土日連戦で初の連勝! ”ゴラッソ”3発で貫録勝ち!!

ア式蹴球女子
第37回関東大学女子サッカーリーグ
早大 0-0(前半)
3-0(後半)
国際武道大
【得点】
(早大)62分:宗形みなみ、66分:宗形みなみ、90+2分:夏目歩実
(国際武道大)なし

 関東大学女子リーグ(関カレ)は前期第5節、前日に引き続きアウェイでの一戦に臨んだア式蹴球部女子(ア女)。序盤から押し込みながらも、相手の堅いブロックをなかなか崩せずスコアレスで前半を折り返す。それでも62分、右サイドのフリーキックをMF宗形みなみ(スポ2=マイナビ仙台レディースユース)が決め先制に成功。68分には、MF白井美羽(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)のパスを受けた宗形が冷静に決めきり2―0とする。追加タイムには、ゴール前でDF夏目歩実(スポ4=宮城・聖和学園)が左足で流し込み、ダメ押しの3点目。苦しいアウェイでの土日連戦だったが、見事連勝を飾った。

 

ゴールを喜ぶ選手たち

 西日の差し込む国際武道大学サッカー場。序盤から最終ラインを中心にビルドアップを展開しながらも、中盤でのダイレクトプレーの精度や、相手のブロック前でのアイデアを欠き、なかなか決定機を創出できない。それでも10分、スローインからMF三谷和華奈(スポ4=東京・十文字)がハーフスペースを取り、シンプルに落としたところを宗形がシュート。惜しくも枠外に飛んだが、この日のツートップを組んだ2人が攻撃をけん引する。22分には、右から中盤を経由して左サイドで幅を取ったDF浦部美月(スポ4=スフィーダ世田谷FCユース)へ。早めにクロスを入れたが逆サイドに流れ、シュートまではいけない。39分にも浦部の突破からコーナーキックを獲得。ショートコーナーで受けた宗形がシュートを放つも、ミートせず枠の上に飛んだ。

 

最終ライン中央で守備陣をまとめるDF堀内璃子(スポ4=宮城・常盤木学園)。今節もカバー力が光った

 チャンスを作りながら、0-0で前半を折り返したア女。「『もっと楽しんで』と伝えた」と指揮官。最前線に白井を投入し、三谷を本職の右サイドにスライド。さらに左サイドで縦関係になっていた夏目、浦部を入れ替え、よりパスでの崩しに比重を置いた。すると61分、右サイド裏に抜け出した三谷が、相手キーパーからアフター気味のチャージを受けフリーキックを獲得。これを宗形がインカーブのかかった鋭いキックで左サイドネットに突き刺し、先制に成功した。試合は完全にア女ペースとなったが、セットプレーから際どいシーンも。65分には相手フリーキックから精度の高いボールが上げられたが、GK石田心菜(スポ3=大阪学芸)ががっちりとキャッチ。石田はこの他にも前半から正確なキックとプレー判断で、チームに安定感をもたらした。勢いのついたア女は66分、浦部からの縦パスを受けた宗形が、前線の白井にダイレクトで送る。「美羽さんなら出してくれるかなと思った」と宗形。白井とのワンツーで抜け出すと、追いすがる相手ディフェンダーを鮮やかにかわし2点目を決めた。試合をコントロールして迎えた追加タイム2分、右からテンポよくパスをつなぎ、MF笠原綺乃(スポ4=横須賀シーガルズJOY)のパスに走りこんできたのは夏目。利き足でない左足に収めるとスムーズに振り抜き、ゴール右隅に流し込んだ。終わってみれば3-0と、大勝をおさめたア女。今季初となる、土日連戦連勝だ。

 

後半は宗形のストロングが際立った。フリーキックは「4つくらいあった」選択肢からシュートを選択、見事な先制弾に

 前週に引き続き、タフな土日連戦を戦い抜いた。決して簡単な試合ではなかったが、ハーフタイムのポジションチェンジが奏功。リラックスした様子の15分間を挟んだ後に怒涛の3得点で勝利するこの日のチームには、貫禄すら感じさせる勝負強さがあった。前日の関東リーグでア女は、同リーグ2位を走る格上相手に劇的勝利。この日3点目を決めた夏目は「(関東リーグの結果が)『自分たちもやらなきゃ』というような、どちらかというと覚悟のようなものにつながった」と話す。この日の結果で関カレ3位に躍り出たア女。現関カレメンバーは堅実なゲームを展開できている一方、開幕以来どこかスロースターターのきらいがある。さらに上位に食い込むには、こういった懸案事項を1つずつクリアしていく必要があるだろう。

(記事、写真 大幡拓登)

 

