後半の反撃実らず 関カレ上位対決は2失点完敗

ア式蹴球女子
第37回関東大学女子サッカーリーグ
早大 0-1(前半)
0-1(後半)
山梨学院大
【得点】
(早大)なし
(山梨学院大)28分:伊藤琴音、87分:伊藤琴音

 関東大学女子サッカーリーグ(関カレ)前期第4節、山梨学院大を迎えての一戦。試合はア式蹴球部女子(ア女)がボールを握りながらも、押し込まれる時間が続く。28分に相手のロングカウンターからエリア内への侵入を許すと、DF夏目歩実(スポ4=宮城・聖和学園)のタックルがファウルの判定。このPKを決められ1点のビハインドで後半へ。ア女が主導権を握りながらもなかなか得点が出ない中87分、自陣深くのスローインから2点目を決められ、0-2とア女の完敗で幕を閉じた。

 

難しいゲームになった。試合後の後藤若葉(スポ4=日テレ・メニーナ)は「悔しい気持ちもあるけど、次に向けてメラメラしている」

 ア女は関カレ第3節まで2勝1敗で3位。同リーグ3連勝で2位につける山梨学院大と、ホーム東伏見でのリーグ上位対決となった。序盤はお互いがお互いの良さを消しあう展開が続いたが、徐々に相手の速攻からピンチを招く。10分にはビルドアップのミスを狙われ、突破を許すがDF堀内璃子(スポ4=宮城・常盤木学園)がカバーし事なきを得る。逆に16分、右サイドのMF三谷和華奈(スポ4=東京・十文字)が強引に突破しクロスを上げたが惜しくも中は合わせられず。膠着状態が続く。そんな中26分、相手陣地深くからのロングボールから鋭いカウンターを食らう。堀内がカバーに回り、夏目が相手FWとの一騎打ちに。粘り強く対応したが相手の切り返しに対するタックルに笛が鳴り、これがPKの判定。GK石田心菜(スポ3=大阪学芸)は読んでいたもののシュートの勢いが勝り手痛い先制点を献上した。その後も40分にMF築地育(スポ3=静岡・常葉大橘)がロングシュートを放ったがキーパー正面。同点弾は遠く0-1で前半を折り返す。

 

好判断が光った石田。PKも読んではいたがボールは右手をすり抜けた

 後半に入ると、ア女が完全にボールを握り攻勢に出る。56分には最前線にFW千葉梨々花(スポ1=東京・十文字)を投入。すると66分、その千葉のポストプレーから左サイドで裏を取ったMF宗形みなみ(スポ2=マイナビ仙台レディースユース)がクロスを上げると、走りこんできたのはDF後藤若葉主将(スポ4=日テレ・メニーナ)。しかし惜しくもシュートとはまではいけない。69分には千葉が自ら左足でミドルシュートを放ったが左に外れる。なかなか反撃が実らず迎えた87分、自陣深くで相手のスローインから失点を喫し、0-2。この1点が大勢を決し、注目の上位対決はア女の完敗となった。

 

今季ここまでフル出場を続けているDF杉山遥菜(スポ1=東京・十文字)。落ち着いたプレーですでに最終ラインになくてはならない存在になっている

 この日の敗戦でア女は関カレ初敗戦。しかし後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)は「結果より、気持ちの部分で戦いきれずに、自分たちがやれることをやりきれずに終わってしまった」部分があると振り返る。山梨学院大は咋季ア女より上位でフィニッシュした格上。結果には差が現れたが、結果より内容、内容より気持ちの部分で伸びしろを感じさせる内容となった。とはいえリーグ戦はまだ始まったばかり。修正する時間は十分にある。ここからのア女の反撃に期待したい。

(記事 大幡拓登、写真 熊谷桃花、前田篤宏)

 

スターティングイレブン

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 石田心菜 スポ3 大阪学芸
DF 夏目歩実 スポ4 宮城・聖和学園
DF 堀内璃子 スポ4 宮城・常盤木学園
DF 25 杉山遥菜 スポ1 東京・十文字
DF ◎後藤若葉 スポ4 日テレ・メニーナ
DF 浦部美月 スポ4 スフィーダ世田谷FCユース
MF 笠原綺乃 スポ4 横須賀シーガルズJOY
MF 三谷和華奈 スポ4 東京・十文字
MF 10 築地育 スポ3 静岡・常葉大橘
MF 白井美羽 スポ3 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
→56分 26 千葉梨々花 スポ1 東京・十文字
MF 11 宗形みなみ スポ2 マイナビ仙台レディースユース
◎=ゲームキャプテン
コメント

後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)

