Aクラス団体戦でベスト8を目標に掲げて臨んだこん大会。迎えたBクラストーナメントの初戦は大差で勝利し、良いスタートを切ったワセダ。続く準決勝では惜しくも敗れるが3位に入賞し、Aクラス予選へ進んだ。結果は予選で敗退し、目標に達することはできなかったものの、上位11校以内に留まり、来月の金沢で開催される全日本学生選抜大会への出場をつかんだ。そして個人戦では早大から5名の選手が出場。最後まで相手に粘り強さを見せたが、ワセダの力士たちは予選トーナメントの初戦、二回戦で姿を消した。
5人制の団体戦では初戦に日本医科大と対戦。立ち会い直後から相手に攻撃の隙を与えず、5対0で圧勝する。続く準決勝、駒大との試合では先鋒の本田煕誉志(社3=大分・楊志館)が相手を突き倒し白星を挙げた。しかし次鋒、中堅戦で連敗してしまう。追い込まれたワセダだったが、副将の堀越豊輝(スポ3=東京・足立新田)が土俵際で見事なすくい投げを決め勝利。2対2の同点に持ち越し、勝敗は大将の鬼谷智之(スポ3=愛知・愛工大名電)に託された。鬼谷は果敢に攻めたものの、突き落とされ前に倒れてしまう。惜しくもBクラス決勝進出はならなかったが、3位を勝ち取り、Aクラス予選へ。3戦にわたる予選で勝ち点の多い上位8校に入れば一部に昇格でき、9位以内ならば十和田大会への出場が決まる重要な試合だ。だが初戦、中大との対戦でまさかの5対0で敗れ、流れをつかむことができない。「それからチームが停滞した」と室伏渉監督(平16人卒=東京・明大中野)が語るように、続く東洋大、日体大との対戦でも身体の大きな相手を前に苦戦を強いられる。しかしその中でも東洋大との対戦で唯一白星を挙げたのが若林魁(スポ2=岐阜農林)だ。相手の攻めにも怯まず素早い動きで押し出し、この勝利が全日本学生選抜大会(金沢大会)行きを決定づけた。
日本医科大を圧倒する鬼谷
団体戦での悔しさを晴らしたい個人戦。だが強敵を前に自分たちの相撲を取りきれず、全員が予選トーナメントで敗退してしまう。厳しい戦いが続く中でも、一勝を挙げたのは谷本将也(スポ3=鳥取城北)と小山雄太(スポ4=神奈川・向の丘工)だ。谷本は力強く攻めていき、相手を止まらぬ勢いで押し出した。「一回戦は思うような相撲が取れた」と振り返る。小山も開始後すぐに相手を土俵の外まで追いやり、勝利を手にした。
相手の意表を突く取り組みを見せた前川
Aクラスでの試合で「まだまだ実力を出しきれていない、勝負の詰めの甘さがある」と室伏監督が語るように、各々の課題を見つめ直すこととなったこん大会。まずは迫り来る金沢大会に向けて、改善点の修正に期待がかかる。一部昇格を目指し、チーム一丸となって勝利を求め続けるワセダ相撲部の熱い戦いはまだまだ始まったばかりだ。
(記事 大石藍、写真 高橋団)
結果
▽団体戦
Bクラストーナメント
準々決勝 対日本医科大 5勝0敗
先鋒 本田参段○(押し出し) ●濱口
次鋒 若林参段○(送り出し) ●春田
中堅 谷本参段○(押し出し) ●三浦初段
副将 堀越弐段○(押し出し) ●永嶌
大将 鬼谷参段○(突き落とし)●山口
準決勝 対駒大 2勝3敗
先鋒 本田参段○(突き出し) ●吉田弐段
次鋒 若林参段●(寄り切り) ○小林参段
中堅 谷本参段●(押し出し) ○中村初段
副将 堀越弐段○(すくい投げ)●石川初段
大将 鬼谷参段●(突き落とし)○小畑弐段
※Bクラス3位
Aクラス予選
一回戦 対中大 0勝5敗
先鋒 本田参段●(突き出し)○近平参段
次鋒 若林参段●(突き出し)○田中弐段
中堅 谷本参段●(寄り切り)○矢後参段
副将 堀越弐段●(寄り切り)○田中参段
大将 鬼谷参段●(寄り倒し)○濱田参段
二回戦 対東洋大 1勝4敗
先鋒 本田参段●(小手投げ)○村田参段
次鋒 若林参段○(押し出し)●白石参段
中堅 谷本参段●(突き出し)○城山参段
副将 堀越弐段●(押し出し)○大波参段
大将 鬼谷参段●(腕ひねり)○西野参段
三回戦 対日体大 0勝5敗
先鋒 本田参段●(突き落とし)○南参段
次鋒 若林参段●(引き落とし)○西弐段
中堅 市川参段●(寄り倒し) ○北代参段
副将 堀越弐段●(押し出し) ○三輪参段
大将 鬼谷参段●(はたきこみ)○村松参段
▽個人戦
前川参段
一回戦
対濱田参段(中大)突き落とし●
小山参段
一回戦
対時田参段(慶大)押し出し○
二回戦
対谷元弐段(専大)突き落とし●
鬼谷参段
一回戦
対トゥルボルド参段(日大)上手投げ●
谷本参段
一回戦
対森田参段(専大)押し出し○
二回戦
対古川参段(日大)押し出し●
本田参段
一回戦
対久保弐段(東洋大)突き落とし●
コメント
室伏渉監督(平16人卒=東京・明大中野)
――昨年と同じ結果に終わりましたが、どのような心境ですか
