【連載】インカレ直前特集『Revenge』 第1回 角頼遼香女子主将×大庭由乃副将×坂かれん副将

男子ソフトボール

 ついに最後の戦いの舞台へ−。4年生の誰もが集大成と位置づける全日本大学選手権(インカレ)。この大会を最後に、4年生は早大女子ソフトボール部を引退する。『インカレ優勝』を目標に掲げ、チームの中心として率いてきた角頼遼香女子主将(社4=千葉経大付)、大庭由乃副将(スポ4=千葉・木更津総合)、坂かれん副将(スポ4=愛知・星城)。最後の大舞台を前に、インカレに向けての意気込みやチームに抱く思いなどを3選手に語っていただいた。

※この取材は8月9日に行われたものです。

「4年生のカラーをしっかり出していきたい」(大庭)

相手の嫌がる選手になりたいと語る大庭副将

――まずは今シーズンの試合についてお伺いします。チームのこれまでの戦いぶりを振り返っていかがですか

角頼 新チームが始まってからインカレ(全日本大学選手権)に向けて何をやっていくかをいろいろ話し合ってやってきました。春リーグ(春季リーグ)では計画通りに進まずに厳しい局面を迎えたんですけど、そこからは2倍速のようなかたちでチームの状態を上げてこられたかなとは思っています。

大庭 春リーグからどんどん挽回できたことはすごく良かったなと思っていて。この勢いのままインカレに向かってやっていけたらいいなと思います。

 春リーグの結果から見るとこの間の東日本(東日本大学選手権)の結果はすごく躍進しているし、チーム力も上がっているのかなとチームの中にいる自分でもすごく身をもって感じることができています。インカレまであと20日くらい練習する時間はあるので、その中でいかにもっとチームの状態を上げることができるかが大事になってくると思います。

――春リーグはなかなか調子が上がらなかった中で、5・6月頃から吉村先生(吉村正監督、昭44教卒=京都・平安)が本格的に指導し始めてからチームに変化が生まれたところはあるのでしょうか

角頼 学生だけで練習をやると不安なところもあるんですけど、やはり監督が自分たちの進む道を示してくださるとチームが一体感を持ってやれているのかなと思います。

大庭 学生だけでやる時とは違って監督の一言で注目するところとか意識するところとかが変わっていると感じています。

 チームの中心に監督がしっかりいてくださることでチーム全体が1つの方向を向くことができるので、チームの一体感というのは吉村先生がしっかり指導してくださるからこそ出るものなのかなと思います。

――今シーズンの個人の打撃面については振り返っていかがですか

 私は去年の冬くらいから肩を故障していて。ことしに入ってからはバッティング専門でやらせてもらっていて、チームのノックとかも全部私が担当しているんですけど、打撃だけに専念することでバッティングに対する気持ちはすごく変わったと思います。そのおかげで打率も以前よりは少しずつ上がってきているので、この調子をこのまま継続していけたらと思っています。

――バッティングはケガをしていても肩にあまり影響がないのですか

 そうですね。打つ動作には上から投げる動作がないので、初めは痛かったんですけど、今はケガも少しずつ治ってきてもいるのでバッティングに集中してやれています。

――大庭選手はご自身のプレーを振り返っていかがですか

大庭 守備の安定感はこのままインカレに向けて維持していって、内野としてチームを引っ張っていけるような選手を目指してやっていきたいと考えています。バッティングは調子が良くない時もあるんですけど、最後のインカレなので全部を出し切って相手に嫌がられる選手になろうと思っています。

――最後に角頼選手、お願いします

角頼 私はことしの春にソフトボールを始めてから最大のスランプに陥ってしまって。本当に打てない時は引退までこれから1本もヒットが打てないんじゃないかと思ったりもしたんですけど、そこで結果を出すためにはやっぱり特別なことをするのではなくて地道にバットを振り続けることが1番の結果を出す道かなと思ったので、みんなの力も借りてなんですけど、それを徹底して少しずつ調子は戻ってきたかなと思います。

――春からの試合を振り返って印象に残っている試合はありますか

角頼 どれも印象に残っていますね(笑)。

大庭 入れ替え戦で(1部残留を)決めた時とか?

