全日本大学女子選手権 | ||||
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早大 | 3 | 1-0(前半) 2-0(後半) |
0 | 日大 |
【得点】 (早大)29分:﨑岡由真、55分:OG、75分:大山愛笑 (日大)なし |
全日本大学女子選手権(インカレ)準々決勝、ア式蹴球部女子(ア女)は日大を下し準決勝進出を決めた。序盤から優位に試合を進めると29分、FW﨑岡由真(スポ1=埼玉・浦和レッズレディースユース)がスムーズな攻撃から先制。後半に入ると54分にはオウンゴール、75分にはMF大山愛笑(スポ1=日テレ・東京ヴェルディメニーナ)が得点を重ね3―0とした。躍動する攻撃陣と盤石の守備陣が噛み合い、見事な完封勝利となった。ア女は2年ぶりに西が丘の舞台に帰還し、1月4日に準決勝・帝京平成大戦に臨む。
1点目のアシストとなるスルーパスを出す大山。初戦に続き輝きを放った
試合開始直後からゲームの主導権を握ったア女は、序盤のセットプレーから攻撃のリズムを作る。7分、大山のコーナーキック(C K)にMF築地育(スポ3=静岡・常葉大橘)が頭で合わせるが、ヘディングシュートは枠の左へ飛んだ。前半20分までには、好調のMF三谷和華奈副将(スポ4=東京・十文字)を筆頭に突破力のある攻撃を繰り出し、立て続けに好機を演出。すると前半29分、右サイドからMF笠原綺乃(スポ4=横須賀シーガルズJOY)が切り込むと、大山のパスを受けて裏に抜け出した﨑岡が冷静にキーパーの脇を抜き、待望の先制ゴールをあげて1ー0とする。その後もDF浦部美月副将(スポ4=スフィーダ世田谷FCユース)、DF夏目歩実(スポ4=宮城・聖和学園)ら4年生の安定感のある守備と徹底したリスク管理で、前半を通してヒヤリとする場面を作らず試合を折り返した。
先制ゴールの﨑岡。「トラップしたらシュートを打とうと決めていた」
1点リードで前半を折り返したア女は、後半に入ってもゲームの主導権を日大に渡さない。48分には日大のフリーキックのシーン、際どいシュートを打たれるが、DF田頭花菜(スポ3=東京・十文字)が肩ではじき出し得点を阻止した。後がない日大は、右サイドに徹底した攻撃を試みる。すると55分、大山のDFライン裏を狙うパスに反応し、相手にプレッシャーをかけながら懸命にボールを追った﨑岡の粘り強い守備が、相手のオウンゴールを誘発する。全員が集中力を切らさず、細かいプレーにまで気を配る姿勢が見えた。さらには75分、﨑岡のパスから大山がドリブルで一気にゴール前までもち上がり、ダメ押しの3点目。83分には、途中出場のMF新井みゆき(スポ1=埼玉・浦和レッズレディースユース)のパスをもらった築地が左足でシュートを放ったが、惜しくもゴール右に逸れた。随所でGK石田心菜(スポ3=大阪学芸)のセーブも光り、相手の得点を予感させる場面も最小限に、そのまま試合は3ー0で終了。危なげのない試合運びでア女の強さを見せつけ、勝利を手にした。
ドリブルする三谷。交代する78分まで相手の脅威であり続けた
ア女のやりたいサッカーを体現した90分間だった。先制後も焦らずにゴールを狙い続け、1点でも返そうとする相手の勢いを、堅守でシュート2本という結果に抑えこんだ。本試合からスタメン復帰した築地は、「勝ち切るという点で、自分たちの成長を測れる相手だった」と振り返る。チームにとっても大きな自信となったはずだ。年明けに迎える2年ぶりの準決勝では、今季関東大学女子リーグ(関カレ)で1勝1敗の帝京平成大学と対戦する。「この4試合でまだまだみんなは成長できる」(後藤監督)。指揮官からの言葉を胸に選手・スタッフ一丸となって闘志を燃やし、日本一奪還の至上命題を目指す。2023シーズンの集大成、本当の戦いはここからだ。
(記事 勝野優子、写真 大幡拓登、星野有哉、渡辺詩乃)
スターティングイレブン
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 石田心菜 | スポ3 | 大阪学芸 |
DF | 2 | 夏目歩実 | スポ4 | 宮城・聖和学園 |
DF | ◎3 | 後藤若葉 | スポ4 | 日テレ・メニーナ |
DF | 5 | 田頭花菜 | スポ3 | 東京・十文字 |
DF | 6 | 浦部美月 | スポ4 | スフィーダ世田谷FCユース |
MF | 7 | 笠原綺乃 | スポ4 | 横須賀シーガルズJOY |
MF | 9 | 三谷和華奈 | スポ4 | 東京・十文字 |
→78分 | 27 | 新井みゆき | スポ1 | 埼玉・浦和レッズレディースユース |
MF | 10 | 築地育 | スポ3 | 静岡・常葉大橘 |