スターティングイレブン

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 石田心菜 スポ3 大阪学芸
DF 夏目歩実 スポ4 宮城・聖和学園
DF 堀内璃子 スポ4 宮城・常盤木学園
DF 25 杉山遥菜 スポ1 東京・十文字
DF ◎後藤若葉 スポ4 日テレ・メニーナ
DF 浦部美月 スポ4 スフィーダ世田谷FCユース
MF 笠原綺乃 スポ4 横須賀シーガルズJOY
MF 10 築地育 スポ3 静岡・常葉大橘
DF 13 木南花菜 スポ3 ちふれASエルフェン埼玉マリ
→HT 白井美羽 スポ3 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
FW 三谷和華奈 スポ4 東京・十文字
FW 11 宗形みなみ スポ2 マイナビ仙台レディースユース
◎=ゲームキャプテン
コメント

後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)

――土日連勝でした。振り返ってください

 勝ち点3を積み重ねられたということが何よりも大きいですし、順位も上げられたので非常に良かったと思います。

――前半は攻めあぐねる時間も長かったですが、そこに関してはいかがですか

 もう少しシンプルに空いているスペースを活用できればよかったなと思います。相手が前からプレスに来るというよりは引いて受けてくれたので、すごくチャンスではあったんですが、そこの部分がちょっと噛み合わなかったので思い切って選手の配置を変えて、というところに踏み切りました。

――ハーフタイムの雰囲気は気合いを入れる、というよりは余裕を持った穏やかなものだったかと思いますが

 後半の最初はぬるっと入ってしまったので、もしかしたらもう少しピリッとした方が良かったかもしれないです(笑)。ただうちはここまで得点を積み重ねてきているチームではないですし、みんなの表情を見ている限り「いける」と思っている部分があったので、「大丈夫、できているから思い切って行ってこい!」と言って送り出す方を選びました。前半宗形とかは(シュートを)打っていましたが、打ち切れていなかったですし、そもそもチームとしてあまりシュートを打てていませんでした。ゾーン1のところって1番面白いところじゃないですか。だから「もっと楽しんでいいよ」と伝えました。

――選手の配置変更に関してはどのような意図がありましたか

 浦部が縦に突破していくプレイヤーであるのに対して、夏目はどちらかというとリズムを作りながら流動的に中に入ったりするタイプだと思います。白井を入れてもう少しダイレクトプレーや関わり合うプレーが増えるかなと思ったので、宗形、白井に夏目も加われるように、というところを想定しました。右は三谷が個で突破するというイメージをみんなもっていますし、笠原がセカンドボールの回収でどうしても立ち位置低くなるので、あと1人ボールに絡まないとなかなか崩しきれないのかな、と思って変えたという感じです。

――選手たちも前日の関東リーグ勝利が刺激になったと話されていました。やはりチームとしても精神的な部分で大きかったですか

 今日関カレメンバーが来て「史さんやりましたね!」とか「速報見てた!」とか言ってくれて。やっぱり私たちは1つのチームなので、(前日の勝利は)非常に大きかったと思います。

――次節は筑波大戦です。どういった準備をしていきたいですか

 関カレと関東リーグが両方筑波大なので、スカウティングが1校だけで全員が同じ準備をできるという意味では、ポジティブなのかなと思います。ただここで今日の試合でも、本当に3点で終わるゲームだったのかと言われればもっとチャンスがあったと思いますし、後半の入りに押し込まれる時間帯もありました。この勝ち点3をしっかり次につなげるために、勝って兜のではないですが、勝ったからこそ自分たちのもっとできるところをかえりみて、気を引き締めて準備したいと思います。

 

夏目歩実(スポ4=宮城・聖和学園)

――ナイスゴールでした。得点シーン振り返っていかがですか

 逆サイドから良い流れでボールがきて、最後もっていたのが綺乃(笠原)だったので良いパスがくるだろうとは思っていました。ただボールがきた時は「左足でシュートか…」という感じで。普段はあの場所でもらうことはないですし、「うわ、くる」と思ったりもしたんですが、ファーのコースが見えたので最後は思い切って足を振りました。

――後半はポジションがウイングバックに上がりました。違和感なく対応できましたか

 平日に試す機会はあったんですが、組み合わせや人が違う中だったので、抵抗がなかったと言えば嘘になります。でも信頼してプレーできる選手が周りにいるので、自分は求められていることをしっかりやりきろうという思いで臨みました。

――前半は相手の守備に苦戦する時間も長かったと思いますが

 特段自分たちが悪かったというわけではなかったと思いますが、引かれた相手に対しての攻撃、得点のところはチームとしてずっと苦手意識をもっているところでした。前半に1点も取れなかったのは今の自分たちの課題だと思いますが、危ないシーンを作らせなかったのは、璃子(堀内)を中心に最近意識して取り組んでいるリスク管理の部分の修正ができてきたのかなと。課題と修正の見えた前半だったなと思います。

――今季採用しているシステムに慣れてきた感はありますか

 昨年の皇后杯からやっているのもあってシステム的には慣れているのですが、やっぱり人が変わっているので同じシステムの中でも少しずつ違いはあります。そこのズレや得点力不足などの課題はもちろんありましたが少しずつ解消されてきていますし、だからこそより小さな問題も見えてきているので、ここからしっかりと積み上げていきたいです。

