インカレ王者に会心のコールド勝ち!

男子ソフトボール
総当たり戦
早 大  
日体大  
(6回コールド)
○杖子-実重
◇(三塁打)川上 ◇(本塁打)鳥岡、石井

 東京都大学連盟秋季リーグ戦(リーグ戦)で開幕3連勝を果たした早大は、第4戦で日体大と対戦した。立ち上がりから互いに譲らず、両者無得点のまま試合は中盤に突入する。すると4回、鳥岡健主将(スポ3=岡山・高梁)の2点本塁打で先制し、5回、6回にも追加点を奪った。一方、先発の杖子量哉(スポ3=岡山・新見)は強力打線を相手に6回を1安打完封。9月上旬に行われた前年度の全日本大学選手権(インカレ)で優勝した強豪に、土を付けた。

 先攻の早大は1巡目の打撃で苦労した。1回表に、1番打者・石井智尋(スポ1=千葉敬愛)が内野安打で出塁したが、後続は倒れ、その後2回、3回も無安打。「本当は打線としては3回までに先制することを理想としている」(鳥岡)。プラン通りとはいかず、淡白な攻撃によってムードは悪くなりかけたが、これをエース・杖子を中心に守備でことごとく引き戻した。3回裏には、先頭に四球を出したが、続く打者を遊ゴロに打ち取り併殺。安定した守備で野手陣も盛り立て、この回を0点に抑える。すると、直後の攻撃で早大が均衡を破った。先頭の川上卓也(スポ2=岡山・新見)が鮮やかに左中間を抜いて三塁打とし、打席には4番・鳥岡。カウント1-2と追い込まれた中で、「引きつけてセンターに」と振り抜き捉えると、打球は中堅フェンスの奥へと伸び、2点本塁打となった。

4番・鳥岡がチャンスをモノにして均衡を破った

 チャンスが来ればピンチも訪れる。先制直後の4回裏の守備で、1死から四球と暴投で得点圏に走者を進められてしまう。しかし、主導権はこう着状態から先制した早大にあった。「杖子が(打者のタイミングを)ずらしてくれていた」(鳥岡)。日体大の主将・池田泰一朗(3年)が中堅への痛烈な打球を放つが、石井の守備範囲へ向かい、好捕で中直に。さらに、左打者が三塁線方向へ流した打球も、わずかにファウルゾーンに入って事なきを得た。この場面を無失点でしのぐと、試合の流れを完全に掌握する。1番からの好打順となった5回は、再び鳥岡が走者をかえし、さらに敵失も絡み2点を追加。6回には無死一、二塁から石井が中堅に特大の3点本塁打を放ち、だめを押した。一方で、終盤の守備では、明らかに一発を狙い大振りになる相手打者を、バッテリーがいなして『0』を並べ続けた。終わってみれば、6回コールドでの完勝だった。

完封勝利の杖子。打ち取った飛球が外野手の前に落ちた唯一の被安打に「悔しい」

 「きょうは杖子が本当によく抑えてくれた」(鳥岡)。序盤に攻撃がうまくいかない中でも、杖子がテンポよく相手を打ち取り続けたことが、先制の機運を高めた。まさに投打がかみ合っての勝利だったといえるだろう。また、この日の日体大の先発投手は、前体制で臨んだ8月の東日本大学選手権決勝で敗れた際に、7回1失点に抑えられた酒井匠(2年)。その投手を5回途中にマウンドから引きずりおろしたことは、チームが前に進んでいる証明だ。「一発目が大事」(鳥岡)と『強いワセダ』を印象づけるべく臨んだ一戦で勝利を手にしたが、次戦の相手もまた、同様にイメージづけをしておきたい相手・国士舘大。「地に足をつけて、謙虚に臨んでいきたい」(石井)。再び紙一重の戦いが予想されるが、勢いそのままに、しかし挑戦者として総当たり戦全勝を狙う。

(記事、写真 守屋郁宏)

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コメント

鳥岡健主将(スポ3=岡山・高梁)

――前回にお話した時に「最初が肝心なので嫌なイメージを与えたい」と言っていましたが、まさに有言実行の結果となりましたね

みんなにも一発目が大事だということで、引かずに前に前にという気持ちでやっていこうと言っていた中でこういう結果を残せたので、それは良かったと思うし、特に僕らは1年生も多くて、人もすごく変わっている若いチームなので、すごく良い自信になったし、プラスになったかなと思います。

――序盤はこう着した展開になりました

バッテリーを中心に、特に杖子がしっかりと抑えてくれたので、3回まで0-0でいけました。本当は打線としては3回までに先制してということを理想としているんですけど、3回まで0点でよく守ってくれたかなと思います。

――均衡を破った4回ですが、先頭が出て、そして4番の鳥岡選手がかえしました

3回までに先制することができなかった中で、川上(卓也、スポ2=岡山・新見)、僕という打順だったので、特に川上と僕が打てないと勝てないと思いますし、2連打で点を取れたということは非常に良かったかなと思います。