MF | 30 | 大山愛笑 | スポ1 | 日テレ・東京ヴェルディメニーナ |
FW | 26 | 千葉梨々花 | スポ1 | 東京・十文字 |
→74分 | 8 | 白井美羽 | スポ3 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
FW | 28 | 﨑岡由真 | スポ1 | 埼玉・浦和レッズレディースユース |
→78分 | 14 | 生田七彩 | スポ2 | 岡山・作陽 | ◎=ゲームキャプテン |
コメント
後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)
――準決勝進出を決めました。振り返ってください
やはり昨年のこともありますし、東京に進めるかというプレッシャーのかかる試合でもありました。一昨日とは違うプレッシャーのある中で選手たちはしっかりと戦ってくれたなという、よく頑張ったなという試合でした。
――今季日大とは関カレで2試合やっていますが、内容も結果も1番良かったんじゃないかと思います。成長を感じるところですか
インカレに入る前、「この4試合でまだまだみんなは成長できる」ということを伝えた上で、ピッチの中でみんなもそれを体現してくれていると思います。関カレの前期、後期の対戦時よりも確実に成長した姿を心身共に見せてくれているなと思います。
――被シュート数も少なくピンチも少なかったように思います。最後の守備というよりはその前のリスク管理が徹底されていたように思いますが、意識した部分ですか
相手には良い二次攻撃を配給する7番の選手がいて、前線の9番も10番も共に素晴らしいアタッカーたちだったので、まずそこをうちの守備陣が跳ね返す。しっかりとまずそこを潰してくれたことがまず一つよかったです。その次にその弾き返したボールを綺乃や育や、インサイドハーフのりりや愛笑がみんなで拾ってというかたちを、交代した選手も含め90分間しっかりとやり切ってくれたところが、被シュートの少なさ、というより危険なシーンの少なさにつながったと思います。
――ここ2試合、千葉選手がインサイドハーフとして出場されています。インカレ前から用意してきたコンバートでしたか
彼女の狭いエリアでの前を向く能力や、愛笑とのダイレクトの関係性など、もともとフォワードの時も(ポジションを)落ちてプレーする選手だったので、そういったシーンはよく見られていました。アラートですし、非常に守備も献身的で最終ラインまで入って危ないところをカバーしてくれるところも、練習試合ですごく良いプレーが見ることができたところから。あと彼女はミドルシュートも良いものをもっているので、フォワードもできますが、インサイドハーフとしてすごくレベルが高く躍動してくれている感じはあります。ポイントになるんですよね、大体大も日大もマンツーマンで中盤をつかまえてきたところで、そこを飛ばして、育が上がらなくてもりりが前でというのは、一つチームとして助かっている部分です。
――生田選手が復帰して、今日もそうですが途中から強力な攻撃の選手を投入できるのは監督としては大きいですか
非常に大きいです。ここにきて色々なタイプのフォワードが入ってきてくれているのはありがたいですね。彼女が入ってくれるだけで、みんなも裏のスペースに出すだけで何とかしてくれる感じがあるので。
――2年ぶりの西が丘行きを決めました。次戦に向けて、どのように準備して戦っていきたいですか
逆山の千葉ラウンドが決まるのが明日なのでどうなるかは分からないんですが、対戦相手は帝京平成大でしたが、日体大でもどちらにせよ強豪との難しいゲームでした。ここからは絶対に気の抜けない、本当に強い相手との戦いが待っているので。ただ、もちろん全員が日本一のためにやってきたし、「何が何でも勝つんだ」という思いをでやってくれているのですが、私としてはこのチームはもう一個成長できるということを最後の最後まで、この選手たちとこのチームを一緒に引き上げていくというのが1番の思いです。またしっかり準備して、1月4日に良い戦いができるように頑張りたいと思います。
DF浦部美月副将(スポ4=スフィーダ世田谷FCユース)
――昨年のインカレで敗戦した日大に雪辱する形となりました。今の率直なお気持ちを教えてください
本当に安堵というか、ほっとした気持ちでいっぱいです。試合内容とかは一旦置いて、 ほっとした気持ちで年末年始迎えられることが率直にうれしいです。
――日大とは今季三度目の対戦ですが、成長に手応えはありますか
チームみんながどう思っているかはわからないですが、個人的には日大は結構やりにくいイメージがあって、後期はホーム引き分けで試合を通してやりにくいイメージはありました。今日の前半通しても感じていたのですが、1年生の崩しで、 まず1点取れたというのはすごい大きかったですし、その後も焦れずにゴール狙い続けた結果が2点、3点取れた結果だったのかなと思います。
