第4回はMF笠原綺乃(スポ4=横須賀シーガルズJOY)、DF田頭花菜(スポ3=東京・十文字)、MF新井みゆき(スポ1=埼玉・浦和レッズレディースユース)、FW﨑岡由真(スポ1=埼玉・浦和レッズレディースユース)の4人。献身的なプレーでア女の核となる4人に、全日本大学女子選手権(インカレ)へのそれぞれの思いを伺いました。
※この取材は12月16日に行われたものです。
「(崎岡は)お姉ちゃんみたいな存在」(新井)
崎岡について印象を語る新井
――まずは他己紹介から行っていきたいと思います。田頭選手についてお願いします
笠原 プレー面は両足の正確なロングフィードが特徴で、ディフェンスラインから一発で背後への正確なボールだったり、中盤へのくさびのパスとか、そういったロングフィードが一番の特徴かなと思っております。そしてプライベートは…。これ嫌だね(笑)。寮が一緒なんですけど、ご飯を一緒に今日も食べました。自分は寝起きすぎてあんまり話さなかったりするんですけど、よく話してくれて寮生活を楽しくさせてもらってる面白い人ですね。
――田頭選手は朝からテンションが高かったりしますか
笠原 全然どっちも低いんですけど(笑)。どっちも寝ぼけながら話してます。
新井 綺乃さんと被ってしまうんですけど、プレー面では両足のキックが本当に正確で、味方の受けやすいパスを常に出せますし、最終ラインで落ち着いたビルドアップをする上で要となる選手だなと思っています。好きな食べ物はトンカツって言ってました(笑)。予習済みです。
田頭 昨日急に「好きな食べ物何?」って聞かれたんですよ。
新井 あと、(田頭は)お笑いが好きで、私も好きなんですけど、『紅しょうが』が好きって言ってました。
田頭 『THE W』最近優勝したコンビです。女性コンビなんですけど、最近ハマってます。
新井 ノリが鋭くて、本人も面白いんですけど、ツッコミが鋭くて面白いなと思ってます。
崎岡 プレー面では2人が言ったように、両足の正確なキックはもちろんなんですけどヘディングもすごく強くて。守備の場面でもヘディングでチームを守って、(攻撃面でも)コーナーキックからの得点で貢献してくれてます。プライベート面で一番感じたのはすごく頭が良いなって。発言する時も簡潔な文章で話していて尊敬しています。
――笠原さんの紹介をお願いします
田頭 まずどこでもできるのがすごいです。どこに置かれても、監督から求められてることや、チーム内で自分たちがやってほしいことを傍から見たら簡単にこなしているイメージがすごくあって、そこが1つ強みだというのは感じています。あと3年間見てきて思うのは、スルーパスとか足元の技術が高くて、皇后杯でもそうでしたがミドルシュートももっているのが、ア女にとってめちゃくちゃ大事な存在です。プライベート面では、自分からは人に対して行かないんですけど、見ての通りのいじられキャラで。下級生からもいじられるようになってくればもっと面白いのになって思ってます(笑)。ふられたことに対してはみんなの期待を超えるぐらいのお笑いセンスを持ってます。好きなお菓子はブラックサンダーとアスパラガス。綺乃さんに何かをあげる時はみなさんぜひそれをお願いします。
笠原 待ってます。
――後輩からはあまりいじられないんですか
笠原 後輩からはちょっと壁がまだある(笑)。後輩の宗形(みなみ、スポ1=マイナビ仙台レディースユース)とか、変わってる後輩はいじってくるんですけど、まだ1年生はハードルが高いのかなと感じてます。
新井 力まないで常に冷静にやれる人だなと思っていて、力が抜けてる感じというか。本当に落ち着いているんですよね。落ち着いて周りを見れるし、スルーパスも本当に鋭いものを刺せるし。たがし(田頭)さんも言ってたように、どこのポジションでも綺乃さんらしさを出せるところも尊敬しています。(プライベート面は)綺乃さんはア女で一番ギャップのある人だなと思ってます。一見おとなしそうに見てるんですけど、みんなの前で「ブラボー!」と言えるところとか。最初はちょっとびっくりしたんですけど、こういう人なんだと思って面白いなと(笑)。
