堅守ア女が大崩れ… 4失点完敗で関カレは4位転落

ア式蹴球女子
第37回関東大学女子サッカーリーグ
早大 0-1(前半)
0-3(後半)
帝京平成大
【得点】
(早大)なし
(帝京平成大)30分:小原蘭菜、47分、64分、67分:古賀花野

 関東大学女子サッカーリーグ(関カレ)第10節、ア式蹴球部女子(ア女)はアウェイ2連戦目となる帝京平成大との一戦に臨んだ。序盤はボールを握ったもののなかなかチャンスを創出できず、30分には相手のコーナーキック(CK)から決められてしまう。後半に入っても47分、サイドからのクロスを押し込まれ0-2とされると、さらには裏に抜け出されたところから失点した。その3分後にもドリブルから決められ4点目を食らい、関カレは苦しい連敗となった。

 

前半から好守を見せたMF浦部美月(スポ4=スフィーダ世田谷FCユース)。後半途中から最終ラインにポジションを移した

 帝京平成大は序盤からフィジカルにおいて優位性に立ち、その強みを存分に生かすスタイル、すなわちハイプレスやシンプルなロングキック、縦に鋭い攻撃を展開してきた。それでもボールを握り攻撃のかたちを模索するア女は、19分にMF三谷和華奈(スポ4=東京・十文字)が右サイドからアーリークロスを入れるが前線のMF白井美羽(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)には合わない。27分にはMF宗形みなみ(スポ2=マイナビ仙台レディースユース)との子気味良いパスワークから、三谷がクロスを上げたが中の選手にはわずかに合わなかった。しかし30分、CKをショートで始められ、数的不利になったところでゴールに向かうクロスが上がる。GK石田心菜(スポ3=大阪学芸)は反応したがクロスバーに当たった後のボールがラインを割り、先制点となった。その後はア女が攻撃で、何度も良いかたちを作る。32分にはMF後藤若葉主将(スポ4=日テレ・メニーナ)、宗形、MF笠原綺乃(スポ4=横須賀シーガルズJOY)とダイレクトで崩したが、宗形のシュートはディフェンスにブロックされる。こぼれ球を後藤が狙ったが、キーパーの正面に飛んだ。

 

ボールをキープするFW白井美羽(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)。この日はフル出場

 終盤は良いかたちを作りながら得点生まれず、0-1で前半を折り返したア女。前半はまだ期待のもてる内容だっただけに、ここからが悲劇だった。47分、左サイドからのクロスが、クリアしようとしたDF杉山遥菜(スポ1=東京・十文字)の頭上すれすれを越え、全日本学連選抜でも主力を張ったFW古賀花野(帝京平成大)のもとへ。ヘディングシュートは一度は石田がストップしたが、こぼれ球を押し込まれた。後半の入りの悪さは前節、東洋大戦でも後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)が課題と認めた部分。今節でも後半立ち上がりに試合の大勢を決する失点をしたことで、改めてその課題が浮き彫りとなった。60分には後藤が、中盤から抜群の推進力で2人をかわしファウルをもらうが、フリーキックはクリアされてしまう。逆に64分、左サイド裏への相手のロングボールからクロスが上がり、キーパー前でまたも古賀に決められ0-3。さらには67分、自陣でのつなぎをカットされ、見事なパスワークから再び古賀のドリブルシュートで0-4とされる。ピッチ内でなんとか修正したいア女だったが、その後もゴールには迫れず、敗戦となった。

 

フィジカルな相手に対し苦戦しがちなア女。後期は改善が必要だ

 この敗戦でア女は、得失点差により4位に転落。守備に重きを置くア女にとってはここ2節で5失点と、「らしくない」スコアが続く。後半の入り、セットプレー、ロングボールへの対応と目下の課題は明白。山梨学院大戦やこの日の帝京平成大戦において首位を走る東洋大との一戦よりはるかに難しい印象が残ったのは、ロングボールへの対応や球際の攻防で後手に回ったからだ。次節の大東文化大戦、そして夏にどれだけの改善ができるかがカギになってくる。「フィジカルだけで負けるのはシンプルに悔しい」(三谷)、「負けられない重要な試合だったから、率直に悔しい」(白井)、「2度とこういう思いはしたくない」(後藤監督)。良薬は口に苦し。苦しい時間が、またチームを強くするだろう。

(記事 大幡拓登、写真 渡辺詩乃)

 

スターティングイレブン

 

