【連載】インカレ直前特集『REVENGE』 第3回 山内実咲×加藤千陽×手塚麻菜美

男子ソフトボール

 昨年の秋から始動したチームに欠けていた『得点力』。その課題に苦しんだワセダは、春季リーグ戦(春リーグ)では最下位という屈辱を味わった。あれから約4カ月、悔しさを胸に練習を重ね続けた。1年間の集大成である全日本大学選手権(インカレ)は目前に迫っている。今回は『得点力』のカギを握る山内美咲(スポ4=神奈川・向上)、加藤千陽(スポ3=愛知・星城)、手塚麻菜美(スポ3=北海道・とわの森三愛)の、上位打線を担う3人にお話を伺った。

※この取材は8月9日に行われたものです。

得点の起点になれればいい(山内)

山内はチームの不動の4番

――8月行われた東日本大学選手権(東日本)も踏まえて、チームのこれまでの戦いぶりはいかがでしたか

山内 私たちの代になってから、秋リーグ、春リーグと経て結果が伸びなくて、しかも春は最下位で入れ替え戦を経験するというところから全日本総合予選(全日本総合選手権東京都予選)と東日本を迎えました。今となってはもう「恐れることもなく、挑戦者として」という気持ちで試合に臨んで、負けていた国士館大にも東日本で勝つことができました。ただ、富士大には対策不足ということもあり結果が出せず負けてしまったのですが、インカレでも当たる可能性もあるので東日本を生かし残りの練習時間で対策していきたいです。

加藤 春リーグでずっといい結果が出なくて。バッティング面では点を取ることができなくて、ピッチャーも大量に点を取られているわけではないのですが「抑えているのに勝てない」という状況が続いていました。それでまずバッティング面が一つの大きな課題に挙がっていたのですが、その後の練習試合や東日本では徐々に点を取れるようになってきて、チームとしては今までの練習の成果が出てきている結果として(状況が)上がってきていると思います。もっと練習を続けてピッチャーに楽な気持ちで投げてもらえることができたら、それが最高の結果につながると思うので練習を続けていきたいと思います。

手塚 東日本の試合は、今までに比べるとバッテリーが安定してきたことが一番なのかもしれないですが守備のミスというものがほとんどなく試合をすることができました。富士大には負けてしまったのですが、ホームランで取られてしまった点ということもあって守備の乱れが目立ったのはなかったかなと。あと、国士館大戦の(相手)ピッチャーは今まで何試合もしてきたけど点が取れないという状況が春からずっと続いていたのですが、そのピッチャーに対してつながりのある打線で勝てたのは良かったです。その後の富士大戦は、初見のピッチャーに対しての対応というのが去年のインカレでもあったように課題だと思うので、経験していないピッチャーでもいかに打線をつないで点を取れるかというのが打撃に主を置いているワセダとしては今後の課題なので、インカレまでに調整していきたいと思っています。

――個人の打撃面はいかがですか

山内 今回の東日本ではあまり納得のいくバッティングができなくて。これまでの練習試合ではつかめていたのにそれを発揮できなかったのはすごく悔しかったので、次のインカレまでに大会で結果を残せるように調整をしていきたいです。

加藤 自分も、東日本の1カ月前ぐらいがすごく調子良くて、そこまでは「順調に上がってきているな」という感じだったのですが、ちょうど東日本の手前ぐらいから波が右肩下がりになってしまって。やはり練習試合でどれだけ打てても最終的には大会で打つことを目標にしているので、そこで結果を出さないと意味がない。インカレは一年で一番大きな大会で、このチームでできる最後の試合なのでそこで打たなければこの一年でやってきたことが無駄になってしまうと思うので、インカレまでに自分のモチベーションを上げていって、一年の成果をそこで出したいです。

手塚 春リーグまでは1番や5番を打たせてもらっていて、そのときの打順に求められていることを考えて、特に春は1番で結果を出せていた方だと思っています。東日本は出れなかったのですが、インカレまでの少ない日数の中で調整をしていきたいなと。インカレでどういう立場にいるかは分からないですが、そのときに与えられた役割をしっかり全うしたいと思っています。

