団体戦、Aクラス昇格へ前進

相撲

 雨が降り、大会1日目とは打って変わって冷え込むなか、全国学生選手権(インカレ)は2日目を迎えた。この日は団体戦が行われ、早大はBクラストーナメントに出場。このトーナメントで上位4校に入ればAクラス予選への進出が叶う。ストレートで防衛大、東海学園大を下し、準々決勝で前回Bクラス優勝の朝日大と対戦。鬼門の朝日大戦だったが3-2で破ると勢いは留まるところを知らず、決勝まで駒を進めた。明大との決勝戦は惜しくも2-3で敗れるが、Aクラス予選への出場を決める。Aクラス予選では初戦の立命大戦には勝利するものの、つづく2、3戦目では東農大、日大に敗戦。勝数と得点をあわせた順位では16校中11位になり、Aクラス昇格へ一歩近づいた。

 それぞれが思うに任せぬ結果となった個人戦から一夜明け、チーム一丸となって臨んだ団体戦。Bクラストーナメント準々決勝では朝日大と対戦した。先鋒の榊原祥孝主将(社4=千葉・専大松戸)は寄り切りで土が付いたが、二陣の本田煕誉志(社2=大分・楊子館)が白星をとると谷本将也(スポ2=鳥取城北)もそれにつづき、鬼谷智之(スポ2=愛知・愛工大名電)が勝利をものにする。主将の黒星発進から白星を重ねていった勝ち方は、「みんなで取れたということはまた来年にも繋がりますし、そこが収穫だった」(谷本)と振り返るように、まさにチーム力のなせる業だ。準決勝も3ー2で大東大を破り、迎えた明大との決勝戦。先鋒、二陣と白星をあげ優勝に大手をかけるが、あと一つというところで思うような取組ができず、2ー3で敗れ2位に終わる。惜しくも優勝は逃したが、6年ぶりの入賞となった。

積極的に攻める本田

 Aクラス予選1回戦、合同合宿を行っている立命大を下すと、2回戦では強豪・東農大が待っていた。先鋒・榊原が立ち合い直後にまわしを取られ送り出しで敗れると、二陣・本田が土俵へ。格上の相手を土俵際まで一気に追いつめ、突き落としで白星を奪い返す。会心の取組に本田も笑顔でうなずいた。しかしその後は黒星がつづき敗戦。続く3回戦は日大に完敗したが、Aクラス16校中11位につけ目標にかかげていた全国大学選抜宇和島大会と宇佐大会への出場が決まった。

安定した相撲を取る榊原主将

 今大会は部員全員の1年間の集大成であると同時に、榊原にとっては4年間を締めくくる大会でもあった。「榊さん(榊原)の最後の晴れ舞台だったので、しっかり飾れるように頑張りました」(鬼谷)と語るように、後輩にとっても思い入れは大きい。榊原は早大がこれからは追われる立場になっていくと指摘し、「もっと成熟した本当に強いチームになって欲しい」と後輩たちにエールを送った。着々と力をつけている早大相撲部から、来季も目が離せない。

賞状を受け取る相撲部

(記事 曽祢真衣、写真 本田理奈、中村ちひろ)

