4時間の激闘も、決定打欠き惜敗

男子ソフトボール
総当たり戦 10 11
早 大 14
国士舘大 2X 15
●杖子-実重
◇(二塁打)石井 ◇(三塁打)川上 ◇(本塁打)川上、鳥岡、丹野

 東京都大学連盟秋季リーグ戦(リーグ戦)は佳境に入り、先週までに開幕4連勝を果たした早大は、総当たり戦の最終戦で国士舘大と対戦した。早大は、制球の定まらない相手投手を攻め立て、川上卓也(スポ2=岡山・新見)の本塁打などで4点を先行したが、試合中盤に逆転を許してしまう。1点ビハインドで迎えた7回、丹野太郎(スポ2=兵庫・滝川)が2点本塁打を放ち、土壇場で試合をひっくり返したが、その裏に追いつかれ試合はタイブレーク(※)の延長戦へ突入する。両者一歩も譲らず、2点を取り合う展開となったが、11回の攻撃で1得点にとどまると、その裏に被弾。4時間にわたる激闘をモノにできず、4勝1敗で特別ページシステムに進むことが決定した。

 先手を取ったのは早大だった。国士舘大の先発・中根孝太(3年)が制球に苦しみ四球を連発。初回の好機は生かせなかったが、2回に走者を二人置いて打席に入った川上が、「調子が良いという自覚はあるし、積極的に」と、ファーストストライクを強振すると、左中間への3点本塁打となった。3回にも、四球で溜めた走者を実重僚右(人3=高卒認定)が中前適時打でかえし、1点を追加。主導権を握ったかに思われた。しかし、大学ソフトボール界屈指の打者・横山翔大(3年)、八角光太郎(3年)らを擁する国士舘大打線も黙っていない。3回裏、先頭の9番打者が放った捉え損ねの飛球が内外野の間に飛ぶと、連携ミスでこれを押さえられず、出塁を許してしまう。この流れで、八角に3点本塁打を許して点差を1点に縮められた。直後の攻撃で、鳥岡健主将(スポ3=岡山・高梁)が、相手遊撃手が邪飛を落球した後、中堅へソロ本塁打を放って加点するが、早大は5回の好機を逸してしまう。すると、その直後、国士舘大は横山の安打から好機をつくり、八角が再び3点本塁打。一気に試合をひっくり返された。一転、追う立場となった早大は6回、先頭の川上が右前打と暴投で得点圏に進んだが、遊ゴロの間に三塁を狙った際に、遊撃手の視界をさえぎったとされ、守備妨害でアウトに。早大にとってはやや不運な判定で好機も潰え、万事休すか――。そう思われた。

好調の川上はこの日も7打数5安打5打点の活躍

 7回の攻撃では2死をあっさり取られ、走者なし、あと一人で敗戦という状況に追い込まれる。しかし、この荒れた展開の試合には、ひと波乱もふた波乱も用意されていた。実重が遊撃にゴロを放ち、試合終了かと思われたが、送球エラーに救われ、二塁まで進塁。続く打者・丹野が初球を捉え、中堅に逆転本塁打を叩き込んだ。しかしその裏、先頭の八角に安打と盗塁などで三塁へ進まれると、投ゴロを一塁に送球する間に本塁を陥れられ、勝敗は延長戦へゆだねられる。8回、相手の3つの失策が絡んで2点を奪うが、守備では2死から連打を許し同点。9回には、川上の適時三塁打で再び2点をリードすると、その裏には、進塁打と犠飛で1点を返されるが、2死ランナーなし、カウント3-2と追い込んだ。この試合で早大が最も勝利に近づいた瞬間だったが、続く6球目を左翼へ運ばれると、打球は無情にもフェンスを越えた。10回も2つの安打で2点を奪ったが、どうしても勝負を決める3点目が奪えない早大。やはり同点とされ、11回の攻撃で1得点にとどまると、ついにこらえきれなかった。11回裏の先頭打者は、この日すでに2本塁打を放っていた八角。その初球だった。力投を続けてきた杖子量哉(スポ3=岡山・新見)がこの試合197度目に投じたボールを捉えられる。左翼フェンスの向こうに打球が落ちると、次の瞬間、杖子はがっくりと膝に手をやった。