――今大会では浦部選手のドリブルが光る場面が多いですが、ご自身ではどのように捉えていますか
自分の武器になってきたのかなというのは感じていて、負ける気は全然しないのでチャンスがあれば縦突破も狙っていこうというのは意識していました。それが出たのはよかったと思いますが、一昨日も得点まではつなげられていないので、そこは西が丘でしっかり得点にも絡める選手にはなりたいなと思っています。
――今大会では試合途中から右サイドの三谷選手とポジションを入れ替わっていますが、戦術に手応えを感じていますか
相手のストロングポイントやウィークポイントというのを前半通して見て、入れ替えた方がいいんじゃないかっていうので、和華奈とはサイドを入れ替わってやっていました。それに関しては自分の方がどっちかというと和華奈と比べたら守備的な方ではあるので、相手の11番がキープレーヤーだったと思うのですが、それを止めるっていう部分でも、今日も(ポジションを)チェンジしました。一昨日の得点もそうですし、結果的に見たらあの戦略が功を奏したのかなっていうのは思っています。
――次戦は今季1勝1敗の帝京平成大ですが、どのような準備をして臨みますか
個人的には帝平(帝京平成大)に対しては前期の0ー4というトラウマがあるのですが、後期にしっかり3ー0で勝ち切ったというのを自信にして、全然気にする必要はないと思ってるので、自分たちのサッカーできるように良い準備をして、1月4日を迎えたいと思います。
MF築地育(スポ3=静岡・常葉大橘)
――西が丘に2年ぶりに戻れましたが、振り返っていかがですか
1年越しにリベンジすることができ、後2試合できる切符をつかむことができたのでうれしいです。
――昨年ベスト8で同じ日大に負けたことが思い出されますか
日にちも相手も(同じ)ですし、すごく大きな舞台でリベンジのチャンスをもらえたと思えたので、しっかりと勝ち切れてリベンジを果たせたのはすごくうれしいです。
――相手にシュートをほぼ打たせず、リスク管理が徹底されていたように感じましたが意識されていましたか
自分を含めア女は守備から入るチームなので、そこはこうした大きな舞台というのもあって、みんながすごく意識できていたのではと思います。相手にいいチャンスをつくらせずに攻撃の芽を摘んで、自分たちのペースで入りからずっとできていたのは自分たちの自信になったと思います。
――今季関カレでは日大相手になかなか得点が取れなかった中で、3得点できたという点についてはいかがですか
そこはすごく自分も思っています。去年の(インカレでは)引き分けで、今年のリーグ戦も2-0と引き分けとで、勝ち切るという点で自分たちの成長を測れる相手でした。そこに関して、無失点かつ3得点で終われたのは、自分たちが成長できたからこそだと思います。
――準決勝は帝京平成大との一戦になりますが、どのような準備をして臨みたいですか
ここから自分たちがすごくうまくなるということはないので、これまでやってきたことをどれだけ出せるかだと思います。その上で、最後のところでは気持ちの面が大事になってくると思います。今日みたいに集中しつつも勝ち切るというところに全力を出せたら結果もついてくると思いますし、今日はそこまで固くならずに自分たちのサッカーを攻守両面においてできたと思ったので、それを継続してみんなが思い切りやってくれればと思います。
MF﨑岡由真(スポ1=埼玉・浦和レッズレディースユース)
――貴重な先制点となりました。ゴールシーンを振り返って
愛笑(大山愛笑、スポ1=日テレ・東京ヴェルディメニーナ) が前を向いた瞬間に自分の前にスペースがあったので、トラップしたらシュートを打とうと決めていて、流し込みました。
――ポストプレーが光ってましたが、練習から意識していましたか
私の得意なプレーとして裏の抜け出しがあるんですけど、最近は裏の抜け出しの面でも貢献したいと思って意識高く練習から取り組んでいました。
――今季3回目の日大との試合になりましたが、結果面でも内容面でも一番よかったです。チームとして成長を感じましたか
一番は連動した守備というところで、後ろからの声掛けもありつつ前線から連動した守備ができたことが良かったポイントかなと思います。あとはこの1年間で切り替えの早さだったり、セカンドボールの回収など、積み上げてきたものがこの結果に結びつきました。
――次戦の相手は強豪・帝京平成大となりますが、どのように臨みたいですか
負けたら終わりなので、まずはチームが一つになって絶対に勝利して決勝につなげられるようにいい準備をしていきたいなと思います。