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 石田心菜 スポ3 大阪学芸
DF 夏目歩実 スポ4 宮城・聖和学園
DF 堀内璃子 スポ4 宮城・常盤木学園
→57分 26 千葉梨々花 スポ1 東京・十文字
DF 25 杉山遥菜 スポ1 東京・十文字
MF ◎後藤若葉 スポ4 日テレ・メニーナ
MF 浦部美月 スポ4 スフィーダ世田谷FCユース
MF 笠原綺乃 スポ4 横須賀シーガルズJOY
MF 三谷和華奈 スポ4 東京・十文字
MF 10 築地育 スポ3 静岡・常葉大橘
MF 白井美羽 スポ3 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
MF 11 宗形みなみ スポ2 マイナビ仙台レディースユース
◎=ゲームキャプテン
コメント

後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)

――90分間振り返っていかがですか

 2度とこういう思いはしたくないなという試合でした。

――序盤はア女がボールを握る時間もあった中で、山梨学院大戦(5月13日、●0-2)と同じくフィジカルで押されるようになって主導権を握られたのかなと思います。どのように感じますか

 おっしゃる通り、結局山梨学院大戦での失点と近しいです。崩されたのではなく、どちらかというと押されて詰められて、ロングボールでやられてしまったという感じでした。

――先制点はもちろん、特に後半立ち上がりの2失点目が痛かったのかなと思います

 その通りですね。「後半の入りにまさか決められるなんて」という感じではなく、自分たちが後半の入りがよくないというのも分かっていた中で、失点してしまった。コーナーキックのシーンも2人いる中でニアとファーどちらを切らせるのかというところもそうですし、チーム全体に甘さがあるのは私自身がしっかりマネジメントできていないからだと思います。ただここでインカレのように全てが終わったわけではないですし、自分たちに突きつけられているものを、どのように成長のベースにしていくかだと思います。今は選手たちも感情的に処理しきれていないところだと思いますが、わからない課題がたくさんあるというよりは、明確なものばかりなので。後半の入り、セットプレー、ロングボールへの対応、原因が分かっているからこそそれを改善して、最終節に向けて盛り返していかなければいけないと思います。皇后杯の関東予選もありますし、時間は多くないですが、やれることをしっかりとやっていきたいと思います。

――良い守備またはビルドアップから手数の少ない、シンプルな攻撃を展開していくのが、今季のア女における一貫したスタイルなのかなと思います。後期に帝京平成大や山梨学院大のようなフィジカルな相手と対戦する際は、これまで通りア女のスタイルを貫くのか、新たな対策を講じるのか、現時点でどのように考えていますか

 まずチームとして競争が必要だと思います。自分たちのやろうとするサッカーのベースは変わらないと思うんですが、やっぱりチーム内で今出場している選手たちとしっかり戦う、途中交代で入ってきた選手たちが存在感を出すという流れができれば、今出場している選手たちももちろん成長すると思いますし、もっと全体でエネルギーをもって、学年は関係なくチーム全体で意識を1段階2段階上げられるように。私たちが蹴りますかと言ったら、蹴ったところで帝京平成大さんのようなスピードもサイズもあるタイプの選手がいるわけではないですし、きっとやったところで弾かれて終わるので、そこをブラしてはいけないかなと。もちろんそういう選手が出てくればオプションにもなりますし良いとは思います。とにかくもう少し自信を持って戦えるように、私自身も自分を見つめ直さなければならないと思います。

――5月から4連勝してきた中でここ2節は連敗となりました。6月シリーズを中心にここまでの戦い、どのように感じますか

 結果が明白で、東洋大、山梨学院大、帝京平成大に負けているので、今の4位という位置がまさにその通りなのかなと思います。東洋大にはセットプレーで負けましたが、複数失点で負けた、というか流れの中で失点をした山梨学院大、帝京平成大のような相手にしっかりと戦えるようになっていかないと、大学で日本一というのは難しいですよね。今日のように1対1で負けているようではWEリーグに勝つというのも、まだまだ距離があるなというのが現実ですし、それを受け止めて必死にやっていくしかないと思っています。

――リーグあと1節、皇后杯予選に向けてどのように準備していきたいですか

 夏は合宿が入ってくると思います。基本的なところですかね。自分たちの原理原則に立ち戻って、良い守備をするためにはどういう足の運びやフィジカルが必要なのかということは考え直さなければならないですし、ボールを保持するためには相手を見てパスをつなげないといけないと思います。原理原則から積み重ねていきたいと思います。

 

三谷和華奈(スポ4=東京・十文字)