結果

Bクラストーナメント

1回戦 対防衛大 5勝0敗

先鋒 ○榊原参段(押し出し)アマルボルド●

二陣 ○本田参段(押し出し)鈴木初段●

中堅 ○谷本参段(寄り切り)ドゥルグーン●

副将 ○鬼谷参段(寄り切り)南宮隆太●

大将 ○堀越弐段(突き出し)渡邊裕二●

2回戦 対東海学園大 5勝0敗

先鋒 ○榊原参段(不戦勝)井上弐段●

二陣 ○本田参段(はたき込み)中川弐段●

中堅 ○谷本参段(引き落とし)小畠初段●

副将 ○鬼谷参段(押し出し)太治初段●

大将 ○堀越弐段(押し出し)三浦弐段●

準々決勝 対朝日大 3勝2敗

先鋒 ●榊原参段(寄り切り)西本参段○

二陣 ○本田参段(首投げ)前田風参段●

中堅 ○谷本参段(押し出し)福島参段●

副将 ○鬼谷参段(送り出し)平塚参段●

大将 ●堀越弐段(寄り切り)前田拓参段○

準決勝 対大東大 3勝2敗

先鋒 ○榊原参段(押し出し)大久保参段●

二陣 ●本田参段(上手投げ)佐藤成参段○

中堅 ○谷本参段(突き出し)堀田弐段●

副将 ○鬼谷参段(突き落とし)佐藤勝弐段●

大将 ●堀越弐段(押し出し)谷合参段○

決勝 対明大 2勝3敗

先鋒 ○榊原参段(小手投げ)小川弐段●

二陣 ○本田参段(寄り倒し)武政参段●

中堅 ●谷本参段(押し出し)齊藤参段○

副将 ●鬼谷参段(小手投げ)鈴木参段○

大将 ●堀越弐段(押し出し)名和弐段○

※Bクラストーナメント2位

Aクラス予選

1回戦 対立命大 4勝1敗

先鋒 ○榊原参段(押し出し)〆木弐段●

二陣 ○本田参段(押し出し)竹内参段●

中堅 ●谷本参段(引き落とし)松本弐段○

副将 ○鬼谷参段(突き落とし)赤座参段●

大将 ○堀越弐段(押し倒し)濱田参段●

2回戦 対東農大 1勝4敗

先鋒 ●榊原参段(送り出し)楮佐古参段○

二陣 ○本田参段(突き落とし)百瀬参段●

中堅 ●谷本参段(押し出し)小柳参段○

副将 ●鬼谷参段(上手出し投げ)北村参段○

大将 ●堀越弐段(突き出し)鈴木参段○

3回戦 対日大 5勝0敗

先鋒 ●榊原参段(寄り切り)トゥルボルド参段○

二陣 ●本田参段(寄り切り)沢田参段○

中堅 ●谷本参段(上手出し投げ)木崎参段○

副将 ●鬼谷参段(寄り切り)中島参段○

大将 ●堀越弐段(突き出し)佐々木参段○

※Aクラス予選11位


コメント

室伏渉監督(平16人卒=東京・明大中野)

――きのうの個人戦は苦戦しましたが、きょうの団体戦に上手くコンディションを合わせることはできましたか

きのう負けた悔しい思いをみんな引きずっていたので、夜ミーティングして切り替えました。「この1年間、一体何のためにやってきたのか」という話をいろいろして、「自分たちの目標は、2部4校に残って、入れ替え戦に出て選抜大会に出ることだから、その選抜大会に向けてやっていこうじゃないか」と話し、本人たちも随分意識したのだと思います。それで随分変わりましたね。

――Bクラスの試合では準優勝という成績になりました。率直な気持ちを教えてください

優勝してもらいたかったですね、正直。

――悔しさの方が強いですか

悔しいですけど、でもよくやったなという思いもあります。下から上がったので。

――2回戦の東海学園大は、昨年のインカレで敗退した相手でした。試合に臨む際、何か特別な思いはありましたか

やっぱり本人たちが悔しい思いをしているので、きょねんのリベンジを果たさなければいけないということでは言いました。

――3回戦と準々決勝は、まさにチーム全員でつかんだ勝利でしたね

誰が勝って誰が負けるというわけではないのですが、この前のリーグ戦(東日本学生リーグ戦)はみんなでカバーし合いながらできたので、「5―0じゃなくていいんだ、3―2でみんなで勝ちにいこう」という話をずっとしていました。それで上手くいったのだと思います。

――団体戦の組んだ順番は上手く機能しましたか

榊原(祥孝主将、社4=千葉・専大松戸)が取って、本田(煕誉志、社2=大分・楊志館)が勢いつけてというかんじで、本当に機能したと思います。ただ決勝は、朝日大のときは榊原が取らなかったので、これは正直焦りました。でも本田がのっていたし、あそこのポイントは谷本(将也、スポ2=鳥取城北)で、(谷本が)非常にいい相撲を取ったので、あれでもういけるかなと思いました。

――悔しさも残った決勝の試合内容を振り返ってみていかがですか

前二つ取ったので、あそこはやっぱり取らないとなと思いました。取れないことはないので、勝ってもらいたかったです、正直。でもこれがまたらいねんに向けての課題なのかなと感じました。

――Aクラスでの戦いを振り返ってみていかがですか

初めの立命大は合同合宿もやっていて、相手もよく分かっていたので、非常に入りやすかったなと思っています。

――実力としてはもともと立命大とは互角だったのでしょうか

そうですね。稽古場でも結構勝ったりしていたので、きちんと自分たちの相撲が取れれば、結果がついてくるという風に選手たちには言っていました。

――2回戦3回戦は強豪校との戦いになりました

やはり東農大や日大はトップクラスで、それにどこまで自分たちの相撲が取りきれるかだったので、そこはまたらいねんの課題になったのかなと思います。

――らいねんはきょうの結果を受け、Aクラスで戦うことになるのですか

らいねんの6月の大会で決まりますね。そこがAクラスのインカレに関わってくるので。らいねん東日本でベスト8に入れば間違いなくAクラスに上がれます。

――まだ1部昇格ということではないのでしょうか

まだ一部、という形ではないのですけど、少し前進したかなと思います。

――Aクラスでは勝ち星を5点挙げられました。結果についての印象を教えてください

あと1、2点は取れたかなと正直思います。そうすればもっと簡単に選抜大会にいけると思うので。でもこればかりはしょうがないし、本人たちがどこまで実力をつけ、「あ、ここまで来たんだな」と一番肌で感じていると思います。自分たちの実力が今ここまで上がっている、ここまでいければ通用する、ということが見えたのが良かったのかなと思っています。