――ブラボーとよく言われてますがどこから始まったんですか
笠原 去年の皇后杯(全日本女子選手権)の栃木の時からだよね。栃木グリーンスタジアムで3回ぐらい試合をやったんですけど、なでしこリーグのラブリッジ(名古屋 )に勝った日に、何でやったんだっけ(笑)。
――カタールW杯に出場していた長友選手の影響ですよね
笠原 そうだ、ちょうどその時期で、試合前にブラボーって言ってみてみたいな流れになって。綺乃って名前呼ばれたらブラボーで返せみたいなノリでやってたら、その試合に勝ったんです。最後の集合の解散の円陣で史さん(後藤史監督、平21教卒=宮城・常盤木学園)から「じゃあ綺乃、お願いします」って振られてやったら、恒例行事みたいになっちゃって。
田頭 来年以降はみゆきが引き継ごう。
一同 (笑)。
新井 やばいそれは(笑)。
崎岡 プレー面では技術がすごく高くて、トラップだったりパスのスピードが早かったり、見習うべきところが多いなと思います。あとは、声を出して引っ張っていくタイプではないと思うんですけど、大事なところで得点を取ってチームを助けたり、ひたむきなプレーでチームをいつも引っ張ってくれていると思います。普段は、私もみゆきと一緒で最初に綺乃さんがそういうキャラなのを知った時は驚きました(笑)。いつも笑いの中心になって、周りを笑顔にする力があるなと思います。
――新井さんの紹介をお願いします
田頭 プレー面では元々サイドバックだったのがちょっと驚きなんですけど、今はもう完全にサイドハーフで、誰が見ても1番言うのはドリブルの部分なのかなと思っています。足から常にボールが離れないから、自分が守備をやっていても、奪いに行くタイミングがつかみづらい技術を持ってるなと思ってて。起点になるプレーもできて、それはサイドバックをやっていたからだと思うんですけど、そこもみゆきの強みかなと思っています。プライベート面では、人づてに聞いた話なんですけど好きな食べ物は野菜らしくて、「野菜が好きな人いるんだ!」とびっくりしました。さっきの話も出てたんですけど、「東京03」とかお笑いが好きみたいなので、今度ルミネ新宿でお笑いライブをやってる時に一緒に行こうって言ってます。
――新井選手はベジタリアンなんですか
新井 そんなわけじゃないです(笑)。でも野菜を愛してます。
一同 (笑)
――特に好きな野菜はなんですか
新井 ブロッコリーです。
――即答ですね(笑)。続いて笠原さんからお願いします
笠原 たがしも言っていたんですけど、(新井は)まずはドリブルが1番の特徴かなと思っています。 独特なテンポというかリズムがあって、自分もサイドハーフをやる時に対決するときがあるんですけど、なかなかボールが取れそうで取れないというか、するっと前を向いたり、するっと相手をかわしたりして抜かれます。ドリブルのテンポとかリズムがいつもすごくて、対戦するときは嫌な存在です。あと攻撃以外の守備のところでも、元々サイドバックだったのはあると思うんですけど、ア女としてサイドで奪うところをやってる中で、サイドでの球際や1対1の強さも特徴の1つかなと思ってます。プライベート面は、そこまで詳しくはないんですけど、なんかちょっと抜けてるタイプなのかな。
田頭 いや全然知らんやん(笑)。
笠原 (笑)。でも抜けてるんですよ、自分が言うのもなんですけど(笑)。プレー中は球際にもガツンと行ったり負けず嫌いな感じが出ていたりして、熱さが見られるんですけど、普段は抜けてるところがあってそのギャップもいいなと思っています。あとは眉毛かな、眉毛が特徴的なので。
新井 うれしい。