――率直に今日の試合を振り返ってください

 結果はしっかりと受け止めなければならないと思っています。ただ特に前半の戦い方について、自分たちの出来ることをやれていなかった部分があった上で押し込まれたと思うので、そこを修正して次に生かしていきたいと思います。

――前半の戦い方は勿体なかった部分があると思いますが、そこが敗因になりましたか

 後半自分たちが押し込んだ時間もあった中で点を取り切ることができなかったという部分もそうですし、決してそこだけではないですがその一つではあったと思います。

――相手のプレスの強度が高く、今季これまでのようなプレス回避は難しかったように思います

 ハーフタイムでプレス回避の場所について、どこで相手の力を逃すのか、というところを修正しました。後半は相手がプレスをかけにくい状態になったと思いますし、前半途中からそれができたらよかったんですけど、どこか受け身になってしまった部分があったのかなとは思います。

――両WBのポジションを前半途中から入れ替えましたが、どういった意図があったのでしょうか

 相手の攻撃のストロングが左に集まっていたのもありますし、前半右サイドにいた三谷が効果的な突破があまりできていなかったので、左の方がおそらく突破できるだろうなという部分があったので。その二つが主な理由です。

――前半の守備時に築地選手が最終ラインに入る時間帯がありましたが、選手の判断によるものが指示によるものなのかどちらだったのでしょうか

 そこは修正ポイントです。自分たちがどこで奪うのかというところが整理できていなかったので、修正したいですね。育が下がるとまた守備形態が変わりますし、それであれば蹴らせての対応になるべきだと思うので、そこの意思統一が前半は特にうまくいっていなかったです。育が下がることが悪いのではなくて、どこで相手の攻撃を防ぐのかというところを共有できていなかったのがこちら側のミスだと思っています。

――今日前線はかなりタフな相手とマッチアップすることになりました。千葉選手を入れた意図はどういったところでしょうか

 今日の相手でも白井の良さを生かせると考えていました。少し生かしきれない部分があったので、残りの時間の中で修正できるか、それとも人を変えてチームとして勢いを加えるか、という判断をしたという感じです。

――ここまでの関カレで初の敗戦になりましたが、シーズンの中でどのような意味を持つ試合になるでしょうか

 まず結果は受け止めなければならないと思います。ただ選手たちも分かっていると思いますが、勝ち負けという結果より、気持ちの部分で戦いきれずに、自分たちがやれることをやりきれずに終わってしまったことが私は悔しいです。もちろん言葉で言うのは簡単ですし、相手も死に物狂いできているので難しいですが、それができるチームだと信じているので。負けたことや失点したことはもちろん悔しいですが、それ以上にそういった部分に悔しさを感じます。この試合をきっと次の成長に生かしてくれると思っています。

――明日(5月14日)も関東リーグ、来週以降も引き続き関カレ続いていくと思いますが、どういった準備をしていきたいですか

 明日も強敵が相手ですしメンバー的にもタフな戦いになると思いますが、そういったタフさもうちには必要だと思うので、とにかく全員で今日の負けを取り返せるように頑張っていきたいと思います。

 

後藤若葉主将(スポ4=日テレ・東京ヴェルディメニーナ)

――90分間を振り返っていかがですか

山梨学院大は前線からのプレスだったり球際だったりが強いチームだということは分かっていた中で、前半の戦い方はもったいなかったなと。後半は相手の圧の中でも自分たちが戦えている部分はあったので、前半はもっとできたんじゃないかなという悔しさがある感じです。

――中盤のプレスの強度は高かったですけど、前半は特に苦戦してた部分はどう振り返りますか

相手があれだけ前線からプレスに来るとDFラインはビルドアップが怖いと思うんですけど、そこで怖がったら負けだと思うので、そのプレスの中でいかに練習していけるか。いかに前線の選手がボールを収めて流れを持って行ってあげるとか、シュートまでもっていくというところは今日はできなかったので、そこはチーム全体としての課題。負けて学ぶというのは嫌ですけど、この試合から得るもの、成長しないといけない部分は多く出たかなと思います。

――ボールを握ってラインもできるだけ高くしたいなかで今日は相手の速い選手に裏を取られる場面もありました

スカウティングの中で20番の選手が速いというのは全員で頭に入れている中で、攻撃の終わり方が悪く、相手のクリアであそこまで運ばれてというシーンが何本もあったというのは試合の中で修正を入れなきゃいけない部分だと思います。あとは声掛けだったりリスク管理の部分。これからもああいう一本はあると思うので、そこは突き詰めていかないといけないなと思います。

