【連載】2020年度インカレ代替大会直前特集『結実』第6回 堀奈々美×小野寺詩織

女子ソフトボール

 私たちの生活に影を落とす新型コロナウイルス。それはソフトボールも例外ではなかった。ここまでチームの主力として活躍してきた4年生は例年であれば全日本大学ソフトボール選手権大会(インカレ)でここまでのソフトボール人生の集大成を披露する。しかし今年は新型コロナウイルスの影響でインカレが中止となり、9月に行われた東京都大学連盟秋リーグ戦(秋季リーグ戦)で5人の4年生が引退を決めた。そのようなイレギュラーな状況の中、堀奈々美(スポ4=千葉経大付)と小野寺詩織(スポ4=千葉経大付)の4年生2人は全日本大学選抜女子ソフトボール選手権大会(インカレ代替大会)に思いをぶつけるべく準備を続けてきた。今回は高校時代からのチームメイトであり、主将、4番としてチームを引っ張ってきた2人に、インカレ代替大会を前にしての心境やインカレ代替大会への意気込み、さらには自粛期間中の過ごし方に至るまで、様々なお話を伺った。

※この取材は10月25日に行われたものです。

「このままでは終われない」(小野寺)

4番に座る重圧はあったと話す小野寺

――チーム全体として秋季リーグを振り返っていかがですか

 秋リーグが終わってからチーム全体がそろうという厳しい状況の中でのリーグ戦だったんですけど、チームメイトが各自自主トレをしてくれていたので、そこまでコンディションを落とすことなく臨めたのは良かったです。でも一番は久々にソフトの試合を楽しめたことが良かったかなと思います。

小野寺 全体で練習する時間がなかなか取れなかった中でインカレ代替大会への出場を決められたことは良かったと思います。

――個人として秋季リーグを振り返っていかがですか

小野寺 私は4番を任されることが多かったのですが、全然打てなかったので正直最悪でした(笑)。このままでは終われないなと思いながら毎試合戦っていました。

 私自身もそこまで調子は良くなかったのですが、インカレではやり返したいなと思います。

――堀さんは主将、小野寺さんは4番打者という重圧のかかる役割を任されています。それによるプレースタイルへの影響はあるのでしょうか

小野寺 少なからずありますね。どのチームでも4番打者はチームでトップクラスにいいバッターが座ることが多いと思うので、そこで打てないというのは単純に恥ずかしいです。しっかり結果を残さなければならないとずっと思っていました。

 主将という立場だけだったら最悪個人でヒットを打てなくてもチームを勝たせることができればいいかなと思っています。ただ、本当に1点を取りたいような局面で打席が回ってくることがあるので、その時はチームを勝たせられるような一打を放ちたいなと思います。

――秋季リーグの時と比較して、現在のお二人の調子はいかがですか

小野寺 私は悪くはないかなと思っています。この調子でいけば今年はきっと打てるんじゃないかなと最近は思っています(笑)。

 私は最近少しだけ練習でお休みをいただいていたので、まだ調子の善し悪しが自分でも分かっていないんですけど、インカレに向けて調子を上げていけるようにしっかりとバットを振っていきたいなと思います。

――秋季リーグからここまでで、個人としてどのような練習をされてきましたか

小野寺 やはり技術を上げることよりも、大会に向けてどれだけピークを合わせることができるかが大事だと感じています。なので、とにかく体を鈍らせないように日々動くようにしています。 

 私も詩織と同じ考えで、とにかくいい状態で大会に臨めるように調整しています。

――インカレの間にこれだけはやっておきたいということはありますか

小野寺 とにかくひたすら試合をしたいです。

 そうですね。あと練習試合が2試合あるのですが、そこでとにかくいいイメージをつくって大会に臨みたいです。

――チーム全体の状態はいかがですか

 チームメイトのほとんどが後輩で、全国大会とかも初めての子が多いというのもあって、今のところ特に張り詰めた空気感はないんですけど、それが悪いことだとは全然思ってないです。この後輩たちらしい楽しい雰囲気を持続して本番を迎えられたらいいかなと思います。

