第29回関東女子サッカーリーグ 前期第1節 | ||||
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早大 | 0 | 0-0(前半) 0-0(後半) |
0 | 南葛SⅭ |
【得点】 (早大)なし: (南葛SⅭ)なし |
ア式蹴球部女子(ア女)の2023シーズンが、関東女子リーグ(関東リーグ)第1節をもって幕を開けた。試合は序盤からア女がボールを保持し、優位に立つ展開。12分には左サイドからのクロスに、新加入のFW新井みゆき(スポ1=埼玉・浦和レッズレディースユース)が合わせるなど際どいチャンスを演出。60分にはMF三谷和華奈(スポ4=東京・十文字)がポストを叩くなど相手ゴールに迫る。しかし結局最後まで決めきることはできず。シーズン開幕戦は、悔しいスコアレスドローという結果になった。
ドリブルで相手守備を突破する新井。関東リーグデビュー戦フル出場となった
開幕戦の相手となった南葛SCに対してア女は、昨季1分け1敗と負け越し。「守備の要」のイメージがあるDF後藤若葉(スポ4=日テレ・メニーナ)をインサイドハーフで起用するなど、咋季とは大きく異なるチーム構成で試合に臨んだ。7分には最終ラインからMF笠原綺乃(スポ4=横須賀シーガルズJOY)、MF宗形みなみ(スポ2=マイナビ仙台レディースユース)とつなぎ、相手左サイドを攻略。クロスに飛び込んだ三谷のヘディングはバー直撃の決定機となったが、遅れてオフサイドの旗が上がった。チャンスを多く作る一方で38分、最終ラインでのビルドアップのミスからシュートを許すなどピンチを招くシーンも。それでも試合の流れは渡さず、40分には裏に抜け出したスタメン抜擢の新加入FW﨑岡由真(スポ1=埼玉・浦和レッズレディースユース)がシュートを放つが惜しくも枠外。押し込みながらも0-0のまま前半を折り返す。
けがにより長らく離脱していたGK石田心菜(スポ3=大阪学芸)は約10か月ぶりの公式戦に
後半開始直後の48分、52分には、CKから連続でMF築地育(スポ3=静岡・常葉大橘)が頭で合わせたが先制点は生まれない。54分には相手の抜け出しを見事なカバーリングで防いだ宗形が、左サイドの築地へ精確なロブパスを届ける。相手DFをかわしニア上を狙った築地の強烈なシュートは相手GKの好セーブに阻まれたが、後半立ち上がりにア女の新10番が存在感を見せた。いくつかピンチを迎える嫌な時間帯も続いたが、石田を中心に得点を許さず、迎えた60分。宗形と笠原で再び左サイドの裏を取ると、クロスに走りこんできた三谷が合わせるが今度はポスト。さらには68分、87分と後藤が強烈なミドルシュートを放つが、いずれも相手GKに防がれる。終了間際の90分には、途中投入のFW千葉梨々花(スポ1=東京・十文字)がDF浦部美月(スポ4=スフィーダ世田谷FCユース)のクロスに頭で合わせたが、これも止められ得点できず。結果的に相手の3倍ものシュートを放ったア女だったが、0-0でシーズン開幕戦を終えた。
ア女の新10番・築地。3年連続開幕戦ゴールはならなかったが、その存在感はこれまで以上だ
「点が取れず、守れても1点が遠くなるかなと思っていた通りの試合になった」と後藤。今季主将を務める後藤は、得点力を課題として試合を振り返った。ただ、決して最高の滑り出しというわけではないが、大きな収穫があったのも確かだ。そのうちの1つはやはり、新加入選手たち。すでにア女としての公式戦デビューを果たした4人の1年生は、チームにフィットしているだけでなく、それぞれの強みを生かし輝きを放った。「(新入生が)伸び伸びやることが一番だと思うので自分のプレーも怠らず周りのサポートをし、ミスもカバーできるくらいの能力を身に着けたい」と宗形も話す。来週から始まる関東大学女子リーグ(関カレ)との両立に向けても、頼もしい存在になってくれそうだ。「昨年とは違う新たなア女のカラーを楽しみにしていただければ」と指揮官。新生・ア女の快進撃に期待したい。
(記事 大幡拓登、写真 髙田凜太郎、池上楓佳)
スターティングイレブン
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 石田心菜 | スポ3 | 大阪学芸 |
DF | 2 | 夏目歩実 | スポ4 | 宮城・聖和学園 |
DF | 3 | ◎後藤若葉 | スポ4 | 日テレ・メニーナ |
DF | 6 | 浦部美月 | スポ4 | スフィーダ世田谷FCユース |
