猛攻しのぎ切り辛くもドロー 関東リーグは5位で折り返し

ア式蹴球女子
第29回関東女子サッカーリーグ
早大 0-0(前半)
0-0(後半)
東京国際大
【得点】
(早大)なし
(東京国際大)なし

 関東女子サッカーリーグ(関東リーグ)は前期第7節、東京国際大戦を迎えた。前半から相手の勢いある攻撃に押され、劣勢を強いられる。前半から選手交代を敢行し攻撃に転じたいア式蹴球部女子(ア女)だったが、なかなかシュートを打つことができない。後半も厳しい時間が続いたが、GK田村亜沙美(スポ1=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)を中心とした守備陣が好プレーを見せ、失点を許さず。結局両者共に得点が遠く、スコアレスで試合を終えた。

 

相手コーナーキックのシーン、体を張った守備を見せる

 台風一過の好天に恵まれた東伏見。湿度も高く強い日差しが降り注ぐ中、関東リーグ前期のラストゲームは幕を開けた。試合開始直後1分、DF田頭花菜(スポ3=東京・十文字)のロングボールを収めたFW﨑岡由真(スポ1=埼玉・浦和レッズレディースユース)がシュートを放ったが枠外に飛ぶ。幸先の良いスタートを切ったかと思われたが、ここからゲームは次第に相手ペースに。14分には相手CKからピンチを迎えるが、田頭や田村を中心に自ゴール前で粘り強く対応し、最後はDF木南花菜(スポ3=ちふれASエルフェン埼玉マリ)がクリア。失点を許さない。防戦一方の展開が続いたのを見かねたか、37分にFW千葉梨々花(スポ1=東京・十文字)を投入。前線での起点づくりという意味での応急処置的な交代になった。41分には右サイドに張ったMF新井みゆき(スポ1=埼玉・浦和レッズレディースユース)がMF淀川知華(商2=山梨・日本航空)のパスを受け、運んでからクロスを上げる。しかしこれはキーパー正面。その後も有効な攻撃を生み出せず、前半を折り返した。

 

体調不良により3,4節はスタメンを外れたDF小林舞美(スポ2=ちふれASエルフェン埼玉マリ)。万全ではないが少しずつ体力は戻ってきていると話す

 後半に入ってもなかなか流れは変わらず。「うち(ア女)は対空時間の長い、相手のディフェンスラインが前向きに対応できてしまうボールが多い。そういったロングボールの対応というのは課題」と振り返るのは後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)。互いに球際激しくぶつかり合い、ロングボールの多い展開になったことで双方のロングボール精度面の差が顕出した。それでも、良い守備から攻撃の糸口を探るア女。61分、途中交代のMF阪本環(スポ2=日体大FIELDS横浜U18)がクロスを上げるが中は合わせられず。75分には再び淀川から新井にパスが通るが、角度のないところからの新井の強烈なシュートはキーパーに防がれた。良い流れも作ったが、終盤は次第に相手ペースに。84分には最終ラインで木南がボールを奪われると、相手フォワードと田村が1対1のピンチに。しかし田村が冷静に距離を詰めると、右足一本のスーパーセーブ。チームを救うビッグプレーとなった。その後も田村、田頭を中心に堅い守備を展開し失点を許さなかったア女。辛くも勝ち点1を手にし、関東リーグの折り返しとなる今節は幕を閉じた。

 

パスを出す田村。シュートストップはもちろん、精確な状況判断も光った

 今節の結果により公式戦連勝は4でストップしたものの、無失点は継続。タフなゲームとなったが、守備陣が気を吐きゴールを死守した。関東リーグの序盤戦を振り返ると、なかなか勝ち切れない、あるいはわずかな差で競り負けることが多かった。しかし初勝利を挙げてからは好転。今節も勝利こそできなかったものの、「勝たせはしない」という精神的な部分での勝負強さをみせた。「気持ちで負けないというところはみんな徐々に意識があがってきていると思う。そこに技術とかを追いつかせられるように」と話すのは小林。後期はゲーム内容、とくに攻撃面にこだわりながら、それを結果に結びつけていきたいところだ。

(記事、写真 大幡拓登)

 

スターティングイレブン

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 21 田村亜沙美 スポ1 ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18
DF 田頭花菜 スポ3 東京・十文字
DF 13 木南花菜 スポ3 ちふれASエルフェン埼玉マリ
DF 15 小林舞美 スポ2 ちふれASエルフェン埼玉マリ
DF 17 藤田智里 スポ4 神奈川・大和
→37分 26 千葉梨々花 スポ1 東京・十文字
MF 12 大森美南 スポ4 東京・八王子学園八王子
MF 18 栗田彩令 スポ3 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
→55分 22 阪本環 スポ2 日体大FIELDS横浜U18
MF 19 淀川知華 商2 山梨・日本航空
MF 29 川本美羽 スポ1 新潟・帝京長岡
MF 12 ◎大森美南 スポ4 東京・八王子学園八王子
FW 28 﨑岡由真 スポ1 埼玉・浦和レッズレディースユース
◎=ゲームキャプテン
コメント

後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)

――関東リーグ前期の最終節になりましたが、90分間振り返っていかがですか

 結果としては引き分けなので悔しい部分もありますが、勝ち点1を積み重ねられたこと、そして無失点で終われたことを評価したいと思います。特に関東リーグのメンバーは神大戦でのセットプレーからの2失点、またレイア戦の終盤の逆転負けという悔しい経験をしてきているのもあって、前期最後のここ数試合、今日もコーナーキックも10本くらいある中で守りきったというのは、前期を通して成長した部分なのかなと思っています。

