伝統の一戦!大勝で一年間を締めくくる

女子ソフトボール
早慶定期戦
慶 大
早 大 19
投手…廣瀬、伊藤、増田、瀬戸、坂-川﨑、河野
◇(二塁打)堀 ◇(三塁打)廣瀬 ◇(本塁打)廣瀬、岡田、隈元

 年内最後の公式戦である関東大学選手権が終わってから、ひと月あまり経ったこの日。冬の訪れを感じさせる肌寒さの中、一年の締めくくりとなる早慶定期戦が、早大所沢キャンパスグラウンドで行われた。長きにわたって行われてきた『伝統の一戦』は、今回も例年通り早大が地力の差を見せつける。途中からは普段マウンドには登らない選手が投手を務めるなど、いつもと違うポジションに各々がつく、独特な雰囲気で試合は進んだ。結果的には大量19点を奪取し、快勝。整列の輪がほどけると、選手たちは笑顔を見せた。

 試合は初回から動く。先攻の慶大を三者凡退に抑え、早大の攻撃。相手投手の制球が定まらず、四死球などでいきなり3点を先制した。その後も攻勢を緩めず、2回にも1点、3回には廣瀬夏季(スポ3=北海道・とわの森三愛)のランニング本塁打などで2点を追加。一方の投手陣も無失点での継投を重ね、序盤で試合の行方を決定付けた。

打撃で大活躍した廣瀬(写真左)。本職は投手だが、この日は遊撃手も務めた

 中盤以降は、普段控えやチームのサポートに回っている選手が出場する。マネージャーを務める山羽沙季(スポ3=愛知淑徳)が中堅を守ったほか、投手の伊藤貴世美(スポ2=千葉経大付)が一塁手を務めた。また、一年生の石原伶奈(創理1=東京・富士見)とチュウ・ユッティン(スポ1=香港・聖隷保)が安打を放つなど活躍を見せ、得点に貢献。4回にも岡田夏希(社3=神奈川・厚木商)のランニング本塁打などで一挙9点を奪取して点差を広げると、終盤は坂ひらり(スポ1=愛知・星城)がマウンドに登り、4点を失うも試合を締めくくった。

テンポのいい投球を披露した坂

 19-4と、大勝で今季を終えた。本試合のMVPは、5打席全てで出塁し、本塁打を含む3安打と大活躍の廣瀬が受賞。試合後には早慶両校の選手が昼食をともに取り、交流を深める場面もあった。
新体制となった早大女子ソフトボール部は、主力の多くが最上級生である現3年生。来季はまさしく『勝負の年』となる。大学ラストイヤーを迎える廣瀬は、「頂点を取りたい」と意気込んだ。ライバルに打ち勝ち、遠ざかっている賜杯をつかむため。厳しい冬を乗り越え、進化したワセダを来季こそ見せつける。

(記事 望月優樹、写真 中澤紅里、細井万里男)

☆途中入部の瀬戸真咲が大学初登板

マウンドで笑顔を見せる瀬戸

 2年春から早大女子ソフトボール部に新たに加入した瀬戸真咲(文構2=神奈川・大和)が、投手として試合に出場した。マウンドに登るのは、高校以来実に2年振りのことだった。瀬戸は入学当初、一般のサークルに所属。「みんなスポーツ科学部だし、(みんなの)出身高も(ソフトボールが)強かったので入るのをやめていました」。しかし1年の夏に全日本大学選手権で早大ソフトボール部のプレーを見たのをきっかけに、入部への思いが高まっていった。「遠い存在だと思っていたものが身近に感じて、入りたいと思いました」。
本日は投手としての出場だったが、大学では主に野手としてプレーすることを決めている。「先輩に追いつけるように、いろいろなことを吸収しながらやっていきたいです」と話す新戦力が、今後のチームの切り札となるかもしれない

(記事 望月優樹 、写真 中澤紅里)

コメント

廣瀬夏季(スポ3=北海道・とわの森三愛)

