終盤の粘りが光り、東日本初戦を突破!

女子ソフトボール
東日本大学選手権
早 大
東海大
〇伊藤―川崎
◇(三塁打)増子 ◇(本塁打)廣瀬 

 全日本総合選手権での悔しい準決勝敗退から約1か月。心機一転、早大は長野の地で東日本の最強校を決めるためのステージを迎えた。これは、全日本大学選手権(インカレ)に向けての最後の公式戦となる重要な意味を持つ大会だ。そんな戦いの第1戦目は、試合に参加することができない吉村正(昭44教卒=京都・平安)に代わっておととしの主将であった角頼遼香(平29社卒=千葉経大付)を監督代行に迎え、東海大とぶつかり合うこととなった。序盤は点数の動かない我慢の展開が続くが、終盤に打線が活発化し、試合が大きく動くこととなる。

 この試合の先発マウンドを託された伊藤貴世美(スポ3=千葉経大付)は初回からアクセル全開。「ポンポンと追い込んだ上で高めのストライクを振らせることができていた」と同日の初戦でコールド勝ちを収めている東海大打線を寄せ付けない。3回表には高めの真っすぐをウイニングショットに三者連続三振に切って取るなど、5回まで被安打わずか1という圧巻の投球を披露した。だが、一方の打線も東海大の先発投手を打ちあぐねてしまう。3回に川崎楽舞(スポ4=千葉・木更津総合)の適時打で1点こそ先制するものの、「ストレ―トとチェンジアップの使い分けがすごく上手かった」と廣瀬夏希(スポ4=北海道・とわの森三愛)が振り返るようにそれ以外のイニングにはスコアボードにゼロが並び、各打者が本来の打撃できない時間が続いてしまう。

 

伊藤の投球は圧巻だった

 ここまで盤石のピッチングを続けてきた伊藤だったが、6回裏に正念場を迎える。「決め打ちをしてくるようになった」(川崎)とバッティングの方針を変えた相手打線につかまり、1死から相手の一番打者に安打を許すと、続く2番打者に左越えの適時二塁打を浴びてついに同点に追いつかれてしまう。さらに不運な内野安打などで満塁とされてさらにピンチを拡大するが、ここは「逆をつこう」という川崎の冷静なリードもあって勝ち越しまでは許さず、何とか最少失点でしのいだ。

廣瀬の一発が重苦しい雰囲気を断ち切った

 何とか逆転までは阻止したが、流れが東海大に傾きつつある状況であることは間違いなかった。全総予選の準決勝も、序盤でリードしながらなかなか追加点をあげられず、最終的に終盤に流れを引き寄せた相手校に最終的には逆転負けを喫している。また同じ結末を迎えてしまうのか……。だが、それは杞憂に終わることとなる。7回表、先頭打者として打席に入ったのはここまで早大で唯一ホームベースを踏んでいる廣瀬。2球連続でライズ系の球種を空振りし、あっという間に追い込まれてしまうが、「みんなのために」という気持ちで振り抜いた打球は、センターフェンスを越え値千金の勝ち越しソロとなった。これで勢いづいたのか、打線がつながりを見せ始める。古川晴野(スポ4=神奈川・厚木商)や川崎の安打で好機を拡大すると、4番の増子奈保(スポ4=東京・日出)が適時三塁打を放ち、さらに相手の悪送球の間に増子自身もホームを踏み、一挙3点を追加。完全に流れを引き寄せた早大は裏の攻撃も抑え、見事初戦を突破することに成功した。

増子の意地の適時打が勝利を確かなものとした

 試合終盤まで緊迫した展開が続く試合となったが、最終的には投打のかみ合った試合運びを見せてくれた。そんな早大の次の対戦相手は、昨年、一昨年とこの大会にて大熱戦を演じてきている富士大。この試合以上に難しい試合となることが想定されるが、今大会では日体大、東女体大、東京富士大といった同じリーグを戦う難敵が相次いで初戦敗退する大波乱が巻き起こっている。そのため、この戦いで勝つことができれば一気に優勝の二文字も見えてくる重要な1戦となるのだ。惜しくも優勝を逃した昨季を超えるため、この試合のような好ゲームを展開し、ぜひとも『第一関門』を突破してほしいところだ。

(記事 篠田雄大、写真 望月優樹)

コメント

角頼遼香(平29年社卒=千葉経大付)

――初戦突破おめでとうございます

ありがとうございます!

――今日は監督代行として指揮を執られましたがそれに関してはいかがですか

いやー本当に恐れ多くて(笑)。自分は特に何もせずただ選手が練習してきたり、監督から言われてきたことをやってもらうといいう感じでした。どうしても監督としての立場が必要な選手交代の時などの時のためにいたという感じです(笑)。

――今日の勝因は何だと思いますか

伊藤が途中危ないところはありましたが全体的にまとまっていてよかったと思いますし、守備もよかったと思っています。バッティングに関しては最後に連打することができたのですが、あの攻撃をいかに初回からできるかというところでの気持ちの持っていきかたであったり準備をしたりといったところがこれからの課題かなと思います。

――先発の伊藤投手の今日の投球に関してはどうお考えですか

本人的にもしっかりと準備をして入っていたので、ピンチの場面でも意図のあるピッチングをしていたと私自身感じたので全体的に良かったなと思います。

――今日の試合に臨むにあたって選手たちにどのような声掛けをしましたか

そんなに監督としての役目を全然はたしていないので大したことは言ってないんですけど、一応インカレ前の最後の公式戦となる戦いなので、インカレの予行という意識で試合に入れればいいねということは話していました。