笠原 眉毛にこだわりがあるみたいなので、そこに注目してもらえるといいかなと思います。
――どんなこだわりがありますか
新井 ちょっと外国人みたいな眉毛に憧れてるんですけど、かたちを自分の好きなように整えています。ただ最近失敗しちゃって、こっち(の眉毛が)書かないと今半分しかないんです…(笑)。
崎岡 プレー面では中学時代から含めると今年で7年目になるんですけど、昔より最近はドリブルの技術が光っています。 これまではサイドバックだったのもあって後ろからのドリブルを得意にしていたんですけど、サイドハーフの部分でも、仲間とつながりを意識したり、自分にできる最大限のことを常にやっている選手だなと思います。プライベート面では、さっき「野菜が好き」って言った時に(新井は)ブロッコリーが好きっていうのを分かっていたので、自分のターンが回ってきたら絶対に言おうと思っていたんですけど(笑)。他の好きな食べ物はチャコレートです。大人しそうに見えると思うんですけどすごく明るい性格で、いつも支えてもらっています。あとは絵がすごく得意ですね。目とか描くのが上手いです。
――目が特に得意なのですか
新井 まあまあまあ(笑)。でも人物画が得意です。
――お二人で遊びに行ったりしますか
新井、崎岡 します。
新井 旅行に行ったよね。
崎岡 鎌倉です。
――崎岡選手の紹介をお願いします
田頭 由真はア女に入ってきて一緒に練習してマッチアップした時に、動き出しがすごいなと思って。1回視野から消えて抜け出すタイミングが、今までやってきた去年の4年生のフォワードも含めて1番すごいなと感じてます。そこを生かしきれていないのが自分たちディフェンスラインで、自分自身も(崎岡の動き出しを)見きれていないところがあるので、もっと自分が向上すればよりア女の武器として光るなと感じてます。シュートも上手くて、フォワードだからそこにはこだわりがあると思うんですけど、練習でもゴールの隅に打つシュートがいつも見られるので、そこもインカレで期待しています。プライベート面では、初めはめちゃくちゃ大人しいなって思ってたんですけど。多分1年生の中では、大人しいキャラではないのかなっていうのは思うんですけど、おとなしいキャラ?
崎岡 じゃない。
田頭 じゃないよね(笑)。それは結構寮で亜沙美(田村亜沙美、スポ1=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)の話でよく聞くので。あとは責任感が増してる、というのも亜沙美が言ってました。
崎岡 え、何のことだろう…(笑)。
田頭 気をつけた方がいいよ、亜沙美何でも話すから(笑)。しかも声でかいから部屋まで聞こえる。1年生部荷物があるのでそこでの言ってましたね。
一同 (笑)
――責任感というのは
田頭 1年生部荷物があるので、そこでの(責任感と)言ってましたね。
崎岡 亜沙美が何を話したか分からないんですけど、そうなんですかね。
田頭 あとはいつもおしゃれだなと思ってます。
笠原 プレー面では、オフサイドにかからないオフザボールの動きが特徴の1つかなと思ってます。1回落ちてから抜けるとか、自分がボールを持って顔を上げた瞬間にはもう動き出してくれてて、出し手としても動きが分かりやすくてすごく出しやすいです。さっきたがしも言ってたように、 その動きに合わせて良いパスを出せたらなと思うんですけど。それに加えてパスやシュート、キックの精度、技術の方もめちゃくちゃ高いものを兼ね備えていて、特に関カレのでは得点でチームにも貢献してくれたので、すごく頼りになるア女のエースかなと思います。プライベート面は、結構みんな言ってると思うんですけど「あざとさナンバーワン」かなと思います(笑)。「あざとい」はずるいですよ…。「欲しいですこのあざとさ!」という感じで(笑)。私服もおしゃれなので。
――どのようにあざといんでしょうか
笠原 なんだろう、仕草かな?
