川上のサヨナラ本塁打で決着!二年連続で決勝進出を決める!!

男子ソフトボール
全日本大学選手権
福岡大
早大 1×
(7回サヨナラ)山内、松下、○山内-澤
◇(二塁打)なし ◇(三塁打)織部 ◇(本塁打)澤、川上

 5回途中から登板した松下直矢(スポ3=京都・南陽)が6回に相手打線に連打を許し、早大のリードは1点差に。無死一、二塁となおもピンチの場面で山内壮起(スポ3=千葉・成田国際)がマウンドに戻ってきた。しかし初球を右前に運ばれ、相手打線が好機を広げたかに思われた。ここで高杉聡監督(平10人卒=群馬・前橋育英)と井口聡(法4=東京・早大学院)が主審に15分以上に渡る猛抗議。その結果相手の離塁アウトが認められ、試合の流れは大きく変わることとなった。

 ソフトボール独特のルールの一つとして挙げられる離塁アウト。主に離塁アウトが認められる場面には、次の二つの場面が挙げられる。一つ目は投手の手を投球が離れるまで走者は離塁できない。二つ目はインプレイ中に投手がピッチャーズサークル内で球を持った時は、塁間にいる走者は次の塁に進むか直ちに現在の塁に戻らなければならない。この場面、右翼手からの送球を受け取った川上卓也(スポ4=岡山・新見)が山内にピッチャーズサークル内でボールを手渡そうとした瞬間、三塁へと進塁した走者が三塁ベースから離れ本塁突入を試みようとする仕草を見せたのだ。ルールに照らし合わせると、この場面で塁間にいることとなった走者は、次の塁(本塁)に進まなければいけなかったのだ。山内に揺さぶりをかけようと行ってしまった行為は、図らずも福岡大の押せ押せムードに水を差すこととなってしまった。早大は思わぬかたちでアウトカウントを増やすことに。直後の打者が四球で出塁、続く打者の内野ゴロで同点に追い付かれこそしたが、相手に傾きかけていた流れを止める大きな場面となった。

本塁打を放った川上(背番号11)はチームメイトに祝福された

 直後の6回裏の攻撃では1死から代打の織部雅之(スポ4=宮崎南)が右翼線を破る三塁打でチャンスメイクをし、勝ち越しへのムードが高まる。しかし吉原陸(スポ3=福島・安積)が空振り三振、丹野太郎主将(スポ4=兵庫・滝川)が遊ゴロに倒れ、惜しくも得点を挙げることはできなかった。だが織部の一打は相手の反撃ムード一色だった試合の流れを変え、最終的には勝てるのではないかと観客たちに思わせたのではないだろうか。「チームを勝たせてあげたい」(山内)、山内は相手打者を球の力と気迫で押して、7回を三者凡退に切って取った。一発が出ればサヨナラとなる場面、今大会は勝負どころでの一発でチームを敗北の危機から救ってきた川上のバットが、またしても火を噴いた。打席に入る前には「卓也さん次の回お願いします」と山内から、直接声を掛けられた川上。再登板した山内を楽にしてあげるためにもーー。ベンチから注がれた皆の声援は、川上の力になった。ワンストライクワンボールで迎えた3球目。外角にきた球を一閃すると、打球はライトの奥深くに。打った瞬間に本塁打と分かる打球、ここまで好投を続けてきた相手エースはマウンドで崩れ落ちた。

金子が適時打を放つなど、見事な初回の入りだった

 2年連続の決勝進出、『打倒日体大』をこの1年間掲げてきたチームにとって「決勝までこれたことは最低限だった」(丹野)のかもしれない。前日の関大戦に続き、激戦を制した早大。初回に3得点を挙げるなど、関大戦で課題だった初回の入りを見事克服。勝ち上がる中で課題を一つずつ潰し、大会を通して成長を重ねていく姿は、ことしのチームを象徴していた。初戦の神戸学院大、準々決勝の関西大と、昨年の大会で早稲田の前に敗れ去った強豪を抑えて進出した準決勝でのサヨナラ勝利は、早大の底力を見る者に感じさせていた。

(記事 大島悠希、写真 杉崎智哉、篠田雄大)

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