【連載】インカレ直前特集『REVENGE』 第7回 鳥岡健×杖子量哉×川上卓也

男子ソフトボール

 ことしの全日本大学選手権の舞台は岡山県新見市。早大ソフトボール部では、その新見市出身の杖子量哉(スポ3=岡山・新見)と川上卓也(スポ2=岡山・新見)、そして隣接する町の高校に通った鳥岡健(スポ3=岡山・高梁)がプレーをしている。ゆかりある地での戦いを、チームの主力として控えた彼らに、話をうかがった。

※この取材は8月19日に行われたものです。

「(この1年間は)短かった気がする」

走攻守が揃う川上は打線でも中軸を担う

――この1年間を振り返ってみて、いかがですか

杖子 短かったような気がする。
川上 特にこの夏早いね。
鳥岡 だんだん時が加速していく感じ。
一同 (笑)

――ソフトボール中心の生活を送られていると思いますが、それが楽しいということなんでしょうか

鳥岡 たぶんそういうことですね。大学生活全体的に時間経つのが早いですね。毎年、年を追うごとに速くなっていっているという。

――ソフトボール部として、戦いぶりはどうでしたか

鳥岡 去年のメンバーが結構残っている中でのスタートだったんですけど、その中で結果を残せているところもあれば、残せないところもありという感じの秋リーグだったと思います。そこから日体大や国士舘に負けてしまっていたんですが、4年生中心にいろいろやってくれていたので、それで東日本になってチームとしての完成度が高くなってきて、ある程度結果が残せるようになったのかなというのが、この1年の流れかなと思います。

――チームとして目指す戦い方というのは、どう共有されているんでしょうか

鳥岡 東日本の国士舘戦みたいな、先制して中押ししてダメ押しして、守備では塩沼さん(泰成主将、スポ4=福島・安積)が言われる無失策というのを掲げながら、相手に点をやらないという。あの東日本の準決勝の戦いが、自分たちの目指しているベストの戦い方だとは思います。

――去年と戦い方のここが変わったなと感じる部分はありますか

杖子 いろんな人がいろんなことをできるようになった感じがあるね。バントとか…
一同 あー。
杖子 攻撃の幅は広がったと思いますね。

――そんな中で、それぞれの役割やそこで生かしていく強みは何だと自覚していますか

川上 ずっと3番に置いてもらっていて、「3、4、5番につないでいこう」とキャプテンからも言われているので、それなりに打たなきゃいけないという責任もあるんですけど、その中で自分は足も使えて、バントもできるというのが強みなので、僕らにつなげと言われている中でも、やっぱり一番打ってほしいのは4番の塩沼さんなので、そこに自分はその前のバッターとしてしっかり良いかたちでつないでいくというのも、大事にしていきたいかなと思います。守備では丹野(太郎、スポ2=兵庫・滝川)と二遊間を2年で組ませてもらっているので、しっかり内野の要として力を入れていかないといけないと思います。
鳥岡 僕は今卓也も言ったように、一応3、4、5番と固めてもらっているんですけど、あくまでも中心は塩沼さんなので、僕は逆に5番バッターとしてその塩沼さんの後ろを打つことが多いので、塩沼さんがチャンスで仮に打てなかった時に自分に回ってくるので、そこで残っているランナーを返せるようにというのと、塩沼さんが打った後の勢いを殺さないように、次のバッターにつなげていくというところだと思うので、そこを結構意識して僕はやっています。
杖子 ことしに入ってから先発を任されることが多くなったので、完投するという能力はついたかなと思うんで、ただ上の二人が、尚央さん(吉田、人4=長崎・佐世保西)と豊田さん(誉彦、スポ4=兵庫・滝川)がいるんで、体力の面とかは気にせずにガンガン上二人とは違うピッチングができるとは思うんで、そこは強みかなと思います。