田頭 言語化して。
笠原 難しいな…。男子だったらキュンときちゃうだろうな、という仕草が多々見られます。可愛いし、私服もおしゃれだし、あざといなって。それですね、1番思ったのは(笑)。
新井 動き出しの面は中1の時から本当にすごいなと思ってるし、それも7年間で本当にすごいレベルアップしたと思います。もう1つすごいところが、サイドバック、サイドハーフ、フォワードでいろんなポジションができるし、センターバックもできるんですよ。フォワードとサイドハーフが本職だと思うんですけど、サイドバックをやっても上手にできるし、ポジションが変わっても臨機応変にどこでもうまくプレーできるところはすごいなと思います。プライベート面はもはや知りすぎて何を言えばいいか分からない(笑)。同級生だけどいつもいろいろ助けてもらってて、本当にお姉ちゃんみたいな存在です。しっかりしてるし、真面目だし、サッカーも勉強もどっちもできる子で。尊敬もしてるし頼りにもしていて、何でも話せる家族みたいな、ありがたい存在です。
――2人でア女に来ることをどのタイミングで知りましたか
新井 11月ぐらいには分かって。自分がもう1個受験していて、それの結果が出てから分かりました。
――今やれと言われたらセンターバックでプレーできますか
崎岡 ちょっと自信ない…(笑)。大学生になって体格とかもあるので、センターバックとしては力が及ばないです。
「(VONDS戦は)自分も頑張ろうとすごく思えた試合」(名前)
今季印象に残った試合を話す崎岡(左)
――マイブームや趣味を教えてください
田頭 趣味は常に「ダイアン」が出てる番組は全部見ています。自分は全然音楽聞かないんですけど、その分芸人のラジオを色々聞いたりしていますね。
笠原 時間ある時はご飯食べながらバラエティは結構見てたりして。 『世界の果てまでイッテQ!』『人志松本の酒のツマミになる話』『アメトーク』とかトーク番組系の面白い番組を、食べながら見て笑ってます。
新井 趣味は読書で、湊かなえの本が大好きです。何回読んでも飽きないので、何十回も同じ本を読んだりしてます。オフの日は基本外に出たくないので。
崎岡 私は猫を2匹飼っているので、猫と全力で遊んでみたり、一緒に寝たりするのがマイブームです。
――今季印象に残ってる試合を教えてください
笠原 今パッと出てきたのは、関カレ(関東大学女子リーグ)前期東国(4月29日、〇1-0)との公式戦初勝利の試合です。関東リーグ、関カレで引き分けが続いてて、「やばい」という時の1点の勝利が、うれしさと安堵が同時に来て1番印象に残ってます。
田頭 印象に残ってるのは、VONDS(市原FCレディース)戦(5月20日、関東女子リーグ前期第5節、〇1-0)です。次の日に関カレが控えていたのでメンバーが少ない中での試合だったんですけど、自分たちがボール保持することはできなくて耐える時間しかなかったんですけど、こういうことがあるからやっぱりサッカーって面白いな、と感じる一戦でした。
新井 後期の関カレの筑波戦(9月23日、後期第6節、〇4-0)です。前期はちょっとしたケガを繰り返してて、万全な状態で試合に挑めなくて。結果も残せていなくて、もどかしさがあったんですけど、後期の筑波戦で初めてサイドハーフで点が取ることができたのが自信につながったので印象に残ってます。
崎岡 私もパッと浮かんできたのが花菜さん(田頭)と一緒でVONDS戦です。耐える時間が長かった分みんなの頑張る姿を見て、自分も頑張ろうとすごく思えた試合でした。力の部分で自分たちはまだまだ足りないことが多かったけど、みんなで守って最後にシュートを1本のPKだったんですけど、 勝ち切ることができたのは自信にもつながったし印象的な試合でした。
「一人ひとりがア女を想えるチームになれている」(田頭)
今季を振り返る田頭
――ア女の中盤の選手は皆濃いキャラクターをもっていると思いますが、笠原選手はご自身の戦術上の役割をどのように考えていますか
笠原 前期から中盤のバランスについてはよく言われていたのですが、フォーメーションが変わって中盤の枚数が4枚になったことで中盤が三角形ではなくなるので、バランスをとるのが難しくなりました。お互いによくコミュニケーションをとってプレーしています。自分が高めの位置の時は背後に抜け出すことを意識して、後ろの位置になった時に1番意識しているのは他の選手のポジションを見ながら自分の立ち位置を調整して、バランスを取ることですね。その中でもチャンスがある時には背後に抜け出して攻撃にも参加するというところと、守備の面でも予測や球際にガツンといくところ、セカンドボールの回収なども要求されていると思うので、攻守共に起点となる存在になれるように意識してプレーしています。
