【女子サッカー】ルーキー小島が決勝点 ア女がホーム最終戦を白星で飾る

ア式蹴球女子

関東大学女子サッカーリーグ 後期第9節

2025年10月18日(土)16:00 Kickoff

@東伏見サッカーグラウンド

試合結果

チーム 前半 後半 合計
早大 0 1 1
帝京平成大 0 0 0

得点者

後半

83分 小島 世里

 関東大学女子リーグ(関カレ)の後期第9節、3試合ぶりの白星を狙うア式蹴球部女子(ア女)は帝京平成大と対戦した。ア女は前半からチャンスシーンをつくり出すも、無得点で折り返す。攻勢を強めた後半、途中出場のMF小島世里(スポ1=東京・十文字)が83分に値千金のゴールを決め、ア女が先取点を挙げる。守備陣は相手の攻撃を抑え切り、クリーンシートを達成。今季のホーム最終戦を1-0で勝利を飾った。

コミュニケーションをとるDF新井みゆき(スポ3=埼玉・浦和レッズレディースユース)(左)とDF杉山遥菜(スポ3=東京・十文字)

 ホームチームのキックオフで始まった前半、ア女は序盤から攻撃のリズムをつくる。4分、前節の立役者であるDF小林睦(スポ1=湘南ベルマーレU18ガールズ)が左サイドのFW﨑岡由真(スポ3=埼玉・浦和レッズレディースユース)へロングフィード。ファーストタッチでカットインした﨑岡が放ったシュートは枠内に飛んだが、相手GKに正面でキャッチされる。その後も両サイドから攻撃を仕掛けるも得点を奪えずにいたが、29分に決定機が訪れた。中盤でパスカットし、ボールを奪取したア女はエースのFW生田七彩(スポ4=岡山・作陽学園)が相手選手をかわしながら、ペナルティーエリア内に侵入。ドリブルのスピードを保ったままシュートしたが、惜しくもサイドネットの方向へ外れた。その2分後にも生田が再びチャンスメイク。自陣の左サイドからDF佐溝愛唯(社2=大阪・大商学園)が前線にロブパスを入れると、生田が相手選手のマークを外しながらボールを収める。そのまま縦方向にボールを運び、クロスを上げるも味方には合わなかった。攻撃陣が点を取れずにもどかしい展開が続く中、守備陣は安定感を見せる。44分、相手のコーナーキックからヘディングシュートをされたが、GK田村亜沙美(スポ3=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)がキャッチ。失点を許さなかったア女は、スコアレスで前半を折り返した。

味方に声をかける千葉

 後半はア女が積極的にボールを回し、試合の主導権を握る様相を呈した。後半開始後15分間で3本のシュートを放つ。その後も攻撃の勢いは衰えず、ディフェンスラインを高く設定し、果敢に相手ゴールに迫ったア女。それに加え、チームは小島とMF福島茉莉花(スポ1=東京・十文字)といった攻撃的な選手をピッチに投入した。そして、交代策は見事に的中。78分、MF新井みゆき(スポ3=埼玉・浦和レッズレディースユース)からMF三宅万尋(スポ2=東京・十文字)にボールがつながる。ボックス内にボールを運んだ三宅はゴール前で待ち構えていた福島にグラウンダーパスを出す。ダイレクトで福島が左足を合わせるも、相手GKに阻まれた。この場面から5分後、ついにスコアが動く。83分、中盤のFW千葉梨々花(スポ3=東京・十文字)が裏に抜けた左サイドの小島にスルーパスを出す。相手選手をかわしながら、一直線にゴールに向かってドリブルをした小島が右足で放ったシュートは相手GKの横を抜けて、ゴールネットを揺らした。「絶対に点を決めよう」と意気込んでピッチに立った小島はその言葉の通り、自身で得点を挙げ、ア女に先制点をもたらした。その後はア女が1点差を守り切り、試合は終了した。

得点を喜ぶ小島と福島

 前後半合わせて13本のシュートを打ったア女が見事に帝京平成大の牙城を崩し、勝ち点3を獲得。今季10勝目となった今節は、守備陣が無失点に抑えたことが勝利の大きな要因と言っても過言ではない。複数得点を挙げていれば、なお良い内容になっただろう。今季の関カレはアウェー2連戦を残すのみとなった。次戦は首位を走る東洋大が対戦相手となる。前期の対戦では後半アディショナルタイムに先制点を献上してしまい、敗北を喫したア女。残り2試合で勝ち点6を奪取することで、勢いのある状態で、来たる皇后杯に挑みたい。