――打線が終盤まで東海大の投手陣を打ちあぐねていたと思いますが、そこまで苦しんだ原因は何だったと思われますか

おそらくバッター個人個人の実力で速いボールも遅いボールも狙えるという認識があったようなのでそれをいかに体現できていたかというところが大きかったかなと思います。しっかりと後ろにつなぐという意識があった選手は結果が出ていたと思いますし、そうでなかった選手は結果があまり出ていなかったと思います。

――廣瀬さんの一発が重たい雰囲気を払拭しましたね

そうですね。本当に気合で飛ばしてくれて、さすが廣瀬だなという感じです。

――打線が終盤まで東海大の投手陣を打ちあぐねていたと思いますが、そこまで苦しんだ原因は何だったと思われますか

おそらくバッター個人個人の実力で速いボールも遅いボールも狙えるという認識があったようなのでそれをいかに体現できていたかというところが大きかったかなと思います。しっかりと後ろにつなぐという意識があった選手は結果が出ていたと思いますし、そうでなかった選手は結果があまり出ていなかったと思います。

――明日の富士大戦に向けての意気込みをお願いします

富士大はかなりやられている相手なので、ぜひともやり返したいですね。トーナメント制では結構スピード感とか流れとかが勝負を左右することが多いので、今日勝つことができたこの流れをしっかりと持続して明日も勝てたらと思います!

廣瀬夏季(スポ4=北海道・とわの森三愛)

――相手投手を打ちあぐねる展開が続きました。原因はどこにあったと思いますか

背番号26の選手が先発ピッチャーだったんですけど、ストレートとチェンジアップの使い分けがすごく上手かったです。なのでどっちを狙うかということと、フォームが分かりずらかったので、球の出所が見にくかったのかなと思います。

――今まで先発登板しない日は4番として出場する機会が多かったですが、本日は8番。そこに関して思いなどはありましたか

悔しいと言うよりは、任された仕事を全うするだけという気持ちでした。仲間もいるので、悔しいというよりは、「みんなでやろう」という意識の方が強かったですね。

――7回表の勝ち越し本塁打を振り返っていかがですか

あの打席は正直、ホームランを狙っていました。自分はピッチャーでもあるので、同点の場面にどういう気持ちでピッチャーが投げているのか、嫌というほど分かっています。なので『みんなのために』という気持ちで打席に入りましたし、みんなのお陰で打てたホームランだと思います。

――球種などの狙いはありましたか

投げ方がライズ系のピッチャーだったので、あの場面はチェンジアップよりライズ系で押してくるだろうと思っていました。2球空振りをしていたのもあって、また同じボールが来るだろうという読みをしていました。

――富士大戦に向けて一言お願いします

これまでも公式戦で何回か富士大とは当たっているのですが、負けている(印象が強い)ので。今度こそは勝ちたいと思います。

川崎楽舞(スポ4=千葉・木更津総合)、伊藤貴世美(スポ3=千葉経大付)

――伊藤投手は今季好調ですが、その要因はどこにあるのでしょうか

変化球の使い方がうまくいっていると思います。

――本日の試合で特に手応えがあったのはどの球種ですか

ライズ系が良かったと思います。

――川崎選手は、配球において気を付けていたことはありますか

この球の次はこれ、という配球パターンはいくつかあるんですけど、伊藤は型にはまった配球ではなく、バッターごとに勝負していくピッチャーなので。なんていうんだろう、七変化?(笑)。状況に応じて勝負ができるピッチャーなので、いつもと同じでいこうという話をしていました。

――5回に初安打を許すまで、完璧な投球でした。伊藤投手自身で振り返っていかがですか

ポンポンと追い込んだ上で高めのストライクを振らせるということができていたので、ずっと押していけました。

――川崎選手は先制適時打を放たれました。振り返っていかがですか

全然芯ではなかったんですけど、一打席目が不甲斐ない結果だったので取り返せて良かったです。それと個人的なことなのですが、しばらく教育実習がありチームから離れ、迷惑をかけてしまっていました。ランナーを返すという3番打者の役割を果たそうと思った結果です。

――その適時打で1点をリードしたものの、展開は緊迫していました。伊藤投手が投球において気を付けていたことはなんですか

先頭バッターに長打を打たれると点を取られてしまうので、そこを出さないようにしっかりと。あとはもういつも通り、(球を)動かして打ち取るということを意識していました。

――6回裏の大ピンチの際、川崎選手はどのような言葉を伊藤投手に伝えていましたか

相手のバッティングが変わったタイミングがあって、決め打ちをしてくるようになりました。なのでそこを狙われないよう、逆を付くことを徹底していました。

――相手投手を打ちあぐねていました。川崎選手から見て原因はどこにあったと思いますか

先発ピッチャーはストレートが本当に速いわけでもなく、チェンジアップが本当に厳しいコースにくるわけでもなかったので、「どちらの球でもいい」というスタンスで打席に立ってしまったのが原因だったかなと思います。そして2番手以降もそれを引きずってしまったかな、と思います。

――次戦は因縁の相手である富士大と対戦します。まずは伊藤投手に、そこに向けた意気込みをお願いします

去年は自分が投げて勝っていて、去年より今の方が、自分は成長できていると感じています。チームとしても、初戦がこれだけ厳しい戦いだった分、ここからは上げていけると思うので、今日の試合をどう明日に生かすかということ。それと自分はきょう以上にいい投球をして勝って、最終日まで残れるようにしたいです。

――最後に、川崎選手からもお願いします

チームの目標はもちろん優勝なんですけど、「先を見ず一戦必勝でやっていこう」とキャプテンの増子(菜保、スポ4=東京・日出)から言われているので。相手が富士大ということで意識する部分はあると思うんですけど、それよりもまず目の前の一戦に集中すること。『次の対戦相手』という意識で戦いたいと思います。