小野寺 正直チーム状態は良くも悪くもないという感じだと思います(笑)。

――そんな後輩たちの中で、特に期待している選手はいらっしゃいますか

小野寺 やっぱり投手陣がしっかりしてくれないと、試合にならないのかなと思います。

 私もそう思います。ある程度投手陣が試合をつくってくれないとこのチームでは勝てないと思うので、特に主将の増田(侑季、スポ3=香川・高松南)に期待したいです。

小野寺 野手でいうと、私と誕生日の近い井田(菜摘、スポ2=群馬・健大高崎)に期待します(笑)。

――4年生のお二人から見た新入生の雰囲気はいかがですか

 本当にソフトボールがとても好きな子たちが集まっているなと感じます。毎回一生懸命練習に取り組んでいるので、私たちも頑張らないといけないと思わせてくれます。

小野寺 やっぱり1年生は若くて元気だなと思います(笑)。

「楽しさがモチベーションに繋がっている」(堀)

これまで主将としてチームを引っ張ってきた堀

――今年は例年行なわれていた夏のインカレがなくなってしまいましたが、お二人はそれが決まったときにどのように思っていらっしゃいましたか

小野寺 コロナのこともあって正直開催は難しいかなと思っていたので、中止が決まったときは特に何も思わなかったです。ただ、小学校から続けてきたソフトボールをいい形で締めくくる機会が無くなってしまったのは残念でした。

 中止は覚悟していましたが、やはり正式に中止が決まったときは、本当に無という感じで、これからどうしようとかをあまり考えられなかったです。すぐに切り替えられることではなかったので、空白の時間という感じでした。

――中止が決まってから今までどのようにしてモチベーションを保ってこられたのですか

小野寺 必ずしも去年までのインカレと全く同じモチベーションで臨めているかというとそんなことはないです。ただ、もう少し長く試合をしたかったなとは思っていたので、最後楽しめたらいいなと思います。

 自粛期間が明けて久々に試合をしたときに、純粋にソフトって楽しいなと改めて思えました。多分自粛とかがなければあまり感じることができなかった要素だと思うので、そういう意味では楽しさがモチベーションに繋がっているかなと思います。

――自粛期間中にどのような練習をされてきたのですか

 私は一緒に自粛で家にいた父と朝の時間を使って近くの野球場でキャッチボールなどをして練習していました。還暦近いお父さんを無理矢理動かしてやっていました(笑)。

小野寺 私も父とキャッチボールしたりしたんですけど、他にも伊藤(貴世美、スポ4=千葉経大付)と原田(理子、スポ1=千葉経大付)と河川敷で一緒に練習したりしました。その河川敷までも割と遠くてみんな自転車で30~40分くらいかけて来て待ち合わせてという感じで、それも含めてトレーニングでしたね(笑)。

「この機会にギターを毎日練習してました」(小野寺)

――自粛期間中にソフトボールのこと以外で何かされていたことはありましたか

 詩織は新しく音楽活動始めたんだよね(笑)。

小野寺 そうなんですよ(笑)。この機会にギターを毎日練習してました。まだ始めたばかりなのでそんなにテクニック的な演奏はできないんですけど、専用のアプリ見ながらコードを抑えて弾き語りとかもしてみて遊んでました(笑)。あとは「あつもり」を一人暮らししている姉と通信したりしてました。

――チームメイトで「あつもり」をされている方は他にいらっしゃいますか

小野寺 田中(彩絵、スポ2=福岡・三瀦)はやってますし、最近だと増田も買ったっていってました。

――堀さんはいかがですか

 就活が終わってからは、家族と千葉県内をよくドライブしてましたね。あとは家にたまっていた嵐の10年間くらいのDVDを最初から見まくるというのも結構やってました。

小野寺 嵐の件は何かあるたびに報告してきます(笑)。(堀が)資格の勉強中だったらしいんですけど、その最中に嵐のDVDが届いたらしくて、試験が終わってようやく見れるってすごい喜んでました(笑)。

――ここで、お互いの他己紹介をしていただきたいです。まず、堀さんから小野寺さんの紹介をお願いします。

 (小野寺は)高校から一緒にやっているんですけど、一番のイメージはマイペースで自由人っていうのが大きいですね。

小野寺 それはめっちゃ言われます(笑)。高校のチームメイトに会話がお花畑だって言われてました(笑)。うちの高校(千葉経大付)の同期はわりときっちりした子が多かったんですけど、その中でも私と堀と貴世美っていう緩い三人が早稲田に集まっちゃいました(笑)。

 (小野寺は)去年までは自分のことを中心にやっていたことが有ると思うんですけど、私の代になってからは結構いろいろと助けてくれてて、結構頼りにしてます。あとすごくはっきりしてるんですよ。明らかにいやだったら言葉で言われなくても雰囲気で完全に分かりますし(笑)。

