関カレ勝ちなしの“トンネル”続く 神奈川大にスコアレス

ア式蹴球女子
第36回関東大学女子リーグ後期7節
早大 0-0
0-0
神奈川大
【得点】
(早大)なし
(神奈川大)なし

 早稲田大学ア式蹴球部女子(ア女)は、関東大学女子サッカーリーグ(関カレ)後期第7節で神奈川大と対戦。ア女は開始直後こそ押し込まれるシーンはあったが、試合の中ほどから主導権を握った。37分にはFW廣澤真穂(スポ4=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)のヘディングシュートが惜しくもバーの上を外れるなどチャンスを作る。しかし後半は相手の堅い守備を前に、決定機を作ることができず。結局スコアレスでの決着となり、関カレでは2試合連続の悔しい引き分けとなった。

 

関カレでの前回勝利は7月31日にさかのぼる。次節は今季公式戦3戦全勝の筑波大。69日ぶりの勝ち点3をもぎ取りたい

 

 この日のグラウンドには10月とは思えないほどの強い日差しが照り付けた。試合は開始直後から時に激しいコンタクトの応酬が続く激しい展開に。「入りはあまり良くなかった」とFW吉野真央(スポ4=宮城・聖和学園)が試合後語ったように、序盤はボールを握りながらも神奈川大の割り切った守備とキレのあるカウンターに苦しめられる。さらに20分には右サイドで先発したFW生田七彩(スポ1=岡山・作陽)が負傷交代。MF木南花菜(スポ2=ちふれASエルフェン埼玉マリ)が前半早い段階で代役を務めることになった。しかしア女は徐々に主導権を掌握。29分にはDF井上萌(スポ4=東京・十文字)の見事なロングパスに吉野が飛び出す。相手DFに体を寄せられシュートは大きく枠を外れたが、怖さのある攻撃を繰り出した。さらに37分、途中交代の木南のクロスに廣澤がまさにどんぴしゃのヘディングで合わせたがバーの上。頼れる4年生攻撃陣が繰り返しゴールに迫る。

 

廣澤は巧みにマークを外し頭で合わせたものの惜しくも得点とはならなかった

 0-0で前半を折り返したア女は、1点を奪うべく攻勢を強める。47分、FW髙橋雛(社4=兵庫・日ノ本学園)と木南がパス交換から攻め入りCKを奪取。相手DFのクリアボールをCKのキッカーである井上がひろい、インカーブのかかった鋭いクロスを上げると吉野が飛び込む。しかしここは相手GKの守備に阻まれてしまった。70分にも吉野が左後方からのパスを上手く収め、右サイドのMF笠原綺乃(スポ3=横須賀シーガルズJOY)に展開。外から猛然と駆け上がったDF堀内璃子(スポ3=宮城・常盤木学園)がパスを受け、あげたクロスがシュート性の軌道を描きゴールに向かうが、相手GKに抑えられた。本人は「個人的には全て収めたい」と反省の弁を述べたが、これ以外にも吉野は至る所に顔を出し攻撃の起点に。この日のア女の攻撃をけん引した。しかし神奈川大の堅守は続き、時計の針は進む。89分、高橋がハーフスペースで収めると中の井上へパス。しかし放ったシュートは大きく枠をそれた。暑さからの疲れも見えた終盤。お互いに得点は出ず、スコアレスでの痛み分けとなった。

 

吉野は攻撃で存在感を放った。得点力不足に悩む一方で公式戦では4試合ぶりに無失点に抑えた試合でもあった

 

 関カレでは延期分も含め、6試合連続で勝ちがない。第44回全日本女子サッカー選手権大会(皇后杯)、第31回全日本大学女子選手権(インカレ)の控える時期に、いささか不安が残る結果が続いている。それでも「苦しい時期を乗り越えるからこそ大きな目標を達成した時によりチーム力で成し遂げた、という達成感が生まれる」と語ったのは吉野。酸いも甘いも知り尽くした4年生の言葉には重みがある。何としてもこの「トンネル」を抜け、試合終了を笑顔で迎える「強いア女」を取り戻したいところだ。

(記事 大幡拓登、写真 前田篤宏、髙田凜太郎)

