、成長続けるワセダの団体戦

相撲

 大会2日目は団体戦。早大が1年間稽古を積み重ねてきた集大成を見せるときだ。Bクラストーナメント上位4校がAクラストーナメントに進むことができ、早大が目標としているAクラスベスト8への道のりは長い。しかし、奮闘を見せBクラスは順当に勝ち進み大将戦までもつれ込んだ駒大との決勝戦を制し、見事優勝。Aクラスでは惜しくも12位に終わったが、強豪との戦いで十分な手応えをつかみ来年の活躍を期する結果となった。

 早大は序盤から好調を維持。初戦の東海学園大を4-1で下すと、続く大東大もストレートで破り良い流れで決勝へと駒を進めた。勢いそのままに行きたいところだったが、さすがの決勝戦。一筋縄ではいかなかった。先鋒・本田煕誉志(社3=大分・楊志館)は前日の宣言通りチームに勢いを付ける見事な押し出しを披露し、続く鬼谷智之(スポ3=愛知・愛工大名電)も復帰戦とは思えぬ立ち回りで2勝目を挙げた。しかし、中堅、副将戦で連敗を喫し勝敗は大将戦へと持ち込まれる。この日大将を務めたのは東日本リーグ戦でも活躍した1年生の橋本侑京(スポ1=東京・足立新田)。「自信を持っていけた」(橋本)と立ち合いから攻めの姿勢を貫き寄り切った。昨年は決勝戦で2-3で敗れ優勝を逃したが、今回は勝負所で力を出し切り、春からの課題であった勝利への執着心がしっかりと表れていた。

復帰戦となった鬼谷

 Aクラスでも早大は勝負強さを見せる。予選1回戦の相手は高身長、高重量の選手がそろう中大。果敢に攻めるが2連続で土がつき後はなくなった。しかし中堅戦で、控えメンバーだった前川晋作主将(社4=東京・早実)が一度だけ出場し意地を見せる。75キロ差の相手に「あれしかないと思った」(前川)と、かつて学生横綱を破った足取りで応戦。意表を突いた攻撃に相手は反応し切れずたまらず土俵を割った。結果的に2-3で負けはしたが、前川の取組はこだわり続けた勝利への執念が今の相撲部に備わりつつあることを表す象徴的な取組となった。

前川が主将の意地を見せた

 少しずつだが着実にAクラスで勝負できる実力がついてきている。室伏監督も「あと一歩ではなく半歩まできた」と、成長を実感した。ことしの相撲部はここで終わってしまうが、ワセダの相撲部はこんなところでは収まらない。来る100周年の年にAクラスで雪辱を果たすため、早大相撲部が進化を止めることはない。

Bクラストーナメント優勝を果たした

(記事 高橋団、写真 中村ちひろ)