杖子の球数は200球に迫った。「気持ちでカバーしているように感じた」(実重)という力投だったが、最後は力尽きた

 あと一歩だった。「地力は上がっているが、流れのコントロールがまだまだできていないというのが現状」(鳥岡)。初回の無死一、二塁の場面で先制できていれば。4回の落球を防げていれば。5回の好機を生かせていれば。抑えれば勝てるという状況を一つでもモノにできていれば――。それでも、9月に全日本大学選手権の決勝を戦った強豪を相手に、再び互角以上に渡り合ったことは選手たちの自信にもなっているはずだ。翌日の特別ページシステムでは、その2チームと再戦することになる。「1回目に良い試合をしたからこそ2回目が大事」(鳥岡)。9季ぶりのリーグ戦優勝は、手の届くところにある。

(記事、写真 守屋郁宏)

※タイブレーク・・・7回を終えても勝敗が決さなかった場合、8回からは、前の回で最後に打撃を完了した選手を二塁走者として、無死二塁の状況から攻撃を開始する。勝敗が決するまでこれを続ける

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コメント

鳥岡健主将(スポ3=岡山・高梁)

――この結果を受けてどう思われますか

良い面は、去年一方的にやられることが多かった国士舘に対して、こっちも打って、打ち合いができたということで、強く振ることを課題としているので良かったと思います。ただ、悪い面は、それに小技のバントなどを絡めていくのがワセダの戦い方だと思うので、国士舘と同じような攻撃の仕方をしていたかなと思います。

――序盤は相手投手が制球に苦しむ中、先手を取ることができました

そこに関しては川上の3ランがあったり、よくつないで打ってくれたと思うんですけど、ただその前の初回のところで無死一、二塁から点を取れなかったところだとか、取りこぼしてはいるので、この試合に関しては初回のうちに決めることができたと思うので、詰めの甘さ、リズムの悪さが出たかなと思います。

――点差を縮められた後の4回に本塁打がありました

打たれてちょっと迫られた直後だったので、なんとか塁に出ようと考えたんですけど、1回ファウルを打って、絶対アウトになったなと思ったところを落としてくれたので、自分有利のカウント(3-1)だったので、思い切って振って、いい結果になりました。

――その後試合をひっくり返されてしまいました。ターニングポイントはどこだったと思われますか

この試合の大きな流れとしては、3回(裏)にエラーから3ランを打たれてしまったところが一つ大きなポイントだったし、5回の攻撃で微妙なタイミングでしたけど本塁でアウトになって、その後もう一回盛り返してつくろうとしたけど点を取れなかったというところで、取り切らなければいけないタイミングで取り切れていなかったかなと思います。

――しかし7回、ギリギリのところから試合をひっくり返しました

そうなんですけど、あの7回に関しても、ショートゴロをエラーしてくれた後に、丹野が打ってということがあったし、守備面では内外野の連携ミスでエラーをして、そこから3ランを打たれてということもあるし、試合全体を通して、相手にもらった点も多かったし、こっちからあげてしまった点もあるということで、まだまだ詰めが甘かったかなと思います。

――延長に入ってからは2点がキーになってましたね

正直タイブレークになると、流れも変わるし、先攻だと絶対に点を取らなければいけないというプレッシャーがある中で、ほぼ毎回2点を取ってくれていたので、それは良かったと思うんですけど、2点を取ってた後に、まだもう1点を取れるという流れの中で取り切れていないというところはあったので、地力は上がっているんだけど流れのコントロールがまだまだできていないというのが自分たちの現状なのかなと思います。

――「紙一重」の部分はきょうはその流れのコントロールというところで相手に分があったということなんですかね

そうですね。日体大、国士舘とは紙一重のところだと思うし、きょうもこのチームになってから国士舘とやるのは初めてなので、一発目でしっかり勝ち切ろうと言っていたので、やりあえる力関係にはあると思うんですけど、そこでどう自分たちの流れに持ってくるのかとか、どう相手に流れをやらないかというところが今後の課題かなと思います。

――あすの特別ページシステムに向けて

どちらのチームが来ても、1回目に良い試合をしたからこそ2回目が大事だと思うので、しっかり勝ち切ってリーグ1位で終わりたいです。この秋リーグは、この秋だけどうという大会ではなくて、1年間のスタートという意味ですごく大事な試合だと思うので、あしたは2試合とも自分たちが流れをつくって、自分たちがコントロールして勝てればいいかなと思います。

実重僚右(人3=高卒認定)

――このスコアを受けてどう思われますか

もっと早く試合を決めないといけなかったなと思います。

――3回に適時打を放つ場面がありましたね

(カウント)2-0で、内のボールとかもあまり来ていなかったので、外に入れにくるってなんとなく自分の中で思っていて、来ている球も下の方というイメージだったので、下の球で自分のバットが届くボールが来たら強く振っていこうと思っていました。

