吉村正監督がNAFAの殿堂入り

男子ソフトボール

 大学ソフトボール界の名将・吉村正監督(昭44教卒=京都・平安)に吉報が届いた。7月5日、NAFA(北米ファストピッチソフトボール協会)の殿堂入り(Hall of Fame)が決定。北米以外からは初の受賞者となる。ソフトボールの本場、米国からの表彰に吉村監督も「めちゃくちゃうれしいです。」と頬を緩めた。

殿堂入りが決まった吉村監督

 これまで計15回、男子部はハワイ、米国への遠征を挙行し、体格が一回り大きい他国の選手にも引けを取らぬプレーで優秀な結果を収めてきた。中でも圧巻だったのは2005年、米国・ミネソタで行われたワールドシリーズ。エース中島幸紀(平18人卒=大阪・清風南海)が無安打無得点試合を含む6戦連続完封するなど圧倒的な力で世界一に。また、その実力でつかみ取ったのは優勝杯だけではない。真摯(しんし)な姿勢で試合に臨み、審判に抗議もすることなく必死に戦う姿から、スポーツマンシップ賞を受賞。米国の地でワセダナインに笑顔とともに2つの栄冠が輝いた。

 能力の高いチームを作り上げる手腕だけではない。学生らしい誠実なプレーを徹底する指導力がまさに今回、殿堂入りの決め手となったに違いない。殿堂入り監督として挑む今後も、「笑顔で勝つ」ワセダのソフトボールで頂点を極める。

(記事、写真 盛岡信太郎)

コメント

吉村正監督(昭44教卒=京都・平安)

――殿堂入りが決まった今のお気持ちは

めちゃくちゃうれしいです。日が経つごとにうれしさが増してきています。ちょうど一週間前に殿堂入り決定のメールが来て、「本当かな?」と思ってNAFA(北米ファストピッチソフトボール協会)のホームページを見たら名前がありました。よくぞ私を選んでくれたな、と(笑)。そのようなものをもらえると思っていなかったので、あちこちから「おめでとうございます。」と言われてますますうれしくなってきますね。

――殿堂入り決定の決め手となったものは

大学生チームをNAFAの大会に15回連れて行って、7回ハワイの地区予選を戦った。その7回目でようやく優勝し、ハワイ州の代表として出場しました。アメリカの(ソフトボールの)ワールドシリーズと言うのは野球もそうだけど、都市対抗なのです。アメリカと言うのは野球とソフトボールが絶対的な国技だから、アメリカで一番がそのまま世界の一番ということになります。私はかつてハワイ大学の学生であって、卒業から14年後にハワイ大学で客員教授をし、学生時代はハワイでのプレー経験もあり名が通っていたのでそのこともあってハワイの大会に出ることができました。ですが、まさか日本のチームが本戦まで進めると思っていませんでした。その1998年以降、約2年おきにアメリカへ渡って大会に出場させてもらっています。行く度に早大、そして早大の学生の誠実さ、真摯(しんし)な姿勢、実力の高さが評価されました。歴代の素晴らしい学生たちと一緒に試合をさせてもらってきたおかげで、その代表として殿堂入りに至ったと思っています。

――殿堂入り監督という看板を背負ってのこの夏の東日本大学選手権(東日本)、全日本大学選手権(インカレ)へ向けて

(男子部の)東日本5連覇、やはり何事も積み重ねですね。らいねん、私がソフトボール同好会(ソフトボール部の前身)を作ってから50年目の年で、今年殿堂入りしたということで2月か3月に女子部をハワイに連れて行って、いろいろな大学と試合をしつつその都度ハワイで男子部の監督さんの所へ行ってお礼参りをしようかと考えています。ハワイ州の代表として(本戦に)出場した訳ですからね。そして8月にワセダオールスターを結成してワールドシリーズに特別に参加させていただこうかと思っているんです。それが私のこの一年のゴールだと考えています。それを今の目標としますと、東日本での5連覇、インカレでの連覇と言うのは国内ではあるけれども一つ一つ積み重ねていかなければならない。だから東日本でも一つずつ丁寧に勝っていって、暑い中でも体に気を付けてワセダらしく笑顔で勝って、インカレでも勝ちます。そして来年のいわば『里帰り』であるワールドシリーズに行って、そこで表彰を受ける時には、アメリカだけに閉ざさず、日本のチームにもオープンに接してもらったおかげだと感謝の気持ちを伝えたいですね。またアメリカが作ってくれたソフトボールを我々が真似て、そして勝たせてもらい恩返しできたということでその場をくれた皆さんに感謝をする、そういった遠征にしたいです。そしてこの夏がそのステップアップだと考えています。