【連載】インカレ直前特集 『和』 第4回 小田祐美×富樫みちる

相撲

 いよいよ来年、創部100周年を迎える相撲部。活躍を遂げる選手たちをいつも裏で支えているのがマネージャーだ。今回は小田祐美(教2=神奈川・大船高)さん、富樫みちる(文構1=千葉・東葛飾高)さんにマネージャーとしての仕事や、チームへの思いについて話を聞いた。

※この取材は10月2日に行われたものです。

普段の仕事

新入部員の富樫

――ではまず他己紹介をお願いします

富樫 こちらは教育学部2年の先輩です。マネージャーの仕事では、いつも私がぼーっとしていたりするんですけれど、何も言わないで仕事をされていることが多いです。よく気づく方だなと思います。あと相撲部の他に能のサークルに入られていて、私が入っている他のサークルと部室が同じ階にあって、そこでは1度も会ったことはないですがつながりの深い方だなと思っています。

小田 文化構想学部の1年生です。ことし入ってきてくれて、心が楽になりました。私は作れる料理のレパートリーがすごく少ないんですけれど、みちるちゃんは料理のアレンジがすごいです。

富樫  それは私もまだまだです。

――マネージャーになった経緯を教えてください

富樫 私は大相撲が好きでずっと相撲に興味があって、早稲田大学に相撲部があることは知らなかったんですけれど、たまたま新歓で歩いていたら声をかけていただいてそういうのがあるんだ、やってみよう、という軽い気持ちでやりました。好きなものに携わりたくて入りました。

小田 私はとある理由で、新歓のチラシが欲しかったんです。

――それはどういうことでしょうか

小田 デーモン閣下(社卒)が好きなんです。そういう理由でポスターをもらって、「早稲田杯に来ない?」と言われて行ってみて、そのまま成り行きで入りました。

――普段はどんなお仕事をされていますか

富樫 料理が主でちゃんこを作ったり、きょうは炒め物を作ったりという感じで、2人しかいないので料理がほとんどですね。

小田 試合の時は荷物番と記録、応援、物の管理をしています。

富樫 今後はもう少しやっていけたらいいなと思っています。

――特に役割分担をされているわけではないんですね

富樫  そうですね。

 

――マネージャーの人数が少ない中で不安はありませんでしたか

富樫 私は料理が全くできない状態だったので、まずいなと思いつつも、家で練習することもなく来て、失敗しながら少しずつ上達しています。特に料理ができないのでどうしようと不安でした。

小田 入ったとき、1人だったのでいていいのかなという状態でした。でも1年間やって、入ってきてくれて去年より不安は軽減されています。

 

――寝る時間が遅くなったりするほどお仕事が大変なことはありますか

富樫 そこまでではないんですけれど、朝が9時にここへ来なくてはいけないとか、大会が早いことがあって、9時という時間そのものは大丈夫なんですけれど、家が先輩が横浜で、私は千葉の柏で遠いのできょうだったら6時くらいに起きたりして少し朝が早いのが大変かなと思いますが、私は先輩と違って朝起きられるので大丈夫です(笑)。

小田 合宿の時とか結構朝早くて起こしてもらったりしています。朝が弱いので(笑)。

――マネージャーとして大変だったことはありますか

富樫 やはり一番に来るのは料理が出来ないということですね。夏合宿から献立を立てさせてもらったんですけれど何も作れないので献立を考えるところから大変でした。でも結構優しくしてもらっているので、意外とあまり感じないで楽しくやっています。

小田 合宿が一番大変です。朝起きて準備して片付けてまた準備して片付けて、みたいな感じです。

富樫 1日中キッチンにいましたね。

――量も多いですよね

富樫  そうですね。量が多いのが1番で、玉ねぎとか見たくないなと思いました。ひたすら切って号泣みたいな感じで、もうしばらく見たくないです(笑)

――本田選手(本田煕誉志、社3=大分・楊志館)は料理が得意ですよね

富樫 いつも教えてもらっています。ちゃんこなどの味付けも、出来上がってもそれでいいのかわからないので味見してもらったりしています。

感謝される喜び

控えめに語る小田

――マネージャーをしていてやりがいや喜びを感じるのはどんな時ですか

富樫 選手にとっては何気ないありがとうかもしれませんが、言われるたびに感謝される喜びを感じますし。この間も大会があったのですがその時に、自分の予想以上に自分が熱く応援していて、それはマネージャーになってチームの一員として一緒に活動したからこそ感じる熱さで応援も必死になったと思うので、自分が熱くなるような大切なものをもらったなと気づいた時に、入って良かったなと思いました。

