春の大会を通し、チームの急激な成長を感じる早大相撲部。中核として活躍する3年生の鬼谷智之(スポ3=愛知・愛工大名電)と谷本将也(スポ3=鳥取城北)、唯一の2年生選手である若林魁(スポ2=岐阜農林)の3人に全国学生選手権(インカレ)への思いを聞いた。
※この取材は10月2日に行われたものです。
「チーム全体としてはいい方向に行っている」(鬼谷)
ポーズを決める鬼谷
――まずは、他己紹介をお願いします
若林 鬼谷さんはストイックで真面目です。部内で1番だと思います。トレーニングや練習に関しては鬼谷さんについていけば間違いない、という存在です。私生活でも、相撲を中心に考えている感じです。午後の自主練などでも1人で練習しているのですごいなと感じています。友達も多いです。
鬼谷 谷本はシャイボーイです。よく話し、よく寝るという感じです。話してるだけみたいな時もあります(笑)。相撲には真面目に取り組んでいていいやつです。
谷本 若林くんは、休みの日はよく外に出かけています。僕は結構部屋にいるんですが、若林くんはアウトドアです。相撲に関してもいいメリハリを持って取り組んでいる感じです。
――生活の中で、食事の面で気を付けていることはありますか
鬼谷 痩せないように、太れるように食事を多くするようにはしています。ご飯は、夜は4杯から5杯くらいは食べるようにしています。
若林 僕は、体重が少ないということが相撲を始めたころからの課題なので、夜は4杯食べています。あまり太る体質ではないので、いつも限界まで食べています。
谷本 僕も体を大きくするために、努力して多く食べるようにしています。
――休憩時間に大相撲を見ることはありますか
鬼谷 自分の同世代の人が出ていたりするので、見ています。目標の力士は、妙義龍関です。
若林 僕は、あまり部屋にいないのでテレビではあまり見ないのですが、フェイスブックとかで動画が流れてくると見ています。勉強になります。
谷本 僕は部の中でも大相撲を見る方です。参考にしているのは安美錦関です。駆け引きが上手いので、そういったところは勉強になります。
――ことし前期の相撲の結果について、どのように考えていますか
鬼谷 僕は、東日本の大会で大将を務めたのですが、勝てず、自分の責任になったので、本当に4月や5月の選抜大会や東日本選手権は駄目なところばかりでした。選抜大会と東日本選手権が終わって、いろいろと考えて、何が悪いのかを明確にした稽古ができたので、体重別で何とか全国に出ることができました。東日本学生リーグ戦(リーグ戦)はけがで出られなかったのですが、チーム全体としてはいい方向に行っているな、と感じています。
谷本 4月と5月の宇和島・宇佐(選抜大会)では、チームとしても個人としても思うような成績が残せませんでした。1部のチームと戦う機会が多くなりましたが、2部と1部の差というのは感じていました。東日本選手権も3回戦で代えられてしまい、金沢大会でも団体では出場できなかったので、このままでいいのかという思いはありました。チームとしては、この前のリーグ戦は、中大戦はあと1点で勝てるような試合でしたし、1部の選手にも勝てたということで、少しは自信につながっているのかなと思います。自分も4月や5月と比べると、1部の相手にもそれなりにできるようになってきているので、全国学生選手権(インカレ)に向けてもう少しやっていけば、結果はついてくるのかなと考えています。
若林 僕は去年に比べると出場する機会が増えたのですが、出場できた試合で結果が出せないというのが続いて、自分の力不足を感じた前期でした。団体戦において大切な流れ、いい流れを崩してしまった場面が結構あってそれは団体としてはよくないことなので、インカレにも出て力をつけていくのが目標です。
――学年が上がって、気持ちに変化はありましたか
鬼谷 上級生になって下級生に姿を見せなければいけないので、稽古中から自分が引っ張っていくという気持ちでいます。
谷本 1年生の時は4年生はとても強いイメージでしたが、もう1個上の代しかいないので、そろそろ結果を出していかないといけないなという気持ちを持っています。