角頼・坂 あ~(笑)。

角頼 でも私はあれだな、ページ(特別ページシステム)の初戦の日女体大戦。

大庭・坂 あー!

角頼 あの時が自分は1番どん底だったんじゃないかなって思いますね。

――ご自身も調子が上がらず、チームの状態も良くない中で何か取り組んだことはありましたか

角頼 毎日悩んで、今も完璧な状態ではないので毎日悩んでいるんですけど、インカレで優勝するのであれば自分がまず『日本一』にふさわしい主将にならなければいけないと思って、謙虚さだったりいい意味での素直さだったり、そういうところを芯から見直しましたね。

――大庭選手はどの試合が印象に残っていますか

大庭 インカレ出場が決まった試合はすごくホッとしたので印象に残っていますね。チームとしても絶対に大丈夫だろうという雰囲気ではあったし、監督も絶対大丈夫と言っていた中で、気持ちの緩みではないですけど、それが少し怖くて。大丈夫かなという思いがあったので、インカレが決まって良かったなと思いました。

――インカレ2次予選に回るというのはみなさんの中では初めての経験だったのですか

角頼 はい、そうでしたね。

――では坂選手はいかがですか

 私も大庭と同じでインカレ出場が決まった試合が印象に残っています。あの試合をきっかけとしてチームがどん底から登り始めたので、そういった意味では今のチームにつながるいい試合だったんじゃないかと思います。

――インカレ2次予選をはじめ、ことしは1年生が多く起用されていますが、その点については

 ことしもいい1年生がたくさん入ってきてくれてチームにいい風を吹かせてくれているなという印象です。試合に出た時にしっかり結果を残してくれるからこそチームの雰囲気も良くなりますし、1年生の影響はいい意味ですごく大きいと思います。

――注目している1年生はいらっしゃいますか

 ことし私の妹(坂ひらり、スポ1=愛知・星城)が入部してきまして。まだあまり試合には出ていなくて、他の1年生の伊藤貴世美(スポ1=千葉経大付)が同じピッチャーで入ってきたのであまり日の目を見ずに終わってしまうのかもしれないと思っていたんですけど、練習試合とかでも結構投げさせてもらっているので、いいピッチャーになってくれればいいなという期待を込めて妹を挙げます(笑)。

――高校は同じでも一緒にプレーしたことはなかったのですよね

 そうです。(3歳差のため)入れ違いで妹が入ったので。

――大学で初めて一緒にプレーするようになっていかがですか

 変な感じですね(笑)。小学校からクラブチームは同じだったんですけど、妹はボール拾いしかしていなくて。そのくらいしか関わりがなかったので、「あんなに小さかった妹が…」と思っています(笑)。

――大庭選手はことしの1年生にどのような印象をお持ちですか

大庭 大学生っぽいというか、少し大人っぽい印象を受けましたね。

――特に注目している1年生はいらっしゃいますか

大庭 母校が同じ隈元愛子(スポ1=千葉・木更津総合)が入部して。今まではあまり関わりがなかったのでどういう子が良く知らなかったんですけど、結構面白い子だなと(笑)。

――隈本選手はクールな印象を受けるのですが…

大庭 意外と結構感情豊かな子なんですよね(笑)。

――角頼選手は1年生をたくさん起用している点についてどのようにお考えですか

角頼 1人1人が可能性をたくさん持っていて。私がそれを十分に引き出せていない部分もあるんですけど、学年問わずみんなが試合で活躍できるチームに成長してきているんじゃないかなと思います。

――推している1年生はいらっしゃいますか

角頼 直属の後輩が3人いるんですけど、その3人は直属の後輩だからこそ厳しく接してしまうというか…。

――千葉経大付はそのような厳しい上下関係があったのですか

角頼 いや、全然ないです。ないんですけど、自分と同じ高校の出身者が今チームの中で多分1番多くて。そこ同士で仲良くしているのは、なんかうざい(笑)。

一同 (笑)。

 (高校の)チームカラーにもよるけど、そうでもないよ(笑)?

角頼 あ、ホント?

