2年生となって6カ月。先輩としての自覚も芽生え、早大相撲部の核として主将をそして部を支える前川晋作(社2=東京・早実)と小山雄太(スポ2=神奈川・向の丘工)。そして部員全員が満足のいく相撲が取れず不完全燃焼で終えた昨年の全国学生選手権(インカレ)から1年が経とうとしている。この1年稽古に励み、試合経験を積み着実に力をつけてきている。今季の振り返りやインカレへ向けた思いを語っていただいた。
※この取材は9月28日に行われたものです。
負けられない戦い
――昨年の全国学生選手権(インカレ)を終えてから今季を振り返っていかがでしたか
前川 チームとしては昨年のインカレから部員も増えてすごく良い稽古もできていて、良い流れはできているのでことしの方が良い結果は残せると思います。しかしいまのところは、6月の東日本学生選手権と東日本学生リーグ戦(リーグ戦)はあまり昨年と変わらない成績で、思ったような成績が出せていません。しかしチームとしてはまだ持っている力を発揮できていない状態です。自分としてもまだまだ力を全然発揮できていなく、特にリーグ戦や東日本学生個人体重別選手権で思ったような成績を残せていません。せっかく部員も入って良い流れなので、そこで自分も含めてお互い高め合っていければいいなと思っています。
小山 自分は全体的には試合が終わる度に出てくる反省点などを改善して次の試合に持って行けていると思います。
――では最近の部全体の調子はいかがですか
前川 どうでしょうか。上がっていると思います。一応リーグ戦は全体的には良かったと思います。でも自分自身はひどかったですね。
小山 自分もダメでした。
前川 でも1年生はけっこう活躍していました。5位が4位になった程度ですが、一応順位は昨年よりは上がったので、調子は一応上がっているとは思います。
――2年生になってご自身の変化はありましたか
小山 自分たちが引っ張らなければいけないというのは大きくなってきました。
前川 上位に1年生が5人入ってしまったのでそこに全部レギュラー取られるわけにはいかないなという気持ちはあります。自分は入った時から弱かったので、常に自分が一番下という感じで1年間やってきたのですが、また後輩が入るといくら強くても後輩なのでそこはやっぱり自分が一番下にいてはいけないなと思います。
――メンバー争いは相撲部全体の底上げにもつながっているのですね
小山 それはありますね。負けられないとは思います。
――部員が増えたというのはやはり相撲部を大きく変えるきっかけとなったと思います
前川 雰囲気は昨年とは全然違います。
――先日のリーグ戦を踏まえて、いままで力を入れてきたことは何ですか
前川 リーグ戦の少し前からやっていたのですが夏休み中は、午前中は土俵で練習をして午後はトレーニングという形で筋トレを毎日やっていました。昨年はあまりやっていなかったのですが、せっかく夏休みだということで1日に2回練習をして、各自足りない部分を補強してトレーニングしていました。
憧れだった場所
相手と取り組み合う前川
――練習はどのように行われているのですか
前川 平日は基本的には監督(室伏歩監督、平16人卒=東京・明大中野)がいないので、主に自分たちや榊原祥孝主将(社3=千葉・専大松戸)が考えています。休日は監督がいるので試合をしたりしていますね。やるときはやるという感じで集中してやっています。
――自主練習も多いのですか
小山 今季はけっこう多かったです。
前川 秋学期は週1回自主練で休み中は基本的に毎日やっていました。午後のトレーニングは自主練という形にしました。でも自主練習と言っても大体皆やっていました。
――自主練習の効果は出ていますか
小山 自分はけっこう良い感じだと思います。
――主にどのようなことをしているのですか
小山 ウエイトトレーニングを中心にしていました。
――自分たちで練習できるというのも早大の相撲部の魅力のひとつですね
前川 監督自身が『自主性』というのを一つのテーマでやっています。
――後輩についてはどう思いますか
小山 みんな面白いです。
前川 本当に面白いやつらです。
――練習面ではいかがですか
小山 けっこう自分からやる選手が多いです。
――プライベートでも部員同士は仲良いのですか
小山 仲は良いです。
――では榊原主将はどんなお二人から見てどんな主将さんですか
小山 チームには厳しい主将です。厳しい中でもあとあとのフォローをしっかりしてくれるのでとても良い主将です。
――食事などはどうされているのですか
小山 お昼はみんなで作っています。夜は寮で出るので大体は一緒です。
前川 日曜日は出ないので各自だったり一緒に行ったり。1年生が一緒に行きましょうという名のもと2年生におごらせたりしてきます(笑)。
――自炊もされるのですか
小山 自分はけっこうしますね。
前川 自分はしないです(笑)。
小山 1年生は本田(煕誉志、社1=大分・楊志館)が調理師免許持っているので本田とかがよく作っています。
前川 本田はずっとちゃんこ担当です。
――休日は何をされていますか
小山 自分はJリーグが好きなので、サッカーの試合があればサッカー見に行ったりします。
前川 自分は相撲が好きなのでテレビで見たり、この間は谷本将也(スポ1=鳥取城北)と一緒に実際に見に行ったりもしました。オフも相撲って感じですね(笑)。
――相撲を始めたきっかけは何ですか
前川 本当に小さい頃から大相撲が好きでそこから始めました。
小山 自分も同じです。あとは兄が相撲をやっていたので、それで始めました。
――いつごろからやっていたのですか