――今季、一番印象に残っている試合は

山内 私は、特別ページシステムで最下位が決まった試合です。自分がチームに貢献できなかったという面でも、すごく印象に残ったというか忘れちゃいけない試合でした。

加藤 トヨタ(トヨタ自動車)と園田学園大と試合をさせてもらって、二日連続で2チームと試合をして気を抜くところがなかったというか、「この打者は抑えられるな」と思える瞬間がなくて。キャッチャーをやっていてずっと気を張っていなくちゃいけない、考えていなくちゃいけない。高校までは一日に4、5試合やるのが普通だったのですが、その日はもう一日に2試合やるだけで体も頭もいっぱいいっぱいでした。でもインカレというのは一日に2試合続いて、全て勝たなければ優勝できないので、日本のトップレベルのチームと戦うという経験ができたからこそインカレにつながると思います。あの試合で「どうしよう」と思ったからこそ、その経験を相手チームにさせられれば恐怖を与えられるとも思うし、「ワセダを抑えられないな」「ワセダのピッチャー打てないな」と思わせることができたら可能性も広がると思うのでそういう雰囲気をつくりたいと感じさせてもらった試合でした。

手塚 加藤と同じでトヨタと園田学園大との試合です。以前やらせてもらった時は「相手にやりたいようにやられた」という印象が強くて、ほとんど自分たちの流れで試合を進められた場面はありませんでした。でも今回はロースコアのゲームで試合を続けられて、勝ち切れなかったというのはあるのですが…。勝ち切らなければいけないというのがトーナメントで、インカレではそこを勝ち切るというのが重要になってくると思いますが、春から比べると前回の遠征のトヨタ、園田学園大との試合はだらだらと進んでしまうようなことはなく、そういう部分ではこっちが練習してきたことが出て成長が感じられた試合でした。でもやはり一回チャンスを逃すと「もうない」と感じるのがああいうチームで、東京都のリーグのチームは秋リーグ、関カレ(関東大学選手権)、春リーグと何回も試合ができて相手のピッチャーや打撃のデータが取りやすいのですが、たまにしかやらないチームにも勝っていかないとインカレで優勝はできないので、成長を感じられたという面でも勝ち切りたいと思った面でも印象に残った試合でした。

――捕手の加藤選手から見て、今の投手陣の状態はいかがですか

加藤 今ピッチャーは4人いて、一人一人個性があります。一人一人の特長を生かすことがキャッチャーの役割なので、試合で投げるピッチャーのその日の調子だとか、そのピッチャーが投げたい球だとかを組み立てたりして試合をつくることが自分の仕事になってくると思うので、どう試合をつくるかということをピッチャーと話し合って、インカレは勝っていかないと、と思います。春リーグから一人一人が長所を伸ばして短所を克服するということができているので、いいところを伸ばしつつ、悪い部分はいい部分に変えていくということをあと数日でどこまでできるかだと思っています。

――1年生の伊藤貴世美選手(スポ1=千葉経大付)とはこの春に初めてバッテリーを組まれましたが、印象は

加藤 高校の時からすごくいいボールを投げていました。でもやはりゴムボールと皮ボールっていうのは違っていて、野手よりはピッチャーの方がその違いを感じるみたいで入ってきた時は本人も思うような球が投げられないようでしたが、すごく努力家で毎日頑張って練習していてまた高校の時のようないいボールを投げられるようになっています。

――ことしの1年生は全体的に見ていかがでしょうか

山内 みんな上手(笑)。

加藤 真面目ですよね。

山内 推薦の子が多いのですが、1年生の中で印象に残っているのは、入学してから部を見学して入部を決めてくれたマネージャーの黒原(萌、人1=高知学芸)という子です。その子は雰囲気を見てから部活を選んでくれて、高校はソフトボール部じゃなかったのでまだソフトボールには慣れていませんが、そんな中でも真面目についてきてくれているので、こっちとしてはすごくうれしいです。

加藤 自分もやはり黒原ですかね。ここ数年、新歓で入ってくれたという人が少なくて、推薦だったり指定校だったりあるいはソフトボールの授業を取って先生(吉村正監督、昭44教卒=京都・平安)に声を掛けられて(の入部)がほとんどで、多分新歓で勧誘されてソフトボール部を見て選んでくれた子っていうのは本当に何年ぶりだろうっていう感じでした。ことしの新歓係は自分が担当していて、みんなが勧誘して興味を持ってくれた子をブースに連れて来て、ソフトボール部の特徴だとかを話して「見に来てね」と本当に見に来てくれて、「この部に入りたい」と言ってくれて。すごくうれしいというか、ソフトボール部には魅力があるから選んでくれたんだろうし、その魅力を他の人に感じてもらえるような行いを普段から自分たちがやっていくという伝統がやはり大切だなと思ったし、それを今まで築いてくださった先輩方もすごいと思いました。ただ勝つためにソフトボールをやってるんじゃなくて、人間性だとかを改めて大切だと感じさせてくれたのが黒原だったので、入ってきてくれてすごく感謝しています。何も分からないまま入ってきたけど、徐々に覚えてくれて今ではバットのグリップを巻いてくれるんですけど、それってすごいことだなと感じていて。入ってきて、ソフトボールに関わって数カ月なのに「グリップ巻けるんだ」っていう。それだけ日頃から選手を見たり、ソフトボールを知ろうと頑張っているってことがすごく伝わってきて、自分たちもそれに負けていられないという気持ちを与えてくれる子なので、ソフトボール部にとって大きな存在だと思います。