大庭 うーん。母校…(笑)。

角頼 なに、その反応(笑)!ちょっとここ(角頼と大庭)はいろいろあります(笑)。

――木更津総合と千葉経大付はあまり仲が良くないのでしょうか…

大庭 いや、全然そんなことはないです。どちらかと言うと私たち(木更津総合)が浮きますね(笑)。

「ノックはチームの雰囲気を盛り上げるのに必要」(坂)

肩を負傷し、打撃を強化してきた坂

――副将のお二人は角頼さんにどのような印象をお持ちですか

 さっきの話では後輩に厳しく接してしまうと言っていて、風格を出している感じがしたんですけど(笑)。グラウンドに入っているときとそうではないときではオンとオフを切り替えていていいなあと思うんですけど、グラウンドの外に出ると本当に乙女で。

大庭 ほんとそれね!

 プリンセス大好き!みたいな感じで、ギャップが激しくて、ついていけないときがあります。

大庭 ちなみに(角頼は)ジャニーズも好きです。あとやりたいことがすごく多い。あれもこれもあれもこれも、みたいな。

 常にせかせかしてるよね。

角頼 多趣味なんですよね。制作活動みたいなのが好きで、お菓子作りとか、洋服のリメイクとか好きです。

大庭 あとだしね。

角頼 だしが大好きです。だしっていうのは料理のだしです。料理も結構するので、だしで全然味が違うんですよ。オフの日はだし専門店とかに行ったりします。

大庭 お母さんみたいな感じです。

 良い奥さんになるね。

――一人暮らしでそんなに料理とかするのでしょうか

角頼 一人暮らしではないです。母親が栄養士で、その影響で妹と一緒にやりますね。

大庭 それにしてもやりたいことが多すぎだよね。

――では次に、角頼さんは大庭さんにどのような印象をお持ちですか

角頼 (大庭は)すごく根は真面目で、私とは正反対と言ってもいいくらい計画性があって準備もしています。私の抜けているところを補ってくれます。でも、ちょっと歯車が崩れたことがあると、めっちゃ慌てるんですよね(笑)。いつも計画通りに行っているからこそ、ハプニングがあると「どうしよう!どうしよう!どうしよう!」みたいな(笑)。

 周りから見たら大したことじゃないのに、すごい騒いでます。

角頼 「○○がない!」とか言ってるけどだいたい半径1メートル以内ぐらいにあるっていう(笑)。

――天然っぽいところがあるんですか

角頼 天然ではないと思うんですけど、ちょっと抜けてるところがある感じです。あと、ミーハーなところがあります。歌も最新のものを聞くし。

大庭 そうかなぁ。

角頼 聞いてない?洋楽とか。

大庭 あ、そうだね、聴くかも(笑)。

――坂さんはいかがですか

 (大庭は)本当に真面目だと思いますね。副将二人だから、角頼がグラウンドにいないときに、二人で話して練習メニューを考えるんですよね。私はアバウトに決めてしまうところがあるんですけど、大庭は分単位でしっかりメニューを組んで、真面目に考えてくれます。三人の中で影のリーダー的な存在で、落ち着かせてくれます。

大庭 嬉しい。

――優等生っぽい感じですかね

 周りが騒いでても、途中までは一緒に騒ぐけど熱が冷めたかのように先に元に戻ったりしてます(笑)。

角頼 良く言えば優等生キャラですけど、悪く言うと細く長くタイプですね(笑)。

大庭 それだわ(笑)。

角頼 木更津総合でも珍しいキャラですね。

大庭 奇跡の木更津です(笑)。

角頼 あんまりこういうタイプいないんですよ、木更津総合は。

 木更津総合は隈元みたいなタイプが多くて。愉快な人が多いんです。

――では、大庭さんは坂さんにどういった印象をお持ちですか

大庭 (坂は)結構破天荒なところもあるんですけど、大事なところは決めてくれる印象で。私が迷っているときとかも、「こうしたほうが良いんじゃない?」とか、根拠もつけて言ってくれるので、私も「はい!」って感じになってすぐ決まります。