小田 富樫さんと同じですが、ありがとうの言葉やご飯を作った時に「美味しかったよ、ごちそうさま」というのを言ってもらえた時がすごく嬉しいです。

――普段心がけていることはありますか

富樫 稽古の時はすごく緊張感があるので、それを壊して「これはどうするんですか」とか聞きに行かないようにしています。緊張感があるときに雰囲気を壊さないようにしたいなと思っています。あとは合宿の時に栄養バランスを考えて、皆さんはお肉が好きですが野菜をちょこちょこ入れてみたりしています。

小田 選手に何をしたらスムーズに色々活動してもらえるだろうか、ということを考えています。

――相撲部の印象を学年ごとに教えてください

富樫 1年生は私は同じ学年で一緒に仕事をすることが多くて、いつもにぎやかなんですけれどすごく手伝ってくれるので優しいなと思っています。

小田  去年、私が1年生だった時1人で片付けをやっていたのですが、ことしは1年生がきちんと手伝っていてそういうものだよなと思いました(笑)でも助けられています。

――2年生はいかがですか

富樫 若林先輩(若林魁、スポ2=岐阜農林)は、最初に入った時に2年生なのか3年生なのかわからなくて、なかなか聞けずにずっとどっちなんだろうと思っていました(笑)大人っぽい印象です。3年生と一緒に楽しくやっています。

小田 さっき片付けの話はしましたが、その点以外はとても楽しい人で、私たちが準備している合間に意味のない声掛けをしてくれて、にぎやかで楽しいです。

――3年生はどんな印象ですか

富樫  3年生は人数も多くて一番にぎやかで、部の雰囲気を盛り立てているなと思います。入ったばかりの頃は、声をかけてくれることが多くて馴染みやすかったので、とても感謝しています。

小田 特に本田先輩には料理のことでお世話になったり、市川先輩(市川拓弥、社3=長野・更級農)には他の仕事のことを教えてもらったりしていて尊敬しています。

――続いて4年生についてお願いします

富樫  4年生は背中で語る、という感じですね。お話をするのは3年生ですけれど、4年生はとても真面目で、本当に背中で語っている印象です。かっこいいなと思います。

小田 4年生はお話する機会がそれほどないですが、要所で声をかけて下さり、最上級生だなと感じます。

――そんな素敵な相撲部ということですが、推しメンはいますか

富樫 私はいつも仕事を手伝ってくれる佐藤君(佐藤太一、社1=大分・楊志館)です。推しておきたいと思います、感謝しているので(笑)

小田 私は谷本先輩(谷本将也、スポ3=鳥取城北)です。すごくダジャレが面白くて、歌がとても上手でいるだけで楽しい人です。この前合宿のカラオケで歌を聴く機会があったのですが、加山雄三さんの歌を歌っていて。すごく感動しました(笑)

――ではここまでの大会を振り返ってMVPをあげるなら誰だと思いますか

富樫 東日本リーグ戦で1部から2部に落ちそうになった時に、最後小山先輩(小山雄太副将、スポ4=神奈川・向の岡工)が勝ったのがものすごく印象的です。

小田 私も全く同じです。すごくびっくりしました。小山先輩はすごいなと。

富樫 本当に劇的な展開だったので血がカーっと(笑)すごいなと思いました。振り返れば他にもいると思いますけど印象的で。

――ハラハラした東日本リーグ戦以外にも様々な大会があったと思いますが、どういった思いでチームを見ていましたか

富樫 私はすごく応援しているんですけれど、応援しているからこそハラハラして目を伏せたくなることが何回もあって、頑張れと素直に応援するよりも、手汗だらだらで何とかお願いします、というすごく緊張と興奮の混ざった思いでいつも応援しています。ただ、大相撲でもそうなんですが、普通に好きというくらいの力士なら楽しく見れるんですけれど、自分もそこの一員だという意識があるからこそ逆に見たくないというところまで気持ちが追い込まれることがあります。

