厳しい暑さの中、東日本学生個人体重別選手権が行われ、早大からは9人が試合に挑んだ。この大会での結果次第で全国学生個人体重別選手権進出が決まる。全国を目指して奮闘し、若林魁(スポ1=岐阜農林)が3位入賞という快挙を達成。谷本将也(スポ2=鳥取城北)はあと1勝というところでその出場権を手に入れることができなかった。
100kg未満級に出場した若林。危なげなく予選トーナメントを突破し、優秀8選手トーナメントへ駒を進めたことで全国への切符を獲得した。準々決勝では日大の選手と対戦。優勝を狙う若林にとって強敵だったが、立ち合いから積極的に攻め、押し出しで勝利した。そして迎えた準決勝。予選から常に自分のペースで相撲を取ってきたものの、この取組では終始相手の流れになってしまう。そのまま土俵の外へ押し出され、決勝へ進むことはできなかった。「満足はしていない」(若林)。3位という輝かしい成績を残したが目指していたのは優勝。高みを目指す若林なら全国でもきっと結果を残してくれるに違いない。
激しい戦いを制した若林
一方、135kg以上級には谷本が出場した。予選1回戦では相手に土俵際まで押されたが、なんとか粘りはたき込みで勝利。続く2回戦は下手捻りで敗れ、優秀8選手トーナメントには進めなかった。だが、諦めるのはまだ早い。全国へのチャンスをつかむため、全国大会出場者選出トーナメントに挑んだ。日体大との対戦では、相手の猛攻に押され気味だったが、上手く相手との距離をとり引き落としで白星。あと1勝で全国大会出場が決まる。気合いの入った表情で土俵に上がる谷本。しかし先週の全日本大学選抜金沢大会で優勝した強者を相手に全く歯が立たず、開始まもなく送り出しで敗れた。それでも「自分の力を出せば一流の選手相手でもチャンスはあるかなと思えた」と振り返る。レベルの高い選手との対戦は大きな糧となったようだ。
険しい表情で戦う谷本
今大会では若林の活躍が光ったものの、本来の実力を出し切れなかった選手たちが多かった点が惜しい。一発勝負のトーナメント戦で結果を残せる「勝負強さ」を身につけていくことが今後のカギを握る。そのためにもまずは基礎となる身体づくりが重要だ。この夏のトレーニング合宿で、さらに成長して帰ってきてくれることだろう。
(記事 平川さつき、写真 桝田大暉)
3位入賞で表彰される若林
結果
▽65kg未満級
中田初段
予選2回戦
対池田初段(東洋大) 引き落とし●
▽85kg未満級
前川参段
予選1回戦対柴岡初段(日体大) 押し倒し●
▽100kg未満級
若林弐段
予選1回戦対鳩田参段(慶大) 突き出し○
予選2回戦対吉田参段(日体大) 寄り切り○
予選3回戦対堀田参段(東洋大) 押し出し○
準々決勝対杉山参段(日大) 押し出し○
準決勝対朝岡参段(日大) 押し出し●
第3位
▽115kg未満級
小山参段
予選1回戦対横田参段(専大) はたき込み●
鬼谷参段
予選1回戦対的場参段(中大) 引き落とし●
堀越弐段
予選1回戦対鈴木弐段(東北大) 寄り切り●
市川参段
予選2回戦対佐藤参段(日体大) 不戦敗●
▽135kg未満級
本田参段
予選1回戦対花下参段(東農大) 小手投げ○
予選2回戦対北川参段(東洋大) 突き落とし●
▽135kg以上級
谷本参段
予選1回戦対松原初段(東農大) はたき込み○
予選2回戦対山城参段(日大) 下手捻り●
全国大会出場者選出トーナメント1回戦対北代弐段(日体大) 引き落とし●
全国大会出場者選出トーナメント2回戦対村田参段(東洋大) 送り出し●
▽無差別級
榊原参段
予選1回戦
対百瀬参段(東農大) 押し出し●
コメント
室伏渉監督(平16人卒=東京・明大中野)
――今大会を振り返って
もう少し何人かは全国に出られるんじゃないかなと思っていたので。ただ1年生の若林が3位になったのでそれは良かったと思います。
――谷本選手は全国大会まであと一歩でしたが
最初の予選で勝たないと。前の大会で勝ったことのある相手だったので、あそこで勝っておかないといけなかったかなと思います。
――若林選手以外、優秀8選手トーナメントへ進めなかったことについてはどう思いますか
鬼谷(智之、スポ2=愛知・愛工大名電)と堀越(豊輝、スポ2=東京・足立新田)は先週(全日本大学選抜金沢大会)が良かっただけに残念ですね。ただ一発勝負なので、ここが難しいところで。だからそういう勝負強さは今後身につけなくてはいけないかなと思います。
――今後の目標は
インカレ(全国学生選手権)が11月にあるので、その前に9月にリーグ戦があって合宿をはさむのですが、行事はまたインカレでAクラスとの入れ替え戦までいって、らいねん選抜大会があるのでそこに出られるように、そこまで行けるチームにしたいなと思います。