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ◎1 近澤澪菜 スポ4 JFAアカデミー福島
DF 夏目歩実 スポ3 宮城・聖和学園
DF 堀内璃子 スポ3 宮城・常盤木学園
DF 井上萌 スポ4 東京・十文字
DF 15 田頭花菜 スポ2 東京・十文字
MF ブラフ・シャーン スポ4 スフィーダ世田谷FCユース
MF 14 笠原綺乃 スポ3 横須賀シーガルズJOY
FW 廣澤真穂 スポ4 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
FW 10 髙橋雛 社4 兵庫・日ノ本学園
FW 11 吉野真央 スポ4 宮城・聖和学園
FW 27 生田七彩 スポ1 岡山・作陽
→20分 17 木南花菜 スポ2 ちふれASエルフェン埼玉マリ
→67分 18 白井美羽 スポ2 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
◎=ゲームキャプテン

 

FW吉野真央(スポ4=宮城・聖和学園)

――悔しい引き分けとなりましたが、今日のゲーム振り返っていかがですか

 ゲームの入りはあまり良くなかったと思います。ただ自分たちの緩さや反応の遅さのようなものが出てしまっていた中で、最終的にはゲームの中で修正して戦えていましたし、大きなピンチを迎えることも少なかったです。それでも攻撃の場面で自分たちがもっとアイデアを出していければ良かったと思います。

――プレスの回避やビルドアップに関してはいかがでしたか

 自分個人としては、攻撃の起点になることがビルドアップのなかで一つの役目だと思っているので、サイドバックがボールを持った時に顔を出したり、そこから逆に展開したりすることを意識しました。そういう共通認識はできている中で、つなげなかったりテンポが合わなかったりでチャンスをものにできなかったという部分は、悔しいところになりました。次の試合ではしっかり修正して挑みたいです。

――マークも厳しかった中、くさびの縦パスをよくおさめていたと思いますが

 もっともっとできると思っています。ポストプレーのシーンは何度もあったのですが、ボールロストも2、3回ありましたし、個人的には全ておさめたいので。チームが苦しい時だからこそ、チームのために自分ができることを最大限にやりたいと思いますし、今日の試合ではもっともっと自分がやらなければならないと強く感じました。

――右サイドの生田選手には試合中よく指示をしているシーンがありますが、どのような声かけをしているのですか

 試合中に焦ってしまっていることもあるので、そういった一年生ならではの未熟さというところは感じます。仲間として七彩(生田)の強みをもっと活かしてあげたいですし、自分たち四年生が声かけなどでサポートしていきたいという思いでやっています。

――逆サイドの廣澤選手とはサイドとセンターを入れ替わりながらプレーしている時間もあったと思いますが

 真穂(廣澤)も自分と同じくセンターでプレーできる選手ですし、そこは試合中の流れを見ながら自分たちで判断したり監督からの指示を受けたりして交代しています。自分たちの中でもそこは流動的にプレーするという感じです。

――個人的にどちらがやりやすいですか

 流れによりますが、相手のディフェンスのやり方を見て「今は真穂が前をやったほうがいいな」だとか、「相手が引いているから自分が収めた方がいいな」というふうに判断しています。やりやすいやりにくいというよりは、相手を見てという感じですね。

――関カレはここ数試合勝ちがないという結果になっていますが、リーグ戦のここまでどのように捉えていますか

 もちろん勝つに越したことはないのですが、こういう時だからこそより強いア女になれると思います。それこそとんとん拍子で勝ち続けてももちろん良いとは思うのですが、チームとして深みが出ないというか。こういった苦しい時期を乗り越えるからこそ、インカレ優勝やWEリーグチームの撃破といった大きな目標を達成した時によりチーム力で成し遂げた、という達成感が生まれると思うんです。今は勝てていないですが、絶対後から自分たちに(結果は)ついてくると思うので、やり続けるだけですね。

――残り数試合、そして皇后杯やインカレに向けてどういったプレーでチームに貢献していきたいですか

 もちろん得点を決めてチームの勝利に貢献したいというのが一番です。ただその前に攻撃の起点となって、チームメイトの得点も演出できるような選手になれるよう、頑張っていきたいです。