部員不足を解消するため多くの人に相撲を楽しんでもらい興味を持ってほしいと、相撲部が始めた早稲田杯。第5回目となることしは12人の参加者が集まった。初心者ばかりとはいえ、本気の勝負。早大生たちが激しい戦いを繰り広げた。
まずは試合に向けての準備。相撲部員たちが手伝い、参加者のまわしをつける。その後、しこやすり足の練習をし、部員の胸を借りてぶつかり稽古も行った。しこを踏むのはなかなか難しいのか、高く足をあげてはよろける参加者の姿も。真剣に稽古に励み、熱心に指導を受けていた。
鈴木(手前)と林(奥)の決勝戦
そしてついに試合開始。はじめは2つのリーグに分かれ、1人5試合をし、各リーグ上位3名が決勝トーナメントへ進んだ。参加者は相撲初心者や相撲同好会の選手など様々な顔ぶれがそろい、中にはアメリカからの留学生もいた。だが、立場は異なっていても目指すものは同じ。土俵際で粘りを見せたり、積極的にまわしを取りに行ったりと、まさに熱戦となった。そんな激闘の中で勝利をつかんだのは鈴木崚(商1)。相撲の経験はないが、ハンドボールと登山で鍛えた恵まれた身体を生かし、決勝で相撲同好会所属の林拓見(社5)を破った。「思っていたより相撲ってかっこいい」。だが相撲は力だけでなく技も必要だと実感したという。一方、敗れた林は「もっと稽古をして強くなりたい」と練習不足を反省し肩を落とした。しかし、どの参加者もすっかり相撲の魅力に惚れ込んだよう。昨年は相撲同好会から新たに1人相撲部員が誕生した。さらにことしは見学者も増え、2年後の100周年へ向け、盛り上がりを見せている。相撲に親しんでもらうためのこの活動は大成功といえるだろう。
デーモン閣下から表彰される鈴木
表彰式後は相撲部が振る舞うちゃんこを囲んだ交流会が開かれた。この日、審判長を務めたデーモン閣下(社卒)ややくみつる氏(商卒)も参加し和気あいあいとした雰囲気での食事となった。榊原祥孝主将(社4=千葉・専大松戸)は「内容は非常に濃い相撲が多かった」と話し、参加者たちを絶賛。相撲の普及を願う部員たちの努力が実を結び、学生たちは心の底から相撲に親しんでいるようだった。
(記事 平川さつき、写真 田々楽智咲)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
コメント
榊原祥孝主将(社4=千葉・専大松戸)
――きょうの早稲田杯はとても盛り上がっていましたがいかがでしたか
今回、出場者数が比較的多い方だったのですが内容は非常に濃い相撲が多くて、選手もそうですが大会を通して私たちのいろんなものが成長しているなと実感できる試合だったと思います。
――第5回目を迎えて感じたことはありますか
今回から運営を学生だけでやっています。ことしからの取り組みの一つとして始めたのですが、もっと効率の良い運営、もっと面白くするにはどうしたらいいかというのを感じましたね。
――今回は見学者も多い印象を受けましたが
元々出場者だけでなく見学者も広く集めているんですけど、今回は新歓活動を通して、インターネットの宣伝でホームページなどによって浸透したかなと。その結果として、きょう来場していた方は一番多いと思います。非常に良かったと思います。
――報道陣もたくさん来ていますね
今回はやくみつるさんがいらっしゃったということで、大相撲界の論客2人がいらっしゃったのでメディアの注目が高かったのではないかと思います。
――新入部員を1人迎えましたが、どんな思いを寄せていますか
いままでは重い選手が多かったのですが、中量級の選手を獲得したので、あまり難しく考えずに自分のやれることをしっかりやってもらいたいです。5月に新人戦があり、その間に合宿もありますので、それを通して成長してもらって、チームとして層が厚くなってきているので自分がずっと出ていられる立場というのは勝ち取らないと取れないので、レギュラーを取るつもりで頑張ってもらえればなと思います。
――今後試合を5月、6月に控えていますが意気込みは