DF | 25 | 杉山遥菜 | スポ1 | 東京・十文字 |
MF | 7 | 笠原綺乃 | スポ4 | 横須賀シーガルズJOY |
MF | 9 | 三谷和華奈 | スポ4 | 東京・十文字 |
MF | 10 | 築地育 | スポ3 | 静岡・常葉大橘 |
MF | 11 | 宗形みなみ | スポ2 | マイナビ仙台レディースユース |
MF | 27 | 新井みゆき | スポ1 | 埼玉・浦和レッズレディースユース |
FW | 28 | 﨑岡由真 | スポ1 | 埼玉・浦和レッズレディースユース |
→85分 | 26 | 千葉梨々花 | スポ1 | 東京・十文字 |
◎=ゲームキャプテン |
後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)
――開幕戦、0-0という結果を振り返っていかがですか
率直に悔しいです。シュート数自体は多かったですし、ポストやスーパーセーブに阻まれたということを考えても、苦し紛れのシュートばかりで18本、ということではなかったので、決めきれなかったところに関しては悔しさが残ります。
――昨シーズンの前線が強力であったことが反動として作用しているという見方もできると思いますが、どのようにお考えですか
特に気にしていないです。大学サッカーはプロと違って入れ替わっていくシステムで、シーズン前から分かっていることではあるので、そこを気にしてもなにもポジティブなことはないと思っています。ただ事実として今日の試合の前線2枚は1年生で、後ろに上級生が多いということは、後ろがいかに支えてあげるか。1年生が「点取らなきゃ!」とプレッシャーを抱えてしまうのではなく、自分のプレーを出せるように2、3、4年生がサポートしてあげてほしいと思います。またサイドからでも得点が取れるチームだと思いますし、トレーニングマッチでも綺乃(笠原、スポ4=横須賀シーガルズJOY)がミドルシュートを決めたり、今日もそうでしたが若葉(後藤)、育(築地)もシュート力があるプレイヤーなので、どこからでも点を取れるチームになれば去年を超える強さになれると思っています。
――後藤選手を中盤で起用したのは、今試合のようなミドルシュートを期待しての判断ですか
ミドルシュートを期待してというよりは全体のバランスを考えて、そして彼女はずっと最終ラインの選手ですが、周りとの関わりや気の利いた抜け出しなど、サッカーIQや技術がすごく高い選手なので。チームの配置を考えた上であのポジションになったという感じですね。運動量もありますし、シュートにももちろん期待していました。
――3バックはずっと使っていくことを考えていますか
基本的にシステムに人を当てはめるというよりは、対戦相手の狙いどころ、あるいはそれに対する私たちの狙いどころを考えた上でシステムは変動させていくつもりですし、それはチームのみんなも分かっていると思います。サッカーIQの高い若葉だけでなく、ア女の選手はみな戦術理解度も高いですし、昨年から大会や試合によってフォーメーションは使い分けてきているので。ポジショニングは大事ですが、結局は相手に合わせて変動するので、今年も使い分けていくと思います。
――すでに新1年生がスタメン出場していますが、どのように印象を持っていますか
フィジカルの部分、細かく言えば単純なぶつかり合いだったりの部分ではまだまだ線の細い印象はあります。ただサッカーの基礎技術の部分や戦術理解度に関しては、入学時点から1年生全体として良いものを持っていると感じていました。あとは十文字高や浦和(浦和レッズ・レディースユース)、ジェフ(ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18 )など、大きな舞台を経験している選手が多いので、そういった経験値という意味でも心強い1年生が入ってきてくれたなと思っています。
――関カレも始まってきます。今季はどのようなチームにしていきたいですか
これから関東リーグと関カレをこなしていく中で、よりチームのカラーは出てくると思います。今季の4年生はチームに対して献身的に尽くしてきてくれた選手が多いですし、派手なチームかと言われればそうではないかもしれないですが、昨年とは違う新たなア女のカラーを楽しみにしていただければと思います。
後藤若葉主将(スポ4=東京日テレ・ヴェルディメニーナ)