――自己評価としてはどうですか

川上 3番としては東日本では全然機能しなかったので、その分インカレでは頑張りたいと思います。
鳥岡 僕も最初は3番打たせてもらったり、1番打たせてもらったり、いろんな打順を打ってたんですけど、結局1年間を通して、打線の中心は塩沼さんなので、みんな意識としては塩沼さんにつなぐとか、塩沼さんの後をどう打つかというところを課題としてやってきた部分はあるので、自分は特にそういう部分に一番携わってきたバッターなので、1年を通して技術力も上がってきたんですけど、より自分がどういうバッティングをしなければいけないかというのは考えてやってきたなとは思います。
杖子 やっぱり秋から比べて試合に出る数がだいぶ増えて、それまで全然経験がなかったので、いろいろと迷惑をかけたんですけど、そこからだいぶステップアップしてここまでこれたかなと思います。あとは冬場に先生(吉村正女子部監督、昭44教卒=京都・平安)につきっきりで見てもらって、だいぶ良くなって、それで先輩からの信頼も得た結果、試合に出られるようになったのかなと今振り返れば思います。

――少し話題を変えます。役割の徹底と言っている中で、どんな練習をされているんですか

鳥岡 バッティングだと、実戦の時以外は、小技系のバッターとしっかり振っていくポイントゲッターのバッターに分かれて、小技系の選手だったらマシンでバントしたり、ポイントゲッターのバッターだったらティーを打ったりという感じでやっていくとかですかね。あとは実戦の中で、塁に出る役割の人は、小技で出ようという意識の中でやっていくし…。

――明確に狙いを分けて練習をしていくんですね

鳥岡 そうですね。そこはチームの中でも徹底されているので。
川上 あとは最近内野守備は、ちょっと変わったやり方でノックをやっていて、ボールを1球しか使わずにノックをやっていくということで、一つのボールを全員で追っていくという気持ちが大事だということで、普段はノックはかごいっぱいのボールを使ってどんどんやっていくんですけど、今はその1球をエラーしたら取りに行って、戻して、またそこから始まるという感じで。より実戦に近いかたちでやったりしています。

――投手はちょっと練習の性質が違うかもしれませんが、どうですか

杖子 野手に比べてピッチャーは実戦練習に入るまでだとか、比較的自由な時間が多いので…。さっき言ったようにみんなタイプが違って、それぞれの良いところがあるので、お互い教え合うというか、主に僕が聞くんですけど、尚央さんや豊田さんに聞くことが多くて。で、新しく後輩が入ってきて、ピッチャーがいないんですけど新しく始めるっていう子が3人くらいいるんで、その子たちに教えるという感じですかね。

――少し話に出ましたが、新しく春に迎えた1年生はどうですか

杖子 ピッチャーは、自分からやりたいと言ってきた子たちなので、やりたいって気持ちが一番大事だから…伸びると思います。

――全体的にはどうでしょう

鳥岡 人数が例年より多いので、いろんな人間がいて面白いです。
杖子 幅はあるね。個性が強い(笑)。
鳥岡 でも、1年生の仕事とかは、人数多いってのもあると思うんですけど、機転を利かせていろいろとやってくれることも多いかなと思います。

『郷帰り』

今春に登板機会を増やした杖子は、自信を培い2度目のインカレへ

――杖子選手と川上選手は出身地、鳥岡選手も出身校が隣町の高校ということで、みなさん会場はご存知ですよね

杖子・川上 知ってます。
鳥岡 僕も高校の県大会とかではよく使っていたので、知ってはいます。

――何か特別な感情はありますか

鳥岡 この二人はあるでしょ。
杖子 グラウンドもやったことあるグラウンドばっかりですし、慣れたところっていうのはあるんですけど、思い入れ…。
川上 思い入れ…。
鳥岡 あるやろ、思い入れ無い方がおかしいじゃん。
杖子 無えけぇ。
一同 (笑)
杖子 なんか淡々とかなしていただけだから。
川上 そうだね。
杖子 それってさ、終わってからじゃないの。大人になって「あ、ここで大学の時ソフトやってたなぁ」みたいな。
鳥岡 あー。
杖子 今はなんかどっちかというと言ったことのないところで試合をやりたいという気持ちがあるというか(笑)。嬉しい半面ね。
川上 新鮮感はないっていう(笑)。
鳥岡 と言いながら本当は嬉しいやろ?
川上 まあね。知ってる人とかは見に来てくれるから。