――角頼さんはいかがですか

角頼 家が動物園なんですよ。ペットをすごい飼っていて。

 すごいってほどでもないけど。

角頼 いや、すごいでしょ。ハリネズミ2匹と、デグーっていう動物を2匹飼っていて。

 デグーっていうのはリスぐらいの大きさで、アンデス地方の動物です。「アンデスの歌うネズミ」って言われています。2匹いるんですけど、ずっと(デグーと)喋っています。

――オフの日に動物園に行ったりとかはしないんですか

 それはしないですね。

角頼 そもそも家が動物園ですから(笑)。

――なるほど。オフの日は何をしていらっしゃるのでしょうか

 きのうはレンタカーを借りて、ハリネズミをお迎えに行っていました。そのままハリネズミ2匹を病院に連れて行きました。

角頼 ハリネズミ中心の生活だね。

 あとお父さんが誕生日だったので、家で誕生日パーティーをしました。

――普段のオフの日でも、動物にささげるような休日を過ごしているのでしょうか

 病院に連れて行けなかった動物を連れて行ったりはしてるんですけど、そういうのがなかったら、普通に家にこもってゲームしています。

――はまっているゲームとかありますか

 スマホアプリなら、白猫プロジェクトで、テレビゲームではずっとWii Uで遊んでいます。

――大庭さんはオフの日は何をしていらっしゃいますか

大庭 お昼頃からだいたい出かけます。結構甘いものを食べに行きます。パンケーキ好きなのでパンケーキ屋にはよく行きますね。

角頼・坂 ミーハーじゃん(笑)。

――パンケーキを食べに行ったりするのは同じ部活の人と行くのでしょうか

大庭 いや、違う部活の友達だったりすることが多いですね。あ、あときのうは坂と同じで父親の誕生日だったので家でパーティーしていました。

――角頼さんはいかがですか

角頼 オフの日は朝ごはんを豪華にしたいという願望があって、朝からご飯作りをしていますね。たまにですが。あと、最近はカメラにはまっていて、東京のいろいろな場所に行って写真を撮ったりします。夜は遊びに行きますね。

 一番オフらしいオフだよね。

――3人で遊んだりすることはないのでしょうか

 ないよね。ご飯に行ったりすることはあるけど、私が嫌だからね。

大庭 3人で遊びに行ったら逆に何やるんだろうね。

角頼 プールとかに行っても違うしね。海も変だし。映画も違う。

大庭 いかないでしょ(笑)。

 うん、行かない(笑)。

大庭 私と角頼とで遊ぶことはあるけど。

 私は基本的に同期とも出かけないです。

大庭 動物に全てをささげてるからね。

角頼 じゃあ動物園でも行く?3人で。

一同 (笑)。

 いいじゃん。行こうよ。

――他の四年生と遊びに行くことはありますか

角頼 前の方があったよね。最近はやはりみんなが役職について色々やることがあるので。二、三年生の頃の方が遊ぶことが多かったです。

――下級生と遊ぶことはあるのでしょうか

角頼 遊ぶといっても、結局ご飯に行くぐらいですが、私はほとんどのメンバーとご飯に行ったことがあります。まあ他の二人は知りませんけど(笑)。

 二、三年生とはほとんど行きました。

角頼 大庭さん?

大庭 私は、これから行こうと考えています(笑)。

一同 (笑)。

角頼 あと30日しかないよ(笑)。

――四年生の間で流行していることはありますか

 やっぱり山内(実咲、スポ4=神奈川・向上)のことをいじるということですかね(笑)。

――山内さんが天然っぽいのでしょうか

 天然というわけではないです。真面目で空気も読めます。

大庭 なんだろうね。でも、普通に面白いからだと思います。

角頼 単純に見た目でいじられているというところもあると思います。「なにその持ち物?」みたいな(笑)。

大庭 それは多分四年生共通でいじっていると思います。

 あとミーティング中にすごい顔をしているとか(笑)。「なにその顔?」みたいな(笑)。よくいじられてます(笑)。

大庭 流行っていることじゃないね。これは常だよね。

角頼 これも流行っているとは少しずれますが、この間帰りのバスの中で『オオカミ少女と黒王子』を見たんです。その映画のラストシーンを見て四年生みんなが「キャー!超かっこいい!」みたいになって。三年生以下はしれっとしてたんですけど(笑)。そういうところで四年生は似ているのかな、とも思いました。