――今季の開幕戦は0-0となりましたが、振り返っていかがでしたか
去年のFWが抜けて、大きな穴があるとは思います。そこをどう埋めていくかは、選抜活動で抜ける人がいた中でも、限られた期間の中で合わせてきて、今日こうして挑むというところでは、今シーズンの厳しさが出た試合かなと思います。なかなか点が取れず、守れるけど1点が遠くなるかな、と思っていた通りの試合になりました。課題も多く見えた中、できたことも多く見えたと思うので、収穫も多かったと思います。
――ビルドアップも含め、相手に対して押し込むかたちがつくれていたと思いますが
大学リーグになるとプレスのかけ方が違ったり、もっと前からプレスをかけてくる相手もいたりすると思うので、そうなった時にどう回していくかは、これから詰めていかないといけないと思います。それでも、今日の南葛さんみたいな社会人リーグでやられている相手に、新1年生もメンバーにいた中でできたというのは、プラスもあったと思います。
――インサイドハーフとしての手応えはいかがですか
やはりこれまでとは全然違いますね。でも逆に、自分が出し手だとしたらここに顔出してほしいな、このタイミングでほしいなというのを意識したり、自分自身まだインサイドハーフになりたてで、簡単にボールをはたくということをやっている部分もあります。あとはゴールにもっと絡んでいけるように、練習からやっていかなければならないと思います。
――インサイドハーフになったことで、今日のようなミドルシュートを打つシーンというのも増えてくると思いますが、意識されているところはありますか
ミドルシュートも今シーズンはどんどん打っていこうという話があったので、チャンスがあれば打つというのはもちろんです。でもそこからの崩しというのも詰めていかなければならないですし、個人としてはそのミドルシュートを枠に飛ばすだけではなく決め切るというところまでいかないといけないと思います。ここから厳しいシーズンになった時に1点の大事さが出てくると思うので、詰めていきたいです。
――新1年生に対してはどのような印象をもっていますか
みんな基礎技術が高いと思います。ただ大学サッカーで戦っていく上で、まだフィジカルやスピードのところは足りていないところもあると思います。それでも、今日のように1年生がのびのびできる環境が作れたというのはすごく良いことですし、1年生があれだけやってくれたら上級生ももっとやらないといけないと思わされるので、1年生がのびのびやってくれるのはとてもありがたいです。
――今年は主将となりましたが、どのようにチームを引っ張っていきたいですか
試合の中で締める言葉が必要な時は声を掛けていかないと、と思いますが、それより自分はプレーで示していきたいです。どんなポジションであろうと体を張るようなプレーは続けていかなければと思いますし、それに4年生も含め全員が乗っかっていけば、勝利をつかみ取っていけると思うので、自分だけがやっていくのではなく、全員を巻き込めるようなチームにしていきたいです。
MF宗形みなみ(スポ2=マイナビ仙台レディースユース)
――開幕戦が0対0という結果に終わりましたが振り返ってみて率直にどうでしょうか
開幕戦という緊張感もあった中で、自分たちのプレーというか攻撃の崩しでは、ところどころ練習の成果が見えつつあったのですが、やっぱり最後の嚙み合わないところや決めきるというところがまだまだ足りないなというのは感じました。
――去年まで4年生でフォワードにいた選手たちが卒業し、得点力が課題になっていると思いますが、そこはやはり関係しているのでしょうか
真ん中がいないという意味では個人的にも去年より責任感を持って、得点という部分にはこだわっていきたいと思っています。
――昨年後期からだとは思いますが、ウィングバックというポジションについてはどのように感じていますか
去年からやっていた部分はありましたが、メンバーも違うので自分が求められる役割も変わってきました。やっぱり自分が起点になってゲームメイクしなくてはいけないという面では、まだまだボールをもらう回数を増やさなくてはならないし、得点に繋がるプレーというものはもう少し増やしていきたいなと思っています。
――途中でプレーサイドが変わったことについてはどうでしたか
流れの中で変わったという感じでしたが、自分が右にいることで縦にも中にも行けるというのは、左でもそうですが相手の相性もあって変わったのかなと思います。