(記事 堤健翔、写真 荒川聡吾)

スターティングメンバー

早大メンバー(◎はキャプテン)

GK 1 田村亜沙美(スポ3=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)
DF 2 新井みゆき(スポ3=埼玉・浦和レッズレディースユース)
DF 3 杉山遥菜(スポ3=東京・十文字)
DF 13 佐溝愛唯(社2=大阪・大商学園)
→63分、小島世里(スポ1=東京・十文字)
DF 25 小林睦(スポ1=湘南ベルマーレU18ガールズ)
DF 30 吉田玲音(社2=新潟・帝京長岡)
→57分、福島茉莉花(スポ1=東京・十文字)
MF 6 千葉梨々花(スポ3=東京・十文字)
MF 7 﨑岡由真(スポ3=埼玉・浦和レッズレディースユース)
MF 11 三宅万尋(スポ2=東京・十文字)
MF 17 米村歩夏(スポ2=宮城・聖和)
FW 9◎ 生田七彩(スポ4=岡山・作陽学園)

 試合後インタビュー

後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)

ーー試合を振り返っていかがですか
 勝ち点3を必ず取らなければいけないというプレッシャーの中で、しっかり選手たちが戦ってくれたのが、まず本当に素晴らしかったです。

ーーボールを奪われた後の切り替えが徹底されているように見えました
 切り替えと球際はア女のベースなので、今日だけ特別に意識したというよりも、元々自分たちが積み重ねてきたものが出せました。

ーータイトな順位争いになっています
 週明けの火曜日にプレッシャーは必ずあるものだから、1週間プレッシャーを持って試合を意識して準備しようという話をしました。4年生を中心に、そこに追随して3年生、2年生が良い準備を全員でしてくれたことを強く感じました。

ーー吉田選手の中盤機能が続いています
 元々そういった(中盤の)センスも技術もあります。ただ、ずっとセンターバックをやっていた中で、上手くやっています。顔出しのタイミングや選手間の繋がりだったりを意識しつつ、思い切ってゴール前に飛び出していく良さを練習ではすごく見せてくれています。ロングボールが多い中、あそこに吉田がいてくれることは非常に大きいです。そういう球際の勝負をたくさんしてくれてっていう。

ーーファイナルサードの崩しの部分では、どのようなことを意識していましたか
 相手の守備の設定も含めて、七彩(生田)がかなりスプリントをかけてくれた部分はありました。七彩の動きから相手が間延びしてスペースができるので、梨々花(千葉)や歩夏(米村)が中間で受けることが増えました。左右にボールを振ることができたのもCBの2人とサイドバックの新井や﨑岡が落ち着いて、田村も含めてボールを運んでくれたなと。中盤をもう少し使えるようになって、相手の状況を見て裏を取る時をもう少しチームとして共有できるように仕上げていきたいなと思います。

ーー決勝点は1年生の小島選手でした
 彼女はドリブルという彼女にしかない武器を持っています。同じく途中交代で入った福島もそうですが、彼女たちの攻撃的なセンスを出しながら出場時間を伸ばして、先発の争いにも絡んでくるように期待しています。彼女たちも課題は十分わかってるので、ただ1年生で思いっきりの良さを見せてくれたら、期待通りプレーをしてくれると思います。

ーー次戦への意気込みをお願いします
 今日のようにしっかりと自分たちがまず戦うというベースをチーム全体で共有したいと思います。今日は全員が声を掛け上げながら最後まで走りきったと思うので、そういうインカレと皇后杯に向けてもっと仕上げたいと思います。躍道というスローガンと4年生がよく言う「楽しもう」という言葉を具現化するために、1週間しっかり準備していきます。


DF杉山遥菜(スポ3=東京・十文字)