――田頭選手はこれまで沢山の強力なDF陣とプレーされてきたと思います。来年はDFリーダーとなる可能性も高いと思いますが、ご自身の中でどのようなDF像を考えていますか
田頭 自分自身が1年生の頃から1個上には良いディフェンスの選手がたくさんいて、本当にそれぞれの良さがあるなと思っています。来シーズンを考えると、やっぱりもっと守備範囲を広げないといけないなということは感じていますし、そこについては今の4年生から学ぶべきことはたくさんあって。残り少ない期間ですが、盗めるものは全部盗んでいきたいと思っています。あとは守備では声が大事だと思うんですが、そこは今いる4年生に頼ってしまっている部分が少なからずあるので、この先を考えた上でもっと主導権を握って前線の選手を動かせるようになりたいと思います。
――新井選手はサイドバックだった中高時代を含めて今季、攻撃の選手として出場する機会がとても多いシーズンだったかと思います。振り返っていかがですか
新井 サイドハーフがメインになるのは初めてで不安なことも多かったですし、自分らしさを出すのに苦労したというか、試行錯誤したシーズンでした。サイドバックで出場している時の方が自分の中で落ち着くというのもあったし、「上下が変わるだけだろ」と思われるだけかもしれないんですが、それだけでも自分のなかでは結構違くて。前期は不安、不安、不安という感じだったのですが、後期関カレに関わらせてもらっていく中で、上下の関係で組んでくださった4年生の後ろからの声かけなどのサポートもあり、特に守備面では安心してプレーできたと思います。攻撃に関しても「考え過ぎないでやろう」と思っていて、監督と話す中でも考え過ぎてプレーを迷ってしまうことも多かったので、シンプルにやることを意識して自分の良さを出していこうというマインドで試合に挑むようになってから、サイドの部分では自分のストロングであるドリブルであったり、ドリブルからのクロスだったりを出せるようになってきたかなと思います。
――先ほども紹介されていましたが、新井選手のライン際のドリブルはかなり特殊で相手からすると取りずらいだろうと思います。あのボールタッチは強みとして意識されていますか
新井 うーん、どうだろう…。
崎岡 昔からクセというか、得意技だよね。後ろを向いた後に下げるのかと思いきやターンしたりとか。
新井 意識はしてないかもしれないです。その時その時で。
――崎岡選手はシーズン中盤から得点にも絡み始めて、主力となっていった印象なのです。自分の中できっかけになった部分はありますか
崎岡 タイミングはいつだったか忘れてしまったのですが、監督と2人で話した時に、自分に足りていないのは「どん欲さ」だという話になって。高校3年生の時はずっと左サイドバックをやっていたので、(ア女に入ってから)フォワードとしての動き出しを思い出していく中で、少しずつ慣れてきたんです。ただ少し遠慮してしまう部分とかもあって、それだと結局チームのためになっていなと。そこで自分の中で切り替えて、自分らしくどん欲に、ということを意識し始めてから得点にも関わるようになってきて、周りとのコミュニケーションもとれるようになっていったことがきっかけかなと思います。
――ア女のフォワード陣が高いレベルで求められるのがプレスのスタートだと思います。そこに関しては慣れてきましたか
崎岡 連動した守備も積み重ねていく中で、自分で考えてできるようになってきたかなと思います。
――今季ここまでを振り返って、どういうシーズンでどんなチームなのかというところを聞かせてください
田頭 関カレで言えば、目標としていた優勝というところには届かなかったですが、前期から後期にかけて、ア女が強みにしているところを出せた試合は勝ち切れていたし、チームとしての強みが後半になるにつれてより確立されてきたというか、そこは一人ひとりが感じられているのかなというのは思っています。あとは4年生がどういうチームにしたいのかということをずっと話し合って来てくれたと思うんですけど、この前のミーティングでも一人ひとりがア女を想えるチームに1年生も含めてなれているなというのは感じていて。そこは4年生が作ってきてくれたものだし、それが今かたちになっているというのが、自分自身もすごく感謝したいところです。シーズンを決めるのはやっぱりインカレになってくると思うので、そこで結果を出すことで自分たちがやってきた過程が肯定されるのかなと思っています。
――比較するのは良くないとも思いますが、昨年も今年も主力としてチームに関わる中で4年生のチームの引っ張り方にはどのような差を感じますか