若林 1年生の時はただ相撲を思いっきりとるだけだったのですが、1つ上に上がると1年生と比べて勝たなければいけない存在になるので、そういう意識の変化はあります。
――合宿で意識して練習したこと、ここが伸びたという点はありますか
鬼谷 合宿は2回に分けて行いました。前半の合宿は1週間ぐらいで、後半は5日間です。合宿では、チームのみんなで意識を高めて、チームで追い込んでそれを乗り越えるという風にして、いい合宿ができたと思います。自分としても、この夏で10キロ太れたので、すごく有意義な合宿でした。
谷本 前半の合宿は相撲が中心で、後半の合宿はまわしを締めずに、坂ダッシュなどトレーニング系が中心でした。合宿中は、鬼谷さん家にとてもお世話になりました。旅館でも豪華なご飯を作っていただいて、いっぱい食べて体を作れたというのは、合宿の中では大きかったと思います。後半の合宿では、マネージャーは大変だったと思うのですが、ご飯を作ってもらいました。鬼谷は10キロ太ったんですが、みんなも5キロずつくらい大きくなって、大きくなると相撲ぶりも変わってくるので、いい体作りができたのは大きかったと思います。
若林 合宿の成果はすぐにはわかりませんが、体重が増えたということは、大きな成果として挙げられます。あとは、チームの一体感、マネージャーやコーチ陣、監督も含めて、チームのまとまりが出たというのは、この合宿で得られた成果だと思います。
「結果を出すことが一番」(谷本)
決意を固める谷本
――インカレのことについて伺います。インカレに向けてどんな練習をしていますか
若林 僕はけがをしていて、みんなとの練習には参加せずにトレーニングをしています。ケガを治すことに専念して、相撲が取れない分筋力のアップに力を入れている状態です。まだあと1か月ぐらいあるので、レギュラーを目指して頑張って、もしレギュラーに入れたら足を引っ張らないようにしたいです。
鬼谷 自分もリーグ戦の前の稽古でけがをして、みんなと同じことはできていません。まずは足を治して、しっかりみんなと一緒に稽古できるように、頑張ります。
谷本 リーグ戦では、立ち合いはよかったのですが、相手の方が自分の形を作るのが上手かったので、いまは相手の形になる前に自分が形を作るということを意識して取り組んでいます。あと1か月しかないのでけがをしないように、体も作り、あとはみんなでまとまってやっていけたらいいと思います。
――練習の雰囲気はいかがですか
谷本 いつも通りです。みんなそれぞれ目標をもってやっている感じなので、まだ普通です。
――インカレはどんな意味を持つ大会だと考えていますか
若林 1年で一番最後の全国大会なので、1年の集大成という気持ちで挑みます。最後の力試し、自分たちの力がどれだけついたか試される試合でもあるし、結果を残さないといけない試合だと思います。
鬼谷 1年で一番大きい大会なので、自分たちも上級生になってきて、結果が求められると思います。100周年に向けて勢いづけるという意味でも、ことしのインカレは特に大事になってくると思います。
谷本 ことしのメンバーで臨むのは最後になるので、結果を出して喜んで終わりたいと思っています。たくさんの人に応援していただいて自分たちは相撲ができているので、恩返しをするためにも結果を出すことが一番だと思います。
――昨年、リーグ戦で1部昇格を果たしましたが、どういったところが強くなったと実感されていますか
谷本 チーム力で勝つ、誰かが負けても誰かがとるというのがワセダの持ち味だと思います。昨年のインカレでも、キャプテンが負けてしまったのですが、他のところで取って勝つことがありました。みんなで勝っていけるという強みが、今回のリーグ戦や昨年のインカレでも結果を出せた要因だと思っています。そこがインカレでもカギになってくると思います。
鬼谷 勝ちにこだわる稽古をやっていて、勝負強さをつけてきたことです。自分たちの代は上級生になったので、勝たなければいけないという強い意識も生まれたと思います。
若林 合宿を通して一体感が増して、ワセダらしさが強くなったことです。個々の力も去年に比べたら断然ついてきていると思います。
――インカレの団体戦はどのような戦いになると予想しますか