――みなさんソフトボールはいつから始められたんですか

鳥岡 みんな小学校からじゃない?
川上 で、中学校は野球挟んで、ですね。

――杖子選手と川上選手は先輩後輩でしょうけど、鳥岡選手もお二人と面識あるんですね

鳥岡 はい。
杖子 いたっけ?(笑)
鳥岡 いや、国体で3年の時一緒だったじゃん(笑)。卓也とは国体で、僕が2年のときに一緒にやったし…。
川上 でもトリさんそんなに絡んだ記憶ない…。
鳥岡 それは、今みたいなズブズブな関係ではなかったけど(笑)。

――では地元の頃の印象などはあまり持ってなさそうですね

鳥岡 そもそもここの二人は新見市出身だからいろいろ絡みあると思うけど、僕は新見市出身ではないので…。
川上 でもあれですよ、僕高校の時のトリさんのイメージでここに入ってきて、高校の国体の時のイメージとは全然違ってたんですよ。高校の時キャプテンやってたから、真面目なイメージがあったからちょっと。
鳥岡 今も真面目だし、もともとこんなんですよ。真面目であり、ふざけも入るみたいな。

――杖子選手と川上選手はどうですか。先輩後輩の関係だったわけですが

川上 僕変わりました?
杖子 変わった。え、こんなんやったっけみたいな。なんか僕の一個下の代結構やんちゃだったので、丸くなったな、みたいな(笑)

――岡山県についてはみなさん愛着もあると思いますが、地元のアピールなどはありますか

杖子・川上 千屋牛食べてください。
杖子 日本最古の蔓牛、らしい。
川上 他には…何もない?
杖子 無いな。鍾乳洞とか?
川上 そうですね。
鳥岡 出身の井原市は、高校駅伝の興譲館高校というところが女子の駅伝が強くて、っていう感じですかね。高梁市はいろいろあるんですよね。駅も新しくなって、スタバができて、近代的になったので。あとは備中松山城があって、一応日本で一番高い山城なんで、観光客の方も結構いらっしゃるんで。

――少し話題を変えます。今つけてらっしゃる背番号を選ばれた理由などありますか

杖子 高校の時、ソフトボールは背番号何番でもいいって知らなかったんですよ。で、高校の出席番号でいいと思って、「20でお願いします!」って言ったら、本当は僕の出席番号は22で。
一同 (笑)
杖子 で、高校でだいぶ20番に愛着あったんで、大学入ったら20番付けようかなと思ったんですけど、尚央さんが付けていて。22は(本来の)出席番号でもあるし、後々調べてみたら、新見高校で昔インターハイを優勝した時の投手が22だったそうなので、22にしようと思いました。
鳥岡 僕はまず小学校の時に図書室で血液型占いみたいな本を読んで、AB型のラッキーナンバーは4、みたいな。そこからずっと4に愛着があって、大学入って4番が空いてたら付けたいなと思っていたんですけど、僕も杖子みたいに、もう増形さんが付けていたんで、埋まっていて、どうしようかなと思って。で、高3の時にキャプテンやらせてもらっていたから、10番を付けていたので、4と10をかけようと思って、ラッキーナンバーが10個揃っているし良いなと思って40にしたっていう。
川上 僕は別に11番に思い入れがない…
鳥岡 かっこつけやろ。
川上 いやそういうのじゃない(笑)。もともと17番つけたいって最初言ってたんですよ。岡山の平林金属っていうチームの小宮山(敦吏)さんっていう選手がいて、すごい人なんですけど、その人に憧れていることもあって、17番かっこいいなと自分の中で映っていて、でも17番はもう先輩が付けていて。で、十番台は11が空いてるよっていうことで、「じゃあかっこいいし、いいか」ってことで11にしたんです。
鳥岡 結局かっこつけやん(笑)。
川上 でも、11は翼さん(大嶋、平28スポ卒)が付けていたりとか、古川さん(恵士、平26人卒)というピッチャーの人が付けていたり、実力的にすごい人達が付けていた背番号だということを後々知って、誇り持ってこの背番号を付けてやっていきたいなと、思っています。