――選抜大会について詳しく教えてください

東で何校、西で何校というのがこの大会(インカレ)で勝てば選ばれて、全国の選抜大会に出場できます。愛媛の宇和島それから大分県で行われます。

――いつ行われるのですか

4月29日と5月3日に行われます。

――大一番であるインカレを終えたチームにどういう声をかけてあげたいですか

本当によくやったな、と。榊原が最後で4年生一人でずっとやってきたので、それは本当にねぎらってあげたいなと思います。

――オフシーズンに入っていきますが、今後はどういった点を強化していきたいですか

体力的にもまだまだのびしろがあるので、筋力トレーニングや基礎的なトレーニングをやらして、もっともっと一番でも二番でも勝てるように鍛えていきたいと思います。

――今後への抱負を教えてください

自分たちも本人たちもすごく自信がついたので、今後は決勝トーナメントに残ってベスト8にまでいって戦いたいと思います。

榊原祥孝主将(社4=千葉・専大松戸)

――きょねんBクラスの2回戦で負けた相手、東海学園大に全勝しましたね

きょねん自分はケガで出ていなくて2年生だけで出たと思うんですけど、向こうも必死ですので若さが出てしまったかなという感じでしたね。ことしはその悔しさを1年間持ち続けて、対戦すると聞いたときにこれでやっと1年間のやられた分を取り返せると思いました。

――Bクラスで2位という結果をどう思いますか

自分が入ったときは全然入賞できていなくて、私が主将になったときもどん底からスタートしたので、よくここまで来たなと思いますし、本当に私の力だけで来たんじゃないなというのはひしひしと伝わってきて。結構メンバーが色々入ってきて、勝たなくてはいけない状況になってきてプレッシャーもあったんですけど、ここまで来られて良かったと思います。

――早大の強み、チーム力で勝つことができたのでしょうか

そうですね。今回は自分が1番大事なところで落としてしまって大変だなとなったときがありました。いままでのチームだったら自分が落としたら厳しいかなという感じだったのですが、全然そんなことなくてそれぞれがきちんと仲間を信じて、自分の相撲に集中していたので良いチームワークができたなと思いました。

――Aクラスで戦ってみて何か手応えはありましたか

東農大や日大はいつも東で上位としてやっているので強さはわかっているので、最初に戦った立命大はBで2位になった勢いで倒そうという意気込みでやりました。

――実際に立命大には4勝していてすごかったですよね

立命大とはこの1年で2、3回合宿していてお互いに行き来していたので知っている状態ではあったので、やりづらさはあったと思いますが向こうは1部を守らなくてはいけない立場で、私たちは1部に臨む立場なのでそこの気持ちの違いが結果につながったのではないかなと思います。

――最後の団体戦ということでどんなことを思いますか

自分は結構団体戦が好きで、個人も団体という感じでやってきたんですけど、4年間を通じて良い先輩、後輩に恵まれて本当に最高のチームで最後戦えたのもすごく嬉しかったですし、そんな状態で戦えるまでにしてくれたいろんな人に感謝したいです。

――後輩たちへの思いをお願いします

ことしは失われたものを取り返すということで、東日本のインカレから、私が入ったときから得た状態のものをまずは取り返すということで取り返していって、結果としてリーグ戦やインカレでそれ以上の戦績を収められたのでこれからは追われる立場になると思うんです。ことし1年間はワセダの勢いでやってきたと思うんですけど、勢いを持続して欲しいですし、もっと成熟した本当に強いチームになって欲しいです。いまは勢いですから。あと2年で創部100周年という大事なところに来ましたしね。本当にきょうは感謝です。朝日大戦ではやらかしたと思いましたが、その後怒涛の3つ取ったので。でも2-2でも堀越(豊輝、スポ2=東京・足立新田)は取ってくれたと思います。本当に申し訳なかったです。その後は気合いを入れ直そうと思って頑張りました。

鬼谷智之(スポ2=愛知・愛工大名電)