――逆に小野寺さんから見た堀さんはどのような感じですか

小野寺 一見おっとりしてるように見えるんですけど、すごく優しくて、責任感もあってしっかりしてるなと思います。要領がいいというのも有ると思うんですけど、何事にも一生懸命で、ああいう風に私もできたらいいなっていつも思ってます(笑)。

 要領がいいのはどっちかって言うと詩織の方ですよ(笑)。手の抜きどころが上手いなって思います(笑)。

――高校の時からお二人は仲が良かったのですか

小野寺 高校では同期が1学年15人くらいいて、今では考えられないくらいたくさんいました。というのもあって、別に仲が悪いという訳ではなかったんですけど、特別仲が良かったわけでもなかったですね。

 そうですね。そんな感じです(笑)。

――お二人の中でマイブームはありますか

小野寺 そうですね。さっき言ったギターもそうですけど、アベンジャーズ作品がすごく好きなので、1から全部見てましたね。

 私はソフト以外だと本当に嵐しか思い浮かばなくて、ライブ配信のコンサートとかがあったら練習終わったら速攻で帰ります(笑)。

小野寺嵐以外何かないの?(笑)

 マジでないんだよね(笑)。もはやブームとかではないんですけど、嵐一択ですね(笑)。

――チームメイトとプライベートで会ったり遊んだりはされますか

 練習後はよくご飯に行きますね。後は個人的に家が遠いので、チームメイトの井田の家に行って、詩織とかも一緒に鍋パしたりしてます(笑)。

「私たち2人で点を取りたい」(堀)

終始和やかに対談が行われた

――今回のインカレ代替大会のお二人の目標はなんですか

小野寺 やはり昨年、一昨年とインカレは初戦で負けてしまっていて、私が出るようになってからインカレで勝てたことがまだ無いので、とにかくまずは1勝を目指したいなと思います。

 同じですね。とにかくまずは初戦を突破することを目標にして、少しでも長くソフトボールがしたいと思います。

――その初戦の相手である中京大学に対してどのようなイメージを持たれていますか

小野寺 あまり対戦経験がなくて、はっきりしたイメージはないです。ただ、自分たちがしっかりと打線を機能させて、投手陣がしっかりと試合をつくってくれれば勝てると思っています。

 そうですね。増田がしっかりと抑えて、私たちがしっかりと点を取れれば勝てると思います。

――大会中にご自身のここを見てくれというアピールポイントがあれば教えてください

 私が単打で出塁できたら、後ろの詩織が長打で私のことをしっかり還してくれると思うので、とにかく私たち2人で点を取りたいなと思います。

小野寺 私もそのつもりでいます。じぶんが打てれば勝てると思っているので、そこはしっかりと頑張りたいです。

――インカレはお二人のソフトボール生活において最後の大会だと思います。それに対してどのような思いを持っていらっしゃいますか

 今は16年間やってきた野球やソフトボールの締めくくりになるという実感はあまりないんですけど、当日になるにつれてだんだん実感が湧いてくると思います。とにかく当日は1球1球悔いの残らないようなプレーをしたいですし、両親も応援に来てくれると思うので、しっかりと自分の集大成を見せれるようにしたいです。

小野寺 私もありきたりではあるんですけど、後悔の残らない試合をしたいと思っています!

――ありがとうございました!

(取材・編集 新井万里奈、写真 篠田雄大)

2人で『打破』の文字を書き、引退試合への決意を表した

◆堀奈々美(ほり・ななみ)(※写真左)
1998(平10)年12月29日生まれ。162センチ。千葉経大付高出身。スポーツ科学部4年。内野手・外野手。勝負強い打撃でチームを引っ張る堀さん。自粛期間中はお父さんと近くの野球場でキャッチボールなどをしていたといいます。「インカレ当日は両親も応援に来てくれると思うので、しっかりと自分の集大成を見せられるようにしたいです。」とも話してくれました。インカレ代替大会ではチームを勝利に導く一打に期待です!

◆小野寺詩織(おのでら・しおり)(※写真右)
1999(平11)年3月11日生まれ。165センチ。千葉経大付高出身。スポーツ科学部4年。内野手。打線の核となる存在の小野寺さん。不振にあえいだ秋季リーグの時と比べて、調子も悪くないとのこと。堀さんも「私が単打で出塁できたら後ろの詩織が長打で私のことを還してくれると思う」と期待を寄せます。インカレ代替大会では自慢の長打力や4年生の絆でたくさん打点を稼いでくれることでしょう!