――90分間を振り返って

 シンプルに悔しいです。

――大事な試合が続いた6月は、二勝二敗となりましたが、関カレをどう振り返りますか

 自分たちが前半から主導権を握れる試合もあれば、今日みたいに最初押し込まれる時間帯が続いたり、局面が見えた試合でした。負けた試合2試合に関しては、後半の入りで自分たちの集中力が切れている時に一気に失点したかたちでした。普段の練習の詰めの甘さや、コミュニケーション不足、一人一人の詰めの甘さが顕著に出た試合だったと思います。二勝を収めたというポジティブな面もあり、前に進んでいくしかないと思うので、しっかりそこは整理していきたいです。

――主導権を握られてしまった要因は

 毎年帝京平成大戦はセカンドボールの拾い合いだと思っています。相手と競ることがわかっても、どれだけ粘れるかが肝になってきます。どちらかというと、早稲田は東洋さんみたいにつないできた相手に対してはやり合えるところがあるんですけど、大学サッカーのチームに多い蹴ってくる相手の対策をして、蹴られたボールの処理を今後修正していきたいです。後は、ファーストのディフェンスが後半にかけて、どんどん緩くなってきたので、そもそも蹴らせてはいけないという前線の選手の責任感も今日はすごく感じました。

――相手のフィジカル面でのやりにくさは

 マッチアップした10番の選手は全日本選抜でも一緒にやったんですけど、シンプルに背丈が高くて、がっしりしてて、フィジカル的な部分で強いところがあったのでそこは、相手の武器としてあります。ですが、そこでしっかりいなせたり、連携して崩すのが早稲田のサッカーだと思うのでフィジカルだけで負けるのはシンプルに悔しいのでしっかり対応していきたいと思います。

――ご自身のプレーを振り返って

 点数をつけるのはあまり好きではないですが、わかりやすく点数をつけると20、30点という感じです。今結構、私自身の中でも仕掛け方や突破のタイミングを試行錯誤しながらやっているところなのですが、今日はシンプルに足元にまず入っていなかったし、後半ラストに一本だけスペースに抜け出しはできたんですけど、それしかなかったので、突破の回数は増やしていきたいです。自分自身がチームの攻撃の特徴だと思うので、そういう選手になれるように、ネガティブになってはいられないので、どんどんチャレンジしてやっていきたいと思います。

――次の大東文化大戦まで準備していきたいことは

 前期ラストの試合になるので、ここで一回勝って、いいかたちで終われれば、夏挟んで後期にもいいかたちでつながると思います。チームが落ちないことが大事だと思うので、一人一人が自分に向き合ってより良いチームにできたらいいかなと思います。

 

白井美羽(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)

――難しい展開の試合になりましたけど、率直に振り返っていかがですか

負けられない重要な試合だったから率直に悔しいです。

――最初はボールを握ってというペースも多かった中で相手に主導権が渡ってしまった要因はどこですか

前線から(プレスを)かけるところでも、どこではめるかとか、相手にいい状況で蹴らせないとか、そういうところでも詰めの甘さで背後にいいボールを蹴られていい状態で点を決められてしまっているところです。

――後半の入りで点を取られてしまって、そこが試合を決めるところになったかなと思いますけど

入りって重要なんですけど早い時間に失点してしまって、立て直そうとはしていたんですけど、2失点目というのもあって試合の流れを決めるのに痛かったかなと思います。

――3失点した後はみんなで集まって話していましたけど、どういったことを確認していましたか

マークが浮いてきてしまっている中で、誰がマークを付くのか、前線のかけ方とかを再確認してもう一回仕切り直そうということで集まりました。

――選手交代した後は中盤に入ったり最前線に出てきたり、ポジションチェンジも滑らかに行っていましたけど、そこは意識していましたか

3トップの脇で出たので相手のラインを下げるだけじゃなくて、空いているスペースに落ちて自分たちがボールを持つ時間を増やしたいなという意図で落ちたり、逆に若干落ちたところから背後を狙うことで最前線から飛び出すよりかは相手を惑わしやすいかなと思っていろんなところに顔を出すように意識はしていました。

――6月はこれで難敵相手に2勝2敗になりました。ここまでをどう振り返りますか

勝ち切りたいところで勝ち切れた時と負けた時とがあったんですけど、上位を狙うためにもこの2連敗は勝ち切らないといけない試合だったので悔しいなというのと、その中で自分たちが通用しないこと、通用することが分かったところもあるので、そこは後期にもう一回試合することができるので次は勝てるようにしたいなと思います。

――次節に向けて意気込みをお願いします

ラスト前期一戦残っていて、まずそこを勝ち切って次につなげたいなと。とにかく今は次に向けていい準備をして勝ちで終わって後期に繋げられたらなと思います。