第36回関東大学女子リーグ後期第10節 | ||||
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早大 | 1 | 0-1 1-1 |
2 | 帝京平成大 |
【得点】 (早大)46分:築地育 (帝京平成大)23分:浅野綾花、62分:江崎世来 |
グラウンドには10月とは思えない日差しが照りつけた。昨年のこの時期、同じ会場で敗北を喫しているア式蹴球部女子(ア女)。関東大学女子リーグ(関カレ)後期10節、雪辱を果たすべく帝京平成大学との一戦に臨んだ。前半は激しい攻防が続くも危ない場面が多くみられ、前半23分CKから失点。後半、勢いに乗ったア女は46分にMF築地育(スポ2=静岡・常葉大橘)が得点を奪うも、62分に勝ち越しゴールを許してしまう。その後シュートチャンスはあったものの得点には繋がらず、2-1で試合が終了した。
内容が良かっただけに痛い敗戦。トーナメントが近づいている時期なだけにより一層勝利する重要性は増している
序盤から互いに激しい運動量で試合が展開した。徐々に相手に主導権を握られ始めると22分、相手キーパーに中盤へのパスをつながれDFを背負いながら豪快なシュートを放たれるが、ここはGK丸山翔子(スポ2=スフィーダ世田谷FCユース)が飛び込みナイスセーブ。しかし23分、「帝平のセットプレーの強さは準備していたがそこを超えてくる強さがあった。」(後藤監督)と、CKから先制点を奪われてしまう。反撃を試みるア女は35分、MF宗形みなみ(スポ1=マイナビ仙台レディースユース)の鋭いニアサイドへのFKは惜しくもキーパーがセーブ。何度かシュートのチャンスはあったものの得点につなげられず、1-0で前半を折り返した。
築地のゴールに駆け寄るイレブン。築地はこの直後の育成リーグでも得点し、無類の帝平キラーっぷりを発揮した
なんとか1点をもぎ取りたいア女はHT明けにMF三谷和華奈(スポ3=東京・十文字)や築地など攻撃的なカードを切る。監督の采配が功を奏し、後半開始早々、敵陣に深く攻め入り主導権を握る。すると46分、相手のクリアボールを回収したMFブラフ・シャーン(スポ4=スフィーダ世田谷FCユース)が右サイドからクロスを上げる。これに築地が完璧に頭で捉え、放物線を描いたシュートはキーパーの頭上を越えゴール右隅に吸い込まれた。その瞬間、ピッチ内外から歓喜の声が響き渡り、築地の周りにはチームメイトがかけよった。「常にゴールを狙っていた」という築地は6月の帝京平成大戦でも得意のヘディングで得点を決め劇的勝利に貢献している。今回も自分の持ち味を充分に発揮し、監督も「セットプレーで築地が点決めてくれるかなと思った」と期待通りのプレーで魅(み)せる。ついに同点に追いついたア女はもう1点を奪いたいところ。しかし62分、プレスをかけてくる相手に高い位置でボールを奪われると、右から落ち着いてクロスを上げられゴールネットを揺らされる。その直後、FW髙橋雛(社4=兵庫・日ノ本学園)に縦パスをつなげ、髙橋のクロスにFW廣澤真穂(スポ4=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)が合わせるも、シュートは惜しくもキーパー阻まれる。さらに74分、MF 笠原綺乃(スポ3=神奈川・横須賀シーガルズJOY)が髙橋からのクロスにあわせるが決めきれない。その後も好機を得点につなげられないまま、試合終了のホイッスルが鳴り2-1で敗北を喫した。
相変わらず好調を維持しているのが髙橋。今節も髙橋がボールを持てば何かが起こる期待感がある
後藤監督が「もったいない失点で負けてしまった」と言うように、守備からリズムを作るという自分たちのプレーができているだけに、ミスからの失点に悔しさが残る。前節の東京国際大との一戦からCKで失点を重ねており、「もう一度見つめ直す必要がある」とDF夏目歩実(スポ3=宮城・聖和学園)。「今弱さが出てることは悪いことではないので。ここが最後の修正のポイントなので自分達の弱さを受け止めて皇后杯、インカレにつなげていきたい」と先を見据えて後藤監督は力強く語った。課題を課題のままとするか、次に生かせるか。皇后杯、インカレと大事な試合に向けて、ア女は正念場を迎えている。