手塚 全体的に明るさのある人が多いなっていうのはあります。あとなかなか1年生から試合に出るというのは難しくて、それ以外の仕事も1年生には多くあると思うのですが、そういったことに対して率先して動いてくれているなと。試合に出れなくてもベンチから声を出してくれたり、サポートとかも自分で考えて動けているなっていう印象があります。そういう役に徹して動いてくれる人がいるから(試合に)出る人は出ることに集中できるという環境がチームの中でできているのかなと思います。

――吉村監督がチームに戻られて、何か変わったことはありますか

山内 試合中に場面を選んで鼓舞する言葉を掛けて下さったり、その場で駄目なところは駄目だと叱って下さることもあって、私たちが最後に勝つために先生なりの道しるべのようなものを考えてつくって下さっていると思います。「君たちが魅力的だから(監督をやっている)」というようなことを言ってくれるので、私たちも先生にソフトボール部の監督をやりたくさせるようなチームの雰囲気をつくっていけたらという感じです。

手塚 先生が戻ってこられた時は、私たちのやる気とうか「勝ちたい」という気持ちを盛り上げることが一番大変だったのかなと。それを主として先生と関わりながらやってくれていたのは4年生でした。先生が指揮をとって下さったことで、自分たちが一つのことに向かって進みやすくなったような部分はあります。

加藤 吉村先生の人を見る目というのは計り知れないなと感じています。先生が感じたことというのは本当に現実になって、「この球だったら抑えられる」という球は本当に打たれないし、「それじゃあかん」って言った球は結構打たれたり。いるのといないのとでは「なんでこんなに違うんだろう」っていうぐらい先生という存在が大きいんだなと。リーグ戦も、いるときといないときではチームの勝敗もそうなのですがゲームの流れだとか内容まで違うので…。「すごいなあ」と(笑)。ただただそれしかないです。

――インカレに向けて、今のチームの雰囲気は

山内 試合中誰かが打席に立ったら応援するとか、一球一球を全員で見ている感じはあります。1年生も入部して慣れてきて、大会も経て、自分たちの実力を出せて勝てる試合も増えてきたことも大きな要因として盛り上がってきています。東日本で勝った試合の盛り上がりもいい経験だし、負けた試合の悔しさもどっちも持ってインカレに向けてさらに盛り上げていきたいです。

加藤 みんなが「勝ちたい」と思っていてチームが一つにまとまってきているというのを感じます。代打とか代走とか試合に出てチャンスをもらえたときに結果を残そうと必死に食らい付いていく姿勢だったり、練習中でも試合でいいプレーができるように必死に練習したりして、徐々にそういう雰囲気が出てきているので、チームとしてインカレに向けて技術面もそうだけど気持ちの部分でも上がってきているので、いい感じできているんじゃないかなと思います。

手塚 自分のプレーじゃなくても自分のプレーだと思って一つ一つのプレーに関わって考えたりだとかができるようになりました。個々の能力を伸ばすこともそうなんですけど、チームとして一つ一つのプレーを完成させていくことにみんなが積極的に関われるようになったというか。前に比べるとそういうことができるようになってきて、その結果がチームのまとまりということになっていると思います。最終的にインカレで勝つということを目的として考えて練習に取り組めていると思います。やはり日が近付いてきて実感できるようになったんだと。新チームの頃は、「あと一年先」と思っていたことが、もうあと1カ月もないんだと思って、日を追うに従ってチームがいい方向に向かっていると感じます。

どんな相手でも自分たちのすることは変わらない(手塚)

鋭い観察眼を持つ手塚

――お互いの印象をお伺いしたいのですが、まずは山内選手のことをお二人からお聞かせください

加藤 「打球どこまで飛んでいくんだ」って感じです(笑)。キャッチャーをやっていて、スコーン! っていかれて…。チームにとってはバッティングで調子がいいということはすごくいいことなんですけど、練習中にキャッチャーをやっていて打たれたら「また打たれた…」みたいな。いいことなんですけど、(キャッチャーとして)しゃがんでいる方としては「この球も打たれるんだ。これも駄目か」って感じです。

