またもあと一歩で敗戦。来季へ飛躍誓う

相撲

 団体戦で1部リーグ昇格を狙うも、惨敗に終わった全日本学生選手権(インカレ)から2週間。早大相撲部はインカレで顕著となった経験不足を補うため、そして来季へ弾みをつけるため東日本学生競技会に出場した。主要大会での入賞者以外を対象とした今大会は現在の相撲部にとっては絶好の腕試しの場。日大や日体大といったインカレ1部校のレギュラーを目指す選手相手に上位進出を狙ったが、インカレに続きまたもあと一歩で敗戦。土俵際での弱さを克服できず、団体ではBチームがベスト8、個人では最高がベスト32に終わった。

個人戦では華麗な上手投げを決めた堀越

 まず行われた団体戦には3人1組でAとBの2チームを組み臨んだ。早大Aは1回戦で姿を消すも、早大Bは中堅の本田煕誉志(社1=大分・楊志館)、大将の谷本将也(スポ1=鳥取城北)が健闘。決勝トーナメントに進出した。

 続く個人戦では堀越豊輝(スポ1=東京・足立新田)が見せた。2回戦で敗退した団体戦の早大Aでただ一人白星をあげた堀越。立ち合いで押される場面もあったが、落ち着いて対処しそのまま上手投げ。今季の成長の一つにあげた相撲の技術を見せつけた。ベスト16をかけた取り組みでは惜しくも敗れたが、筋力不足や足腰の強さといった自らの課題を確認。意味のある大会となったようだ。個人戦では他にも本田や鬼谷智之(スポ1=愛知・愛工大名電)が2回戦を勝ち抜くが堀越と同じベスト32止まり。あと一歩で敗れる取り組みも多く、全体としては悔いの残る内容だった。

 気を取り直し、挑んだ団体戦決勝トーナメント。相手は個人でベスト4に入った選手を擁する日大Aだったが、互角の争いを繰り広げた。先鋒の前川晋作(社2=東京・早実)が敗れ迎えた中堅戦。本田の相手は個人でベスト4に入った長内琢磨(日大)。実力者相手に厳しい戦いが予想される中、取り組みが始まる。しかし、勢いの良い立合いを見せたのは本田だった。激しい攻めで土俵際まで追い詰める。もうひと押しで勝てる。誰もがそう思った。だが、やはり相手が一枚上手。うまくかわされそのまま上手出し投げ。あと一歩まで追い詰めながらも金星とはならなかった。それでも勝敗は決した後に行われた大将戦で谷本が個人戦ベスト8の選手を相手に勝利するなど意地を見せた早大。その後、互角に戦った日大Aが準優勝となったため、悔しい敗戦の一方「1部の選手にも自分の立ち合いが通用する」(本田)と確かな手応えを掴んだ。

今試合チーム最高の4勝を挙げた本田

 インカレに続き土俵際の弱さが露呈した大会であったが、日大と良い勝負を展開するなど光明は見えた。強い新入生の入部により激動の1年となった相撲部。今季得た、経験、技術、悔しさ、全てを糧にして来季は「もっと勝ちにこだわる相撲をチームとして取りに行く」(本田)。誓い新たに、新生・早大相撲部の歩みは新章に向かう。

(記事 石丸諒、写真 田々楽智咲)

結果

▽団体戦

早大A

2回戦 対農大C 1勝2敗

先鋒 堀越初段○(送り出し)●三瓶参段

中堅 鬼谷参段●(押し出し)○円子参段

大将 小山弐段●(寄り切り)○安川参段

早大B

2回戦 対中大C 2勝1敗

先鋒 前川弐段●(寄り切り)○植松弐段

中堅 本田弐段○(突き出し)●伊藤参段

大将 谷本参段○(不戦勝)●加藤弐段

3回戦 対東洋大B 2勝1敗

先鋒 前川弐段●(小手投げ)○鵜川参段

中堅 本田弐段○(押し出し)●多田

大将 谷本参段○(押し出し)●平野参段

決勝トーナメント1回戦 対日大A 1勝2敗

先鋒 前川弐段●(決め倒し)○京谷参段

中堅 本田弐段●(上手出し投げ)○長内参段

大将 谷本参段○(押し出し)●山城参段

▽個人戦

前川弐段

予選1回戦

対圓井参段(拓大)●寄り倒し

本田参段

予選1回戦

対嶋田弐段(慶大)押し出し○

予選2回戦

対恒次洸弐段(日体大)押し出し○

予選3回戦

対庄司弐段(埼玉大)寄り切り●

谷本参段

予選2回戦

対佐藤参段(大東大)下手投げ●

堀越初段

予選2回戦

対伊藤参段(中大)上手投げ○

予選3回戦

対岩間参段(日大)寄り倒し●

小山弐段

予選2回戦

対多田(東洋大)突き出し●

鬼谷参段

予選2回戦

対恒次栄弐段(日体大)押し出し○

予選3回戦

的場参段(中大)引き落とし●

コメント

本田煕誉志(社1=大分・楊志館)