田頭 去年の4年生はピッチでプレーする選手がすごく多くて、プレーで引っ張るというタイプが多かったと思います。今年の4年生はそれに加えて、ピッチ外で引っ張るということを重視しているように思います。昨年ができていなかったというわけではなく、より注力している部分なのかなと。例えば同じ関カレの山梨学院大とかだと推薦が多くてすでにサッカーができる人たちが揃っていると思うんですが、ア女には色々なバックグラウンドがある選手がいて、そこで勝負しても勝つことはできないので、人数の少なさも含めてチームとしてピッチ外にもこだわりをもたなきゃいけないんだということは、今年の4年生が特に示してくれていた部分だなと思います。
――笠原選手は今季を振り返っていかがですか
笠原 今季のチームは「粘り強く泥臭く、全員で闘う」という感じです。大量得点で勝った試合はそんなに多くなくて、1点で勝利したとか僅差で勝利したという試合が多かったと思います。後期に入ってから、先制点を取られても逆転して勝つとか、そういった粘り強さや力のようなものがついてきたんじゃないかなと。個で言えばめちゃくちゃなスーパーマンがいるわけではないんですが、全員が全員を補って戦うチームなのかなという印象はあります。今チームの雰囲気もとても良いと思うのですが、関カレも2位で目標としているものはまだ獲ることができていないので、もうインカレしか残っていないですが、そこに向けてもう一つ二つレベルアップして、絶対にそこをつかみに行きたいなと思います。
――4年生という立場として、チーム作りで意識していたことがありますか
笠原 たがしも言っていましたが、サッカー面だけではなく、ア式蹴球部の理念としてある「人としてもサッカー選手としても1番であれ」というところは、4年生になる時にどういうチームを作っていくか決めるミーティングで、絶対意識したいよね、という話をしていて。サッカー面だけが良ければ良いというわけではないので、人間としてもチームを引っ張る存在、周囲の人から見ても「早稲田ってすごいよね」と思われるような存在でありたいということは話していました。
――笠原選手は優勝するチームを間近で見ていると思いますが、どのようなチームで何がすごかったと思いますか
笠原 優勝した代は雰囲気がすごく良くて。自分は最後ベンチに座ることが多かったのですが、もちろん(試合に出られないのは)悔しいところではあるはずなんだけど、試合に出ている人たちをすごく尊敬して応援できたんです。12月付近はゲバ(紅白戦)とかもすごいバチバチで、サブチームがAチームに勝ったり。でもプライベートでは仲も良く雰囲気も良くて、お互いがお互いを尊敬できていたという印象はありますね。
――新井選手、崎岡選手は今季を振り返っていかがですか
新井 今年は4年生に守備陣が多いこともあって守備がベースのチームというか、良い守備から良い攻撃につながってそれが結果的に得点までつながるという試合が多いです。綺乃さんが言っていた通り大量得点の試合は少ないけれど、取った1点2点を全員で守って勝つチームなのかなと思います。
崎岡 今季のチームはピッチ外のところでも常にア女のことを想って行動している人が多かったですし、そういう積み重ねが大事な時に勝ち切れるという力につながっていたのかなと感じています。後期は特に(点を)取られても取り返す力がついてきたというところにおいては、一人ひとりが自分だけでなくチームのことを考えて行動したり闘ったりしたからこそ生まれた結果だったのかなという風にすごく思います。
――2人はクラブユースのチームから今年ア女に加入されましたが、加入当初、そして今ア女に対してどんな印象ですか
新井 1番の違いと言えばフィジカルかなと思います。大学サッカー全般においてでもあるのですが、スピード感も違いますしキックも両足精確な人がほとんどで、自分自身の課題でもあるのですが、体格で差を感じることが多かったです。あとはピッチ内外でコミュニケーションを多くとるチームだなと思っていて、その場その場で思ったことや気が付いたところをお互いに言い合って修正しようとする姿が、本当に当たり前のようにあったので、そこには良い刺激を受けています。
崎岡 みゆきも今言っていましたが、当たり前の基準というか、求めるレベルの高さが違うというのが印象でした。高校の時もあったことにはありましたが、大学生になってからもっと自分からアクションを起こして周りと関わるということが大切になるんだな、ということも感じています。
「最後は西が丘で笑って終わりたい」(笠原)
インカレへの意気込みを語る笠原(中央)
――それではインカレの話に移ります。注目選手・スタッフを教えてください