――怖い打者ということですか

加藤 そうです。打たれると「どうしよう」って考えさせられる、悩む。ワセダで一番悩むバッターです。インカレで一発、楽しみにしています。

山内 ありがとうございます(笑)。頑張りまーす(笑)。

手塚 守備をしていて、一番打たれたくないバッターです。もともと(自分が)キャッチャーをしていたということもあるのですが、一番打ち取りたいという感じがします。試合中も、打席に立つと「打ってくれるんじゃないかな」って思えるし、チームが盛り上がる一本を打ってくれるので…。お願いします(笑)。

山内 頑張ります!(笑)

加藤 練習でも「お、きょうはもちゃさん(山内)打ち取ったぞ!」って。

一同 (笑)。

 打席に立たれると「打たれたくない」という気持ちが一番なので「よし、きょう抑えた」みたいな。

――先輩としてはいかがですか

手塚 内野でも、仕切るところは仕切って引っ張っていってくれます。2、3年生が内野に多いというのもあるんですがやはり先頭に立ってくれる人がいるというのはやりやすいですし、注意するところは注意してもらって、いいプレーには盛り上げてくれます。

加藤 主務としてすごくしっかりしていて、しっかりしているけどいじられて(笑)。周りに笑顔をもたらしてくれます。ムードメーカー的存在で、緊張しているときはほぐしてくれるし大事なところは締めてくれる、いなくてはならない存在で、先輩として見習うところがたくさんある人だなと思います。

山内 恐れ多いです本当に(笑)。

――次は手塚選手についてお願いします

加藤 同期で、かつスポ科2人で。同期が5人しかいないんですけど、毎年スポ科は(学年に)過半数いるぐらいなんですけど自分たちの代は2人しかいないので、部活はもちろんなんですけど授業の組み方もほとんど一緒で、ゼミも一緒でずっと一緒にいます。好きなことは深く追求していくタイプですね。プーさんが大好きなんですけど(笑)、携帯のケースとかキーホルダーとか、好きなのが伝わってくる貪欲な部分があります。自分は何事もなんとなくいろいろと触っていくタイプなのでそういうところがすごいなと思いますし、ソフトボールに対する姿勢や高校で培ってきたものはすごく大切にしていて、それを周りに伝えられるということは誰にでもできることではないと思いますので、それはいいなと思います。

山内 手塚は観察眼があると思っています。プレーの部分でもチーム内の選手の特徴をつかむし、あまりワセダのチーム的に相手ピッチャーの(ボールの)持ち方や投球フォームで狙い球を絞ることとかはしないんですが、手塚とかは相手選手の癖とかを見ているのかな(笑)?多分、そういうことをつかむのが上手で、相手をちゃんと見て判断できる能力があるなと。あとは、なんかこう…なんだろうね(笑)。普段、実家が近いので遊ぶ機会があるのですがそういうときのオンオフの切り替えがきちんとできて、遊ぶときはしっかり楽しく遊んで、プレーになると真剣になる部分もあって、インカレが終わったら最上級生になるのでどんどんチームを引っ張っていってもらいたいと思います。

手塚 やだ~(笑)。

一同 (笑)。

――最後に加藤選手の印象を

加藤 照れる!

山内 そうなんだよ照れるんだよ(笑)。

手塚 キャッチャーって、あんまり自分の意見を主張しすぎることができないけど、でも伝えることは伝えなくちゃいけなくて、でもピッチャーの良さも引き出さないといけなくて。去年のキャプテンの方(大内佳那、平29スポ卒=千葉・木更津総合)がキャッチャーをされていて、その間もずっと(加藤は)ブルペンとかで受けていることが多くて…。自分はさっさと野手に転向して試合に出させてもらっていた中、加藤はずっとブルペンでいろんなピッチャーを受けていて、そういう中でも真剣に取り組んでいろんな人の意見を受け入れていく部分はすごいなあと。自分も高校の時は廣瀬(夏季、スポ2=北海道・とわの森三愛)とバッテリーを組んでいて、わがままな部分もあるけど自分の考えを持っているいい面もあって、そういうところも受け入れてキャッチャーをしていかなければいけなかったので、ワセダにはいろんなピッチャーがいて、どのピッチャーともうまくバッテリーを組んで試合をつくっていけるのはすごいと思います。自分はほとんど廣瀬としか組まなかったので。