結果



▽団体戦


Bクラストーナメント予選

準々決勝 対東海学園大 4勝1敗

先鋒 本田参段○(押し出し)●東根初段

次鋒 鬼谷参段○(押し出し)○井上弐段

中堅 谷本参段●(寄り切り)○太治弐段

副将 堀越参段○(突き出し)○小畠初段

大将 橋本弐段○(叩き込み)○小西初段


準決勝 対大東大 5勝0敗

先鋒 本田参段○(引き落とし)●佐藤参段

次鋒 鬼谷参段○(寄り倒し) ●谷合参段

中堅 谷本参段○(押し出し) ●高橋参段

副将 堀越参段○(叩き込み) ●平澤弐段

大将 橋本弐段○(押し出し) ●鈴木参段


決勝 対駒大 3勝2敗

先鋒 本田参段○(押し出し)  ●間地初段

次鋒 鬼谷参段○(押し倒し)  ●中村初段

中堅 谷本参段●(上手出し投げ)○石川初段

副将 堀越参段●(押し出し)  ○吉田弐段

大将 橋本弐段○(寄り切り)  ●小畑弐段

※Bクラストーナメント優勝




団体戦Aクラストーナメント予選

第1回戦 対中大 2勝3敗

先鋒 本田参段●(突き落とし)○近平参段

次鋒 鬼谷参段●(引き落とし)○田中参段

中堅 前川参段○(足取り)  ●矢後参段

副将 堀越参段○(引き込み) ●濱田参段

大将 橋本弐段●(寄り倒し) ○加藤参段


第2回戦 対日体大 1勝4敗

先鋒 本田参段●(寄り切り) ○三輪参段

次鋒 鬼谷参段○(押し出し) ●松永参段

中堅 若林参段●(引き落とし)○南参段

副将 堀越参段●(送り出し) ○西澤参段

大将 橋本弐段●(すくい投げ)○村松参段


第3回戦 対法大 3勝2敗

先鋒 本田参段○(叩き込み) ●松浦弐段

次鋒 鬼谷参段●(突き落とし)○五十嵐参段

中堅 若林参段○(上手投げ) ●望月参段

副将 堀越参段●(押し出し) ○野上初段

大将 橋本弐段○(押し倒し) ●小賀坂弐段

※16校中12位


コメント

室伏渉監督(平16人卒=東京・明大中野)

――団体戦では勝負強さというのが出たように感じました

そうですね。ワンポイントで前川を使ったり若林を使ったり、市川も本当は使おうと思っていたんですけど、足が前に出ていなかったので急遽変えました。

――前川さんは最後を勝利で終えましたね

あの一番は本当に大きい一番でした。あの一勝がなければガラッと変わっていたと思います。

――ベスト8には惜しくも届きませんでした

本当に惜しかったですね。中大戦で勝っていれば変わったと思います。でもあと一歩ではなく半歩まできたかな、と感じています。

――去年からの成長は感じましたか

日体大に一勝取ったりだとか、いろいろあると思います。中大にもあと少しのところまで来ているので、もう2部では絶対に大丈夫だと思います。

――Bクラストーナメントでは優勝しましたが、率直に感想をお願いします

それは目標にしていましたし、そこで勢いを付けてAクラスの入れ替え戦に出ようということでした。素直に嬉しいです。

――4年生はこの大会で引退ということですが、何かかける言葉などはありますか

4年生の話になると泣いちゃうんだけどな(笑)。人数が全くいない状況のなかで、あいつらがいなかったら今はなかったと思います。部員がいない中でやっていたので、そこで腐らずに今までやってきたというのは本当に感謝しています。

――来年は100周年を迎えるにあたっても、今の4年生の存在は大きかったのですね

本当に大きいです。この3人はレギュラーになれるかなれないかでいったら、なれない形だったのが前川が入ったり小山がリーグ戦で勝ってくれたり、やっぱりそれは本人たちが見えないところで努力が後輩たちにも伝わったのかなと思います。

――去年と今のチームを比べて一番変わったところは何ですか

やっぱり勝ちたいという気持ちが前面に出るようになりました。気持ちが切れなくなったと思います。中大戦で頭2つを取られても、そこから盛り返す力が付いきたというのは本当に大きいです。それが一番の成長だと思います。

――最後の大会となりましたが、今一度振り返っていかがでしたか

満足してはいけないんですけど、目標のベスト8に届かなかったのは正直悔しいのでそこは頑張らせたいと思います。また来年に残します。いまの3年生がいるうちにAクラスに完全復帰して戦うというのは、100周年までの絶対の目標です。

前川晋作主将(社4=東京・早実)

――ご自身の取組は、勝利で終えることができましたね

あの取組は一発あれしかないと思っていました。監督からも一発の勝利にかけるということで交代させてもらったので、思い切って行った結果うまくいってよかったです。

――勝利からチームの雰囲気がさらによくなったように感じましたが

今回も誰かが負けたら誰かが勝つというように、拓大戦と日体大戦で勝ったメンバーと違う人たちが法大に勝ちました。全員一勝ずつしたんですけど、そういったチームワークができたと思います。