ーー試合を振り返っていかがですか
 インカレ出場権を巡る争いや、今年の目標である関カレ優勝があったので、それを目指す上で大事な一戦というのはみんな共通理解としてありました。そこの気持ちが一番大きい中で迎えた試合だったので、いつも以上にみんな緊張していて、立ち上がりも自分たちのサッカーがすぐできたかと言われたら、そうではない立ち上がりだったと思いますが、その中で試合を通して修正できた部分もありました。今年はアディショナルで失点して負けるとか追いつかれるとか、そういうこともあったんですけど、逆に自分たちが無視点で抑えて1点勝ち取って勝ち切ることができたので、良かったなという試合でした。

ーー前半どのような部分が難しかったのでしょうか
 相手があまり前からプレスをかけて来ず、ミドルブロックを敷いてきた状態でしたが、それはスカウティングの時点で想定していて、それに向けて自分たちがミドルブロックを崩していくという練習をやってはいました。しかし、想像以上に持たされて、じれてはめられるとか、うまくパスがつながらないとか、そういうミドルブロックの攻略に前半苦しんでいました。

ーービルドアップではどのような意識をしていますか
 前節まではフォーバックで回していたんですけど、今日はそれをフォーバックとスリーバックを使い分けてビルドアップしていこうという意識がありました。それを前半は少しやりきれていなかったので、後半はまず準備の段階でスリーバックの形をしっかりとやることを徹底したのと、相手をまだ引き出せてないのに攻撃してもうまくいかないので、 じれずに体の向きや目線などに気を使って相手を引き出してから前進していくというのを意識しました。

ーー久々のクリーンシートになりました。手ごたえはどうですか
 今年のチームは、今日のようにボールを保持できているのに攻め手がなかったり、相手に粘られるとポロッと失点する部分が多くて。しかも崩されるというよりはセットプレーとか自分たちのミスとか、どちらかというと集中力やコミュニケーションといった自分たちで解決できることで失点することが多かったです。それは自分も含め精神力や気持ちの部分もあるし、自分だけではそこはできないことなので、ディフェンス陣とかピッチ11人全員で声を掛け合って、そこのミスをなくすというのを、なくさないとクリーンシートは絶対無理だと思っていました。今日は、今年の試合の中では課題を修正して、気持ちの部分で切らさずやるというのを体現できた試合だったと思います。

ーー次戦に向けた意気込みをお願いします
 東洋相手なので、構えて相手のペースに合わせると絶対勝てない相手だと思います。まずは自分たちがチャレンジャーという気持ちを強く持って、攻撃も守備もミスしてもいいので、自分たちがやりたいことに積極的に挑戦し続けていきたいです。それを90分通して集中切らさずやり通せれば負けないし、決めれば勝てると思うので、今日と同じようにそこは徹底して勝ちに行きたいです。


MF小島世里(スポ1=東京・十文字)

ーー後期に入り出場時間も伸びています。手ごたえはありますか
 最初は怪我をしてリハビリをしていたので全く試合に絡めていなかったですが、復帰してからちょっとずつ絡めるようにできたかなと思いました。

ーー高校サッカーと比較して大学サッカーのレベルはどう違いますか
 高校の時と比べて体も疲れますが、特に頭が疲れるかなと思っています。高校サッカーと違って考えて守備や攻撃をやることが多いので、頭が疲れるなという印象です。 

ーー試合に対して覚えることや決まりごとが多いのでしょうか 
 そうですね。あとは試合中に考えることが多くて、自分の場合はサイドハーフなんですけど、相手が基本的に自分より後ろにいることが多いので、どこにいるか見て、どっちに付けばいいか考えるのが大変です。

ーーピッチに入る時はどのような役割を意識していましたか
 自分の強みは攻撃の部分だと思っていたので、絶対に点を決めようとか、得点に絡めるようにと思って試合に入りました。

ーー2試合続けて得点に絡むことができています
 得点できた部分はその瞬間が良かっただけで、他の部分を見たら全くみんなに追いついていない部分が多いですし、本当にたまたま入ったゴールが多いので、確実に決め切った形でのゴールを目指していきたいです。

ーー武器のドリブルへの手ごたえはいかがですか
 通用している部分もありますが、1,2枚目をはがしたあとの3枚目が来た時の判断がまだまだだなと思っています。

ーーこれからへの意気込みをお願いします
 個人としては、自分はまだまだ試合に絡める時間が少ないので、絡める時間を増やしていきたいです。チームとしては、関カレの残り2試合を絶対に勝って、インカレ、皇后杯に向けていい流れでいけるようにしていきたいです。