ベスト8に残れなかったというのは、悔しいの一言ですね。
――Aクラスでの試合は1勝という結果でしたが
初っ端の中大戦で実力差がそんなにないのにもかかわらず、0点だったというのは大きいです。中大戦で一勝しよう、というのがあったのにまったくできなかったので、それからチームが停滞したというか、気持ちの面で負けていましたね。最初に点数が取れるか取れないかで流れは変わってくるんですけど、0-5から始まってしまったというのは非常に残念でした。次の東洋大戦では若林(魁、スポ2=岐阜農林)がたまたま勝ったんですけど、あの一点がなければ7月の(全日本大学選抜)金沢大会に出られていませんでした。ことしは9位、あるいベスト8に入って(全日本大学選抜)十和田大会も予定していたくらいだったので、それができなかったというのはまだまだ実力を出し切れていない、勝負の詰めの甘さがあります。
――金沢大会は勝ち取ったというより、いけたという感じですか
そうですね。敗北感というのが本当に強いです。それは選手は全員思っていると思います。
――個人戦では団体戦に出ていない選手も出ましたが、その選手たちはいかがでしたか
前川(晋作主将、社4=東京・早実)なんかは足を取りにいって、負けましたけどよかったかなと思います。ただ(小山雄太、スポ4=神奈川・向の丘工)は専修大に負けるような選手ではないのに、負けてしまうというのは4年生としての自覚がないのかなと思います。厳しいこと言うようになりますけど、それは思いますね。他に谷本(将也、スポ3=鳥取城北)なんかは団体戦よりいい相撲を取ってたなという印象があったので、それがいつもできればな、と思いますけどね。
――7月の金沢大会に向けて、修正点はありますか
やることはわかっていて、ひとつ厳しく勝負に徹する、ということです。1か月ちょっとあるので、しっかりやらせたいなというふうに思います。
鬼谷智之(スポ3=愛知・愛工大名電)
――きょうはどのような目標がありましたか
目標はチームベスト8だったんですけど、大将の自分が機能していなかったのできょうは迷惑掛けましたね。
――団体戦でのチームの雰囲気はいかがでしたか
先鋒の本田が流れを作ってきてくれていたので自分らがもうちょっと頑張らないとなと思いました。雰囲気はすごく良くてこの日のためにもずっと良い稽古ができていたのでまた次頑張ります。
――ご自身のコンディションはいかがでしたか
いい感じでこれていたので、調子は悪くなかったですね。
――個人戦ではトゥルボルト選手(日大)と当たりましたがいかがでしたか
やはり力の差を感じましたね。上手取られたときに力違うなと分かりましたね。
――金沢大会に向けて意気込みをお願いします
きょう本当に自分がチームの足を引っ張ったので金沢ではチームを引っ張っていけるように自分が頑張っていきたいです。
谷本将也(スポ3=鳥取城北)
――Bクラスのトーナメントの初戦を振り返っていかがですか
初戦の相手は自分たちのほうが実力が上だったので、自信を持って戦えたのではじめとしては良かったと思います。いい入りができたので。
――Aクラスのトーナメント戦についてはいかがでしたか
初戦の相手は実力者で実力不足でやられたんですけど、2回目の東洋大学との試合で、相手が一年生で、絶対自分が1点とろうという気持ちで臨んだのですけど、全然自分の相撲が取れなかったので、そこが課題かなと思います。
――試合前のチームの雰囲気はどのような感じでしたか
東日本が前期の大きい大会なのでここに目標を合わせてやってきたので、やってやろうといういい雰囲気はあったと思います。
――個人戦については
一回戦は思うような相撲が取れたので、そこは良かったんですけど、やっぱり2回戦で勝てなかったっていうのは実力がまだまだ足りないと思うのでもっと稽古しないといけないなというのを感じました。
――今後に向けての目標をお願いします
自分たちの目標は一部にあがることなので、このあとの11月のインカレに向けて、金沢とリーグ戦と団体戦と試合があるのでそこでしっかり勝って自信をつけてインカレに臨めるように頑張りたいと思います。
――
堀越豊輝(スポ3=東京・足立新田)
――今日は久しぶりの団体戦でしたが、どのようなことを意識して取り組みましたか
自分の相撲をしっかり取り切ろうという気持ちでやりました。
――ではまず初戦を振り返っていががですか
初戦は結構足も出てたし手も出ていたので自分の相撲が取りきれて、そこから自分のきょうのコンディションがわかったので良かったと思います。
――Bクラストーナメント準決勝での駒澤大学との対戦では、すくい投げを決め勝利されましたがそのときのお気持ちは
