WEリーグ・サンフレッチェ広島レジーナ(広島)は13日、FW吉野真央(スポ4=宮城・聖和学園)の加入決定を発表した。ア式蹴球部女子(ア女)からWEリーグクラブへの加入内定は今季4人目となる。今季のプロ内定ラッシュが止まらない。
2000年7月21日生まれ。身長は163センチ。2019年に聖和学園から早大に入学した。4人のプロ内定者はア女史上最多となる
吉野の最大の武器はそのフィジカルだ。大学生相手なら2人を背負ってもボールを奪われることはない。キープどころか、そこから前を向いてしまうあたりが凄まじい部分である。同・マイナビ仙台レディースに加入が内定しているFW廣澤真穂(スポ4=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)は「日本で一番体が強いんじゃないかな。女では出せないような力を持っている」と形容。特にその真価が問われた皇后杯本戦でも本領を発揮し、なでしこリーグ1部の大人を相手にしても強さをみせア女のベスト16進出という快挙に大きく貢献した。4回戦では大宮アルディージャVENTUSが吉野に徹底マークを敷いてきたことも、その脅威の程が表れている。
リーグ戦終盤の勝負所、山梨学院大戦で先制点を挙げた吉野
もちろん得点力も兼ね備える。今季は公式戦で12ゴールを記録した。前期はけがの影響もあり出場機会に恵まれなかったが、チームが苦しい時期を過ごした9、10月に得点を量産した。今でこそプロ内定を勝ち取るスコアラーとなった吉野だが、2年前まではDFだった。練習でFWをやったことが転機となりポテンシャルを見出されコンバート。同期の廣澤や髙橋雛(社4=兵庫・日ノ本学園、ちふれASエルフェン埼玉加入内定)、松本茉奈加(令3スポ卒=現ノジマステラ神奈川相模原)などの強力なFWがいる中でも1年かからず主力級に成長。3年時は準決勝での決勝点を含め全日本大学女子選手権優勝に大きく貢献した。
善戦した大宮戦。相手の主力DFに果敢に挑んだ
吉野は2年時のコンバートをこう振り返る。「どんな状況、環境にいても結局は自分自身だと思ってて。それこそ自分がいきなりGKやってもボランチやっても、もしかしてサッカーじゃなくて違う競技やったとしても結局は自分の努力次第でどうにかできる」。
これから吉野は大学サッカーからプロサッカーへとステージを上げると共に”環境”を移す。吉野がア女で何度も見せてきたDF2、3人を背負いながら果敢に前を向く姿を、ネットを揺らして雄叫びを上げる姿をプロの舞台でも見せて欲しい。
(記事・写真 前田篤宏、写真 大幡拓登)