田頭 スタッフで言うと朋香さん。朋香さん自身もシーズン初めにいなかったり色々あったりした中で、チームに絶対欠かせない存在で、それはいない時にも感じていたんですけど、今それをより強く感じていて。常にプラスな声をかけ続けてくれて、その声は試合中もすごく聞こえてくるし、ピッチに立っている人にとってもベンチにいる人にとっても、影響力は1番あるんじゃないかなと思っています。あと選手で言うと、なーさ(生田七彩、スポ2=岡山・作陽)。最近練習に復帰してきて、インカレに間に合わせようと全力で頑張っていると思うんですが、昨年偉大なフォワードが沢山いた中で、なーさ自身が「今年こそは」と意気込んでいた部分ではあると思うので、ケガを乗り越えてきたというなーさ自身の思いをインカレで見せてくれるんじゃないかという部分に期待しています。
笠原 同じく注目スタッフは朋香ですね。選手と同等かそれ以上に熱い気持ちをもって日本一を目指して闘ってくれていて、日々の練習の行動であったり、その他の行動であったり、例えば部室にいつも写真と文を添えた紙を置いてくれるんですが、そういうところからもチームへの愛がすごく伝わってくる熱いマネジャーです。選手だけでなくてスタッフ、それこそ舞水(黒澤トレーナー、スポ4=埼玉・伊奈学園総合)も学生トレーナーは一人になってしまって、その中でもケアなど仕事を頑張ってくれているので、選手はもちろんですが裏方のスタッフ陣にも注目してほしいと思います。選手は…、選べないです(笑)。全員ということで。
新井 選手で1人挙げるとしたら愛笑です。攻撃の起点になれて違いが生み出せる選手なので、彼女からゴールにつながるパスが絶対に沢山出ると思います。そこに注目してほしいです。
新井 私は美月さんです。気持ちを全面に出したプレーと誰にも負けない体力というところで、すごく頼れる存在です。試合中は誰よりもア女のことを想って力を注いできてくれたので、声や姿勢とかも注目してみてほしいなと思います。
――最後に自分の注目プレーと、大会に対しての意気込みをお願いします
笠原 注目プレーは中盤で前を向いて攻撃の起点となるパスや、得点も狙っていきたいと思います。守備の面では切り替えや予測から攻撃の芽を潰せるような、中盤のバランサーとしてのプレーに注目してほしいと思います。そして何よりもこのメンバーでできる最後の大会になるので、目標としている日本一に向けてこのチームの全員で勝って、最後西が丘で笑って終わりたいです。
田頭 私自身の注目プレーとしては、今季特に守備の部分で課題を感じて取り組んできたので、1個前で相手の起点を潰すなど、守備のところには自分自身トライしようと思っています。意気込みとしては、去年一昨年は自分自身、チームのためにという思いはあったんですが、よりそれを感じるようになってきました。チームのためにというよりは4年生のためにという思いですかね。4年生への感謝も含めて、その思いをピッチで表現したいと思います。
新井 サイドの攻撃の部分で、ドリブルで仕掛けるのももちろんなんですけど、周りとの関係性というか崩しの部分でも貢献したいと思っています。テンポの良いワンツーとかで抜け出したりとか、そういったバリエーションを右サイドの攻撃で見せていきたいです。
崎岡 私は得点の部分で1番チームに貢献したいと思っています。そのための抜け出しや動き出しなどのプレーに注目してほしいと思います。あとはこのメンバーで試合ができる最後の大会なので、自分の全力を出し切ってやるべきことを全部やって、いつも助けてくれた先輩方に感謝を示すことができるように、絶対に優勝したいなと思います。
――ありがとうございました!
(取材 大幡拓登、髙田凜太郎、渡辺詩乃)
インカレに向けての意気込みを書いていただきました!
笠原綺乃(かさはら・あやの)
2001(平13)年12月15日生まれ。167センチ。横須賀シーガルズJOY出身。スポーツ科学部4年。食事の際にトーク番組を見る事が好きという笠原選手。田頭選手によると、寮ではみんなで食事をしていても、1人で番組を見に部屋に帰ってしまうこともあるそうです!
田頭花菜(たがしら・はな)
2002(平14)年11月22日生まれ。163センチ。東京・十文字高出身。スポーツ科学部3年。「ダイアン」のラジオを聞くのが大好きという田頭選手。日曜日の試合の際には、試合前にも聞いているそうです!
新井みゆき(あらい・みゆき)
2004(平16)年7月9日生まれ。157センチ。浦和レッズレディースユース出身。スポーツ科学部1年。読書が大好きという新井選手。おすすめ作品は湊かなえの『告白』、『Nのために』だそうです!
崎岡由真(さきおか・ゆま)
2004(平16)年6月15日生まれ。163センチ。浦和レッズレディースユース出身。スポーツ科学部1年。マンチカンという品種の猫を飼っているという崎岡選手。マンチカンという品種だそうで、中2からの長い付き合いになるそうです!