(記事 渡辺詩乃、写真 大幡拓登、髙田凜太郎)
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 21 | 丸山翔子 | スポ2 | スフィーダ世田谷FCユース |
DF | 2 | 夏目歩実 | スポ3 | 宮城・聖和学園 |
DF | 4 | 堀内璃子 | スポ3 | 宮城・常盤木学園 |
DF | 8 | 井上萌 | スポ4 | 東京・十文字 |
DF | 15 | 田頭花菜 | スポ2 | 東京・十文字 |
MF | ◎6 | ブラフ・シャーン | スポ4 | スフィーダ世田谷FCユース |
MF | 14 | 笠原綺乃 | スポ3 | 横須賀シーガルズJOY |
MF | 26 | 宗形みなみ | スポ1 | マイナビ仙台レディースユース |
→HT | 19 | 築地育 | スポ2 | 静岡・常葉大橘 |
FW | 9 | 廣澤真穂 | スポ4 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
→70分 | 27 | 生田七彩 | スポ1 | 岡山・作陽 |
FW | 10 | 髙橋雛 | 社4 | 兵庫・日ノ本学園 |
FW | 11 | 吉野真央 | スポ4 | 宮城・聖和学園 |
→HT | 7 | 三谷和華奈 | スポ3 | 東京・十文字 |
◎=ゲームキャプテン |
スターティングイレブン
DF夏目歩実(スポ3=宮城・聖和学園)
――連敗という形になりましたが、率直にいかがですか
前週の東京国際大戦の結果で優勝できないということは決まっていた中で、2位という可能性を残しての首位との対戦でした。シンプルに敗北したということが悔しいですし、守備の選手として敗戦は失点をしたということなので、責任を感じています。
――後半は特にア女ペースが続いたと思いますが、敗因として考えられるのはどういったところでしょう
後半は攻撃的な選手交代をして、ハーフタイムに話し合った部分がよく出ていたというのもあったので勢いを持って入れたと思うんです。すぐ同点に追いつくことができましたし、その後の流れもすごく良かったのですが、結局自分のミスからの失点で相手を(流れに)乗らせてしまいました。あの失点さえなければ後半はずっとア女ペースだったと思うので、シンプルに申し訳ない気持ちです。
――一つ目の失点に関してはいかがですか
前回もコーナーキックからやられていて、今回相手もトリッキーなセットプレーを使ってくるというのはスカウティングで知っていましたし、セットプレーの練習でもう一度全員で確認をして修正を行っていました。ただやはり試合の中で臨機応変にやってきた相手に対して、自分たちが対応しきれなかったという感じです。これ以上セットプレーでの失点はしたくないので、もう一度見つめ直す必要があると改めて感じました。
――2失点目はビルドアップ時のミスからの失点となりました
個人的に今日の試合は、ビルドアップで手応えを感じていたわけではなかったので、合わせながら探りながらという感じでした。ただ後半に入りボールがまわしやすくなってきた中で、シンプルにやればいいところで一つ欲が出てしまった部分もあったと思いますし、ポジションがポジションなのでもっとシンプルなプレーを選択してもよかったと思います。
――ブラフ選手が右SBでプレーされていますが、イメージややり方に変化はありましたか
特にチームとしてのやり方は変えていないです。シャーンさんの攻撃参加やロングフィード、守備であれば一対一の強さといった良い部分がより発揮されるポジションなので、個人的には良いポジションチェンジなのかなと思っています。その中でシャーンさん自身がいきいきとプレーしてくれれば、問題ないと思います。
――ビルドアップに関しての課題はどういったところでしょう
