もどかしい敗戦、優勝ならず

男子ソフトボール
TEAM
早 大
日体大
●豊田―山本
◇(本塁打)金子 

 先週、難敵・国士舘大を破り、勢いに乗っている男子ソフトボール部。ここ最近、遠ざかっている春季リーグ戦(リーグ戦)全勝優勝をかけて日体大との大一番に臨んだ。試合は金子祐也主将(スポ4=長崎・佐世保西)の本塁打で先制するも、すぐさま相手の2点本塁打で逆転を許し、さらに1点を追加される厳しい戦況。その後も日体大の完璧な投手リレーの前に攻めあぐね、スコアボードに0が並ぶ。再び試合が動いたのは最終回。突如乱れる相手投手のボールを見極め、無死満塁のビックチャンスをつくる。しかし、このピンチにギアを上げ、際どいコースに速球を投げ込む相手投手の気迫に圧された。あと一本を出すことができず、この瞬間、得失点差の関係で早大は春季リーグ戦を2位という結果で終えることとなった。

 豊田誉彦(スポ3=兵庫・滝川)は3点を失ったものの、この試合は両投手陣が無駄な失点を与えない締まった投手戦。コントロールされた速球でカウントを取り、緩い球や変化球で凡打を誘う豊田に対し、日体大は投手3人の継投で早大打線を封じ込めた。2回に逆転を許した早大は連打と豊田自らのエラーで4回に再び無死満塁の大ピンチを迎える。1点も譲らない接戦に外野は前進。だが、その直後にレフトの萩野谷知大(人3=茨城・水戸第一)へ大きな飛球が襲う。「野球をやっていたのでその時の勘が生きた」(萩野谷)。後ろ向きになりながらもボールを決して離さない好捕で守備陣も奮闘。その後、なんとかこの窮地を1失点で切り抜け一部リーグ最少失点、早大投手陣の意地を見せた。

後ろ向きになりながらも、しっかりと補球した

 守備からのリズムに応えたい打撃陣は6回。先頭の金子主将が左前安打を放ち、捕球ミスの間に二塁に到達する好走でチャンスメークする。そして、2死となり代打・鳥岡健(スポ2=岡山・高梁)は2球目をうまくミート。打球は低い弾道でセンター前に落ちるかと思われた。しかし、中堅選手が前方に飛び込むダイビングキャッチで得点を阻む。迎えた最終回、先頭打者が死球で出塁すると突如、相手左腕が乱れ始める。バラつきのある球を冷静に見極め、優勝の望みをつなぐ2死満塁のラストチャンス。この試合の勝敗は5番水本将文(人4=長崎・佐世保西)に託された。積極的にスイングし徐々にタイミングを合わせて、5球目をフルスイング。バットは空を切り、水本は天を仰いだ。

先制の本塁打を放った金子主将

 「悔しいというかもどかしい」と金子主将がこう振り返るようにこの敗戦は非常に悔やまれるものだ。秋に大敗した国士舘大、中大の二校に勝利し、全勝優勝にも王手をかけていただけに。しかし、この失敗にいつまでも下を向いているわけにはいかない。このリーグ戦を通して「自分たちのやり方が間違っていないというのが分かったし、逆にこのやり方で戦えるってわかった」とも話し、収穫は十分。この借りは必ず特別ページシステム(※)で返し、全国日本大学選手権での返り咲きをもくろむ。

(記事 本田京太郎、写真 吉田安祐香、小川由梨香)

※特別ページシステム・・・リーグ戦終了後、その順位に応じてトーナメントが組まれ試合が行われる。特別ページシステムでの結果、上位5チームが全日本大学選手権への出場権を獲得する。

関連記事

打で圧倒、投に課題残す/春季リーグ戦(4/12)

コメント

金子祐也主将(スポ4=長崎・佐世保西)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか。

めちゃくちゃ悔しいです。悔しいというかもどかしいというか、そんな感じです。でも、良い課題も見つかったので、悪い試合ではなかったなと結果的には、そういう風に感じています。

――金子さんから見てこの試合はどのような内容の試合でしたか。特に勝負のポイントや打つべきポイントについてお願いします。

2番のところです。2番の笠井がもっと3,4番にチャンスで回ってくるところなので、2死から3番よりも1死で3,4番となった方が自分たちの得点パターンに持っていけるからその2番のところはやっぱり課題だったと思います。