――四年生には乙女な人が多いんですね

角頼 なんだろうね。男っぽい人がいないよね。他の各代にはいるんですけど。三年は加藤(千陽、スポ3=愛知・星城)二年は山下(真歩、基幹2=東京・桐朋女)。山下はちょっと硬派な感じですけど(笑)。一年はまだよくわかんないですね。

――チームのムードメーカーは

 やっぱり山内なんじゃないのかな。もはや後輩にまでいじられてるし。

大庭 でもそれも昔からだよね。

――そんな山内さんもあと一ヶ月で引退となると寂しいですね

角頼 まぁ誰かが台頭してくると思いますよ!(笑)。

「とてつもない数の人が自分たちを支えてくれている」(角頼)

攻守でチームを盛り上げる角頼女子主将

――ではここからはインカレに関する質問をさせていただきます。まずはことしのインカレの組み合わせを見た率直な感想を聞かせて下さい

角頼 いい組み合わせだったらいいなと思いながらトーナメントの発表を待っていたんですけど、インカレということでどこと当たっても厳しい試合になることは見えていたので、いざ組み合わせが決まってみると一戦一戦実力を出し切るしかないなという思いです。

大庭 やっとこの時が来たなという感じはありましたね。やっぱり去年のこともあって、目の前の試合1つ1つに勝っていってその積み重ねで最後(インカレ優勝)にたどり着くのかなと思っていたので、どこと当たるとかはあまり意識をしないで1試合1試合頑張りたいと思います。

 (トーナメント表を)見た時はちょっと怖いなと思いました。初戦が1回も対戦したことのない大学(大阪青山大)で、去年の試合(環太平洋短大戦)を思い出させるような感覚があったので怖いなと思ったんですけど、やはり二人も言っているように1戦1戦勝たないとインカレ優勝にはたどり着かないので、目の前の試合を戦うことを意識しようと思いました。

――昨年のインカレの話が出ましたが、昨年のインカレを今振り返るとどのような大会だったと感じていらっしゃいますか

角頼 今振り返ると、もっと自分自身の結果を出せたら良かったなと思っています。ただあの時は自分も必死でやっていてあの結果だったので、そう思えるのはあの時から少しは自分が成長できている証なのかなとは思います。

大庭 去年のインカレはいろいろなことがあったなと思っています。雨で次の日に試合がまたがったり、全然知らないチームと対戦して全く手も足も出なかったりということがあって、何があるか分からないというか。プレーだけでなく気候とかの面でも何があるか分からないなと感じて、本当に万全の準備をして臨まないといけないと思っています。

 先ほど大庭が言っていた雨で次の日まで続いた試合は、攻撃のトップバッターが私で、個人のプレーを今振り返ると「なんであの時打てなかったんだろう」って思います。前日からすごく準備をしていたはずなのに打てなかったことがすごく悔しくて。チーム全体で見ると2回戦の日本文理大と対戦した時に手も足も出ずに負けてしまったので、トーナメントってすごく怖いものだなと去年のインカレを通して感じました。

――ことしの初戦の相手は大阪青山大ですが、初めて対戦する相手ということで緊張や不安はありますか

角頼 そうですね。やはり相手の情報がないとある程度の作戦を立てられなかったり、自分たちが持っている力のどこを出して戦えば良いかが分からないのでちょっと不安に思うところもあります。でもインカレでは相手どうこうという話ももちろん大事だと思うんですけど、それ以上に新チームが始まって今まで自分たちが積み上げてきたものが全部出し切れるかどうかが大事だと思うので、もちろん相手の情報もこれからもっと集めて万全の準備はするんですけど、それと同時に自分たちの力を発揮するという準備もしていかなければいけないと感じています。

大庭 角頼が言ったように、本当に自分たちの力をしっかり発揮しないとどの試合も勝てないと思うので、相手の情報はないんですけど、第一に自分たちの力を全部発揮すれば勝てると信じて戦うことが大切だと思います。