山内 加藤は、プレー面では結構ランナーを返すバッティングで、長打が多いので勝手に仲間意識があるという…(笑)。自分が打てなくても加藤に打ってほしいと思うと同時に実際打ってくれることも多々あります。守備でもバッテリーが成り立たないと守ることができないし、最近は加藤の指示で動いた所に打球が飛んできたりして、ピッチャーと野手のつなぎの部分をしっかり補ってくれているので、そういうところでも全体をきちんと見渡せる選手なんだなと思います。あとは、上下関係なく結構仲良くするタイプで、自分も上級生になりつつあるから後輩ともコミュニケーションを取って、先輩とも、バイト先にもいるしね(笑)。わいわいすることももちろんだけど後輩とかに伝えていかないといけないことはちゃんと先輩という立場で伝える様子が見られるので、それは続けていってほしいと思います。

――学年を越えて仲が良いというお話でしたが、プライベートでも遊びに行ったりするのですか

山内 はい、結構。

手塚 ありますね。

加藤 遊ぶっていうと微妙ですけど、買い物に行ったりご飯行ったりというのはよくあります。下級生の時からたくさんの先輩にお世話になってきていてご飯連れて行ってもらっておごってもらったりしていて、それがすごいうれしかったので自分が先輩になってからは後輩を積極的に誘うようにしています。そうやってノリで行けるのはワセダならではのいいところだと思います。特にピッチャーの眞子さん(宮川眞子、スポ4=福島・帝京安積)にはよく連れて行ってもらっていて、今寮の部屋が隣なので本当に二人でご飯行って玄関まで一緒に帰る、みたいなことをしています。高校までとか、多分他の大学では、先輩後輩でここまで距離を近くなれるのはないと思うので、やっぱりそこがワセダのいいところだなって思います。

山内 私は実家組なので、寮の子たちとはまた違うんですけれど、神奈川の方なのでその辺のメンバーでオフの日にも会える距離に住んでる人ばっかりの「オフの日会」っていうのをつくっています。そこに私とか手塚は入っていて、そのメンバーでカラオケ行ったりご飯に行ったりもしています。まあ帰り道が一緒で長いので、その間にしゃべったりご飯に寄ったりというのも多いです。手塚は途中で乗り換えちゃうんでそこまで長くないんですけど。

手塚 そうなんですよね。でも結構下(の学年)からも「一緒に帰りましょ」みたいに声掛けたりできて、学年だけで固まるより先輩後輩越えて遊んだり一緒に帰ったりすることが多いです。

――逆に同期会などはあったりするのですか

加藤 1年生の時は誰かの誕生日の度に集まってサプライズとかしていましたね。みんなでケーキ買って、みたいな。なんですけど、

手塚 (笑)。

加藤 私たちの学年って5人なんですけどあんまりふざける人っていなくてみんなどっちかっていうと真面目なんですよ。だから盛り上がる場面になったら盛り上がれるし楽しいんですけど、自分から盛り上げる人っていなくて、だからもし誰もしゃべらなかったら超静かだと思うんですよね。

一同 (笑)。

加藤 だからサプライズやるときも、「え、誰やる?」「え、私?いややってよ」みたいに毎回なってました(笑)。あと今回綱島(香依、国教3=東京・日出)が留学から帰ってきたので、お帰りなさい会をしようってなっています、多分。

山内 多分(笑)。

加藤 なんだかんだそういう感じで、人数は少ないんですけどいい感じでやっています。個性はあるけど誰も主張し過ぎることなく、平和にやっています。

――4年生はいかがですか

手塚 4年生は仲良いですよね。よく集まったりしてるイメージです。

山内 4年生は確かに、「みんなで何かやろう」って気持ちが強い人が多い代だと思います。そのビジョンがそれぞれ違うのでぶつかることもあるんですけど(笑)。同期会とかは結構やっていますね。3年生よりもワーキャーする人は確かに多い代なので、盛り上がることがみんな好きですね。

――3年生から見た4年生はどんな学年ですか

加藤 見ていてすごい楽しそうですね。誰かがボケると必ずそれを拾う人がいて、誰かをいじるとみんな一緒になっていじるみたいな、変な連帯感がすごいです。もちゃさんはけっこういじられるんですけどよくあるのが、アップが終わってキャッチボールってなった時に組む人いない同士で手を挙げて組むんですけどもちゃさんが手をあげるとみんなすぐ他で組んで、もう一回聞いて山内さんが手挙げたら「私もう相手います」みたいにからかってっていうのをしょっちゅうやっていますね。