「4年生を一人ずつ胴上げしたい」

ポイントゲッターとして期待がかかる鳥岡

――みなさんはもう去年までにインカレの舞台を経験されていますね

川上 僕はやっぱり、去年初めてのインカレの舞台ということで緊張もすごくしましたし、けど初戦で1番で、プレッシャーがかかる中で最初の打席でヒットが出た時のベンチからの盛り上がりというのは、すごく覚えているというか、印象的ですね。ヒット1本出るだけでもいつもとは全然違うという雰囲気はすごく印象にありますね。
鳥岡 1年間を通してその代のチームがインカレで最終的に優勝するためにってやってきているので、自然といつもと違う雰囲気にはなっていっているのかなと。それはいい意味でみんなが試合に入っていく感じなので。毎年その代の4年生が中心になって、俺達がやるんだとやっていくんで、インカレは特別というか、1年間の集大成を出す場なので、いつもとは違う雰囲気ではあるのかなと思います。
杖子 僕も去年初めて試合に出て、結果ふがいないピッチングをしてしまって、4年生の気持ちを背負ってやらないといけないというのは重大なことだと改めて感じました。ことしは、その記憶を1年間持って練習してきて、先生からも「お前が4年生を男にしてやるんや」と言われていて、その気持ちを裏切らないピッチングをできるという思いがだんだん確信に変わっているので、あと1、2週間で詰められるところを全力で詰めていきたいと思っています。

――少し触れていただきましたが、やはり4年生への思い入れはありますか

鳥岡 僕らにとっては1個上の代なので、いろいろ教えてもらったし、特にことしの4年生の代は新チームが始まった時から「俺たちが引っ張っていくから」という雰囲気を全体的に出してくれていて、塩沼さん中心にこのチームを1年かけてつくってきたということはすごく感じるし、たくさん4年生とふざけたこともしてきて、思い入れもあるので、結構この1年は4年生を一人ずつ胴上げしたいなというのは目標でやっていたので、この代は勝たなきゃいけない代だなと思います。とにかく、胴上げしたいですね。
杖子・川上 そうだね。

――どんなプレーで貢献したいですか

川上 でも僕はやっぱりインカレでホームラン打ちたいですね。めっちゃ欲出てもまずいんですけど、謙虚でありながらホームラン1本は打ちたいなと、密かに思っています。
杖子 三振めっちゃ取りたい。
川上 とりあえず目立ちたいですね。地元というのもあるし。
鳥岡 僕はチームが優勝すればなんでもいいんですけど、そのためにはこれまでやってきたことをいかに試合で出せるかだと思うので、意識的にはいつもと変わらず、自分のやらなきゃいけないことを役割徹底ということでやっていければいいかなと思います。

――最後に一言、意気込みをお願いします

鳥岡 岡山なんで、岡山魂で頑張りたいと思います!
杖子 地元で優勝写真撮ります!
川上 岡山県勢3人で、躍動して頑張ります!

――ありがとうございました!

(取材・編集 守屋郁宏)

◆杖子量哉(つえこ・かずや)(※写真左)
1996(平8)年6月3日生まれのO型。179センチ。岡山・新見高出身。スポーツ科学部3年。投手。会話の随所に方言も飛び出していた杖子選手。昨年のインカレでの悔しさを語っていただいた場面では、語気が鋭くなりました。インカレの借りはインカレで。過去を乗り越え進化した姿を地元で披露します!

◆鳥岡健(とりおか・けん)(※写真中)
1997(平9)年1月12日生まれAB型。173センチ。岡山・高梁高出身。スポーツ科学部3年。外野手。ことしのチームへの思いは人一倍強く、それを噛みしめるように言葉にしてくださいました。感謝の気持ちを原動力にフォア・ザ・チームに徹して、胴上げの有言実行を狙います!

◆川上卓也(かわかみ・たくや)(※写真右)
1997(平9)年6月28日生まれのO型。170センチ。岡山・新見高出身。スポーツ科学部2年。内野手。高校時代も地元では有名だったという川上選手。昨年も1年生ながら、インカレの大舞台に臆することなく、主力としてフル稼働しました。地元開催の今大会ではどんな活躍を見せてくれるでしょうか!