谷本 昨年までは、1部のリーグに上がるのがやっとだったので、当たり前のように2部で優勝して、1部のリーグ戦で3チームと対戦する、そこが勝負になってくると思います。みんなで一丸とならないと勝っていけません。予選でしっかり勝つのがカギになると思います。
鬼谷 どことやるにしても、一戦一戦集中して土俵に上がりたいと思います。僕は、自分たちが上に上がることしか見ていないので。
谷本 「上だけしか見えない」ね(笑)。
若林 力の差はそんなにないので、チーム力でカバーしていけば勝てると思います。
――注目校や、ライバル意識を燃やしているチームはありますか、
若林 日大、日体大、東洋大は力が抜けていて、3強です。その下に、東農大、拓大、中大などがあって、僕らがあります。そのあたりを倒せばベスト4に入ることになるので、僕はそこを意識しています。谷本先輩はもっと上を目指していると思いますが。
谷本 そうですね(笑)。でも、春の宇和島・宇佐の選抜大会で日大と2度対戦して、両方0-5でした。日大としっかり勝負したいです。当たったとしても2点・・・。
若林 3点ですよ。
谷本 3点ね、やっぱり。3点だったら勝つから(笑)。でも、0-5はなくしたいというのがあって、日体大や東洋大からも絶対とれると思います。そこと勝負できないと、来年になっても100周年で勝つのは難しいかなと思うので、そこからも1点、2点は取って勝負できるような感じにしたいです。
「恩返しができる」(若林)
意気込みを語る若林
――インカレへの意気込みをお願いします
若林 けがを治してレギュラーに入り、Bでは優勝してAではベスト4というのが目標です。もし、サポート側に回っても、選手を万全の状態で試合に送れるように、全力でサポートしていきたいです。
鬼谷 本当に、上しか見ていないので(笑)。最低でも、宇和島・宇佐大会には出場できるように、また、決勝トーナメントに残って上位進出できるようにしたいです。個人でもベスト16に入ってテレビ中継に映れるように、頑張ります。
谷本 団体では、2部では絶対に勝ち、1部の予選でも3勝する気持ちで、トーナメントに上がっても絶対勝つという気持ちで、臨みたいです。自分がまず勝って試合で勢いをつけたいです。今までチームに迷惑かけてきたので、自分が勝って、みんなで笑ってことしの試合を終えられるようにしたいですね。個人はベスト8まで行きたいです。
――最後に、来年が100周年になりますが、思いを語ってください
鬼谷 OBやOGの方にもすごく応援していただいていて、その期待に応えられるように、100周年という記念の年に花を添えられるような結果を残さないといけないので、チーム一丸となって、全国ベスト4を目指して頑張りたいです。
若林 100年という歴史の中で、先輩たちが積み上げてきたものがあります。僕たちの代でいい結果を残せられれば、恩返しができると思うので、多くの人が関わっているということを忘れずに、練習から全力で頑張っていきたいと思います。
谷本 僕らがやることは、勝って結果を残すことだけだと思います。100周年という節目に立ち会えたのはとても光栄ですが、100周年で終わるわけではないので、僕らが出て行ってもワセダの相撲部が頑張っていけるように、次につながるような100周年にしたいな、と思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 平川さつき、元田蒼)
◆鬼谷智之(おにだに・ともゆき)
1995(平7)年6月18日生まれ。170センチ、118キロ。愛知・愛工大名電高出身。スポーツ科学部3年。合宿で体重を10キロも増やしたという鬼谷選手。しっかりとけがを治して、大舞台での活躍を期待しています。
◆谷本将也(たにもと・まさや)
1995年(平7)8月21日生まれ。182センチ、132キロ。鳥取城北高出身。スポーツ科学部3年。シャイボーイでありながらおしゃべり、というなかなか濃いキャラをお持ちの谷本選手。対談中も明るく場を盛り上げてくれました。
◆若林魁(わかばやし・かい)
1996年(平8)7月3日生まれ。身長180センチ、体重100キロ。岐阜農林高出身。スポーツ科学部2年。笑顔での受け答えが印象的でした。2年生ということでこれからの成長もまだまだ楽しみです。