山内 なぜかはずれキャラなんですよ(笑)。でもなんだかんだ言ってみんな最後は組んでくれます。

手塚 本当に飽きることなく毎回毎回おんなじことやってて、楽しそうっていうか仲が良いなあって思って見てます。

加藤 本当に毎日やってて、さすがに毎日やってたら大変かなとは思うんですけれど(笑)。自分たちの代にそういうのがないのでうらやましいなと思います。

手塚 仲が良いからこそそういうことができると思うし、小さなことにもめちゃめちゃ盛り上がれるところが4年生だなって。3年生だったら軽く流しちゃうようなことにもめちゃめちゃ盛り上がってて(笑)。

山内 3年生の方が大人なんですよね。

手塚 たまにはいじったりもあるんですけれど、3年生だけで盛り上がることはそんなないね。他が盛り上がってる時に乗っかる感じ。

加藤 その代わりやるときは徹底的にやりますね。きょうもこのインタビューは11時からで練習が13時からなので私たち以外は13時集合でいいんですけど、さっき綱島が学年ラインで「きょう13時からだよね」って聞いてて、私が冗談で「インタビュー終わり次第すぐ練習やで」って返したら「え、まじ?知らんかった」ってめっちゃ焦ってて。「間に合わない感じ?」ってあおり続けてました。時間経ってから嘘だよって教えてあげましたけど(笑)。

一同 (笑)。

――4年生から見て3年生はいかがですか

山内 秘めた思いをあんまり出さない? 出してるのかな。

手塚 そもそも秘めてるのか(笑)。

加藤 でも確かに何でもかんでも100%ぶつける人はいないかも。

山内 練習の時って4年生と3年生がベンチ隣なんですけど、あんまり静かって感じはしなくてにぎやかにやってるイメージですよ。

手塚 4年生には負けますよ(笑)。

山内 そもそも5人しかいなくて平日はキャンパスで分かれたりするから人数自体が少ないっていうのはあるかもしれないね。

――先ほど「オフの日会」という言葉もありましたが、皆さんオフの日はどのように過ごしていますか

手塚 うーん、洗濯? なんだろう、オフじゃなくても洗濯はしてるか。

山内 ミュージカルとか、今は温泉にもはまってます。一人でも行きますし、ちょっと前のオフには友達が免許取ったっていうので箱根まで行ったりしました。オフがあったら結構予定入れちゃうタイプですね。

手塚 めっちゃ詰め込みますよね。

山内 どっちかっていうとアクティブにしたいタイプですね。加藤も予定入れる派だよね?

加藤 そうですね。授業期間は月曜がオフなんですけど、教職とかあると結構授業入っちゃって。昼過ぎまで授業受けて、そのあとバイトするって感じです。夏休みとかは、遊んでくれる友達がいたら遊ぶし、午前練終わりに自転車でアウトレット行って買い物したりしています。買い物は人といると気を遣ってしまうので一人で行きますね。出かける気分にならないときは家で大掃除したりしています。

手塚 私も大掃除しますね。掃除って始めると止まらなくなる(笑)。

――オフは競技からは一度離れて休むようにしているということでしょうか

加藤 基本的にはそうですね。たまに家にいてすることないときに試合のビデオ見たりはします。

――部の推しメンを教えて下さい。もし男だったら彼女にしたいタイプで(笑)

山内 えー誰だろう、難しい。

手塚 坂ひらり(スポ1=愛知・星城)です。なんだろう、雰囲気というか感じですかね。すっごい騒ぐタイプじゃないんですけど、私静かな人が好きなので。あとピッチングとかも割と独特で。はた目から見てめっちゃ一生懸命頑張ってるって感じじゃないのになんか抑えれるんですよね。全面に必死さは出てないんですけど、自分の中ではいろいろ考えているんだろうなって思うので、これまでなかったタイプのピッチャーです。

山内 一緒にいて楽しいのは神樹里乃(スポ2=北海道・とわの森三愛)ですね。彼女はすごい音楽が好きで、歌ったりピアノ弾いたりが好きで、この前その才能を垣間見ることができてそのギャップに感動しました。あとは私ミュージカル好きでよく見に行くんですけど、去年の冬一緒に『ライオン・キング』を見に行ったんですけれど、二人で話してて話題が尽きなくて、後輩なのに自分らしさをちゃんと出してくれるので、一緒にいて楽しい存在です。