 初戦に限らずに試合に入る雰囲気が大事かなと思います。私はノックを打たせてもらっているんですけど、試合前のノックも私が担当していて、全体練習の時からメインであるノックはチームの雰囲気を盛り上げるのに必要だと感じているので、チームの雰囲気を上げることに私自身徹したいと思っています。

――2回戦に進出した場合には東日本で敗れた富士大学と対戦する可能性もあります。インカレでリベンジしたいという思いもありますか

角頼 そうですね。東日本で負けてからそれしか考えていないので、(東日本で対戦した)次の日の準決勝も観に行って情報を集めました。今そこで集めた情報を整理していかなければいけないんですけど、東日本は相手ピッチャーに対する自分たちの準備不足の部分があったので、そこの部分を今後の練習で一気に上げていきたいと思います。

――ことしのインカレを勝ち抜くにあたって必要なことを挙げるとしたら何だと思いますか

角頼 私は試合前の準備が1番かなと思っています。準備の段階が試合の結果を左右すると言っても過言ではないくらい試合の準備の重要性をこの1年間ですごく感じています。インカレでは起床してからその試合が始まるまでの間で何かあったらそれだけで結果に響くと思いますし、朝宿舎から出発する段階で何かあればそれも結果に響くと思うので、準備といったところにも1人1人が緊張感を持って取り組まないといけないのかなと思っています。

大庭 全員が戦うことが大事かなと思います。それぞれの役割もありますけど、試合に出ていない人でもその場面でその人が合っていればその人が使われるので出るチャンスはありますし、全員が一緒に勝つんだという思いで戦うことが大切だと思います。

 チームの打率の向上を目指していかにインカレまで調子をキープしていくことが大事だと思うので、それに向けての準備が必要かなと思います。

――自分以外で注目選手を挙げるとすればどの選手を挙げますか

大庭 私は角頼。

 私も角頼。角頼はこれまでずっと調子が悪かったんですけど、だんだん調子を上げてきていて。角頼が機能するとチームの雰囲気が全然違うなと私も東日本で感じたので、彼女が活躍してくれればチームとしてもプラスになると思います。

大庭 今までの角頼の活躍も知っているので、同期として、最後はもちろん活躍してほしいと思います。

――と言われていますが…

角頼 今まで調子が上がらなかったことを振り返ってもあまりいいことはないと思うので、もう前を向いてやるしかないという思いですね。

――大一番(インカレ)を前にして、ここにいない同期に掛けたい言葉はありますか

角頼 感謝しかないですね。私はそんなに優れたキャプテンでもないですし、何か突出してできることがあるわけでもないので、その点同期のみんながたくさん助けてくれました。1年生の頃から振り返ると良かったことばかりではなくてつらいこともあったんですけど、みんながみんなそこに背中を向けずにちゃんと向き合ってきた4年生であったからこそ他のどの代にもないような絆というか、深く分かり合えている部分があるのかなと思っているので、キャプテンとして何か言うのであれば他の4年生7人の最後を最高のかたちで締めくくることができるようにチームをインカレまで引っ張っていきたいと思います。

大庭 1人1人がすごくしっかりしているので、いろいろなことをやってくれて本当に充実した代だと思っています。今の4年生のいいところは4年生の輪とか絆というところだと思っているので、最後のインカレに向けてワセダの4年生のカラーをしっかり出していきたいと思います。

 この4年間はこの8人でなければ一丸となってやってこられなかったと思いますし、私自身自分がその中にいながらもこの4年間で1番まとまっている代だと思えることができる代なので、試合に出ているか出ていないかは関係なしにみんなが一丸となって戦略のことなどでチームにいい影響を与えていると思いますし、最後まで一丸となってやっていけたらいいと思います。

――インカレで後輩に期待することや後輩に懸ける思いは何かありますか

角頼 後輩はらいねん、人によってはさらいねんもある人もいるんですけど、2年生のインカレ、3年生のインカレは1回だけで、そこでしか味わえないものがあるので、目の前のインカレに必死になってくれればもちろん私たちもうれしいですし、彼女たちのこれからのソフトボール人生にもいい影響を与えるのではないかと思うので一生懸命頑張ってほしいと思います。