――本塁打を含む3安打と素晴らしい打撃成績でした。振り返っていかがでしたか

今年最後の相手がいるしっかりした試合だったので、ちゃんと締めくくりたいなと思って打席に入ったら、いい結果になったので。自分の中ではひと段落というか、ホッとしているというか、そういう気持ちになりました。

――普段守ることのない遊撃手についた感想はいかがでしたか

絶対ちゃんとした公式戦では守ることができないポジションだったので、新鮮だなと思いました。ショートはこなさなきゃいけないことがたくさんあって、守ったことがなかったので「どうしようかな」という気持ちでいっぱいだったんですけど、自分がピッチャーをやっている時に周りからこう見られているんだ、ということを感じ取れる部分はあったので。そこは自分自身(の投球)につながるかなと思いました。

――この試合で完全に今季がひと段落、ということになります。どのような一年間でしたか

1年目、2年目と違って3年目になると慣れてきて、最終学年として幹部にも就く一年間だったので、責任を持つといつことを感じられた一年だったかなと思います。インカレでも先発を任せていただけて、サスペンデッドにはなったんですけど、一年目は投げることもできなかったので。そういう意味では、先生やみんなに感謝しながらやっていきたいと思えた一年でもありました。

――いよいよ来季は大学ラストイヤーとなります。そこに向けた意気込みはありますか

4年目っていうのは、どこの大学の誰でも集大成になると思います。日体には負けっぱなしなので、絶対に負かして、インカレで頂点を取りたいという風に強く思っています。

坂ひらり(スポ2=愛知・星城)

――きょうの試合は久しぶりの登板となりましたが、振り返ってみていかがですか

まず4失点というのが大きくて。自分はもともと投手としてプレーしていましたが、その時から立ち上がりが不安定だという課題があって。それが表にでてしまったのが大きな印象です。良い面よりは悪い面が出た試合になってしまいました。

――試合に出場するのは久々になりましたが

早関戦でも試合に投手として出させてはもらっていて。選手に戻りたいと思うことはなかったんですけど、単純に楽しむことができました。

――選手に戻りたいとは思わないということですが、詳しくお聞きしてもよろしいですか

選手をサポートする側に回ったんですけど、それでも部活自体充実して行われていて、今の自分の役割にも満足しているので、いいかなと思ってます。

――サポートする側に回った今、どのようなかたちでチームに貢献していきたいですか

今はノックをよく打っているんですけど、それを通じて野手のみんなが成長する姿とか、捕れなかった球を捕れるようになっていることが自分でも嬉しくて。一緒に成長するというか、共にインカレに向かって頑張っていけたらいいと思ってます。

――今年は自分にとってどのような一年でしたか

投手をやめて、今はサポートする側に回って、新しい景色が見れています。選手をやっていた頃ではわからなかったこともあって。自分の見方が変わったと思います。

――後悔はないですか

後悔はないです。

――来年への目標と意気込みをお願いします

選手ではないので、目立つことはないと思いますが、チームの中で欠かせない存在になれたらなって思っています。サポートとかでもできることはたくさんあるし、サポートにしかできない仕事があるので。チームの中で「いてくれて良かったな、助かるな」って思われるような人になれたらいいと思います。

瀬戸真咲(文構2=神奈川・大和)

――きょうの試合は投手としての出場でしたが、振り返ってみていかがですか

中学から投手をやっていて、高校の途中で調子を崩してしまったので、今回は2年ぶりの登板でした。投手はあんまりいい思い出がなくて好きではなかったんですけど、久しぶりに投げてみて楽しかったです。

――投手として出場することはいわれていたのでしょうか

早慶戦でも早関戦でも「投手で出すかも」と言われていたので、心の準備はしていました。

――瀬戸選手は途中入部ですが、入部までの経緯というのは

早大ソフト部の存在自体は高校の先輩も所属していましたし、岡田さん(夏希、社3=神奈川・厚木商)と古川さん(晴野、スポ3=神奈川・厚木商)の高校の同期の先輩が自分の中学の先輩で、ソフト部の話をよく聞いていました。入学当初は入ろうかなとも思っていたんですけど、みんなスポ科だし、出身高も強かったので入るのをやめていました。だから早スポに入会したんですけど、早スポの取材を通して女子ソフト部の雰囲気を知って、「やっぱりやってみたいな」と思って。最初は体験入部とかで留めておこうとも思っていましたが、だんだん本気でやりたいと思うようになって、入部させてもらいました。