加藤 いやー選べないです。みんな好きです。みんな個性や魅力が一人一人違っていいですね。この前岡田(夏希、社2=神奈川・厚木商)が誕生日だったのでご飯連れて行ってお祝いしたんですけれど、気が付いたら5時間くらいしゃべってて、こんな話す仲だったっけっていうくらい話が弾みました。あとは2年の山羽沙季(スポ2=愛知淑徳)とはたまたまベリーグッドマンっていうグループがお互い好きで、2、3日前のライブに誘ったら行きたいって言ってくれて。それまでずっと二人で話すような仲ではなかったのにライブ行ったらめっちゃ盛り上がりました。そんな感じでみんないい子で一緒にいて楽しいので、彼女にしてオフを過ごすなら、毎日違う子を取り換えたい(笑)。

4年生に笑って引退してもらえるように(加藤)

打点力が高い加藤

――続いてインカレに向けてのお話を伺っていきます。まず、トーナメント表を見た率直な感想を教えて下さい。

加藤 初戦の大阪青山大は対戦したことがなくて分からないんですけれど、優勝するためにはもちろん倒さなきゃいけない相手ですね。次に当たる予定のところにも春の練習試合で負けていて、3回戦以降はどこも優勝する実力を持っている学校だと思うのでそれを倒さないと始まらないので、どんなトーナメントになっても自分たちのやることは変わらないんじゃないかなって思います。

山内 初戦の相手は一応関西の2部1位ということなんですけど油断せずに、もし事前に見れるならしっかり分析したいし、当日もできるだけの準備を怠らないで臨みたいです。

手塚 どんな相手でも自分たちのすることは変わらないというか、それを自分の中では大事にしています。相手に対応はしなきゃいけないんですけれど、相手に合わせたペースで試合をするのは違うなって感じています。守備からはじまっても打撃から始まっても、これまで練習でやってきた自分たちのペースを大事にして、きれいなかたちじゃなくても1点でも勝てばいいので。守備でミスしないとか打線がつながるとかも大事なんですけど、とにかく1点上回ることでどんな点数であれ勝ちなので、勝つことにこだわってやりたいと思います。トーナメントは負けたらそこで終わりなので、とにかく勝ちたいって思います。やっぱり東日本で悔しい思いをして、悔いのない試合、やってきたことを出せる試合をしたいなって思います。4年生が主体になってつくってきたチームで、最後にいい思いができるような戦い方ができたらいいなと思います。

――今、チームとしてはインカレに向けてどこに重点を置いて練習をしていますか

山内 東日本が終わったところなので、またきょうかあした、ミーティングを行うと思います。最近やっていたのはスピード感を大事にする練習ですね。さっきも話に出たトヨタや園田学園大はスピード感が違って、ちょっとのミスも許されないだけじゃなく自分たちが普通にやっていてもかなわない部分があったので、スピード感を意識していました。あとは勝負強さっていう面で、点が取れないっていうのが課題だったのでランナーが塁にいるときの打撃とか。あとは自チームのピッチャーと対戦する機会も増えました。

加藤 一人一人の勝負勘というか、ピッチャーとバッターの対戦やピッチャー同士、バッター同士、自分だったらランナーとの勝負を大事にしていました。自チームの一人一人に勝てなければやっぱり他のチームにも勝てないので、チームの中でも自分が1番だって自分で言える自信があれば、他のチームにも勝てると思うので、チーム内であっても緊張感を持ってやりたいです。

手塚 最近は実戦かな。実戦感覚を養うことを目指してメニューを組んでるのかなって感じています。ノックとかフリーバッティングとかの練習ではできない瞬間瞬間の判断とか緊張感に慣れて、本番で勝つことを意識したメニューになっていると感じます。そこで勝ち切ろうとすることが大事でそれができる人が試合に出て活躍する選手だと思います。

――4年生の山内選手にとっては最後のインカレとなりますが、この試合に懸ける思いや同期・後輩への思いはどのようなものでしょうか

山内 私は幸い2年生のインカレから出させてもらっていて、3回目のインカレになるんですが、振り返るとその時々のインカレで全く気持ちは違って、ことしは自分が最後になるってことでそれを意識した練習をしてきて感じることはありますね。自分がやっぱり試合で結果を出すこと、得点することができれば、それが今の仲間と少しでも長くソフトをすることにつながるので、あと25日くらい突き詰めていきたいです。あとは主務という立場で、インカレに向けての宿の手配とかもやっていて、そういう部分でミスがあると試合に響いてしまうと思うので、円滑に進むようにしていきたいと思っています。綱島も戻ってきて今の1年生から4年生までそろってこれから練習ができるので、みんなで盛り上がってインカレに臨めたらいいなと思います。