あのときは追い込まれた状況で来たのですけど、そういうことはあまり考えずに、とりあえず自分のできることだけをやろうという気持ちで頑張りました。良い相撲だったと思います。
――試合前チームでどのようなことを話されましたか
個人で勝つよりチームで勝つっていうチームだと思うので、チームでまとまってみんなで気合い入れて頑張るぞという感じで。
――今後に向けての課題をお願いします
立ち上がってから突けるのですけど、そこからの技が無いので、そこを課題点としてきょう見つけられました。そこを工夫して次の金沢でいい結果が残せるように頑張りたいと思います。
本田煕誉志(社3=大分・楊子館)
――団体戦を振り返っていかがですか。まず2部トーナメントについてお願いします
2部は準決勝で勝てなかったことが僕たちの甘さというか。去年からずっと言ってきてますけど、1部と差はないと。2部でも優勝できていないじゃないですか。そこらへんの甘さだと思っていて。すごく実感したなと。稽古中に甘いところが試合で出ちゃってるなという感じがしましたね。
――1部トーナメントはいかがでしたか
1部もそうなんですけど去年からずっと実力は変わらないと言ってきてますけど、勝てていないので、そこですかねやはり。よく心技体って言うじゃないですか。差はほとんどないと思うんですけど、はやり勝ててないところを見ると、やはり心も技術も体力もそうですけど、ちょっとずつ向こうの方が上回ってるのかなという感じで、実力の差はないと言われていることに対して慢心というか、慢心はしていないんですけど俺らはいつか勝てるみたいなことを思っていて。そうではなく、勝負は厳しくいかないと心技体どれをとっても同じだと思うんですけど、全て上回らないと試合じゃ勝てないので。すごく痛感しましたね。
――チームの雰囲気はいかがでしたか
チームの雰囲気は良いと思うんですけど。きょねんの4年生からずっとチームの雰囲気は良いと思うんですけどどうなんですかね。これから目指していかないといけないところは一人一人の技術体力の底上げだったり、チーム力で言ったら1部でもトップクラスだと思うので、もう少しちょっとした勝つために必要なことを、これから試合いっぱいありますけど、やっていかないとなと思います。
――ご自身の取り組みはいかがでしたか
僕はもう全然。2部に関して言えば勝てる相手だったので勝っただけで。1部になるとどうしても初戦とか3試合目とか勝てそうなところで負けるのが課題で。そこで勝ちきるようにしないと上では戦えないと思っていて。3試合目日体大とやったときは相手がことしの宇和島大会の学生個人タイトルとっているので集中して気合いを入れていって。内容はすごく良かったと思うんですけどあそこで勝ちきれないのが僕の甘さだと思って。あそこで勝ちきれるような稽古だったりちょっとずつちょっとずつ日々の過ごし方だったり日々の積み重ねが出るのかなと思いました。
――それは個人戦でも言えるのですか
個人戦もそうなんですよね。やはりあそこまで押し合っていて最後あれは我慢比べだと思ったんですけど、自分に有利な方に進んでいて進んでいて最後にああいうかたちで負けちゃうのはやはり甘さが出てしまっているんですよね。意識しないと癖は治らないじゃないですか。それと同じで日々の中で積み重ねて行くしかないのかなと思います。
――今後の目標をお願いします
僕たちがことし目標としているのが1部で入賞するということなのでインカレをゴールとして逆算していって自分たちに何が足りないのかを一人一人自覚を持っていけば。大会に照準を合わせるのは良いと思うんですけど、急に変わるものではないので。7月に試合があるからこことここを、ではなくて勝てないからこことここをみたいな感じでそこに照準を合わせた方が良いのかもしれませんね。
若林魁(スポ2=岐阜農林)
――団体戦を振り返って、反省などはありますか
全体的に自分の相撲が取れなかったというのが、個人的に反省です。相手に先手を取られて自分が後手になる感じで、自分は先手で動いて攻める相撲なので、それが出来なくて負けにつながったと思います。
――Aクラス唯一の白星を取りましたが、その時の取り組みはいかがでしたか
監督にもずっと自分の相撲が取れないと言われていて、思いっきりやった結果があれなんですけど、足もよく出ていてよかったと思います。
――前回の団体戦ときょうの試合で、変わった点などはありますか
今回の大会は前回の大会より勝たなければいけない試合でした。そういう中で緊張に飲まれてしまって、自分の実力が出せなかったです。
――次の試合に向けて意気込みをお願いします
自分たちは上と比べると下だということがわかったので、挑戦者の気持ちというか思いっきり相撲を取ることで自分の相撲にもなるので、思い切ってやりたいです。