――中堅の柵を越える大きな打球でした

追い込まれていたので、とりあえずボールを引きつけてセンターに、という意識だったので、その通りの打球がいって良かったかなと思います。

――先制の直後の守備で嫌な流れがありましたが、無失点でしのぎましたね

本当にきょうは杖子がよく抑えてくれました。2点を先制したので、二塁にランナーが一人いましたけど、その一人がかえってもまだ1点勝っているのだから、自分たちの間合いで守ろうということを言っていたので、そのとおりにできたと思います。

――その中で、野手の守備範囲やファウルゾーンに強い打球が飛んでいて、良い流れも来ているなという印象がありました

流れも良かったし、杖子は結構(打者のタイミングを)ずらしてくれていたので、それもあったと思います。良い当たりだけど外野の正面だとか、良い当たりだけどファウルというふうに、やっぱりきょうは杖子が良かったと思います。

――その後は中押し、ダメ押しということで、理想的な試合展開に持ち込むことができましたね

僕もベンチでまだまだ切らさずにやっていかないといけないと、一瞬でも気を抜いたらやられるということは言っていたんですけど、それを言う必要もないくらいみんな意識してつないでということをやってくれていたので、特に中盤以降の攻撃はすごく良かったかなと思います。

――きょうは高杉聡監督(平10人卒=群馬・前橋育英)が初めてベンチに入られていましたが、何かおっしゃっていましたか

僕らの代になってから練習も試合も含めて初めて見に来てくださったんですけど、結果としてはすごく良かったし、自信にするところは自信にしてということでしたけど、まだこの秋は何度か国士舘や日体大と試合をするので、嫌なイメージを与えられるようにやっていかないといけないということをご指摘いただきました。自分もその通りだと思うし、ここから良い意味で自信をつけて、おごらずにやっていければなと思います。

――総当たり戦を1位で折り返すチャンスを持って、来週の国士舘大戦に臨むことができますね

やっぱり僕らは紙一重のところで戦っていると思うので、少しでも構えたり、受け身に入ると一気にやられると思いますし、挑戦者としてきょうのような勢いと戦い方を続けてやっていけたらなと思います。

杖子量哉(スポ3=岡山・新見)

――エースとして迎える今季ですが、気持ちに変化などありましたか

ついに来たかみたいな感じですね(笑)。いっぱい投げることができるので、楽しいですね(笑)。

――強力な打線と対戦するにあたって、心がけたことはありますか

心がけていたことはあまりないですね。普段通りで。より良いバッターと勝負できるから、楽しんで投げようかなと思ったくらいです。

――ヤマ場としては先制点を取った直後の守備だったと思いますが

点取られたらやばいなと思っていたんですけど、結果ゼロだったので、ラッキーという感じでした。

――守備も盛り立ててくれたと思いますが、体制が変わってからの野手陣はいかがですか

内野は基本的にサードが変わっただけなので、もともと卓也(川上)も丹野(太郎、スポ2=兵庫・滝川)もうまいんで、安心して投げることができています。

――試合を通して、安打を許したり四死球を出すことはありましたが、崩れずに後続を断った印象です。何が要因だったと思いますか

今まではフォアボールを出した後、次のバッターにも明らかなボールが行くことが多かったので、とりあえずストライクを投げておけばと。フォアボールを出してしまう前まではきれいに抑えられていたので、ストライクを投げれば向こうも焦ってくるだろうなと思ったので。そこですかね。

――結果として1安打完封勝利でした。結果についてはいかがですか

あの1安打は安打と呼びたくないし、悔しいです。どうせなら7回を投げてノーヒットノーランという結果が良かったというのはあります。

――次戦も強豪が相手になりますが

ここまで4勝で来ているので、5勝してリーグ1位でページ(特別ページシステム)に臨みたいです。

石井智尋(スポ1=千葉敬愛)

――きょうの日体大との対戦をどういう気持ちで迎えましたか

春のリーグ戦で出させていただいた時に結果を残せず、その中できょう臨んだんですけど、良い活躍ができたかなと思っています。

――先攻チームの1番打者として、1打席目は非常に重要だったと思いますが、その中で出塁がありました

ラッキーでしたね(笑)。良いところに転がって打球も死んでたなと。

――先頭打者としての役割は、初回だけでなく5回も見事に果たされていました

自分も予想以上に活躍できて、ちょっとびっくりしています。

――その中で、6回には大きな本塁打が出ましたね

ピッチャーが変わって、僕の前の2人もヒットで出ていて、ノーアウト一、二塁だったので、最悪ランナーを進められればいいなと思っていました。その中で良い一発が出てくれたので、良かったですね。

――弾みをつけて総当たり戦の最終戦に臨むことができますね

日体に勝ったのは嬉しいんですけど、まだ国士がいるので、地に足をつけて、謙虚に臨んでいきたいと思います。