――ビルドアップはもちろん、裏へのロングボールにも意識して取り組んでいる印象です

 自分は下でビルドアップするのが好きで、長いボールもすごく得意にしているわけでもなかったので、そういったところを見るのは意識しています。裏に走ってくれる選手もいますし、得点につながる時も多くあるのでどんどん狙っていこうと思っています。

――杉山選手をはじめ1年生への印象はいかがですか

 「本当に1年生?」というくらい怖がらずに落ち着いてプレーしてくれるので、こっちも安心しきっているというか、信頼して3バックを組んでいます。他の選手も関東リーグや関カレの交代枠としてプレーしていますが、やっぱり勢いがあって技術も高いので、「上手いな」って思う時が多々ありますし、一緒にやっていて面白いです。

――土日連戦、前日の関東リーグが先勝しました。精神的には大きかったですか

 昨日は格上の相手でしたし、先に失点してもおかしくない相手だと思っていた中で勝ち切ってくれたというのはすごく大きかったです。その結果を見て「自分たちもやらなきゃ」というような、どちらかというと覚悟のようなものにつながって、今日も全員で戦ってどちらも勝ち点3を取ることができたというのはすごく大きいと思います。

――前週の山梨学院大戦ではレベルの高い相手に苦杯を喫しました。失点シーンにからんだ部分もあったかと思いますが、どのように感じていましたか

 関カレは先週まで無失点できていて、それをつなげたいという思いもありましたし、1点の勝負になってくると思っていたので後ろが耐えないと考えていた中で、自分の対応からPKになってしまいました。個人的にはかなり(精神的に)きましたし、立ち直るのにも時間がかかりました。ただ後期も(山梨学院大と)戦いますし、あの敗戦からどう繋げていくか。4年生としても後輩に対して、自分が折れずに見せていかなければならないと思っていたので、そういった中でここ1週間プレーの質や強度を高めていく必要があると感じていました。

――次節筑波大戦に向けてどういった準備をしていきたいですか

 筑波台はセットプレーやフィジカル的な部分で前の選手にパワーがあるというイメージなので、ひとつひとつの球際や個の部分で負けないということを意識して臨みたいです。そもそも危ないシーンを作らせないというところも心がけながら、課題である攻撃の部分はしっかりと決め切って、守るところは守って、次につなげていけるように頑張っていきたいです。

 

宗形みなみ(スポ2=マイナビ仙台レディースユース)

――まずは先制点振り返っていかがですか

 和華奈さん(三谷)が良い位置でフリーキックをもらって、もちろんゴールというのは見えていました。ニアに入れて誰かに当たればいいな、とかニアハイに打つとか、あとは壁が飛びそうだったので壁下を狙うなど選択肢は4つくらいあったのですが、やっぱり自分が1番取りたかったのはゴールなので、直前で(ゴールの)ファーサイドに狙いを定めました。

――2点目はドリブルで相手DFをかわしてのゴールでした。振り返ってください

 美羽さん(白井)との関係性で、パスを出した時点で裏のスペースが空いたので、美羽さんなら出してくれるかなと思って走ったらパスが来ました。あとは1対1の部分は最近練習でも取り組んでいたので、それを生かしてゴールにつなげることができたのは良かったと思っています。

――ア女ペースではあったものの、前半は相手の守備に苦戦している印象もありました

 自分自身3点決められる部分があった中で決めきれなかったのは申し訳なかったです。ただ崩しの中で良いかたちが見えていたり、試合の中で修正できていたので、後半どれだけ相手の勢いに飲まれずにそれを出していけるかが大事というのはハーフタイムにも話していました。今日入りが悪かったり、前半得点できなかったのは自分としても課題だと思いますし、修正していきたいと思っています。

――今季のシステムでは前線でプレーしていますが、慣れてきた感覚はありますか

 山梨学院大戦までは、もちろん相手の圧もありましたが、やはり中盤でプレーするのとは視野とかが全然違うので、「自分には向いていないんじゃないか」と練習中に少し思うこともありました。ただ監督から信頼されてその位置に置いてもらっている中で、1.5列目としてのプレーや背後への動きなど自由にやらせてもらっていますし、自分自身ボールを受けてテンポを作るのが得意で、とりあえず色々なところに顔を出すというのを意識してプレーしているので、慣れないところもまだありますが、これからも周りと合わせてやっていければなと思います。

――土曜日に関東リーグで先勝してくれていたのは精神的に大きかったですか

 私たちも試合会場に行けていなかったので、速報で見ていたんですが、押されている時間も長かった中での最後のゴールの瞬間は、こちらもすごく盛り上がりました。チーム一体となって先に勢いを持ってきてくれたので、自分たちもやらなきゃ、という思いになりました。

――次節に向けてどういった準備をしていきたいですか

 自分たちはまだまだ上位に行けると思いますし、勝ち点3を取るだけでなく内容にもこだわっていきたいです。相手に合わせず自分たちのプレースタイルで、しっかりと勝利を積み重ねていきたいと思います。