小山 自分は小4からですね。
前川 自分は小2ですね。
――相撲以外のスポーツは何かされていましたか
小山 中学校の時まではサッカーもやっていました。
前川 自分は小・中・高とずっと剣道をやっていました。中学校、高校時代は部活も剣道部でむしろ相撲はそんなにやっていませんでした。相撲は、高校1年生の時に高校の試合を見に来ていた監督が誘われて大学の相撲部で一緒に練習させてもらったり他の高校の部活に混ざって一緒に練習したりしていました。
――相撲のどんなところが好きですか
小山 小が大を倒すところが好きです。中学生の頃は100キロもなかったので(笑)。
前川 被っちゃったな(笑)。自分は本当に小さいので、大きい人を技とかで倒せるところが本当に良いですね。
――大学卒業後も相撲は続けて行くのですか
小山 指導者など何かの形では関わりたいと思っています。現役は分からないです。
新しい伝統
立ち合いに臨む小山
――部員は増えましたが相撲部や相撲の認知度はまだ低いと思います。その点についてはどうお考えですか
小山一番は成績を残すことだと思います。
前川そうですね。あとは色々応援してもらえるように、体育各部の実行委員の中でお互い部を応援しようというのをやっていて、野球やラグビーなどはすごくお客さんを動員するので、そんな風に皆さんに応援されるようになりたいなと思っています。
――早稲田杯のようなイベントなどは開催されないのですか
小山100周年に向けて早慶戦が企画されているみたいです。
前川早慶戦はいま定期戦になっていなく、リーグ戦の中でやっている早慶戦が公式戦になっているので、早慶対抗という形ではまだやっていません。早慶定期戦って言ったら色々な人に応援してもらえるかなと思うので、100周年に向けてそういう形のものをやっていけたらと考えています。
――100周年に迫る長い伝統を持つ早大相撲部の名を背負っていることについてはどう思いますか
前川長い歴史と伝統を背負っているのでそこはしっかり責任をもって、成績を残さないといけないと思います。昔は強かった時代もあったのでその伝統を壊さないようにしっかり引き継いでやっていきたいです。
小山伝統を守りつつ自分たちの新しい伝統を作っていきたいと思っています。
――相撲部は文武両道を掲げていますが勉強との両立は大変ですか
前川楽勝でしょ(笑)。
小山・・・楽勝かな(笑)?
前川まあ何とかなっているっていう感じです。
――毎日練習もあると勉強する時間をとることは大変ではないですか
小山あまりあるとは言えないですが、限られた時間の中で効率よくやっている感じです。
前川学部が同じだと教え合ったりもしています。
――テスト前も練習は変わらずにやっているのですか
小山試合前はありました。練習をしてすぐ勉強という感じでやっていました。
――相撲部とはお二人にとってどのような存在ですか
小山小さいころからやっている相撲を早大では勉強もできるし相撲もできるので、すごく環境が良いなとは思います。
前川自分は小さい頃から早大相撲部にずっと憧れていました。特に中学校と高校は相撲部がない状態でずっと練習をしていたので、早大相撲部で毎日練習できるということは自分が最大限相撲をできる最高の場所だと思います。
――インカレに向けて取り組んでいることは何ですか
小山自分は筋トレを多くして相手に負けないくらいのパワーをつけたいと思っています。
前川自分はこの前の試合で、精神的な弱さと自分を最大限出し切れていないという反省がありました。もっと技とかスピードとか自分の持ち味を出し切れるようにしたいです。力はまだまだ弱いのですが最近筋トレとかもやっていて多少は筋肉がついてきているので、あとは技やスピードの中にどう生かしていくか、稽古の中の試合でいかに出せるかということをしています。
――インカレで勝つことは相撲部の発展にもつながっていきますよね
前川結局は結果出さないといけないので、そこはもうやるしかないと思っています。
――インカレに向けてメンバー争いもあると思いますがいかがですか
小山まずは5人に入れるように練習から頑張っていきたいです。
10月の真ん中くらいにはインカレのメンバーも決めるのでチーム全体が上がるのは良いのですがそれまでにはしっかり自分もレベルアップします。やはりそこは自分も選手として出場したいので自分が5人に入れるように頑張ります。
――インカレの目標は何ですか
前川まずは自分がメンバーに入ってとりあえずはBクラスベスト4にいきたいです。
小山自分も同じです。
――念願の一部昇格は達成できそうですか
小山はい!
前川行こう!ベスト4で入れ替え戦に出ることができるのでまずはそこですね。
――ありがとうございました!
(取材・編集 田々楽智咲)
終始和やかな雰囲気の取材になりました!
◆小山雄太(こやま・ゆうた)(※写真左)
1994(平6)年6月9日生まれ。168センチ、110キロ。神奈川・向の丘工業高出身。スポーツ科学部2年。相撲とサッカーが大好きだという小山選手。普段は黙々とトレーニングをこなすそうですが、取材では笑顔で様々なお話を聞かせてくだいました。「小山先輩は本当に優しいです!」と後輩も太鼓判を押す優しい副主将。
◆前川晋作(まえがわ・しんさく)(※写真右)
1994年(平6)7月16日生まれ。172センチ、78キロ。東京・早実高出身。社会科学部2年。オフの日も相撲観戦に行ったりテレビで大相撲を見たりという相撲一筋の前川選手。勉強もトレーニングも難なくこなし、頼りになる主務としてチームを引っ張っている。技の技術力で大きな相手にも果敢に挑みインカレでは一部昇格を狙います!