――国士舘大の打線のキーは1番と3番の選手だと思います。やはりあの二人に関しては意識しましたか

そうですね。自分が入学した頃、1年生や2年生の時から試合に出ているような人たちで、インカレでも結果を残しているような大学ソフトボール界のトップレベルのバッター二人なので、ものすごく警戒して臨んではいました。

――結果的にもその二人にやられてしまう場面は多かったと思いますが

全体的に僕の方が真っ向勝負ということは怖くて、攻めに行かないといけないところでかわそうと思ってしまいました。かわそうとするボールだと、攻めに行く時のボールとは球の質が変わってくるので、それが少しでも甘く入れば簡単に捉えられてしまうという感じでした。自分なりに考えて臨んだつもりではあったんですけど、もっと工夫をしていかないといけないかなと感じました。

――その怖さは四球につながる部分もあったんですかね

そうですね。でも、勝負に行っていたし、あからさまな四球はなかったので、杖子も僕も際どいボールで攻めていこうということだったし、それはその時々というか、そこはあまり反省するところではないかなと思っています。

――7回に逆転した後や、タイブレークに入ってからも、何度か勝ちに近付いたシーンはあったと思うんですけど、終盤は杖子選手の球威も落ちていた部分はあったんでしょうか

先攻だったので、裏を抑えれば勝てるという状況は常にあって、それを杖子もたぶん分かっていたので、力を入れるところは入れるということはしていましたし、あからさまに序盤に比べて球威が落ちてるということはなかったです。疲れもあるんで、多少は落ちるんですけど、気持ちでカバーしているような感じはしました。

――今季のリーグ戦を正捕手として迎えたと思うんですが、心境に変化などありましたか

登録とかは違うんですけど、前多(悠登副将、人3=東京・小山台)とかも高校野球の時やっていたりして、キャッチャーができたりしますし、1年生の中畑(友博、スポ1=愛知・清林館)も試合に出られるほどではないですけどキャッチャーをやっているので、自分がずっとキャッチャーで出ていられるという気持ちはなくて、いつも危機感を持ちながらやれています。

――あすに向けて

バッティングもあるんですけど、きょうは盗塁を6つフリーパスでされてしまって、杖子やチームを助けることができなかったので、守備で自分の仕事ができるように自分なりに工夫してみようかなと思います。

川上卓也(スポ2=岡山・新見)

――初回から当たっていましたね

自分の中でも調子が悪くはないかなという感じでしたし、積極的にいこうかなと。

――2打席目の本塁打のシーンは、相手が制球に苦しんでいる中で最初のストライクを捉えました

荒れていたので見てもいいかなと思ったんですけど、自分でも調子が良いという自覚はありますし、四球を選ぶよりも打ちにいった方がいいかなと思って、ストライクが来たら積極的にいこうという気持ちでいました。

――タイブレークになってからの9回に、あっさり2死を取られた後に三塁打がありました

0点じゃ厳しいかなという気持ちと、ずっとピッチャーの杖子さんも頑張ってくれていたので、打って次につなげたいなというのがあったので、とりあえず打ちたいなという思いで打席に入りました。

――結果的に試合には敗れてしまいました

ほんとうに勝ちたかったというのが正直な気持ちなんですけど、あしたページがあるので、きょう延長でいい勝負ができたということを無駄にせず、どちらと最初やることになるかはわからないですけど、全力でぶつかっていきたいなと思っています。

丹野太郎(スポ2=兵庫・滝川)

――この結果を受けてどう思われますか

勝てた試合だったので、素直に悔しいです。

――7回の打席を迎えるまでを振り返っていただけますか

3回の守備で自分の後ろにフライが落ちたシーンがあったんですけど、あれからホームランを打たれて、3点取られて、これで負けたら自分のせいだなと思っていた中で、7回に「回ってきてくれ」と思っていたら、ああいう風にラッキーで打席が回ってきました。実際、もうあそこ(1人前の打者)で試合が終わっていたと思いますし、前多さんからも「1回死んだと思え」と言われていた中で、悔しいという気持ちと、なんとかしたいなという思いを持って打席に入りました。

――起死回生の本塁打でした

ホームランは狙っていなくて、次につなごうという意識を持っていて、取りに来た球を強く振ることができたので一番いいかたちになったのかなと思います。

――あすに向けて

スタートの順位はまだわからないですけど、2試合やるつもりですし、2試合とも勝ち切れるように頑張りたいと思います。