魅せた！強いア女　有観客のＡＧＦで宿敵・慶大撃破！！

　今年の開催で21回を数える伝統の一戦、早慶女子サッカー定期戦。『早慶女子クラシコ』と銘打った大学女子サッカー随一のダービーマッチが、ＡＧＦフィールドで行われた。序盤から早大ア式蹴球部女子（ア女）がボールを握るが、慶大も意地の堅守を見せ前半を０－０で折り返す。それでも68分、右サイドのクロスにＦＷ吉野真央（スポ４＝宮城・聖和学園）が合わせ１－０。85分にはＭＦ築地育（スポ２＝静岡・常葉大橘）が追加点を決める。最後までア女が慶大を圧倒し、２－０の完勝で試合終了。開催初年度から続くア女の無敗記録を更新した。

 

試合後のア女イレブン

　ア女は最終ラインから３－５－２でセット。左翼にはＤＦ船木和夏主将（スポ４＝日テレ・メニーナ）が約３カ月ぶりに先発復帰し、キャプテンマークを巻いた。前半が始まると４分、このゲームの最注目選手のひとり、ＦＷブラフ・フェイ（慶大）のプレーからいきなりＣＫを与えてしまう。しかしこれをＧＫ近澤澪菜（スポ４＝ＪＦＡアカデミー福島）が難なくキャッチでおさえると、展開は徐々にア女ペースへ。10分には頼れる4年生攻撃陣、ＦＷ吉野真央（スポ４＝宮城・聖和学園）とＦＷ髙橋雛（社４＝兵庫・日ノ本学園）がパス交換からシュート。相手ＤＦに阻まれたが、ア女の猛攻の火ぶたを切った。続く32分、ＤＦ井上萌（スポ４＝東京・十文字）のロブスルーパスに髙橋が飛び出す。しかし放ったシュートはキーパーの正面に飛び、こぼれ球に詰めた吉野も決めきることができない。41分にも髙橋がＤＦ夏目歩実（スポ３＝宮城・聖和学園）の意表を突いたループ気味のパスに反応したが、シュートを枠に飛ばすことができず、０－０のまま前半を折り返した。

 

早慶戦で晴れて復帰した船木主将。１点目のアシストのほか、前半にはポスト直撃のシュートを放つなど積極的なプレーが多く見られた

　勝利のために、まずは得点が欲しいア女。後半もボールを握ったが、序盤は慶大のプレスに浮足立ったか押され気味。49分にはビルドアップ中のミスからボールを奪われシュートを食らうと、続く50分にはア女の左サイド深みを取られ、際どいクロスを上げられる。膠着（こうちゃく）する展開も予想してか、後藤史監督（平２１教卒＝宮城・常盤木学園）はこの日最初の交代カードとして、ＭＦ白井美羽（スポ２＝ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ）を選択。これが奏功した。68分、その白井から地を這うような鋭いパスが吉野へ。収めたボールを右サイドにポジションを移していた船木へと渡すと、その船木から上がったクロスに再び中で待っていた吉野が合わせ１－０。値千金の先制点をあげた。リードを奪ってもア女の勢いは止まらない。85分。髙橋からエリア前でボールを受けたＭＦ築地育（スポ２＝静岡・常葉大橘）が、対峙するディフェンダーをシザースでかわすと左足を振り抜きゴール。圧巻の個人技に、観戦していたエスコートキッズたちも歓声をあげた。ア女の２ゴールで熱気に包まれたＡＧＦフィールド。２－０の完勝で早慶女子クラシコは幕を閉じた。

 

吉野の先制シーン。これが吉野にとって最初で最後の早慶戦だったが、見事に勝利を飛び込んだ

　会場の雰囲気や内容など、まさに「早慶戦」という試合だった。会場にはお手製の顔出しパネルや選手紹介カードが置かれており、訪れた観客には手書きのマッチデープログラムも配布されるというおもてなしぶり。両大学の準備のほどが、随所にうかがえた。そして何よりこの日の試合結果は、ア女にとってはこの上ないものになった。チームの2点目を決めた築地は、この日のＭＶＰを受賞。復帰後コンスタントに結果を出し続ける築地には、「得点を決めていなかったとしても築地がＭＶＰでいいんじゃないかと思うくらい、攻守にわたって良い仕事をしてくれた」と指揮官も称賛を惜しまない。

 

観客の投票でＭＶＰに選出された築地。関カレに続いて３戦連続ゴールと好調ぶりを見せている。皇后杯に向けて起爆剤になりそうだ

　けが人を抱える中、これからさらに難しい相手と戦っていくア女。この日の会心の勝利は、そんなア女に弾みをつけるきっかけになってくれるだろう。シーズンも終盤に差し掛かっている。競い合い、創り上げてきたア女の強さを、最後まで魅せ続けてほしい。

（記事　大幡拓登、写真　前田篤宏、渡辺詩乃）

 

 

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