――体験入部をしたのはいつ頃ですか

今年の5月頃です。

――瀬戸選手自身が1年時に早スポとして早大ソフト部のインカレの取材をしていましたが、その影響は大きかったですか

とても大きいです。遠い存在だと思っていたものが身近に感じて、入りたいと思いました。

――入部当初はきついこともあったのでしょうか

そうですね、最初は技術的に打撃とかもやってきたレベルが違ったので、「どうしていこうかな」と思っていました。あと途中入部ということで、同期の子とどういう立場で接していこうかな、とか思ったりもしました。でも徐々に慣れていくことができました。

――実際、ソフト部の皆さんは受け入れてくれたと

そうですね、優しく迎えてくださいました。

――今の女子ソフト部の雰囲気はいかがですか

和気あいあいとしていて、楽しそうなんですけど、ちゃんと自分の意見をしっかり持っているので、すごいなと思っています。

――今後、ご自身はチームの中でどういう役割を担っていきたいですか

自分は守備が好きなので、守備範囲を広げたり、肩の強さを生かしたりしていきたいです。打撃はチームのカラー的には打ってほしいと思われているんですが、まだまだ実力が足りないので、練習を通してチームのカラーに近づけるようにしたいです。

――守りは投手ではなく野手としてですか

そうですね。投手は全然なので。

――これからの目標と意気込みをお願いします

やっぱり打撃を伸ばしたいと、入部した時から思ってきたので、しっかり先輩追いつけるように、いろいろなことを吸収しながらやっていきたいです。

石原伶奈(創理1=東京・富士見)、チュウ・ユッティン(スポ1=香港・聖隷保)

――石原選手にお伺いします。安打を放った打席に関し、打った球種は何でしたか

ストレートだったと思います。

――コースはいかがでしたか

真ん中だったと思います。

――打球の感触は

ピッチャーが捕るだろうな、と思いました(笑)。

――打球が野手の間を抜けた瞬間はどう思いましたか

あ、抜けたな~……って思いました(笑)。

――次はチュウ・ユッティン選手にお伺いします。安打を放った打席を振り返っていかがでしたか

ボールは真ん中のストレート。打った後に(野手が打球を弾く)よくない音が聞こえて捕られてしまうと思いましたが、結局ヒットになってよかったと思います。特に一塁にランナーがいる状況で、打球が落ちた場所も二塁に近かったので、アウトにならなくてよかったかなと思います。

――お二人は一年生ですが、早大ソフトボール部で過ごした一年間を振り返っていかがでしたか。まずは石原選手からお願いします

(実際に入部してからは)半年もないくらいなんですけど、『教えて貰う年」でした。ソフトボール全体を一から。

――特にそういう機会が多かったのはどの選手でしたか

よく話したのは、同じ時期に入った瀬戸(真咲)さんなんですけど、教えてもらったっていう点でいうと、古川さんとか隈元さん(愛子、スポ2=千葉・木更津総合)ですかね。

――チュウ・ユッティン選手はいかがでしたか

学ぶことが多い。それと、みんなとの実力の差はまだあるんですけど、上達を実感した半年でした。先輩みんなに教えてもらって、本当に感謝したいです。特に、最初は他の部活に入ろうと思っていたんですが、結局ソフトボール部に入ることにしました(笑)。そこから(先輩が)自分のことを見てくれて、すごくありがたいなと思います。

――来年はどんな一年にしたいですか。チュウ・ユッティン選手からお願いします

いつも同じことになるんですけど、全てのことに尽力しようと思います。あとは、基本をしっかりできるように頑張りたいと思います。

――石原選手はいかがですか

来年もきっと、たくさん教えてもらうことがあると思うんですけど、後輩がきっと入ってくるので、ソフトボール以外のことでも色々周りを見られたらと思っています。