――Bクラストーナメントでの優勝についてはいかがですか

Bクラスでの優勝は実力が出れば当然いけるものだと思っていたので、みんなベストな状態で試合に臨めたのがよかったと思います。

――Aクラスでは12位という結果でしてがいかがでしたか

正直目指すところはベスト8だったので、悔やまれる試合もあると思いますが、去年と同じ順位で来年の選抜大会へ出場できるようになったので、達成とはいきませんでしたがよかったと思います。

――後輩へのメッセージなどありますか

後輩たちの成長を実感できる大会でした。2年前に悔しい思いをしてそこから一歩ずつ進んで、去年のリーグ戦、インカレとさらに進んできて上り調子だったので、ことしさらに前進できました。みんなが着実に成長できてるな、というのが感じられました。

――きょうで最後の大会となりますが、今一度振り返っていかがですか

自分はあまり強くなくて、1年間主将としての責任を果たせたかというとどうかわからないですけど、きょう最後に出させてもらえて勝つこともできたし、チームの雰囲気もよく保つことができてBクラス優勝という成績を収めることができました。歴代の主将のなかでは強い方ではないんですけど、一応主将としての責任は果たせたのかなと、思います。

鬼谷智之(スポ3=愛知・愛工大名電)

――試合を終えた率直な感想をお願いします

もうちょっといけたかなと思っています。

――悔しさの方が強いのでしょうか

どちらかというと悔しさの方が強いですね。

――内容を振り返っていかがですか

最初の2部のトーナメントでみんなで勝って勢いづけて1部に上がったんですけど。僕個人としては、思うような相撲は取れなかったです。でもチームとして勝ったので、そこは良かったなと思います。

――立ち合いから攻めの相撲をしているのが印象的でした

自分の相撲はそういう相撲なので。自分の相撲は取れたと思います。

――1部と2部の戦いをそれぞれ振り返っていかがですか

2部は負けないだろうと思っていたので、みんなで盛り上がって勢いづいたんですけど。1部では固くなっていた部分もありました。勝ちたかったです。

――ケガ明けということで、不安はありましたか

まだ痛かったのですが、やるしかなかったので、そこは思いきってやりました。

――らいねんは4年生となりますが、どのようなところを目指していきたいですか

やっぱり自分たちの代で100周年を迎えるので、このインカレの1部で上位入賞したいです。

橋本侑京(スポ1=東京・足立新田)

――試合を終えた率直な感想をお願いします

チームの目標である予選を突破してベスト8に入るということはできなかったので、それに関しては課題が残ったと思います。でも最低ラインである宇和島大会にはつながったので、最低限やることはやったと思いました。

――悔しさと満足度ではどちらの方が強いですか

ちょうど半々くらいですね。

――内容を振り返っていかがですか

2部リーグは全部勝てたし、2ー2で大将戦に回ってきても、元々Aチームでベスト8に残ることが目標だったので、ここで負けていたら1部でも勝てないなと思って、自信を持っていけたので良かったと思います。あと最後のAチームで一勝できたのは大きいなと思ったんですけど、法大は結構一緒に練習していて、実力も互角で手の内も知っているので、全然勝てない相手ではなかったと思います。逆に中大のとき、2ー2で回ってきて負けちゃったのは、まだAチームの上の大学に対しては実力が足りていないのかなと思いました。

――大将戦の大事な局面で勝負強さを発揮していましたね

自信はつきましたね。昔は結構緊張ばっかりしていて、固くなって負けちゃうことが多かったんですけど。大学に入って先輩や監督たちが優しくて、負けても「お前のせいじゃないから」と言ってくれたので、気楽に相撲が取れたのが良かったと思います。

――大学1年目が終わりました。振り返っていかがですか

最初春先の大会から出させてもらって、ケガもあって。逆にケガがあったから、筋力アップもできて今回インカレである程度勝つことができたと思います。来年は後輩も入ってくるので、先輩の自覚を持って、少しでも上を目指せるように頑張っていきたいと思います。

――これからどのような選手になっていきたいですか

「橋本の1点は固いな」「橋本に1点取られてもしょうがないな」と相手チームに思わせるような選手になれたらいいなと思います。