――後半はポストに当たるシーンなど決定機を作っていましたが、その時に決めきるところが課題になってくるのでしょうか
(今回)自分がシュートを打てるシーンはあまりありませんでしたが、去年からそこが課題だと思っています。ゲームメイク、アシストというかたちでチームに貢献することも大事ですが、やはり得点にこだわって今年はチームを勝たせることのできる選手になりたいなと思っています。
――今回既に3人の後輩がスタメンとして出場しましたが、一つ下の代が入ってきたことに関して意識していることや感じた印象などはありますか
自分が合わせることは最近になったので、前の方での攻撃のシーンで合わせることはまだこれからかなと思っていますが、自分が1年生の時もプレーしやすい環境を作ってくれたのは今の4年生をはじめ上級生でした。やはり伸び伸びやることが一番だと思うので自分のプレーも怠らず周りのサポートをし、ミスもカバーできるくらいの能力を身に着けたいと思っています。
――関カレも始まってきますが、今後に向けてどのような試合をしていきたいですか
一つ一つの積み重ね、練習からこだわるのもそうですが、やっぱり今足りないのは得点力だと思っています。チーム全体で得点や勝ちにこだわって、内容ももちろんこだわるのはそうですが、やっぱり勝たないと、勝って反省することが一番だと思うので本当に得点と勝ちにこだわって練習に励みたいと思います。
DF杉山遥菜(スポ1=東京・十文字)
――シーズン開幕戦、結果を振り返って率直にいかがですか
今季「誇闘」という目標を掲げた中で、毎試合早稲田の誇りを胸に勝ちにこだわって闘い抜こう、という気持ちで今日も試合に入りました。0-0で終わってしまい、得点できなかったことももちろんですし、相手に飲まれずに90分間チャレンジし続けることができていなかったかなと思うので、次に生かしていきたいです。
――ア女に入ってまだ2カ月ほどだと思いますが、練習などの雰囲気はどう感じていますか
高校時代と比べて、一つ一つのプレーにこだわって強度高くやっていると感じます。それだけではなくて、例えば声かけも「求める」声かけと、「鼓舞する」声かけとあって。良い雰囲気で練習できていると思いますし、そこがア女の良いところかなと思います。
――レベル感に関しては高校時代と比較してどう感じますか
高校時代は勢いでプレーする選手が多かったです。クラブユースには上手い選手も多くいましたが、やっぱり大学は基礎的な部分をしっかり応用させてプレーしているのを感じます。勢いや強度も求めつつ、足元の技術や戦術的なところも重視されていると思います。
――開幕スタメンは予想していましたか
入部当初は予想していなかったです。数カ月の積み上げの中で、トレーニングマッチや紅白戦で起用していただくタイミングが増えてきたので、メンバー入りしたらいつでも出場できる準備はしてきました。
――ア女には十文字高の先輩にあたる選手も在籍していますが、どのように接していますか
同じ高校の先輩がいるのはやっぱりありがたいですね。ただ高校の時とは比べて、距離感近く話しやすい感じなので、良い意味で高校時代を引きずっていないというか。ア女の雰囲気、として迎えてくれているので、話しやすいですしとても頼りにしています。
――押し込む場面も多かった中で決めきれない展開になりました。90分間最終ラインでプレーした感触を教えてください
相手がプレスをかけてくるチームではなく、むしろ自分がいた3バックの右とかにボールを持たせて、ワイドの若菜(三谷)さんや中野選手をマークする、という感じでした。押し込めてはいたものの前進できない停滞した時間もあったので、自分がもう少し運んだり、相手を引きつけたりすることができればもっと効果的な、怖いビルドアップができるのかなと思いました。
――守備面に関してはほぼ負けなしという印象でした
1対1の守備は自分の得意なプレーでもありますし、それを生かせるような(相手の)追い込み方は狙った通りにいったかなと思います。ただデュエル以外の部分、カバーリングや切り替え、クリアの質などの部分はまだまだ足りないとも感じました。得意な部分だけでなく、そういったところでもチームに貢献していきたいと思います。
――来週から関カレも始まります。どんなシーズンにしていきたいですか
もちろん試合に出させていただいた時は、今日の反省を生かしてチームに貢献したいですし、ベンチやサポートだとしてもチームが良い状態で試合に臨めるように、ア女の一員として万全の準備をしていきたいです。