大庭 全てを出し切ってくださいの一言ですね。誰のためでもなく目の前のことに全力を出し切ってほしいと思います。

 私も前の2人と似ていて、思い切ったプレーを出してくれれば十分だと思っているので、それがたとえうまくいかない結果であったとしてもそこで一生懸命やる姿を見せてくれれば私たち4年生の努力も報われるし、後輩には一生懸命頑張ってプレーしてほしいと思っています。

――ご自身の役割や特にこういうところで頑張りたい、こういう姿を見てほしいと考えていることはありますか

角頼 ソフトボールはもう13年くらいやっているんですけど、インカレはそれが全部詰まった大会であって、打撃や守備だけではなく1つ1つの行動に思いが込められていると思うので、全部を見てほしいですね。

大庭 インカレに限らずワセダはポンポン打つイメージが強いんですけど、私はそれとは違ってじわじわ攻めていくタイプで。相手をじわじわ攻めて「この打者は嫌だな」と思われるような攻め方をしたいと思っているので、気付いたらフォアボールとか、自分のできることを前面に出してチームの勝利に貢献したいと思います。

 私は守備に出られなくてベンチにいる時間が長いので先生の横にいる時間が多いんですけど、チームワークの面で、どこからでもいいのでチーム自体を支えられるようになりたいなと思います。バッティングも出られる機会があればその打席でしっかり結果を出せるようにすることを第一に考えているので、4年生だから中心に立って何かをするというよりかは下から支えたいなと思っています。

――では最後に、最後のインカレに懸ける思いや意気込みを聞かせていただけますか

 私も小学校からずっとソフトボールをやってきたんですけど、肩をケガしていて卒業後にソフトボールをやることはほぼないですし、こんなに汗をかいて日焼けをしてソフトボールをやることももうないので、インカレではこの日が(ソフトボール人生)最後の日になるという思いを常に持って試合に臨みたいと思います。

大庭 私もずっとソフトボールをやってきて、その中でもワセダのソフトボールはすごくソフトボールが好きになれる環境だったと思っているので、この1年間角頼を中心にずっとやってきて学んだことや感じたこと全てを出し切って終わりたいと思うのと、全員で戦い抜きたいと思っています。

角頼 ほとんどのメンバーが小学校の頃あたりからソフトボールをやってきて、今までいろいろな人にたくさん支えてもらっていて、その時からお世話になった人の数を数えたらとてつもない数の人が自分たちを支えてきてくれていると思います。自分たちの『インカレ優勝』という目標は自分たちだけの目標ではなくて、そのようないろいろな人の期待を背負ったものなので、少しでもその人たちに恩返しができたらと思っていますし、インカレで優勝して私たちが勇気や元気を発信できたらと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 小川由梨香、中澤紅里)

◆角頼遼香(かくらい・はるか)(※写真中央)

1995年(平7)6月11日生まれのO型。身長145センチ。千葉経大付属高出身。社会科学部4年。外野手。インカレでのキーマンは、という問いかけの答えにもっとも名前が挙がった角頼選手。春季リーグ戦では不調に陥ったものの、ここ最近の状態は上り調子。試合を決定づける一打は、主将のバットから飛び出すのか、注目です!

◆大庭由乃(おおば・ゆの)(※写真右)

1995年(平7)8月29日生まれのA型。身長159センチ。千葉・木更津総合高出身。スポーツ科学部4年。内野手。この三選手の中で影のリーダー的存在といわれている大庭選手。チームの精神的支柱を担いながら、持ち前のじわじわと粘り強いプレーで勝利を手繰り寄せてくれることでしょう!

◆坂かれん(ばん・かれん)(※写真左)

1995年(平7)9月25日生まれのA型。身長160センチ。愛知・星城高出身。スポーツ科学部4年。内野手。動物好きの一面があり、家では多くのペットを飼っているそう。インドア派の坂選手ですが、グラウンドに立つと姿は一変。破天荒な一面もあるそうです。思い切りの良い一振りでチームを勝利に導きます!