――夏合宿で鍛えていこうと思っている部分は
夏合宿は身体をもう一回基本から作り直すということでトレーニングが中心になります。毎年トレーニング合宿では下半身を中心にして、坂道ダッシュなどいろんなことをしています。本人たちがもっと追い込んで身体をつくって。大体合宿で5キロぐらい太って帰ってくるので、飯を食べさせて。それを8月に一週間やって体力をつけるんですけど、自信をつけて次に挑みたいなと思います。
谷本将也(スポ2=鳥取城北)
――きょうの試合全体を振り返っていかがでしたか
体は良く動いてました。一週間前の金沢(全日本大学選抜金沢大会)では自分の相撲が取れなかったので、きょうは立ち合いで突き放してみようと思ってやったらそれがしっかりできたので良かったです。でも2回戦で勝って全国大会出場を決めたかったので、勝負所で勝ち切れなかったのが課題です。
――その2回戦での敗戦をどう捉えていますか
昨年対戦したときは引いて勝っていたので、きょうは突っ張ったあと良いところで引こうと思ったんですけど、引こうとしすぎて相手がそれを警戒していました。そこで自分が別の方法で攻められたら勝つことができたと思うので、惜しいところで勝ち切れなかったのが課題として残りました。
――敗戦で全国出場を逃した村田選手(東洋大)との対戦はいかがでしたか
この前の全日本大学選抜金沢大会で優勝している選手で、思い切って当たればチャンスがあるかなと思ったんですけど、当たった瞬間に下がってしまいました。それでも自分の力を出せば一流の選手相手でもチャンスはあるかなと思えたので勉強になりました。今後は自信を持って、次の試合に臨みたいです。
――その点がきょうの収穫といったところでしょうか
そうですね。それと立ち合いがずっとダメで、小さくなっちゃって良い相撲が取れていなかったので、きょうは立ち合いを集中して自分の当たりができたのは大きかったです。あとはそこからの流れでまわしを取ったりして、自分から積極的に仕掛けていければもう一段階上にいけると思うので、改善していきたいです。
――夏の期間、何に重点を置いていきますか
まずトレーニング合宿が一週間ほどあるので、そこで体重を増やして力をつけて、立ち合いで圧倒できるようになりたいです。立ち合いで良い状態から勝てるように、練習から相撲の感覚をつかんで、そのあとの試合に照準を合わせていきたいです。
本田煕誉志(社2=大分・楊志館)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
力不足でした。1回戦目は相手が年下だったので勝たなきゃいけなかったのですが、それより2回戦目ですね。立ち合いからの攻めといった部分で他の選手と比べたら力がないので、そこを伸ばしていかなければと思います。
――やはりその点がまだまだだったといったところでしょうか
そうですね、いくら立ち合いで良い体勢になってもそこから勝ち方を知らないというか、勝てないです。ぼくに関しては立ち合いからの攻めをトレーニングや稽古で力をつけてやっていくのが課題だと思います。
――先週の全日本大学選抜金沢大会の試合からきょう活かせたようなことはありましたか
その試合は周りの空気に飲まれてしまって自分の持ち味の立ち合いで全く当たれなかったです。その試合よりは自分の相撲ができたと思います。
――これから夏に向けて何に重点を置いていきますか
2部の選手だったらいまの実力でも通用するかもしれないですが、1部の相手と戦ったときは力や技が相手の方が断然上なので、筋肉をつけて体を一回り大きくしたいです。
若林魁(スポ1=岐阜農林)
――きょうの試合はいかがでしたか
エイト(優秀8選手トーナメント)に残れたので優勝を狙っていたんですけど、しょうがないですね。
――結果に満足はしていますか
満足はしていないですね。準々決勝が日大で、たぶん1番強い相手で優勝候補に勝って、次もまた日大だったんですけどそこで負けたのは悔いが残るというかもったいなかったなと思います。
――そこでの敗因は
向こうの相撲は2本でさす相撲なんですけど、それにさし負けて向こうの相撲になってしまったのが敗因ですね。
――先週の試合から改善したところはありますか
特にないです。ただ思い切ってやろうと。同じ体重の範囲なので、学年関係なしで負けたくないというのがあるんで。
――相撲の内容も良かったですよね
はい、内容は最後以外は良かったですね。
――今後の目標は
全国体重別に出られることになったので、まずはその試合にせっかく出られるので結果を残して、あとはインカレもあるのでメンバーに入れるかわからないですけど、入れるように練習を頑張っていきたいと思います。