はじめは中盤のバランスが良くなかったというか、相手がハイラインだったのもあって攻撃陣がパスを受けづらい展開でした。後半から育(築地)を入れたのはその中盤のバランスを変えるという目的でしたし、そこが改善されたことでビルドアップも変化があったのかなと思います。
――連敗という結果を省みた中で、改めてチーム全体の課題としてどういった部分が挙げられますか
大きく分けて2つあって、ひとつはやはりビルドアップのところです。今日はシャーンさんが、この前はたがし(DF田頭花菜(スポ2=東京・十文字)が右SBに入って、メンバーごとに特徴が違うので合わせるのが難しいというところはあります。そういうところはしっかりと積み重ねて改善していきたいです。もうひとつは攻撃の最後、得点のところです。公式記録とかを見ていてもシュート本数が明らかに少ないです。ボールは持てていますし、ゴール前までいけているけどシュートが少ないという感じなので、練習の中でしっかりと修正していきたいと思います。
――次戦に向けて意気込みをお願いします
相手がどこであれ、今チームとしての課題が見えてきているので、そういったところを練習でみんなでコミュニケーションをとって修正していきたいです。国際武道大戦では自分たちが自信を取り戻せるような試合にして、次につなげたいと思います。
MF築地育(スポ2=静岡・常葉大橘)
――試合を振り返って
途中交代でちゃんと結果残そうと思って入った中で得点できた所はよかったんですけど、やっぱり勝ち切って終わりたかったのもあるし、最近チーム全体で流れを持ってこれてないので、それでもう一個自分が流れを作れる選手になりたいなと思いました。
――後半どのような指示があって入ったか
特に決まったことは言われてないんですけど、中盤のところでボールが収まらなかったり、攻撃で一個ラストパスの所が繋がらない印象が見ている中で前半あったのでそういう所に絡めるように、自分は球際がストロングポイントだと思っているので、セカンドボールをちゃんと拾って攻撃につなげようと思ってました。
――後半からピッチに入る時の気持ちは
やっぱりサブでいつでも出れるように準備してるのと、一緒にサポートに入っているメンバーに「育行ってきてね」って背中を押してもらってるので、自分も勢いがある方なので緊張せずに思い切りやろうという気持ちで気合入れて入っています。
――育成リーグでは入っていきなり得点されましたが、得点を振り返って
今日は高めのインサイドハーフに入ったのでゴールは常に狙ってたんですけど、サイドのシャーンさんからクロス入ったところで得意のヘディングでちゃんと枠を捉えたのと、ちょっと難しい体勢だったんですけど勢い持ってニアに飛び込めたところはよかったかなと思います。
――二戦目でもスーパーゴールーを決められました、ご自身の調子は
関カレの方が1-2で終わってしまって育成の方でもチームに勢いをもたらすという所が、自分の仕事かなと思っていたのでアンカーという位置ではあったんですけど、ゴール狙ってたので思い切って打って気持ちよかったです。スタメンに入れていないという部分で、自分がもう少し成長しなきゃなという部分はあるんですけど、でもこうやって結果残せたので自信持って練習から自分のプレーをできるようにしていきたいなと思います。
――来週への意気込みをお願いします
1週間またチームでの課題も出てるのでそこを調整してくのと、やっぱり自分はアピールしていく立場なので、練習から気合い入れて泥臭くやっていきたいなと思います。
――1試合目はインサイドハーフ、2試合目はアンカーでしたが、ご自身の中で違うイメージをもってやっていますか
アンカーの時、守備の時は前で動いている選手のカバーに入るのと、セカンドボールをすごく意識してて攻撃になった時に自分のところにスペースが空きやすいので、2列目からチャンスを狙ってると言う感じで、インサイドハーフの時は自分からアクション起こしやすかったりボールが当たって攻撃の起点になるところなので、ちょっと姿勢的には前がかりというかゴールを意識したプレーをしてます。