小田 私はスポーツ観戦でそんなに熱くなることがないです。やっているな、というように客観視してしまうんです。相撲部の試合もそんな感じですが、そんな私でも勝ったら嬉しい、負けたら悔しいと思える印象が強いです。

――入部前後で相撲部のイメージは変わりましたか

富樫 やはり体育会ですし、大相撲の世界は上下関係がすごく厳しい世界だと思うので、絶対に厳しいだろうなと思っていたし、礼儀がなっていなくて怒られて成長していくんだろうなと思っていたんですけれど、入ってみたらとても優しくてそこは驚きました。朗らかで良い雰囲気だなと思いました。

小田 結構前のことなので忘れてしまったんですけれど、厳しいのかなというイメージでした。入ってからも慣れていないうちは、裏では厳しいんだろうなと思っていました(笑)すごくにぎやかでイメージはがらっと変わりましたね。

熱くなれる相撲の魅力

――先ほど大相撲のお話が少し出ましたが、相撲の魅力は何だと思いますか

富樫 体と体がすごくぶつかるところ、戦っているというリアルさがあるところです。柔道もそうですが、あれは技をかけてやる技巧的なところがあると思うのですが、本当に人と人がぶつかっているところや激しい音に、人間というものをすごく感じてそういうところに惹かれているのではないかなと思います。

小田 私は入った理由が理由なのであまり興味がなかったです。最初に相撲の試合を観たのが、誘われて行った早稲田杯で、選手でなく大学の人が出場する試合を見て、初めて見たのがそれだったので印象に残っているんですけれど、大きい人と小さい人が戦って、絶対に大きい人が勝つと思っていたのに小さい人がくるっと勝ってしまったりする。そういうのを見るとテンションが上がります。

――好きな力士は誰ですか

富樫 稀勢の里が大好きです。この前は本当に駄目で、それで相撲を見られなくなっちゃったんです。ファン失格だなと思いました。テレビも新聞も全部避けて。豪栄道優勝のニュースを見ないためにテレビをつけませんでした(笑)

――早大ならではの強みや魅力を感じることはありますか

富樫 やはりOBが多いのと、早大そのものに価値が生まれていると思います。ネームバリューのある早大だからこそ、その相撲部にも思い入れが強くなる。応援するときも早大の横断幕があったらかっこいいなとか、応援する人も自分の大学への愛校心から相撲部に興味を持ってくれる人もいて、強みとなっていると思います。

小田 私も同じで、サポートクラブの方など応援してくれる人がすごく多いのかなと思います。周りが固めてくれていて、その中で相撲ができるので、そこそこ良いところまで行けているのではないかと思います。

――来年100周年を迎えるにあたって、マネージャーとしてはどう盛り上げていきたいですか

富樫 100周年とか特に何も考えずに入ってしまって、100周年という重みにおののいています。率先して何か作るというのは選手がやってくれるので、選手が作った流れをさらに盛り立てる、スムーズに進めるような仕事がしたいです。行事がたくさんあるので料理の話で言うと作る機会も多いので、いまよりもっとスムーズに作ってぱぱっと出来たよ、という感じで仕上げられたらいいなと思います。

小田 100周年だから私がどうというような出しゃばることはしないです。選手の100周年を影からさりげなく、必要があればお手伝いさせてもらいたいです。

――今後、マネージャーとしての意気込みを教えてください

富樫 とりあえず野菜を速く切りたいです(笑)あとは仕事ができることが限られていて、先輩と2人体勢になっても、2人だからこそできる体制がまだ作られていないので、私が早く慣れて新しい仕事をして、選手の負担をもう少し減らしたいという思いがあります。

小田 料理の味付けがわからなくて、ここを最も改善したいなと思っています(笑)中華の味付けとかもたまに2人でやることもあるんですけれど、本田先輩の時とレベルが違うので何が違うんだろうと思っています。

富樫 料理のことばかりで悩むのも嫌なんですけれどね(笑)早く違うことで悩みたいです。料理を超えた新しいことがしたいですね。

――ありがとうございました!

(取材・編集 平川さつき、曽祢真衣)

料理頑張ってください!

◆小田祐美(おだ・ゆみ)(※写真右)

1996年(平8)12月21日生まれ。神奈川・大船高出身。教育学部2年。

◆富樫みちる(とがし・みちる)(※写真左)

1997年(平9)8月22日生まれ。千葉・東葛飾高出身。文化構想学部1年。