――逆に攻撃面は課題の1つになってくると思いますが、今日の試合に関してはいかがでしたか

 もう少しフォワードが距離感よく連動できれば良かったかなと思います。もっと上手くビルドアップができると思っていますし、そのためにもう少し高いポジションでキーパーがボールを持てるとも思います。そうするとセンターバックとアンカーでもっとボールが持ちやすくなりますし、その上でサイドが中に入ってきたりということもできますし。今日の試合のような距離感や関わり合いの部分は修正して、守備ももちろんそうですが、後期は攻撃の部分を積み重ねていきたいと思います。

――早めに交代カードを切りましたがどういった意図がありましたか

 明日の関カレとの兼ね合いを考慮したという部分はあります。千葉に関しては関カレの出場も考えられる中、いつも関東リーグを引っ張って戦ってきた選手でもありますし、明日も走れる、と本人も言っていたので起用したという感じです。戦術的には、ひとつ収まりどころが無いと防戦一方になる展開が見えていたので、千葉に収めて欲しいなという意図で早めに投入しました。

――関カレでもそうでしたが、東国大を相手にするとなかなかボールが落ち着かないという印象です。中盤での球際の攻防に関してはいかがですか

 今日に限った話ではないですが、例えば東国大さんだとロングボールがちゃんと前線の選手、あるいはスペースをめがけて蹴ることができているんです。かたやうちは対空時間の長い、相手のディフェンスラインが前向きに対応できてしまうボールが多いので、そういったロングボールの対応というのはうちの課題だと思っています。競り手だけではなく、クリアする時は(プレーを)切るなら切るみたいなところも重要になりますし、ベースとしてボールを収めることが出来れば良いんですけど、どうしても混戦の中でキープするのは難しくはなってくるので。関カレでも神大さんや十文字さんなどそこら辺の上手いチームはありますし、大学サッカーで戦っていくにはそういった部分の個人練習も欠かさないで欲しいなと思います。

――明日の関カレ、関東リーグの後期に向けて意気込みをお願いします

 明日もそうですが、1点を争う試合が多くなってくると思いますし、精神的にも体力的にもタフなゲームが続くと思います。両リーグが分かれているわけではないですし、一丸となって、後期はさらに積み上げて1つでも順位を上げられるように全員で戦っていきたいと思います。

 

小林舞美(スポ2=ちふれASエルフェン埼玉マリ)

――90分を振り返って率直にいかがですか

 無失点で終われたことはよかったんですけど、所々ミスはあったので、そこは気を引き締めていければいいなと思います。

――ミスというのは具体的には

 個人としてはパスのずれだったり、カバーしきれずに相手に有利な状況を作ってしまったりというところがあったので、そこについては練習から詰めていきたいと思います。

――前半から球際が激しい攻防でボールがなかなか落ち着かなかったですけど前半に意識していたことはありますか

 なるべくごちゃごちゃしすぎないように、ボールを奪って前を向けるときは前に出して、ただ出しすぎずに一度キーパーに下げて落ち着かせたりといった状況判断については意識していました。

――サイドバックやサイドハーフの選手がサイドに張ってボールを受けたときの崩しも含めて、攻撃の形がなかなか生まれないのかなと思ったんですけど、そのあたりはいかがですか

 自分がボールをもった時にサイドに張ってくれていることが多かったんですけど、もうちょっと入れ替わりながら崩せたらよかったのかなとは思いますし、自分がもっと早いタイミングで外につけて、外の選手に余裕を与えてあげればよかったのかなと思います。

――連勝は2で止まりましたけど無失点は継続で、関東リーグは折り返しになりました。後期に向けてどう戦っていきますか

 課題はまだいっぱいあると思うんですけど、気持ちで負けないというところはみんな徐々に意識があがってきていると思います。そこに技術とかを追いつかせられるように自分も練習から取り組んでいきたいです。

 

千葉梨々花(スポ1=東京・十文字)

――90分を振り返って率直にいかがですか

 押し込まれる時間帯が多い中で失点しなかったのはよかったのですが、自分たちが押し込まれたときに流れを変えられなかったのと、シュートの数が少なかったり点を取って勝ち切れなかったことはよくなかったと思います。

――途中交代で監督からどういう指示を受けて入りましたか

 相手がロングボールを蹴って前からかけてくるのに対して、自分たちがセカンドボールやクリアを回収できてないことが多かったので、それをしっかり前線で収めて起点になって欲しいと言われました。

――そこに関しての自己評価はいかがですか

 体も大きい方ですしクリアとかセカンドボールの回収は得意な方なので、それはまあまあできたのかなと思います。

――逆に課題になった部分、攻撃の形で必要だったことはありますか

 攻撃ではロングボール一本になっていたので、しっかり下から組み立てて攻撃していくのが今日の試合は足りなかったと思います

――2連勝で止まりましたけど無失点は継続で、堅実な戦いができているとも言えますが、ここまでの関東リーグ前期を振り返っていかがですか

 最初の方は勝ち切れない試合が続いた中で、積みかねできたことが直近の勝ちにつながっていたと思いますし、最初の方は毎試合失点していたけど失点がなくなったということもあって、全員で戦えるようになったからこそ、後期はもっと細かいところまで全員でこだわっていきたいなと思います。

――明日の試合、そして関東リーグ後期に向けて意気込みをお願いします

 関東リーグの方は前期5位で終わりましたけど、上位を目指せる順位に入ってこられたと思います。しっかり自分が攻撃の起点になりつつ点を取ってチームを勝たせられるように頑張りたいです。明日の関カレは多分途中からの出場になるので、チームの流れをよくできるプレーと、フォワードらしく前からガツガツ行ってゴールを目指してプレー出来ればいいなと思います。