――逆に相手がボールを持った時に前線から行きすぎずにしっかりセットして前に出てきたときにプレスする形だったと思いますけど、ここに関してはいかがですか

前半はDFラインがボールを持ってる時間が多かったんですけど、自分たちは持たせているというマインドでできていて、そこからゴーをかけたときに取り切る部分まではできていたので、それを続けるのはもちろんですけど、相手が戦い方を変えてもそういう部分は大事になってくると思うので新たな課題が見えたなと思います

――これで関カレ初敗戦初失点となりました。

1失点目がPKというところで、悔しかったり気持ちはあると思うんですけど、90分ある中で切り替えて行かないといけないですし、DFの4年生が落ち込んでしまったらチームは盛り上がらないし、惜しいというかもっとできたんじないかなという方が負けより悔しい部分があって。ここから前期は3戦くらい山場を迎える週末があるんですけど、そこに向けてチームがどう成長していけるかは、今日の相手の強度でやり続けなければ自分たちが今年の目標にしている日本一は全然見えないと分かったので、日々の練習から強度を上げていけるかどうかだと思うので、悔しい気持ちもあるけど、次に向けてメラメラしている気持の方があります。

――今話にあった通り山場がありますけど次節は落ち着けるのかなと思いますが、ここからの試合に向けてどう準備していきたいですか

これまでの試合ってDFラインが守って守って守ってくれた中で自分たちがやっと取った1点で勝つとかだったと思うんですけど、今年のチームはそれが自分たちの形だと思うので、後ろは体張って守ってくれている分、自分たちも全力でゴールを取りに行かないといけないと思いますし、後ろが崩れたのであれば自分たちがゴールを目指さないといけないと思うので、チーム一丸となってどんな状況どんな相手であれ1点でも多く取れば勝てるので、そこは勝負にこだわっていきたいというのと、どんな相手であれ相手をリスペクトして得点を目指す、最後まで走るというのは突き詰めていきたいなと思います。

 

堀内 璃子(スポ4=常盤木学園)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

 山梨学院は、自分達より上位にいてまだ負けなしというところで、自分達がここ2、3戦で積み上げた部分をぶつけて、もちろん勝って勢いに乗りたかったっていうのはあるんですけど、この負けもしっかりと受け止めて次に進まないといけないなというふうには思います。

――関カレではここまで無失点できたなかで、初敗戦だと思いますがこの結果をどう受け止めていますか

 守備の人間として失点したくないのでそこの責任はすごい感じますし、自分達が守れてたらっていうのは、たらればになりますけど、思ってしまう部分はあります。

――今日の勝敗の分け目はどこにあったと考えていますか

 前半の入りの部分です。今まで特に、神大戦とかは入りが良くてそこから自分達の流れを作れていたのが良かった部分、結果にも出ていた部分だったので、そこを出せなかったというか、少なくとも相手が上回ってきたので、自分達の良さを出すために前半の入りっていうのは大切にしていきたいと感じました。

――相手が山梨学院ということで試金石となるような試合だったと思うのですが、強豪を相手にした感触はいかがでしたか

 個人の質は今まで以上に高い相手だったかなというふうに感じていて、スピードの部分もそうですけど、勢いの中で個人の技術を発揮するのが上手だなと感じました。ただ、できなかった部分を感じるというよりかは、自分達がもっとできたなって思うので、そこは自分達が出せるマックスで戦った上で、もっと対等にぶつかっていきたい相手だなと思いました。

――相手の攻撃陣のスピードが速かったと思いますが、ご自身のカバーリングがよく機能していたと思いますがいかがでしたか

 スピードを活かしたカバーリングというのは自分自身の強みだと思っていて、そこはできた部分もあればまだ足りない部分もあったので、自分の強みをより磨いて負けないチームを作りたい、負けないチームの軸になりたいなって思います。

――今季3バックの中盤でプレーされていますが、ここまでの感触はいかがですか

 自分自身、怪我明けからシーズンが始まったんですけど、リーグ戦が半年ぶりで、それも踏まえて試合勘は戻せているとは思うんですけど、自分自身が求められる段階っていうのはまだまだ上だと思うので、今の位置に満足することなく、負けないチームの柱になれるように精進していきたいです。

――今後のリーグ戦、どのように戦っていきたいですか

 今回の負けっていうのを、チームとしても個人としてもしっかりと受け止めて、やっぱり失点はしたくないので、守備の一人としては今後、何が何でも守り切るっていうのは常に頭に置いて戦っていきたいです。チームとしては雰囲気づくりというか、勝敗の分かれ目にもあったんですけど、自分達の勢いに試合を持っていくっていうのが大事になると思うのでそこを後ろから盛り上げていけたら良いなと思います。