――3年生のお二人は4年生と臨む最後の大会となりますが、どのような思いをもって臨みますか

加藤 このチームでソフトボールできるのがもうあとわずかで、最近思うのがもうすぐ4年生は同じグランドに立たなくなるんだなって。いなくなっちゃうんだなっていうのをしみじみ感じています。どこの大学よりも1試合でも多く試合をしたいですし、最後は笑って終わりたいし、4年生に笑って引退してもらえるように、自分が試合に出ている以上その責任を持ってやりたいと思っています。あとは4年生と一緒にできるのはあとわずかなので、吸収できるところは全部吸収しないと、いなくなってからでは遅いので、一緒にできる時間を大切にしていきたいです。

手塚 今いる4学年の中で一番長くやってきたのが4年生で、一番身近な存在です。あと1カ月しかないって思うと本当に早いなって感じなのですが、今加藤も言った通り吸収するものを吸収して、上の代の先輩方が築き上げてきたものを受け継いでいかなければいけないと感じます。ソフトとかだけじゃなくて、他の面でも学ぶべきことがいっぱいあると感じています。このチームを中心になってつくり上げてきたのは4年生なので、それを自分がどんなかたちであろうと貢献していかなきゃいけないなと。自分が活躍したいとかそういうのもあるんですけど、それだけじゃなくてチームが勝つためにできること、やらなきゃいけないことを一人一人がやっていけばいい結果につながるのかなと思っています。あと1カ月を大事にしていきたいと思います。

――インカレではご自身のどのような点でチームに貢献したいですか

山内 自分はもう、得点の起点になれればいいなと思っています。

加藤 自分はチャンスで回してもらうことが多いのでそこで期待にしっかり応えることと、キャッチャーとしてピッチャーが気持ちよく投げれるように、それで勝てる試合をつくれればいいなと思います。

手塚 その時求められらことにきちんと応えることです。

――最後に、インカレへの意気込みを一言お願いします

加藤 今この環境があるのは両親だとか今まで支えて下さった人がいたからだと思うので、勝って恩返ししたいですし、いままで一番近くでお世話になった4年生に最後笑って終わってほしいので勝って優勝してっていうのに貢献できるように100%出し切りたいと思います。

手塚 今までもそうだし、インカレってやっぱり特別な大会で。他の試合に比べても現地まで足を運んで応援してくれる人が多いので試合中も感謝を感じる場面があると思います。全力でやること、必死でやる姿が人に感動を与えると思いますし、チームの方針で『応援されるチーム』というのを掲げていたので、応援してくれる人たちへ優勝して、しっかり恩返しできればと思います。

山内 私はこの先選手としてソフトボールをすることはもうないので、最後、親や今まで一緒にプレーしてきた仲間と「よかったね」って言えるような試合ができるように全力で走ったり打ったり守ったりして、全部出し切って試合に臨めたらいいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 三浦遥、久野映)

◆山内実咲(やまうち・みさき)(※写真中央)

1995年(平7)1月22日生まれのA型。身長165センチ。神奈川・向上高出身。スポーツ科学部4年。女子部屈指のスラッガー山内選手には、4年生きってのいじられキャラという一面も。後輩からも話しかけやすく、部のムードメーカー的存在だそうです。インカレでは長打だけでなく雰囲気づくりでも大きく部に貢献してくれるでしょう!

◆加藤千陽(かとう・ちはる)(※写真右)

1997年(平9)1月11日生まれのAB型。身長160センチ。愛知・星城高出身。スポーツ科学部3年。この春は1年生の新歓を担当していたそう。後輩について語るときの優しい表情からは、心から後輩を大切にしている様子が伝わってきました。次期主将を務めることとなる加藤選手、同期はもちろん後輩からも慕われる素敵なキャプテンになるでしょう!

◆手塚麻菜美(てづか・まなみ)(※写真左)

1996年(平8)4月21日生まれのAB型。身長163センチ。北海道・とわの森三愛高出身。スポーツ科学部3年。オフの日にしていることを尋ねると、真っ先に「洗濯」と答える家庭的な一面も。そんな女子力抜群の手塚選手ですが、ひとたびバットを握ると部内随一の強打者に。インカレでもチャンスでの一振りに期待がかかります!