――最終回1死満塁で金子さんに打席が回ったと思うんですけど、その場面はいかがでしたか。

自分はこれまで勝てるチームを作ることに重きを置いていたのですけど、要は自分が4番として打つしかなく、自分が打てば勝てるという意識でやっているので、リーグの最初でも言ったと思うのですが、あえて個人の目標を言うなら打点王って言ったと思うんですけど、あそこでも自分が打つしかないと意気込んで打席に入っていました。

――結果として四球でしたが自分で打って決めたいという気持ちでしたか。

自分で決めたいというよりは自分が打つしかないなと思ってて、もちろん5、6と後ろに良い打者がいるから四球でも全然抵抗なく自信もって見逃せました。

――観ていて勝てないことはないように思ったのですが日体大はどのようなチームでしたか。

もちろん良いチームで日々成長していて隙なくやっていこうとしているチームなんですけど、まだ相手も完全に仕上がっているわけではないという段階なのでもっと大量得点で勝つべき相手だとは思っていました。

――4年生は最後のリーグ戦だったと思うのですが終えてみていかがですか。

大事なのは次の全日本総合選手権東京都予選と8月と東日本大学選手権と全日本大学選手権(インカレ)なので、リーグの結果は結果として受け止めながら、そっちの大会に生かせられればなと思っています。

――全勝優勝にはならなかったですがやっぱり悔しいですか。

めっちゃ悔しいです。

チームとしてリーグ戦を振り返って収穫はありますか。

自分たちのやり方が間違っていないというのが分かったし、逆にこのやり方で戦えるってわかった分それぞれの役割の甘さも浮き彫りになったので、それは良い経験になったと思っています。

あすからの特別ページシステムへの意気込みをお願いします。

また一段ずつ力をつけている自分たちの力を示せるように、個々が輝いているワセダを見てもらいたいと思います。

水本将文(人4=長崎・佐世保西)

――きょうの試合を終えての感想を聞かせてください

きょうの試合は勝てる試合だったと思うんですけど、チャンスで上手く打てなかったのが 勝敗を決めてしまったのかなと思います。

――きょうはチーム全体としてなかなか流れが掴めなかった印象でしたが、4年生として何かチームメイトに声をかけられたりはしましたか

同期のポイントゲッターとか後輩にチャンスが回ってきたときには、緊張せずに自分の力を信じて打てと声をかけました。

――きょうの試合のチームで最後の打者でしたが、9回2死の場面で打席に立たれたときはどんな心境でしたか

次につなぐことしか考えてなくて、心では自分で決めようと思ってたんですけど身体は思うように動かなくて。ボール球に手を出してしまったのが良くなかったですね。

――最後のリーグ戦で残念ながら優勝はならず2位となりましたが、この結果についてはどのようにお考えですか

1位になれなかったのは悔しいんですけど、これからインカレに向けて成長できる節目になったと思うので、悔しい気持ちをバネにインカレに向けて精進していけたらと思います。

――リーグ戦を通してチームの課題は何か見つかりましたか

打撃ですね。守備は投手がすごくがんばってくれていて、あとはそれをサポートできる打撃、得点力がカギになると思います。

――一方でこのリーグ戦から次にも生かしていきたいことはありますか

今年のチームで国士(館大)に初めて勝てて、それは自信につながると思うので、ページ(特別ページシステム)でまた当たると思うんですけど、そのときはチャレンジャーとしての気持ちだけではなく次も負けたくないという気持ちも持ってがんばりたいです。

――明日から始まる特別ページシステムへの意気込みを聞かせてください

最後の試合で負けてしまったのがあるので、全勝できなかったのは悔しさをバネに明日からの特別ページシステムで全勝できるようにがんばりたいです。

豊田誉彦(スポ3=兵庫・滝川)

――きょうは勝ったら優勝でしたが、試合前はどのような気持ちでしたか

やっぱり一番最後の試合で、勝てば優勝できる試合で先発を任されるということは、ここでしっかりやれば今後投手として4人に投手の中でも起用して貰える率が高くなるということで、投手同士が競争しているところでしっかり抑えて勝ちにつなげたかったです。