私もけがが癒えまして、ほかの選手も何人もけがしていたんですけど治ってきて、人数がそろって練習ができるようになってきたので、チーム力の底上げを図って5月の新人戦では若林は入賞をしてもらって、6月の東日本インカレでは団体を、3年越しなのでBで入賞するというのは。それを悲願の入賞にならないように、当たり前の入賞にできればなと思います。
――創部100周年に向けて取り組んでいきたいことは
もちろん早稲田杯もそうですし、東伏見のスポーツフェスタの時の相撲体験もそうなんですけど、もっと相撲を知ってもらう、応援してもらえる相撲部というのを以前から言っているのですが、ことしはそれをしっかりと形にできるようにしたいです。試合に多くの方に見に来ていただいたり、見ごたえのある相撲をしたり、相撲はどうしても勝ち負けという結果があるのでうまくいかないこともあると思うんですけど。見ごたえのある相撲というのは自分の努力次第でとれると思うのでそれを目指していきたいなと思います。
林拓見(社5)
――第5回早稲田杯を振り返っていかがでしたか
楽しかったのですが、やはりちょっと悔しさが残る大会でした。
――過去にも早稲田杯には出場経験がありますか
きょねんの早稲田杯に出場しました。そこで相撲同好会というものがあることを知って同好会に入りました。
――決勝戦、とても惜しかったですね。
稽古不足を実感しました。もっと稽古をして強くなりたいと思いました。
――同好会ではどのくらいの頻度で練習をしているのですか
人それぞれなのですが、相撲部の練習の予定に合わせて週に1、2回各自練習に参加できるときに参加しています。
――きょねんの早稲田杯と比べてことしはいかがでしたか
前回、4位で相撲は初めてだったのに思ったより勝てたなという印象だったのですが、ことしは経験を積んだから楽勝で勝てるのではないかと思っていました。しかし周りのレベルがものすごく高くて、何番か負けそうになってしまいました。決勝でも負けてしまい、想像以上にレベルが高かったです。
アルシート・ギロリー・3世(国際コミュニケーション研究科)
――第5回早稲田杯を振り返っていかがでしたか
悔しかったのでまた相撲をやりたいです。
――いつから日本にいらっしゃるのですか
3月から交換留学生として来ています。けれども、過去に5年間北海道にいたことがあります。
――相撲には以前から興味があったのですか
やはり日本の伝統的なスポーツにはすごく興味がありまして、武道や格闘などが大好きでした。特に相撲のように勝負が一瞬で決まるスポーツはなかなかないので、大好きでした。
――まわしをつけることに抵抗はなかったですか
特になかったです。
――らいねんもこの大会に出たいですか
出られたら出たいです。もしかしたら卒業しているかもしれないですが、まだ日本にいたら見学だけでもしたいです。
鈴木崚(商1)
――優勝してみていかがでしたか
思っていたより相撲ってかっこいいんだなと思いました。参加してよかったです。
――取り組みは満足できるものになりましたか
もっとやりたいなと思いました。やっぱり力だけじゃなくて、自分より30kgくらい軽い方にも1回負けてしまったので、技なんだなと思いました。でも楽しかったですね。
――何かスポーツをされていたのですか
ハンドボールと山を登るのをやっていました。だから足腰が強いのかなと思います。
――身体は柔らかいのでしょうか
身体はガチガチですよ。四股を踏むのも大変でした。でも四股もかっこいいですよね。
――そもそもなぜ早稲田杯に出場したのですか
メールがきて。相撲の大会に出ることってないじゃないですか。だから思い出作りになるし、ネタにもなるなと思ってやりました。
――きょうはデーモン小暮閣下もいらっしゃっていましたよね
デーモン小暮閣下にも会いたいなと思って、個人的にYouTubeでもよく見ていたので。
――来年も出場したいですか
来年も出られたら出たいと思っています。