――きょうはどのような意気込みで試合に臨みましたか

きょうの大会はことしの試合で勝ち残ることができなかったメンバーでの試合だったので、どこまで通用するかなと自分の力を試すという意気込みで臨んだのですが、個人戦は滑ったのですが変な相撲を取ってしまってすごく悔しかったです。団体戦はベスト8まで残ったのですが、インカレに続いて日大戦で土俵際の甘さというのが出てしまいました。自分でも意識はしていたのですが、相手の選手が土俵際の駆け引きがとても上手かったので。来シーズンに向けて、1部の選手にも自分の立ち合いが通用するという自信はついたので、あとは当たってからの攻めと攻め切る前の詰めの甘さを修正していかないといけないなと思いました。

――個人ベスト32という結果についてはどう思われますか

全然だめです。自分自身もっと上を狙えたなというのもありますし、過去に勝っている相手に負けてしまい、以前合同稽古した時も5分で戦えていたので本当に悔しいです。

――埼大での試合の敗因は立ち合いでしょうか

そうですね。立ち合いで滑ってしまい、組んだら向こうが強いのでそのまま相手の相撲になってしまい負けてしまいました。

――冬季に向けての課題は見つかりましたか

この試合ではというわけではないのですが、この冬の目標として筋力アップをして体を一回り大きくしたいです。あとは土俵際の詰めと当たってからの攻めです。もっと幅広い相撲を取りたいです。

――チーム全体で意識していくことは何だと思いますか

らいねんは1年生も入ってきて、レギュラー争いもし烈になると思うので、もっと勝ちにこだわった相撲をチームとして取りにいかないといけないと思います。気持ちの面で負けているとは言わないですが、甘い部分があると思うので来シーズンからは1年生と一緒に勝ちにこだわった相撲をしていきたいです。

谷本将也(スポ1=鳥取城北)

――試合を振り返っていかがでしたか

ところどころ良い相撲もあって、来シーズンに繋がる相撲を取れたと思うので良かったです。

――団体戦で勝った選手はとても力のある選手だったと思いますがその時の試合はいかがでしたか

日大の戦いは強い選手だったんですが、自分の力を出し切れば、強い選手にも勝てるという自信にはなりました。あとはどんな相手にも力を出し切ることができれば、ある程度上までいけるとは思いました。

――自分の力を出し切るためにはどんなことが必要ですか

相手を倒すことだけに集中することが大切で、自分が勝ったらどうとか負けたらどうとかそういういらないことを考えると、集中できないの。勝てた試合は勝負も決まっていて楽に行けたので、ある意味リラックスして目の前の相手だけに集中できたら良い相撲が取れると思います。

――インカレから2週間経ちましたがインカレでの反省は生かすことができましたか

やっぱり1番最初の相撲で(インカレでは)個人も1番目で団体も1番目で負けてしまったので、初戦を勝つということを意識しました。きょうは団体の1番目は良い試合ができたのですが、個人の1番目で負けてしまったので。正直勝てる相手だったので、1回勝って勢いを自分でつけていくというのが個人ではできなかったので5分5分です。

――すでにらいねんの新入部員も決まっているようですが、先輩になることについてはどう思いますか

一緒に頑張るわけですが、自分たちが先輩になるので自分たちが一生懸命稽古をして、口で言うのではなくて見せることによってやらないといけないと感じてもらいたいです。より一層気を引き締めて稽古に励んでいきたいと思います。

――今季成長したと感じて点はどのようなところですか

全体的に力はつきました。トレーニングでも重いベンチを上げられるようになったり、夏の合宿でも体が大きくなって力がついてきたので、あとはそれを相撲に上手く繋げて勝ち切ることができれば、もっともっと上のレベルでも戦えるようになると思います。

堀越豊輝(スポ1=東京・足立新田)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

この試合は練習だと思ってやったので、自分が今まで試合ではやってこなかった変化とかやって上手くいったでので良かったです。

――個人戦はいかがでしたか

途中で負けてしまったのですが、状態が上がってしまったのでもう少し膝を曲げるようにしていきたいと思います。

――全体的に惜しい試合が多かったですね

惜しいことには惜しかったのですが負けは負けなので勝ち切れるように頑張りたいです。

――その勝ち切るために必要なことは何だと思いますか

腰が高いのと、他の人と比べると筋力も足りないと思います。この冬に足腰も鍛えてらいねん良い結果を出せるように頑張りたいです。

――全国学生選手権(インカレ)から2週間経ちましたが、インカレでの反省は生かすことができましたか

負けているのでまだまだダメですね

――新1年生の入部も決まっているようですがいかがですか

新入部員も強いので頼もしいですが、自分も抜かされないように努力していきたいです。

――今季得たものはありますか

大学相撲の技術を身に着けることができたかなと思います。