――きょうはどのような攻め方で投げましたか

自分自身としては、日体大に対してはそんなに打たれるイメージは無かったので、いつも通り速いのと遅いので緩急をつければ、いつものように抑えられるつもりでした。

――きょうの試合を振り返ってどのような感じでしたか

やっぱり序盤で点を取ったあとにすぐに2点本塁打打たれてそこで逆転されるというのは、これから点を取って上げていかなければいかないところで打たれるということなので、こっちは止まっちゃいますし向こうは上がる一方ですから、点を取ったあとのウラはしっかり抑えたかったし、そこが自分の一番のポイントかなと思います。

――4回裏のピンチの状況ではどのような気持ちでしたか

一応1点で抑えられたのは良かったのかなと。やっぱりあそこで2点3点突き放されてしまうのは、そのあとの流れも悪くなる一方なんですけれども、1点なのは良かったと言えば良かったのですが、やっぱりあそこでしっかりと0で抑えられれば次の回間違いなく逆転が待っていたところでいきなりフライを打たれて1点取られてしまって2点差にされたのは反省すべきところです。

――今回のリーグ戦を振り返っていかがでしたか。

そうですね、自身の調子が良かったという風には感じなかったので、あまり制球が定まっていない部分が多かったので、試合に向けて上げていかなければならない中でボールを続けたりして周りを悪い雰囲気にさせてしまったのは悪い部分で、ちょっとやりきれなかったリーグ戦だったなと感じているんで、今後に向けて調整して、試合ではしっかりと抑えて活躍できるような投手になりたいと感じたリーグ戦でした。

――あすから始まる特別ページシステムの抱負をお願いします

とりあえずいまはもっともっとそれなりにストライクが入るようにはなったんですけどドロップの制球が悪いと周りから言われつづけているので、ライズ以外の球種のコントロールをつけて無駄な球をなくしてもっと楽に打者を打ち取れるようになれるように今後やっていきたいと思います。

萩野谷知大(人3=茨城・水戸一)

――きょうの試合にはどのような意気込みで臨まれましたか

リーグ戦での優勝がかかった試合ということで、ソフトボール部に入ってからあまりそういった緊迫した試合に僕が出ることはなかったんですけど、この1週間やきのうの練習から結構「ここが天王山だ」という意識でいました。先発で出るっていうのも僕の中では結構予想していたので、使命感を持って、自分の役割をちゃんと全うしたいと思って臨みました。

――試合を振り返っていかがですか

結果として敗戦となってしまったので、悔しいという気持ちがまずあります。チームとしても悔しいんですけど、個人的にも、僕は結構小技を含めて走者を無死で繋ぐっていう役割があるので、松木さんが松木さんが1死で1塁に出た時に、僕が一ゴロを打って2死一塁になってしまったのは本当に勿体無かったなと思います。今までやってきたことができなかったのと、最低でも2死二塁にしたかったなというので悔しい気持ちです。

――4回裏満塁時に、フライを捕ってチームのピンチを救いましたが、その時のお気持ちは

1死満塁だったので、相手が右打者だったのもあって、僕の中では左前安打を本塁で刺すっていうイメージがあって、気持ちが前に前にって本塁に向かっていく感じがあったんですけど、不意にフライがきて、打った瞬間に勢いがそんなになかったのでこれはいけるなと思って全力で行きました。あまり後ろのフライを練習するっていうことはなかったんですけど、野球をやっていたのでその時の勘が生きたかなと思います。

――今回の試合を通して課題や収穫などは見つかりましたか

自分としては、無死でつなぐという自分の役割をもう少し全うできたらなと思います。中途半端なスイングになってしまいがちなので、しっかり自分で決めて振り抜くことができたら、またプレーの幅も広がってくるのかなと思います。

――リーグ戦全体を振り返っていかがですか

僕は全試合でスタメンさせて頂いて、レフトを守らせて頂いたんですけど、チームの中でまだ先輩だったり主軸の選手が中心となってこのチームがまわっている感じがあるので、僕みたいなつないだりする役割の選手が打線の中で結果を残していかないといけないかなと思いました。

――これからに向けて意気込みをお願いします

冬には僕は春に先発で出場するっていうのが目標だったんですけど、やはり出るだけではなくて、そこを突破したいなと。これからは結果を求められる試合が続くので、自分の小さな成長ではなく大きな成長に目を向けて、とにかく結果にこだわってやっていきたいと思います。