――きょうのチーム全体の目標を教えてください

Bクラスでベスト4までに入って、Aでも勝って4月・5月の地方大会に出ることが目標でした。

――どのような意気込みで試合に臨んだのですか

きのうの個人戦が良くなかったのでしっかり自分の相撲を取り切ろうと思って、榊さん(榊原主将)の最後の晴れ舞台だったので、しっかり飾れるように頑張りました。

――きょうのご自身の取組はいかがでしたか

勝てる試合も何番かあったのですが、そこを落としてしまって。悔しかったです。

――Bクラス2位でしたが、どのように受け止めていらっしゃいますか

自分が最後決勝で取っていたら優勝できたので、悔しかったです。

――これからAクラスと戦っていくにあたってどのようなことを練習していきたいですか

起こしにいったときにどうしても叩かれるので腰の使い方だったり、身体の使い方をしっかり練習していきたいです。

谷本将也(スポ2=鳥取城北)

――試合前のチームの雰囲気はどうでしたか

きょうが本番というか、個人戦ではみんなあまり勝てなかったのですが、みんなでしっかり勝とうという気持ちでした。

――個人的にはどのような思いで試合に臨んだのですか

とりあえずBでベスト4までに入って、さらにBでは決勝まで全部勝とうという気持ちで臨みました。

――Bクラス2位という結果でしたが、お気持ちをきかせてください

自分が最後中堅で勝ったら明大に勝つことができていたので、そこはチームに申し訳ないという気持ちがあって、やはりしっかり勝てるようにしていかなくてはいけないなと思いました。

――きょうのご自身の取組を振り返っていかがですか

ベスト4で勝った朝日大との試合で先鋒のキャプテンが負けてしまったのですが、そこをみんなでカバーして勝って、勝たなければいけない場面だったのですが、そこをみんなで取れたということはまた来年にも繋がりますし、そこが収穫だったかなと思います。

――これからさらに高いレベルの選手と戦っていくことになると思いますが、どのような稽古をしていこうと思いますか

もっと前に出て、立ち合いはそんなに悪くないと思うので当たってからの流れというのをもっと自分の形を突き詰めていって、まわしを取ったりだとかこうなったら負けないという幅をもう少し利かせていけば、Aクラスでも本田が勝ちましたし、できないことはないと思うので、来シーズンにはなりますがもう一回り成長しなくてはいけないと思います。

堀越豊輝(スポ2=東京・足立新田)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

立ち合いで手は伸びてたんですけど、やっぱりそのあとの展開がまだだめなのでもう1回当たってまわしを取るとか横にいなすとかを課題にして直していきたいです。

――きょうどのようなことを意識して取り組みましたか

きょうは自分の考えたことを思いきってやろうという考えで、立ち合いを思いっきり当たったりとか、左を取りにいったりとかしたんですけど、左を取ったときはあまりうまくいかなかったので立ち合いで当たったほうがいいなと今回の試合で感じました。

――チームの様子、雰囲気はいかがでしたか

やっぱりこの間のリーグ戦もそうだったんですけど、チームで勝つっていう、誰かが落としたら誰かがとるっていう感じでまた今回も、2位のトーナメントで、そういう感じで勝ったと思うので、チーム力がとてもいいと思いました。

――今後に向けての目標をお願いします

今後は冬で試合も当分ないので、体をもう一回鍛え直して上の段階で相撲が取れるように頑張りたいと思います。

本田煕誉志(社2=大分・楊子館)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

全体的にはすごく良かったと思いますね。選抜大会に行けるみたいなので。まだちょっと分からないですけど。下から一歩一歩しっかり上がってこられたのは収穫だと思います。

――きょうの試合の前に事前にチームで話し合ったことはありますか

何も話してないですね。頑張ろうねみたいな。

――ご自身が特に心掛けていたことはありますか

気負わないことですね。チャレンジャーなので気負ってもしょうがないですし。のびのびやろうと思って。

――きょうの特に良かった点について教えて下さい

団体に関して言えばちゃんとチーム力、やはりワセダはチーム力が強いと思うので、誰かが負けても誰かが勝って取り繕うじゃないですけど、支え合ってチーム力で勝ったことはすごく良かったと思いますね。個人的なことで言えば、Bはそれほど負ける相手ではなかったんですけど、Bの決勝、武政さん(明大)ってけっこう強いんですよ、あの人に勝ったり、あと農大のレギュラーに勝ったりしたんですごく僕も自信になりましたね。

――これからの課題についてはいかがお考えですか

やはりここから上ですよね、どうしてもやはり日大とか5ー0で負けてしまって。これから2部から1部に上がるので、1部に上がるときにどうしても厳しい当たりになるのはしょうがないと思うんですけど、そこでどうやって強い相手に勝つかを考えたときに、きちんと考えながら稽古しなきゃいけないのかなと思っていて。稽古の方針が間違っているとかではなく、こうやって結果もついてきているので、もう一つステップアップしていくように、このオフシーズン個人でいろいろ考えてまたらいねんに向けやっていくしかないですね。